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第5話『君に出会えた奇跡』(オリヴァー視点)②

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「そんな事!」

「ありますよ。何故なら貴方は既にシーラ様に選ばれているのですから」

「……」

「オリヴァー。エルフと人間は違います。生きる時間も、その存在理由もね。だから」

「同じ様に考えるなって言うんだろ。でも! でも、それじゃシーラはいつまで経っても独りぼっちだ」

俺の言葉に、団長も副団長も困った様に視線をぶつけ合って苦笑いをする。

それがまた子供扱いをされている様で嫌だった。

「んな心配はする必要ねぇと思うぜ。俺は」

「はぁ!?」

「そうですね。恋は盲目というか。自分の事ほどよく見えないというか」

「俺は! 別にシーラの事を好きとかそういうんじゃなくて!」

「はいはい。分かってる分かってる」

「何も分かってない!」

「よぉく分かってるよ。ガキの気持ちなんてのはな。俺だって昔はガキだったんだ。だからお前が本心からそう言って無いって事くらいは分かる」

「……」

「だが、まぁ。例えそれがお前の強がりなんだとしてもだ。シーラ様の前では言ってやるなよ。少なくとも、お前がシーラ様を『普通の女の子』として接してやれるだけでシーラ様は孤独じゃ無くなるからよ」

「……意味が分からない」

「わっはっは! この意味が分からない様じゃあ、お前はまだまだガキって事だ! いくら酒が飲めてもな」

バカにされ、頭をやや乱暴に叩かれる。

それが腹立たしくて俺はそのデカい手をどけて再びグラスに手を付けるのだった。

「……話は変わるがな。オリヴァー。お前から見て、シーラ様はどうなんだ?」

「どうもこうも、アンタも言っただろ。普通の女の子だよ」

「そうか」

「団長。どう見ます?」

「それこそ、どうもこうもだ。誰よりもシーラ様の近くにいるオリヴァーがそう言ってるんだ。真実、普通の女の子なんだろ? 今の所はな」

俺は団長の物言いに、シーラを馬鹿にした様な気配を感じて顔をしかめた。

しかし、そんな俺の感情変化に反応した団長はやれやれとでも言うように両手を上げて、曖昧に笑う。

「んー。なぁ、オリヴァー。お前、エルフの事はどれだけ知ってる?」

「シーラは「違う」え?」

「シーラ様の事じゃない。エルフという存在をどれだけ知っているか聞いているんだ」
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