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第12話『ジャイアントベアーという種はそこまで珍しい種では無いんですよ』 2/3

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しかし、しかしだ。

当然と言うべきか、オーロさんやシュンさんという暴力装置を前にジャイアントベアーがどうにかする事など出来ず、二匹は命を奪われる事こそ無かったが、叩きのめされ、地面に転がる事になったのである。

その時の小さなジャイアントベアーの悲痛な声があまりにも可哀想で、私は二人に許可を貰って、二匹のジャイアントベアーを光の魔術で癒す事にするのだった。

そして、始まりの地点に戻る。

「あぅあぅあぅあー。たしゅけてっ、ください!」

「なるほどな。もしかしたら最初のクマも、ただミラに懐いてただけかもしれんな」

「確かに」

「冷静に、考察、してないでっ! たす、たすけて!」

私は顔や体をベロベロと舐められながら必死に二人へ手を伸ばし、救出を願った。

それから少しして、私は何とか無事脱出する事が出来たのである。

「そもそもですね。ジャイアントベアーという種はそこまで珍しい種では無いんですよ」

「まぁ、そうだな」

「ヤマトでも見かけるくらいだ」

「え!? ヤマトにも居るんですか!? それは興味深いですね! 見た目は? 生態は? どの様に違うのですか!?」

「味が少し違うな」

「いや、食べた時の感想では無くてですね」

「あぁ、すまん。食料としてしか見たことが無いんだ」

シュンさんのそんな言葉に、ジャイアントベアーたちはビクビクと怯えている。

可哀想に。

私は慰める意味で両側に居る二匹のジャイアントベアーを撫でた。

そして。

「あぅあぅあぅあー。たしゅ、たしゅけ」

「なぁオーロ。たまに思うんだが、実はミラはそれほど頭が良くないのか?」

「いや勉強は出来るから、頭は良いのだろう。だが、勉強が出来るのと頭が良いのは違うという事だな」

「ふむ。学びがあるな」

「お話、してないっ、で! たすけ!」

私は何とか無事自分を取り返し、解説に戻った。

「そもそもですね。ジャイアントベアーという種はそこまで珍しい種では無いんですよ」

「あぁ。そうだな。ちなみにヤマトにも居るぞ」

「ワハハ。何の偶然かな。俺も知ってたぜ。その話」

「……」

「分かった。すまなかった。俺が悪かった」

「おいおい。機嫌を直せって、な。ミラ」

私は二人の茶々に頬を膨らませながら、抗議するが、二人はすぐに謝ってくれた。

という訳で気を取り直して、再び人差し指を立てながら話を進める。
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