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第35話『完璧な入学式』②
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『お、おはようございます。本日は良い天気ですね』
『……はい。えと、その、こんな晴れやかな日に、今日という日を迎えられた事を私も嬉しく思います』
『ここに皆さんがいらっしゃるという事は、今日までの努力が実を結んだという事でしょう』
『今日からの日々をどうぞ、楽しみつつ、学んでいただければと思います』
私は上手い事なんて何も言えず、誤魔化す様に頭を下げた。
そして私が頭を下げると同時に凄い拍手が体育館全体に溢れる。
うーん。
こんなモンで良いのか。
いや、冷静に考えれば珍しいエルフがなんか喋ってたから面白かったって手を叩いているだけだろう。
冷静になれ。
惑わされるなシーラ!
こういう所で図に乗ると後々痛い目を見るからね。
ちゃんと自分の評価は受け止めよう。大した事は言えてない。珍しさから拍手を貰っただけ。
はい。
はぁ……ツラい……。
という訳で気を取り直して、進行してゆく入学式を見ていたのだが。
皆さん良い事言うわー。
流石は世界中から集まった優秀な先生方って感じ。
お飾りエルフとは大違いですわね。
まぁ良いよ。ほら、良く言うじゃない。上が無能だとその分下が優秀になるって。
私が無能であるが故に、実際に働いている人たちがどんどん優秀になってゆくという事で。
どうか許して貰えんか。
なんて、祈りを捧げていた私をよそに、入学式は無事終了し、私は帰ってゆく生徒を見ながら、先生方と会議を行う事になった。
「本日はわざわざありがとうございました。シーラ様」
「え、いえ。大した事はしてませんよ。挨拶も全然良い事言えなかったですし」
「その様な事はありませんよ。私はお話を聞いて涙が止まりませんでした」
いやいや。
大袈裟な上に意味が分からない。
泣けるポイントなんか欠片も無かったけど。
「私は大変気分が高揚しました。新入生は幸せですな。シーラ様のお言葉を頂く事が出来るとは」
「そうですか?」
「はい」
当然だろ? とでもいう様な顔で頷く先生に私は何も言えず、そうですかと言いながら引き下がった。
この人ら、エルフ好きすぎでは?
もうエルフが生きてるだけで楽しいっていうタイプの人なんじゃないかな。
『……はい。えと、その、こんな晴れやかな日に、今日という日を迎えられた事を私も嬉しく思います』
『ここに皆さんがいらっしゃるという事は、今日までの努力が実を結んだという事でしょう』
『今日からの日々をどうぞ、楽しみつつ、学んでいただければと思います』
私は上手い事なんて何も言えず、誤魔化す様に頭を下げた。
そして私が頭を下げると同時に凄い拍手が体育館全体に溢れる。
うーん。
こんなモンで良いのか。
いや、冷静に考えれば珍しいエルフがなんか喋ってたから面白かったって手を叩いているだけだろう。
冷静になれ。
惑わされるなシーラ!
こういう所で図に乗ると後々痛い目を見るからね。
ちゃんと自分の評価は受け止めよう。大した事は言えてない。珍しさから拍手を貰っただけ。
はい。
はぁ……ツラい……。
という訳で気を取り直して、進行してゆく入学式を見ていたのだが。
皆さん良い事言うわー。
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まぁ良いよ。ほら、良く言うじゃない。上が無能だとその分下が優秀になるって。
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どうか許して貰えんか。
なんて、祈りを捧げていた私をよそに、入学式は無事終了し、私は帰ってゆく生徒を見ながら、先生方と会議を行う事になった。
「本日はわざわざありがとうございました。シーラ様」
「え、いえ。大した事はしてませんよ。挨拶も全然良い事言えなかったですし」
「その様な事はありませんよ。私はお話を聞いて涙が止まりませんでした」
いやいや。
大袈裟な上に意味が分からない。
泣けるポイントなんか欠片も無かったけど。
「私は大変気分が高揚しました。新入生は幸せですな。シーラ様のお言葉を頂く事が出来るとは」
「そうですか?」
「はい」
当然だろ? とでもいう様な顔で頷く先生に私は何も言えず、そうですかと言いながら引き下がった。
この人ら、エルフ好きすぎでは?
もうエルフが生きてるだけで楽しいっていうタイプの人なんじゃないかな。
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