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第12話『ジャイアントベアーという種はそこまで珍しい種では無いんですよ』 3/3
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「つまりですね。ジャイアントベアーの情報というのは、世界中から集まるという訳です。その中で最も特筆すべき点は、やはりジャイアントベアーは人間と友好関係を結ぶ事が出来ないという点です」
「ほぅ」
「つまり、今こうしている事は非常に珍しい……いや、世界で初めての光景という訳か?」
「いえ。そういう訳ではありません。有名な人で言いますと、光の聖女アメリア様、伝説の聖女セシル様などはジャイアントベアーが親しく接する事もあったという話ですし。決して例がない訳ではありません。ですが、その全ては『聖女様』という特別な存在だからという点があります」
「なら特別今回が珍しいわけでも無いのか」
「えぇ!!? いやいや、珍しい事ですよ。過去の人たちは皆、素晴らしい聖女様ばかりだったんですよ!? それなのに、私の様な普通の人間に懐いている。これは大変珍しい事です」
「いや、お前も聖女だろう。ミラ」
「え? いや、それは確かにそういう話もありましたが、反対している人も居ますし」
「そんなのは人の事情だろうが。クマには関係ねぇ。つまり、お前も特別な聖女と一緒って事だ。ミラ」
「……そう、なんでしょうか」
「俺にはそう見えるがな」
「あぁ。そうだな」
私はオーロさんとシュンさんの話に、なるほどと頷きながら、少し考える。
ジャイアントベアーに限らず、多くの魔物が聖女には敵意を見せず、共にあろうとしたという伝説を思い出し、なら私も同じ事が出来るだろうかと夢想した。
「そういう事なら、今度、ドラゴンの群れの中に飛び込んでみましょうか!」
「ワクワクした顔で何を言ってるんだ。このバカ娘は」
「少しは学習しろ」
「え!? でも、聖女エリカ様という方はドラゴンとも会話したという伝説があぁぁぁあああ!! 助けて下さいー!」
「クマ二匹も止められん小娘が、よりもよってドラゴンの群れとは。なぁシュン。どうすればこのアホ娘に学習をさせる事が出来るだろうか」
「ヤマトでは、実際に飛び込ませて学ばせるという方法があるが、流石にな」
「確かにそれは流石にマズイな」
「二人でっ! お話を! してないで!! たすけて、ください!」
私はジャイアントベアー二匹のベロベロ攻撃から逃れようと手を伸ばしたが、やはり何も掴む事は出来ず、そのまま全身を舐めまわされてしまうのだった。
伝説に語られている聖女セシル様の休息を描いた絵では、地面に寝ころぶジャイアントベアーの頭を優しく撫でて微笑む。聖女様の理想とも言うべき姿だったというのに、私はどうして! こんなに!
「あぁ、聖女セシル様! お助けください!」
「流石にここからヤマトには聞こえないと思うぞ」
「あぁぁぁあああ!! たしゅ、け……ガクッ」
そして私はジャイアントベアーから逃れる事が出来ず、倒れてしまうのだった。
「ほぅ」
「つまり、今こうしている事は非常に珍しい……いや、世界で初めての光景という訳か?」
「いえ。そういう訳ではありません。有名な人で言いますと、光の聖女アメリア様、伝説の聖女セシル様などはジャイアントベアーが親しく接する事もあったという話ですし。決して例がない訳ではありません。ですが、その全ては『聖女様』という特別な存在だからという点があります」
「なら特別今回が珍しいわけでも無いのか」
「えぇ!!? いやいや、珍しい事ですよ。過去の人たちは皆、素晴らしい聖女様ばかりだったんですよ!? それなのに、私の様な普通の人間に懐いている。これは大変珍しい事です」
「いや、お前も聖女だろう。ミラ」
「え? いや、それは確かにそういう話もありましたが、反対している人も居ますし」
「そんなのは人の事情だろうが。クマには関係ねぇ。つまり、お前も特別な聖女と一緒って事だ。ミラ」
「……そう、なんでしょうか」
「俺にはそう見えるがな」
「あぁ。そうだな」
私はオーロさんとシュンさんの話に、なるほどと頷きながら、少し考える。
ジャイアントベアーに限らず、多くの魔物が聖女には敵意を見せず、共にあろうとしたという伝説を思い出し、なら私も同じ事が出来るだろうかと夢想した。
「そういう事なら、今度、ドラゴンの群れの中に飛び込んでみましょうか!」
「ワクワクした顔で何を言ってるんだ。このバカ娘は」
「少しは学習しろ」
「え!? でも、聖女エリカ様という方はドラゴンとも会話したという伝説があぁぁぁあああ!! 助けて下さいー!」
「クマ二匹も止められん小娘が、よりもよってドラゴンの群れとは。なぁシュン。どうすればこのアホ娘に学習をさせる事が出来るだろうか」
「ヤマトでは、実際に飛び込ませて学ばせるという方法があるが、流石にな」
「確かにそれは流石にマズイな」
「二人でっ! お話を! してないで!! たすけて、ください!」
私はジャイアントベアー二匹のベロベロ攻撃から逃れようと手を伸ばしたが、やはり何も掴む事は出来ず、そのまま全身を舐めまわされてしまうのだった。
伝説に語られている聖女セシル様の休息を描いた絵では、地面に寝ころぶジャイアントベアーの頭を優しく撫でて微笑む。聖女様の理想とも言うべき姿だったというのに、私はどうして! こんなに!
「あぁ、聖女セシル様! お助けください!」
「流石にここからヤマトには聞こえないと思うぞ」
「あぁぁぁあああ!! たしゅ、け……ガクッ」
そして私はジャイアントベアーから逃れる事が出来ず、倒れてしまうのだった。
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