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第15話『私のママ』(ジュリア視点)③
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夜になり、嫌な夢を見てしまった私は、何となく孤児院の屋根に上って、星空を眺めていた。
星空を見ていると、あの時の事を思い出す。
シーラ様と出会った時の事を。
目を閉じればいつでも思い出す事が出来るけれど、こうしてあの時と同じ様に寝ころびながら星空を見ていると特別鮮明に思い出すことが出来た。
母親だった人の金切り声と、父親だった人のうめき声。そして、私を買おうとした人の苦しむ声。
そして……私を汚そうとした人を打ち抜いたシーラ様を。
「誰かと思ったら、ジュリアちゃんですか。いけない子ですね。こんな夜遅くに屋根の上で遊んでいるなんて」
「シーラ様?」
「はい。見た目は子供、頭脳は大人! して、その実態は……! ただのエルフ! シーラですよ」
「クスクス。面白い冗談だね」
「えぇ!? 冗談を言った覚えは無いのですが!? もしかして同じ子供だと思われてますか!? 私はこんな見た目ですが、ちゃんと立派な大人ですからね!?」
「うん。分かってるよー」
「そうですか? それなら良かったです」
シーラ様は安心した様に笑うと、私の横に寝ころんで、私と同じ様に空を見上げた。
私もシーラ様の声が聞こえてから起こしていた上半身を再び横にする。
しかし、空を見るつもりにはなれなくて、横に居るシーラ様を見てしまうのだった。
「……」
「シーラ様は、私と初めて会った時の事、覚えてる?」
「えぇ。当然じゃないですか」
「そう、なんだ」
「忘れませんよ。ジュリアちゃんが私の子供になった大事な日ですからね」
「そっか」
「だから、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。ジュリアちゃん。私はジュリアちゃんの名前を忘れたりはしませんし。ジュリアちゃんの事を捨てたりもしません」
「……」
「だから、たまにはさっきみたいに、仮面を被ってないジュリアちゃんとお話したいですね」
「えっ、あっ、私……! あ、ちが。そのジュリアは、ジュリアだから、そのね?」
「大丈夫。怖がらなくても、私はジュリアちゃんに酷いことはしません。無理して子供らしくあろうとしなくても、いつまでだって、ジュリアちゃんは私の可愛い子供ですよ」
あぁ、駄目だ。
あの時と同じだ。
笑って、手を握って、優しい言葉をくれて、私が私らしくいれば良いと言ってくれる。
本当にシーラ様の子供として生まれる事が出来たのなら、どれだけ幸せだっただろうか。
なんて、意味のない考えを私は振り払って、シーラ様の子供として、シーラ様に抱き着いて甘えるのだった。
星空を見ていると、あの時の事を思い出す。
シーラ様と出会った時の事を。
目を閉じればいつでも思い出す事が出来るけれど、こうしてあの時と同じ様に寝ころびながら星空を見ていると特別鮮明に思い出すことが出来た。
母親だった人の金切り声と、父親だった人のうめき声。そして、私を買おうとした人の苦しむ声。
そして……私を汚そうとした人を打ち抜いたシーラ様を。
「誰かと思ったら、ジュリアちゃんですか。いけない子ですね。こんな夜遅くに屋根の上で遊んでいるなんて」
「シーラ様?」
「はい。見た目は子供、頭脳は大人! して、その実態は……! ただのエルフ! シーラですよ」
「クスクス。面白い冗談だね」
「えぇ!? 冗談を言った覚えは無いのですが!? もしかして同じ子供だと思われてますか!? 私はこんな見た目ですが、ちゃんと立派な大人ですからね!?」
「うん。分かってるよー」
「そうですか? それなら良かったです」
シーラ様は安心した様に笑うと、私の横に寝ころんで、私と同じ様に空を見上げた。
私もシーラ様の声が聞こえてから起こしていた上半身を再び横にする。
しかし、空を見るつもりにはなれなくて、横に居るシーラ様を見てしまうのだった。
「……」
「シーラ様は、私と初めて会った時の事、覚えてる?」
「えぇ。当然じゃないですか」
「そう、なんだ」
「忘れませんよ。ジュリアちゃんが私の子供になった大事な日ですからね」
「そっか」
「だから、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。ジュリアちゃん。私はジュリアちゃんの名前を忘れたりはしませんし。ジュリアちゃんの事を捨てたりもしません」
「……」
「だから、たまにはさっきみたいに、仮面を被ってないジュリアちゃんとお話したいですね」
「えっ、あっ、私……! あ、ちが。そのジュリアは、ジュリアだから、そのね?」
「大丈夫。怖がらなくても、私はジュリアちゃんに酷いことはしません。無理して子供らしくあろうとしなくても、いつまでだって、ジュリアちゃんは私の可愛い子供ですよ」
あぁ、駄目だ。
あの時と同じだ。
笑って、手を握って、優しい言葉をくれて、私が私らしくいれば良いと言ってくれる。
本当にシーラ様の子供として生まれる事が出来たのなら、どれだけ幸せだっただろうか。
なんて、意味のない考えを私は振り払って、シーラ様の子供として、シーラ様に抱き着いて甘えるのだった。
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