27 / 66
第8話『まぁ、この程度は大した敵じゃない』 2/3
しおりを挟む
リヴィアナ様の封印書庫は、王都の北部に位置する人が寄り付かない森の奥にある。
歩けば半日程度で王都から辿り着くため、ただ距離だけを考えるなら非常に行きやすい場所だ。
しかし、その道中には恐ろしい魔物や、危険な場所を多く通る為、あまり人は寄り付かない場所なのだ。
だから慎重に進まなくてはいけない……のだけれど。
「あっ、危なーい!! 沼地に潜む毒カエル、ジャイアントスワンプフロッグは、別名死への誘いとも呼ばれ……ているんですが、特に何も無かったですね」
「そうだな」
「まぁ、この程度は大した敵じゃない」
「そうですか」
冒険者組合で、危険度Bに登録されている魔物なんですがね。
その大きさは大人と同じくらいで、体は柔らかく衝撃を吸収する為、刃物も通りにくい。
更に、いつも沼の中に潜んでいる事から発見が難しく、魔術で仕留めようにも、強靭な脚力で飛び跳ねるジャイアントスワンプフロッグは狙うのが難しく、冒険者ランクB以上でないと討伐依頼を受けてはいけない魔物なんですけどね。
沼から飛び出して……次の瞬間には胴体が真っ二つにされてました。
何が起きたのだろう……。
シュンさんが何かしたのだろうと思うけど、それしか分からなかった。
が、私は完全に油断していた所を襲い来る、次なる敵に気づいていた。
そして注意を促すべく、近くにいたオーロさんに声を掛ける!
「危ない!! 今、草むらの低い場所が動きました! しかし、姿はない。この様な動きをするのは危険度Aランクのクリアサーペントに違いありません!! この森に分布している種の中で、その様な特徴と体長の生物は他に居ませんから! 気を付けてください! クリアサーペントはその姿が見えないという点も危険ですが、何よりもその速さです! あまりにも早く地面を動くその速度に人は追いつけ……ない筈なんですけど、捕まってますね。あっ! でもそれだけじゃありません! クリアサーペントには強力な毒があり、その牙はどんな鎧も容易く貫く……筈なんですが、大丈夫なんですか? そうですか」
私は地面を走る。見えないハズの毒蛇を捕まえて、両手でちぎっているオーロさんをみて、うーんと唸った。
常識が通じない。
この二人には、まったくと言っていい程、常識が通じない。
「むー」
「なんだ。ミラは何を唸っているんだ」
「別に! 何でもありません!!」
違う。
何か私が思っていたのと違う!!
もっと、こう。強大な魔物にピンチになって、私のアドバイスが切っ掛けになって、魔物を倒す! みたいな展開が待ってると思ってたのに。
現実はシュンさんとオーロさんという暴力装置が暴れまわり、もはや魔物が被害者だ。
歩けば半日程度で王都から辿り着くため、ただ距離だけを考えるなら非常に行きやすい場所だ。
しかし、その道中には恐ろしい魔物や、危険な場所を多く通る為、あまり人は寄り付かない場所なのだ。
だから慎重に進まなくてはいけない……のだけれど。
「あっ、危なーい!! 沼地に潜む毒カエル、ジャイアントスワンプフロッグは、別名死への誘いとも呼ばれ……ているんですが、特に何も無かったですね」
「そうだな」
「まぁ、この程度は大した敵じゃない」
「そうですか」
冒険者組合で、危険度Bに登録されている魔物なんですがね。
その大きさは大人と同じくらいで、体は柔らかく衝撃を吸収する為、刃物も通りにくい。
更に、いつも沼の中に潜んでいる事から発見が難しく、魔術で仕留めようにも、強靭な脚力で飛び跳ねるジャイアントスワンプフロッグは狙うのが難しく、冒険者ランクB以上でないと討伐依頼を受けてはいけない魔物なんですけどね。
沼から飛び出して……次の瞬間には胴体が真っ二つにされてました。
何が起きたのだろう……。
シュンさんが何かしたのだろうと思うけど、それしか分からなかった。
が、私は完全に油断していた所を襲い来る、次なる敵に気づいていた。
そして注意を促すべく、近くにいたオーロさんに声を掛ける!
「危ない!! 今、草むらの低い場所が動きました! しかし、姿はない。この様な動きをするのは危険度Aランクのクリアサーペントに違いありません!! この森に分布している種の中で、その様な特徴と体長の生物は他に居ませんから! 気を付けてください! クリアサーペントはその姿が見えないという点も危険ですが、何よりもその速さです! あまりにも早く地面を動くその速度に人は追いつけ……ない筈なんですけど、捕まってますね。あっ! でもそれだけじゃありません! クリアサーペントには強力な毒があり、その牙はどんな鎧も容易く貫く……筈なんですが、大丈夫なんですか? そうですか」
私は地面を走る。見えないハズの毒蛇を捕まえて、両手でちぎっているオーロさんをみて、うーんと唸った。
常識が通じない。
この二人には、まったくと言っていい程、常識が通じない。
「むー」
「なんだ。ミラは何を唸っているんだ」
「別に! 何でもありません!!」
違う。
何か私が思っていたのと違う!!
もっと、こう。強大な魔物にピンチになって、私のアドバイスが切っ掛けになって、魔物を倒す! みたいな展開が待ってると思ってたのに。
現実はシュンさんとオーロさんという暴力装置が暴れまわり、もはや魔物が被害者だ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
聖女の証
とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
後の世界で聖女と呼ばれる少女アメリア。
この物語はアメリアが世界の果てを目指し闇を封印する旅を描いた物語。
異界冒険譚で語られる全ての物語の始まり。
聖女の伝説はここより始まった。
これは、始まりの聖女、アメリアが聖女と呼ばれるまでの物語。
異界冒険譚シリーズ【アメリア編】-聖女の証-
☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆
その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※毎週、月、水、金曜日更新
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
※追放要素、ざまあ要素は第二章からです。
異界冒険譚シリーズ 【オリヴィア編】-語られぬ者たちの物語-
とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
聖女アメリアによって、大いなる闇の力が封印された平和が訪れた世界。
しかし、闇は完全に消えてはいなかった!
闇は意思を持ち、『魔王』という名の存在になって復活したのだ。
そして、聖女アメリアが次代の聖女として選んだ少女オリヴィアは聖女として魔王を倒す為の旅に出て……遂にその魔王を討伐する事に成功した。
しかし、聖女オリヴィアを含めた勇者一行は、魔王を完全に消し去る事が出来ず、その復活まで予言されてしまう。
また時が来れば復活してしまう魔王に、聖女オリヴィアは滅ぼすのではなく、封印という手段を取る……!
そして、聖女オリヴィアは自身の力により子供となった魔王の力を奪い、善き魔王として生まれ変わらせる為に『教育』を始めるのだった。
これは聖女アメリアの素晴らしさを教え込む為にあらゆる手段を取る聖女オリヴィアと、そんなアメリア狂信者のオリヴィアから逃げようと奮闘する魔王の戦いの記録である。
☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆
その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。
異界冒険譚シリーズ外伝【ミラ編前日譚】-その恋の始まりは、暗闇へと繫っている-
とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
その日、世界に一人の少女が誕生した。
彼女の誕生に人々は歓喜し、世界へ感謝を告げた。
その整った容姿、素晴らしい精神性は人々の心を惹きつけ、奪う。
しかし彼女の誕生は喜びばかりを人々に与えはしなかった。
そう。彼女を求め、争いが始まってしまったのだ。
これは一人の少女を巡り、戦う者たちの物語(かもしれない)
☆☆この物語は『異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-』の前日譚となっております。
単独でも読めますが、本編の方も読んでいただけると、より一層楽しめるかと思います!☆☆
異界冒険譚シリーズ 【エリカ編】-迷い子の行く先-
とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
少女はその世界で孤独だった。
家族は彼女を疎み、友人は彼女から離れていった。
孤独は人の命を容易く奪う。
少女はその世界で生きる事を諦めていたが、たった一つ、残された糸が少女を生かし続けていた。
そしてその糸は、世界を超え、異世界へと繋がる。
これは孤独に潰されそうな少女が、新しい世界に希望を見出す物語。
☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆
その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる