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第14話『暗躍エルフの密猟日記』②
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ジュリアちゃんは、エミリーちゃんと同じくらいの年齢だが、身長が高く、おっとりとしていながらも力は強い。
故に。
私がどれだけ暴れようと、ジュリアちゃんの腕から脱出する事は不可能である。
という訳で、私は今日も抵抗する事をあきらめて、ジュリアちゃんに抱きかかえられたまま、森の中を警戒していた。
何がどこから飛び出してくるかも分からないし、魔力測定装置を付けて、左目は普通の景色を、右目は魔力測定装置の情報を拾いながら、魔物を探し、警戒するのだ。
「シーラ様。スカウターから何か見えますかぁー?」
「魔力測定装置ですよ。魔力測定装置。そっちの名前は怖いから言っては駄目です。名前を呼んではいけない装置という奴です」
「そうなんですかぁー? でもぉー。もうみんなスカウターって呼んでますよぉ?」
「なんて、ことだ! あぁ、神様。どうかお許しください。いざ名前が消せなかった時は先生が発案者である事を世界中に広めさせていただきます!」
「あはは~。シーラ様おもしろーい」
「笑っている場合じゃないですよ。ジュリアちゃん。これは世界が崩壊する可能性のある危機なんです!」
「そうなんですかぁ? じゃあ、ジュリアはこのままシーラ様と一緒に居ようかなぁ。それなら世界が無くなっても怖くないから」
「いや、守りましょう! 世界崩壊の危機をそのまま放置は良くないですよ!」
「そうですねぇ。ぎゅー」
私はジュリアさんにぬいぐるみの様に抱きしめられ、息が出来なくなり、このままでは殺されると、転移で腕の中から逃げるのだった。
危ない危ない。
こちとら見た目は幼女エルフなのだ。力加減には気を付けてもらいたい。
「あー。逃げたぁ」
「当然です。私だって生きていますからね。呼吸を塞がれては生きていけません」
「ぶー」
「そんな顔をしても駄目ですよ。さ。先を急ぎましょうか」
私はジュリアちゃんに目配せをしてから、森の中を進み、それほどしないで獲物を見つけるのだった。
中型の犬のような魔物だ。
いや、どちらかと言えば狼だろうか?
まぁ、どっちでもいいか。結局は食べるだけだし。
「ジュリアちゃん。見つけました」
「……うん。でも魔物しか居ないよぉ?」
「ん?」
私はジュリアちゃんの言い方に引っ掛かるものを感じて索敵範囲をちょいと広げた。
「……見つけました」
「どこですかぁ?」
「狼の目の前ですね。襲われていて、逃げるのは難しいようです」
故に。
私がどれだけ暴れようと、ジュリアちゃんの腕から脱出する事は不可能である。
という訳で、私は今日も抵抗する事をあきらめて、ジュリアちゃんに抱きかかえられたまま、森の中を警戒していた。
何がどこから飛び出してくるかも分からないし、魔力測定装置を付けて、左目は普通の景色を、右目は魔力測定装置の情報を拾いながら、魔物を探し、警戒するのだ。
「シーラ様。スカウターから何か見えますかぁー?」
「魔力測定装置ですよ。魔力測定装置。そっちの名前は怖いから言っては駄目です。名前を呼んではいけない装置という奴です」
「そうなんですかぁー? でもぉー。もうみんなスカウターって呼んでますよぉ?」
「なんて、ことだ! あぁ、神様。どうかお許しください。いざ名前が消せなかった時は先生が発案者である事を世界中に広めさせていただきます!」
「あはは~。シーラ様おもしろーい」
「笑っている場合じゃないですよ。ジュリアちゃん。これは世界が崩壊する可能性のある危機なんです!」
「そうなんですかぁ? じゃあ、ジュリアはこのままシーラ様と一緒に居ようかなぁ。それなら世界が無くなっても怖くないから」
「いや、守りましょう! 世界崩壊の危機をそのまま放置は良くないですよ!」
「そうですねぇ。ぎゅー」
私はジュリアさんにぬいぐるみの様に抱きしめられ、息が出来なくなり、このままでは殺されると、転移で腕の中から逃げるのだった。
危ない危ない。
こちとら見た目は幼女エルフなのだ。力加減には気を付けてもらいたい。
「あー。逃げたぁ」
「当然です。私だって生きていますからね。呼吸を塞がれては生きていけません」
「ぶー」
「そんな顔をしても駄目ですよ。さ。先を急ぎましょうか」
私はジュリアちゃんに目配せをしてから、森の中を進み、それほどしないで獲物を見つけるのだった。
中型の犬のような魔物だ。
いや、どちらかと言えば狼だろうか?
まぁ、どっちでもいいか。結局は食べるだけだし。
「ジュリアちゃん。見つけました」
「……うん。でも魔物しか居ないよぉ?」
「ん?」
私はジュリアちゃんの言い方に引っ掛かるものを感じて索敵範囲をちょいと広げた。
「……見つけました」
「どこですかぁ?」
「狼の目の前ですね。襲われていて、逃げるのは難しいようです」
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