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第10話『あぁ、シーラ様』(エミリー視点)③
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落ち着かれたシーラ様のお着替えを手伝って、私はシーラ様の後ろについて歩きながら、周囲を警戒していた。
何に警戒しているかと問われれば、無論シーラ様に不埒な事を考えている連中だと返そう。
そう。シーラ様は見た目の美しさもそうだが、何よりも無防備なのが問題なのだ。
ご自身が周囲にどの様に思われているのか分かっていない!!
これは由々しき問題である。
シーラ様の純粋さを悪用し、シーラ様を自分のものにしようと考える人間はいつどこに現れるか分からないのだ。
だからこそ、私はシーラ様を守るために、こうして日夜目を光らせているという訳である。
「あ、オリヴァー君! おはようございます」
「っ! あぁ、おはよう。シーラ。今日も元気そうだな」
「えぇ。元気だけが私の取柄ですからね。社畜をしていた時も、元気だけで何とか毎日こなしていた様なものです」
「えと、しゃち?」
「あぁ、えっと。働いていた時の事ですね。会社……あー。いや、とある国に所属しておりまして、その国で昼も夜も王様の命令で休む暇もなく働いていたのです。まぁ、炎上案件がよくある現場でしたからね。あぁ、懐かしき十秒チャージ」
「ほぅ」
「へぇ」
瞬間、周囲の温度が下がったような気がした。
私は湧き上がる怒りを何とか抑えながら笑顔でシーラ様に問おうとした。
しかし、それよりも早くオリヴァーがシーラ様に質問を投げる。
「シーラ。良ければその国の名前を教えてくれないか?」
「え? いや」
「シーラ様。大丈夫です。シーラ様に害をなす様な国であれば、滅ぼす方が世のため。そうでしょう? オリヴァー」
「あぁ。そうだな。大丈夫だ。シーラは何も心配しなくていい」
「いや! お二人ともなんの話をしているんですか!?」
「オリヴァー。後はお願いします。私はシーラ様を」
「分かった」
私はバタバタと暴れるシーラ様を抱きかかえ、部屋に向かって走り出した。
メイド隊に配られた通信機でレッドアラートと呼びかける事も忘れない。
意味は当然、シーラ様の危機だ。
この事が原因となり、城は上から下まで大騒ぎする事となった。
しかし、全ては私とオリヴァーの勘違いだという事が分かり、私とオリヴァーはお説教されてしまうのだった。
追伸。小さな体で怒っていますよとアピールしているシーラ様は大変可愛らしかった。
今日も良い夢が見れそうであった。
何に警戒しているかと問われれば、無論シーラ様に不埒な事を考えている連中だと返そう。
そう。シーラ様は見た目の美しさもそうだが、何よりも無防備なのが問題なのだ。
ご自身が周囲にどの様に思われているのか分かっていない!!
これは由々しき問題である。
シーラ様の純粋さを悪用し、シーラ様を自分のものにしようと考える人間はいつどこに現れるか分からないのだ。
だからこそ、私はシーラ様を守るために、こうして日夜目を光らせているという訳である。
「あ、オリヴァー君! おはようございます」
「っ! あぁ、おはよう。シーラ。今日も元気そうだな」
「えぇ。元気だけが私の取柄ですからね。社畜をしていた時も、元気だけで何とか毎日こなしていた様なものです」
「えと、しゃち?」
「あぁ、えっと。働いていた時の事ですね。会社……あー。いや、とある国に所属しておりまして、その国で昼も夜も王様の命令で休む暇もなく働いていたのです。まぁ、炎上案件がよくある現場でしたからね。あぁ、懐かしき十秒チャージ」
「ほぅ」
「へぇ」
瞬間、周囲の温度が下がったような気がした。
私は湧き上がる怒りを何とか抑えながら笑顔でシーラ様に問おうとした。
しかし、それよりも早くオリヴァーがシーラ様に質問を投げる。
「シーラ。良ければその国の名前を教えてくれないか?」
「え? いや」
「シーラ様。大丈夫です。シーラ様に害をなす様な国であれば、滅ぼす方が世のため。そうでしょう? オリヴァー」
「あぁ。そうだな。大丈夫だ。シーラは何も心配しなくていい」
「いや! お二人ともなんの話をしているんですか!?」
「オリヴァー。後はお願いします。私はシーラ様を」
「分かった」
私はバタバタと暴れるシーラ様を抱きかかえ、部屋に向かって走り出した。
メイド隊に配られた通信機でレッドアラートと呼びかける事も忘れない。
意味は当然、シーラ様の危機だ。
この事が原因となり、城は上から下まで大騒ぎする事となった。
しかし、全ては私とオリヴァーの勘違いだという事が分かり、私とオリヴァーはお説教されてしまうのだった。
追伸。小さな体で怒っていますよとアピールしているシーラ様は大変可愛らしかった。
今日も良い夢が見れそうであった。
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