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第6話『一つルールを作ろうか。ミラ』 3/3

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「……つまり、道中金が無くなったらコイツを捕まえて売れば良いって事か」

一生懸命木を登っているミルシルクワームのお尻を指で突きながら、そんな事を言うシュンさんに私は怒りの声を上げた。

「何を言っているんですか! シュンさん! それに、そっちで頷いているオーロさんも! お二人は強いのですから、暴れる危険な魔物の討伐でお金を稼げば良いでしょう!? 何故こんなにも小さくてか弱くて、一生懸命生きている虫を虐めるのですか!?」

「いや、虐めてるつもりは無いんだが」

「自覚のない虐めが一番良くないんですよっ!? もっと弱い生き物を大事にしてください! 特にこうして森で暮らすミルシルクワームは希少なんですから。ねぇ!? 君もそう思うでしょう!?」

お尻を突かれて、必死に逃げるフォレストミルシルクワームに私は語りかけたが、どうやら逃亡で忙しいらしい。

そのまま一生懸命に逃げていた。

「しかし、コイツ。放っておいてもこのまま、鳥とかに喰われそうだが」

「そこは大丈夫です! 何故ならフォレストミルシルクワームは、その体内に多くの魔力を蓄える関係上、魔力で相手を判断する魔物たちにとって、強大な存在に見えるんですよ。だから、襲われにくいんです。そして大きな魔物に対しては、体の大きさが小さい事で襲われにくいという事ですね」

「ほー。良く出来てるんだな」

「そういう事です。生命の神秘ですね!」

私はシュンさんの言葉に頷きながら、フォレストミルシルクワームに別れを告げて、森の奥へと進み続けた。

そして、次なる不思議を見つけて駆けだしてゆく。

「お、おぉー!? あれは!! まさかフォレストミュービー! フォレストミュービーじゃないですか!」

「なんだ。そいつは」

「知らないんですか!? 有名じゃないですか! 生命の進化論に出てくる代表的な生き物。フォレストミュービーですよ!」

「いや、だからそれを俺たちは知らないんだと」

「あぁ……なんて事」

私はショックを受けながら、およよと体をふらつかせ、木に手を付いた。

何とも悲しい話である。

しかし、知らないという事は悪ではない。知らなければ知れば良いのだ。

「良いですか? フォレストミュービーとはですね。かつてレイクミュービーという名で呼ばれていた魔物なんですよ。特徴的なのはその翼でして、この魔物は鳥でありながら飛ぶ事をしない魔物なんです。そしてその緑の翼はかつて青い翼をしておりまして、魔物が魔力の影響を強く受けている事を証明した種でもあるんですよ!」

私はフォレストミュービーの群れに駆け寄りながら、シュンさん達に語り掛ける。

途中、縄張りを荒らされていると勘違いしたのか、ミュービーたちに襲われる事もあったが、何とか無事シュンさん達に助けられるのだった。
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