33 / 246
第10話『あぁ、シーラ様』(エミリー視点)③
しおりを挟む
落ち着かれたシーラ様のお着替えを手伝って、私はシーラ様の後ろについて歩きながら、周囲を警戒していた。
何に警戒しているかと問われれば、無論シーラ様に不埒な事を考えている連中だと返そう。
そう。シーラ様は見た目の美しさもそうだが、何よりも無防備なのが問題なのだ。
ご自身が周囲にどの様に思われているのか分かっていない!!
これは由々しき問題である。
シーラ様の純粋さを悪用し、シーラ様を自分のものにしようと考える人間はいつどこに現れるか分からないのだ。
だからこそ、私はシーラ様を守るために、こうして日夜目を光らせているという訳である。
「あ、オリヴァー君! おはようございます」
「っ! あぁ、おはよう。シーラ。今日も元気そうだな」
「えぇ。元気だけが私の取柄ですからね。社畜をしていた時も、元気だけで何とか毎日こなしていた様なものです」
「えと、しゃち?」
「あぁ、えっと。働いていた時の事ですね。会社……あー。いや、とある国に所属しておりまして、その国で昼も夜も王様の命令で休む暇もなく働いていたのです。まぁ、炎上案件がよくある現場でしたからね。あぁ、懐かしき十秒チャージ」
「ほぅ」
「へぇ」
瞬間、周囲の温度が下がったような気がした。
私は湧き上がる怒りを何とか抑えながら笑顔でシーラ様に問おうとした。
しかし、それよりも早くオリヴァーがシーラ様に質問を投げる。
「シーラ。良ければその国の名前を教えてくれないか?」
「え? いや」
「シーラ様。大丈夫です。シーラ様に害をなす様な国であれば、滅ぼす方が世のため。そうでしょう? オリヴァー」
「あぁ。そうだな。大丈夫だ。シーラは何も心配しなくていい」
「いや! お二人ともなんの話をしているんですか!?」
「オリヴァー。後はお願いします。私はシーラ様を」
「分かった」
私はバタバタと暴れるシーラ様を抱きかかえ、部屋に向かって走り出した。
メイド隊に配られた通信機でレッドアラートと呼びかける事も忘れない。
意味は当然、シーラ様の危機だ。
この事が原因となり、城は上から下まで大騒ぎする事となった。
しかし、全ては私とオリヴァーの勘違いだという事が分かり、私とオリヴァーはお説教されてしまうのだった。
追伸。小さな体で怒っていますよとアピールしているシーラ様は大変可愛らしかった。
今日も良い夢が見れそうであった。
何に警戒しているかと問われれば、無論シーラ様に不埒な事を考えている連中だと返そう。
そう。シーラ様は見た目の美しさもそうだが、何よりも無防備なのが問題なのだ。
ご自身が周囲にどの様に思われているのか分かっていない!!
これは由々しき問題である。
シーラ様の純粋さを悪用し、シーラ様を自分のものにしようと考える人間はいつどこに現れるか分からないのだ。
だからこそ、私はシーラ様を守るために、こうして日夜目を光らせているという訳である。
「あ、オリヴァー君! おはようございます」
「っ! あぁ、おはよう。シーラ。今日も元気そうだな」
「えぇ。元気だけが私の取柄ですからね。社畜をしていた時も、元気だけで何とか毎日こなしていた様なものです」
「えと、しゃち?」
「あぁ、えっと。働いていた時の事ですね。会社……あー。いや、とある国に所属しておりまして、その国で昼も夜も王様の命令で休む暇もなく働いていたのです。まぁ、炎上案件がよくある現場でしたからね。あぁ、懐かしき十秒チャージ」
「ほぅ」
「へぇ」
瞬間、周囲の温度が下がったような気がした。
私は湧き上がる怒りを何とか抑えながら笑顔でシーラ様に問おうとした。
しかし、それよりも早くオリヴァーがシーラ様に質問を投げる。
「シーラ。良ければその国の名前を教えてくれないか?」
「え? いや」
「シーラ様。大丈夫です。シーラ様に害をなす様な国であれば、滅ぼす方が世のため。そうでしょう? オリヴァー」
「あぁ。そうだな。大丈夫だ。シーラは何も心配しなくていい」
「いや! お二人ともなんの話をしているんですか!?」
「オリヴァー。後はお願いします。私はシーラ様を」
「分かった」
私はバタバタと暴れるシーラ様を抱きかかえ、部屋に向かって走り出した。
メイド隊に配られた通信機でレッドアラートと呼びかける事も忘れない。
意味は当然、シーラ様の危機だ。
この事が原因となり、城は上から下まで大騒ぎする事となった。
しかし、全ては私とオリヴァーの勘違いだという事が分かり、私とオリヴァーはお説教されてしまうのだった。
追伸。小さな体で怒っていますよとアピールしているシーラ様は大変可愛らしかった。
今日も良い夢が見れそうであった。
16
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる