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第20話『……天斬り』(第三者視点) 4/5
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「バカ、な」
「くっ、ここまでか!」
アダラードは天霧宗謙の敗北を察すると、すぐさま転移を使い、ドラゴンの上にとんで、そのまま天霧宗謙を連れて何処かへ消えた。
残されたドラゴンも、緩やかな風と共に塵となって消えてゆく。
まるで初めから存在していなかったかの様に。
ミラはそれを確認して、雪の上に赤い痕を残しながら倒れる瞬の元へ走り、その体を癒すのだった。
アダラードと天霧宗謙の野望は潰え、ヴェルクモント王国は今回の事件の功労者である天霧瞬とオーロを王城へと招いて、盛大なパーティーを開いていた。
しかし、パーティーだというのに、服を着替えもせずそのまま来たオーロと瞬に、会場の貴族はどう接したら良いか分からず、パーティーの食事を食べる二人を遠巻きに眺めているのだった。
「もう! 二人とも! 少しは周りを気遣う事も覚えて下さい」
「ん?」
「あぁ、ミラか」
「あぁ、ミラか。ではありません。なんですか。その恰好は! オーロさんもシュンさんも武器持ち込んでますし。服も旅で汚れてますし。お洋服は用意したでしょう?」
「あぁ、あれか」
「悪いな。着る気が無かった」
「もう! まったくもう!」
プンプンと怒るミラに二人は肉を食べながら、その肉を酒で流し込んで笑う。
正直な所、マナーは最悪の中の最悪であり、周囲は敬愛するミラ様が野蛮な者たちに何かされないかと心配し、オロオロとしているのであった。
そしてそんな貴族たちの願いを叶える様に、一人の男が三人の所へ来た。
そう。ヴェルクモント王国王太子セオドラーである。
「ハハハ。そう怒るな。ミラ。彼らは事件の功労者だ。格好くらい好きにさせてやれ」
「そうは言いますが殿下!」
「ほら。そんなに怒ってばかりいると、可愛いドレスが悲しんでしまうぞ。折角そんなに似合っているというのに」
「っ! そ、それは、その、ありがとうございます」
「うむ」
セオドラーは頬を赤らめて動揺するミラを見て満足げに笑うと、瞬とオーロに向き直り、友人と語らう様に話しかけた。
「オーロ殿。シュン殿。此度の件、非常に感謝している」
「気にするな」
「まぁ、偶然利害が一致しただけだ」
「くっ、ここまでか!」
アダラードは天霧宗謙の敗北を察すると、すぐさま転移を使い、ドラゴンの上にとんで、そのまま天霧宗謙を連れて何処かへ消えた。
残されたドラゴンも、緩やかな風と共に塵となって消えてゆく。
まるで初めから存在していなかったかの様に。
ミラはそれを確認して、雪の上に赤い痕を残しながら倒れる瞬の元へ走り、その体を癒すのだった。
アダラードと天霧宗謙の野望は潰え、ヴェルクモント王国は今回の事件の功労者である天霧瞬とオーロを王城へと招いて、盛大なパーティーを開いていた。
しかし、パーティーだというのに、服を着替えもせずそのまま来たオーロと瞬に、会場の貴族はどう接したら良いか分からず、パーティーの食事を食べる二人を遠巻きに眺めているのだった。
「もう! 二人とも! 少しは周りを気遣う事も覚えて下さい」
「ん?」
「あぁ、ミラか」
「あぁ、ミラか。ではありません。なんですか。その恰好は! オーロさんもシュンさんも武器持ち込んでますし。服も旅で汚れてますし。お洋服は用意したでしょう?」
「あぁ、あれか」
「悪いな。着る気が無かった」
「もう! まったくもう!」
プンプンと怒るミラに二人は肉を食べながら、その肉を酒で流し込んで笑う。
正直な所、マナーは最悪の中の最悪であり、周囲は敬愛するミラ様が野蛮な者たちに何かされないかと心配し、オロオロとしているのであった。
そしてそんな貴族たちの願いを叶える様に、一人の男が三人の所へ来た。
そう。ヴェルクモント王国王太子セオドラーである。
「ハハハ。そう怒るな。ミラ。彼らは事件の功労者だ。格好くらい好きにさせてやれ」
「そうは言いますが殿下!」
「ほら。そんなに怒ってばかりいると、可愛いドレスが悲しんでしまうぞ。折角そんなに似合っているというのに」
「っ! そ、それは、その、ありがとうございます」
「うむ」
セオドラーは頬を赤らめて動揺するミラを見て満足げに笑うと、瞬とオーロに向き直り、友人と語らう様に話しかけた。
「オーロ殿。シュン殿。此度の件、非常に感謝している」
「気にするな」
「まぁ、偶然利害が一致しただけだ」
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