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第11話 『光の精霊さん。力を貸してください』 2/3
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そして、私たちは森の中を走り抜けて、完全に追手を撒いたであろう場所で立ち止まり、夜の準備を始める。
「もうお馴染みとなりましたがー。火を起こすなら、レッドリザードさんが最高です! 今日こそ私が捕まえますよ!」
「おーおー。そうしろ」
「応援してるぞー」
「はい! ご期待ください!」
私は地面にしゃがみながら木の枝を拾い、そっと葉っぱをどかしながら歩く。
レッドリザードと言えば、葉っぱの影に隠れて生きている魔物であり、小さくて私の手のひらくらいのサイズしかない。
しかし、その性質はとても素晴らしく、冒険者になるからには知っておかなくてはいけない魔物ナンバーワンなのだ。
何故ならレッドリザードは、火を噴き出す性質があるからだ。
と、それだけ言うと森や山が火事になる原因がレッドリザードの様に思えてしまうが、実はそうではない。
何よりも素晴らしいのは、レッドリザードは燃やそうと思ったものしか燃やさないという、不思議な炎を噴き出すのだ。
これは長い間研究者が研究を重ねていても、コレという答えが出ず、仮説ばかりが増えていく謎の多い魔物なのである。
まぁ、私としてはリウル博士の魔法使いの眷属説を信じたい所ではあるのだけれど、この意見は異端だという事で、消されてしまった悲しい説だ。
「あっ! 見つけました!」
葉っぱを動かしていると、何かが動く様な気配があり、私は急いでその後を追う。
そして、サササと地面の上を滑る様に走るレッドリザードを手で、むんぎゅっと捕まえるのだった。
思っていたよりも早かったが、動こうとしている先に手を伸ばせば結構簡単に捕まえられる。
私の方が頭が良かったという事である。
さて、ここで気を付けたいのはレッドリザードの持ち方だ。
先ほども言った通り、レッドリザードは火を噴き出す性質があり、燃やそうと思った物は燃やす事が出来る。
なら、自分を捕まえている人間などはどうだろうか? 当然燃やす対象である。
その為、お腹や尻尾を持つのは非常に危険だ。
何故ならレッドリザードに限らずリザードというのは、自分で自分の尻尾を切る事が出来るし、器用に体を捻らせてこっちに火を噴く事もあるからだ。
なので、持つときは必ず頭を優しく持つ必要がある。
そして、その状態で私はポケットに入れていた小さくちぎったクマの肉を、レッドリザードの口に運んだ。
「美味しいですよー」
上手く捕まえる事が出来たら次のステップである。
それは何かしらご飯を提供する事だ。
雑食なのか、意外と何でも食べるという話は聞いたことがあるが、毒とかそういうのは無理らしい。
なので、レッドリザードにあげるのは食べ物が良い。
それに、どうせならより美味しい物が良いとされている。
何故か。
「あ。食べましたよ。美味しいですか? お代わりもありますよ」
「きゅい!」
「喜んでます! 可愛いですね!」
「おう。たき火の準備が出来たぞ」
「ありがとうございます。ではレッドリザードさん。お願いします」
「きゅ!」
理由は簡単だ。
その方がレッドリザードが機嫌よく火を付けてくれるからだ。
「もうお馴染みとなりましたがー。火を起こすなら、レッドリザードさんが最高です! 今日こそ私が捕まえますよ!」
「おーおー。そうしろ」
「応援してるぞー」
「はい! ご期待ください!」
私は地面にしゃがみながら木の枝を拾い、そっと葉っぱをどかしながら歩く。
レッドリザードと言えば、葉っぱの影に隠れて生きている魔物であり、小さくて私の手のひらくらいのサイズしかない。
しかし、その性質はとても素晴らしく、冒険者になるからには知っておかなくてはいけない魔物ナンバーワンなのだ。
何故ならレッドリザードは、火を噴き出す性質があるからだ。
と、それだけ言うと森や山が火事になる原因がレッドリザードの様に思えてしまうが、実はそうではない。
何よりも素晴らしいのは、レッドリザードは燃やそうと思ったものしか燃やさないという、不思議な炎を噴き出すのだ。
これは長い間研究者が研究を重ねていても、コレという答えが出ず、仮説ばかりが増えていく謎の多い魔物なのである。
まぁ、私としてはリウル博士の魔法使いの眷属説を信じたい所ではあるのだけれど、この意見は異端だという事で、消されてしまった悲しい説だ。
「あっ! 見つけました!」
葉っぱを動かしていると、何かが動く様な気配があり、私は急いでその後を追う。
そして、サササと地面の上を滑る様に走るレッドリザードを手で、むんぎゅっと捕まえるのだった。
思っていたよりも早かったが、動こうとしている先に手を伸ばせば結構簡単に捕まえられる。
私の方が頭が良かったという事である。
さて、ここで気を付けたいのはレッドリザードの持ち方だ。
先ほども言った通り、レッドリザードは火を噴き出す性質があり、燃やそうと思った物は燃やす事が出来る。
なら、自分を捕まえている人間などはどうだろうか? 当然燃やす対象である。
その為、お腹や尻尾を持つのは非常に危険だ。
何故ならレッドリザードに限らずリザードというのは、自分で自分の尻尾を切る事が出来るし、器用に体を捻らせてこっちに火を噴く事もあるからだ。
なので、持つときは必ず頭を優しく持つ必要がある。
そして、その状態で私はポケットに入れていた小さくちぎったクマの肉を、レッドリザードの口に運んだ。
「美味しいですよー」
上手く捕まえる事が出来たら次のステップである。
それは何かしらご飯を提供する事だ。
雑食なのか、意外と何でも食べるという話は聞いたことがあるが、毒とかそういうのは無理らしい。
なので、レッドリザードにあげるのは食べ物が良い。
それに、どうせならより美味しい物が良いとされている。
何故か。
「あ。食べましたよ。美味しいですか? お代わりもありますよ」
「きゅい!」
「喜んでます! 可愛いですね!」
「おう。たき火の準備が出来たぞ」
「ありがとうございます。ではレッドリザードさん。お願いします」
「きゅ!」
理由は簡単だ。
その方がレッドリザードが機嫌よく火を付けてくれるからだ。
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