67 / 246
第21話『戦いのその後』①
しおりを挟む
人形遣いの魔王との戦闘が終わり、私たちは倒れている冒険者さんと冒険者組合の人を助け起こした。
直接的には傷つけてないけど、傀儡魔法が解けて勢いよく倒れている人も居たし、怪我をしていないか心配である。
という訳で、怪我をしている人を介抱しつつ、私は荒れてしまった冒険者組合の建物も修理するのだった。
「シーラ様。この度は大変申し訳ございませんでした」
「いえいえ! しょうがないですよ。あの魔王の事はどんな資料にも書いてなかったですし。それに、あの魔王は触れるだけで相手を操れますからね。対策は難しいです」
「……そうですか。それで、その魔王は」
「一応倒しました。しかし、魔王である以上、いずれ復活するでしょう。どのくらいで復活するのか、その時間まではちょっと分かりませんが」
「承知いたしました。では、かの魔王の姿や傀儡魔法を他の地区にも伝えます」
「お願いします」
「そして、おそらくは最も重要な案件になると思うのですが」
「ん?」
先ほどまでとは雰囲気が完全に変わり、重々しい空気になるとジャックさんは一つ一つ言葉を選んでいる様な雰囲気で、口を開いた。
「魔王なる存在がシーラ様を狙っていると分かった以上、我々としてはシーラ様の護衛を増やし、どの様な事態が起きても対処が出来る様にと」
「本当にそれが可能であると、貴方は考えているのですか?」
ピリッと空気が弾けて、ジャックさんとオリヴァー君が危険な雰囲気になる。
今にも戦いが始まりそうな空気だ。
なんで? なんで、ここでバトルが始まるの!?
「シーラ様は王都に戻るべき。そうでしょう?」
「それは!」
「王都の騎士団は優秀だ。個としても優秀な人間たちが、群として存在している。他の魔王がどの様な魔法、手段を用いてシーラ様を狙うか分からない以上、その護衛はより優秀な方が良い。というのは当たり前の事だと思いますが?」
「し、しかし。ムイゼンも魔物と長く戦い続けてきた者たちばかりだ。どの様な者が相手でも負けはしない」
「負けたでしょう。しかもシーラ様の足を引っ張り、危うく魔王の手の内に落ちるところだった」
「同じことが騎士団で起きないという保証がどこにある。我々の所では実際に起こった。が、その優秀な騎士団とやらは未だ戦場にすら立っていないだけだ」
「……」
「……」
直接的には傷つけてないけど、傀儡魔法が解けて勢いよく倒れている人も居たし、怪我をしていないか心配である。
という訳で、怪我をしている人を介抱しつつ、私は荒れてしまった冒険者組合の建物も修理するのだった。
「シーラ様。この度は大変申し訳ございませんでした」
「いえいえ! しょうがないですよ。あの魔王の事はどんな資料にも書いてなかったですし。それに、あの魔王は触れるだけで相手を操れますからね。対策は難しいです」
「……そうですか。それで、その魔王は」
「一応倒しました。しかし、魔王である以上、いずれ復活するでしょう。どのくらいで復活するのか、その時間まではちょっと分かりませんが」
「承知いたしました。では、かの魔王の姿や傀儡魔法を他の地区にも伝えます」
「お願いします」
「そして、おそらくは最も重要な案件になると思うのですが」
「ん?」
先ほどまでとは雰囲気が完全に変わり、重々しい空気になるとジャックさんは一つ一つ言葉を選んでいる様な雰囲気で、口を開いた。
「魔王なる存在がシーラ様を狙っていると分かった以上、我々としてはシーラ様の護衛を増やし、どの様な事態が起きても対処が出来る様にと」
「本当にそれが可能であると、貴方は考えているのですか?」
ピリッと空気が弾けて、ジャックさんとオリヴァー君が危険な雰囲気になる。
今にも戦いが始まりそうな空気だ。
なんで? なんで、ここでバトルが始まるの!?
「シーラ様は王都に戻るべき。そうでしょう?」
「それは!」
「王都の騎士団は優秀だ。個としても優秀な人間たちが、群として存在している。他の魔王がどの様な魔法、手段を用いてシーラ様を狙うか分からない以上、その護衛はより優秀な方が良い。というのは当たり前の事だと思いますが?」
「し、しかし。ムイゼンも魔物と長く戦い続けてきた者たちばかりだ。どの様な者が相手でも負けはしない」
「負けたでしょう。しかもシーラ様の足を引っ張り、危うく魔王の手の内に落ちるところだった」
「同じことが騎士団で起きないという保証がどこにある。我々の所では実際に起こった。が、その優秀な騎士団とやらは未だ戦場にすら立っていないだけだ」
「……」
「……」
13
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる