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第33話『風紀の乱れ』③

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朝目覚めた私は、普通にパジャマを着ていて、昨日の事が夢だったのかと思うほどであった。

しかし、廊下でレナちゃんと出会った時、そっと誰にも聞こえない声で、「昨日は可愛かったよ」なんて囁かれて、私は思わず振り返ってしまった。

そして、視線の先では振り向いて笑うレナちゃんが……。

い、いかん!

これは非常に良くない!

不健全だ!

乙女ゲームの主人公は! もっと、こう、なんか清楚で、綺麗で可愛くて、みんなの憧れじゃないと駄目だ!

そんなエッチな感じなのは良くないと思う!

うん!

だって、実は見えてない所でヒーローたちとそんな事をやってたかと思うと、無理、無理だよ。

もうゲームできなくなっちゃう。

いや、もう出来ないんだけど。

とにかく! 学園の風紀は守らないといけないと思うのです!!

という訳で、レナちゃんへの注意をしつつ、学園の現在についても調べる事にした。

すると、出るわ出るわ。風紀の乱れが。

人気のない場所で、キスしてたとか。誰も居ない教室で、その、エッチな事してたとか。

もう! もう!! って感じである。

私は窓から見える噴水前の小さなエルフ像を魔力弾で破壊しながら、苛立ちを発散しつつ、学園の先生方を呼んで緊急会議を開くのだった。



会議室でテーブルを叩き、開幕一声大きな声で議題を叫ぶ。

「風紀が乱れています!」

「……? えー。シーラ様、それはいったい?」

「私が調べた所によりますと、その、人気のない場所で、その……その、口と口を合わせるような行為をしていたという話や」

「はぁ、キスしてた者が居たと」

やる気の無さそうな。真実どうでも良さそうな先生の反応に、このまま流されそうだと感じた私はさらなる追撃を放つ。

「それだけじゃありません!! そ、その空き教室で、その、えっ」

「え?」

「エッチ、な事を……その、していた人たちだって居ると聞きました!」

「はぁ、なるほど」

心底興味が無さそうな反応に私は、子供がそれを見ちゃったらどうするんですか! と叫んだ。

すると、今までどうでも良さそうな顔をしていた先生方はみんな姿勢を正して、私の配った資料を見てくれる。
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