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第23話『新時代の始まり』②

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瞬間、時が止まった。

私以外の全ての人が完全に止まっている。

あれ? 私、いつの間にか時間を止める能力者になっていたのか!?

こいつは驚きだ……。

「っ!? し、シーラ様。今のは、本当に?」

「いや、嘘を吐いてもしょうがないじゃないですか。聞くところによれば、オリヴァー君は遂にジェイクさんをも倒したという話ですし。私も魔法にはそれなりに自信があります。そこで! 私たちで最強のふたり! って奴を目指しませんか? というお誘いです」

オリヴァー君の問いに答えつつ、ドキドキと早くなる心臓を手で押さえながら、息を吐く。

そして、気持ちをちゃんと言葉にしようとオリヴァー君を真っすぐに見て、笑った。

「オリヴァー君、私では、駄目ですか?」

「っ!?」

「オリヴァー!! 俺と勝負しろ!!」

「ふぇ?」

「俺も、貴様に一対一の決闘を申し込む!!」

「私とも戦いな! オリヴァー!」

「え? え?」

急にオリヴァー君が大人気。

何がどうしたというのか。

いや! これは! これは毎度の流れだ! 私の相方の座を求めて、争いが発生している!!

急いで止めなくては。

「皆さん! 争いは止めてください!」

「……シーラ様」

「オリヴァー君に挑むなんて、怪我をしたら大変です」

「いよっし! オリヴァー! 今すぐやるぞ! 表に出ろォ!!」

「えぇぇえ!?」

いや! 待ってって! 勝てないって!

相手はゲームでも最強キャラの一人だよ!?

無理だって!

「そこまでです!」

私がどんな言葉で止めようかと考えていた時、私の後ろからよく聞きなれた声が聞こえてきた。

そう。エミリーちゃんである。

もうすっかり大人のお姉さんになってるけど。

「シーラ様を悲しませるような真似は私が許しません!」

「……いや、しかしな。この状況じゃあ」

「はい。分かります。シーラ様に最も信頼される位置。それはとても魅力的です。しかーし! ルール無用の争いを容認すれば、闇討ちをする様な者すら現れるでしょう! ゆえに! トーナメントを開催します!!」

「「「「トーナメント!?」」」」

「そう。シーラ様と共に居る権利を得る為に、争え! 戦士たちよ!! 我こそはと名乗る人間を集め、一対一で厳正なルールの下、競い、力を、技術を競い合うのです! そして、最後に残った一人が……! シーラ様と共にパーティーを組む権利を得られます!!」

「おぉ! おぉぉおおお!!」

「いや、そこまでしなくても、私はオリヴァー君が」

「シーラ様は黙っていて下さい。今はシーラ様の話をしているんです」

「……はい」
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