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第5話『お前、子供は好きか?』(天霧瞬視点) 1/3
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(天霧瞬視点)
食事も終わり、食後の西国茶を飲みながら俺は、楽し気に語る少女の話を静かに聞いていた。
「シャーラペトラ様が世界に精霊との契約を広める以前、世界の人々は魔物の事を動物と呼んでいたそうです」
「ほぅ。動く生物って感じか?」
「そうだと思います。しかし、精霊と契約し、人々が魔術を使える様になってから、魔力を多く持つ生物と、あまり持たない生物がいる事に気づいた訳ですね。そして魔力を多く持つ生物は、自分の体内にある魔力量を増やす為に、人や他の生物を襲うという事が判明し、彼らを動物と区別する為に『魔物』と呼び始めたのが、魔物の始まりとされております」
「ふむふむ。なるほど。しかし、魔物ではない動物もかつては居たんだろう? 今はどうなっているんだ?」
「実はよく分かっていないのです」
「そうなのか」
「はい。シャーラペトラ様の生きていた時代の前後で『動物』という名称は段々と歴史書から消えて行き、それから百年もしたら完全に消えてしまったのです」
「ならば……死滅したのか」
「いえ! それは違うと思います!」
「ほぅ? ミラの考えがあるのか」
「はい! 実はですね。『動物』が消えた頃から、歴史の表舞台に現れ始めた種族が居るのですよ」
「ふむ……種族か。うーむ。分からんなぁ。なんだ?」
「そう。それは獣人さんです!」
「ほぅ。獣人か。なるほど」
「これは私の考察になりますが、『動物』の皆さんは『獣人』になったのでは無いかと思うのです! この説を思いついたのにはいくつか理由がありまして。一つは『動物』と『獣人』の共通点です。オーロさんは獣人さんの特徴についてどの程度ご存知ですか?」
「獣人。と言えば、高い身体能力だな。熟練の騎士十人と一人の獣人が同等の戦力と言われているくらいだしな。後は魔術が使えないという話だろうか」
「はい。そうですね! 獣人さんと言えば。高い身体能力。そして体内の魔力が少ない事で有名ですが、それと同じ特徴を『動物』も持っていました」
「なるほど。なるほど。種族としてよく似ているという訳か」
「そうなんです! そして何よりも! 何よりもですよ!? 獣人の皆さんが神様と崇めている方が居るのですが、この方とシャーラペトラ様に力を授けた神様が、ほぼ同じ見た目をしているのです! これは偶然でしょうか!? いえ。私には偶然とは思えません。神様は確かに実在しており、弱き存在に力を与えているのです。そう。獣人の方々に伝わる伝承の通り、獣人の皆さんが弱き存在であった頃に、生きてゆく為の力を与えたのです。そして、その力を与えたというのが『動物』から『獣人』への変化であったと、私は考えているのです!!」
食事も終わり、食後の西国茶を飲みながら俺は、楽し気に語る少女の話を静かに聞いていた。
「シャーラペトラ様が世界に精霊との契約を広める以前、世界の人々は魔物の事を動物と呼んでいたそうです」
「ほぅ。動く生物って感じか?」
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「ふむふむ。なるほど。しかし、魔物ではない動物もかつては居たんだろう? 今はどうなっているんだ?」
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「ならば……死滅したのか」
「いえ! それは違うと思います!」
「ほぅ? ミラの考えがあるのか」
「はい! 実はですね。『動物』が消えた頃から、歴史の表舞台に現れ始めた種族が居るのですよ」
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「ほぅ。獣人か。なるほど」
「これは私の考察になりますが、『動物』の皆さんは『獣人』になったのでは無いかと思うのです! この説を思いついたのにはいくつか理由がありまして。一つは『動物』と『獣人』の共通点です。オーロさんは獣人さんの特徴についてどの程度ご存知ですか?」
「獣人。と言えば、高い身体能力だな。熟練の騎士十人と一人の獣人が同等の戦力と言われているくらいだしな。後は魔術が使えないという話だろうか」
「はい。そうですね! 獣人さんと言えば。高い身体能力。そして体内の魔力が少ない事で有名ですが、それと同じ特徴を『動物』も持っていました」
「なるほど。なるほど。種族としてよく似ているという訳か」
「そうなんです! そして何よりも! 何よりもですよ!? 獣人の皆さんが神様と崇めている方が居るのですが、この方とシャーラペトラ様に力を授けた神様が、ほぼ同じ見た目をしているのです! これは偶然でしょうか!? いえ。私には偶然とは思えません。神様は確かに実在しており、弱き存在に力を与えているのです。そう。獣人の方々に伝わる伝承の通り、獣人の皆さんが弱き存在であった頃に、生きてゆく為の力を与えたのです。そして、その力を与えたというのが『動物』から『獣人』への変化であったと、私は考えているのです!!」
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