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第2話『それは現実ですよ。殿下』 1/4
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突然の大声に、私は思わず手で耳を覆いながら、目を閉じていた。
そして、落ち着いたのを確認してから目を開き、手を下ろす。
「……大変な騒ぎでしたね。では殿下。そろそろ例のお店へ向かいましょう。あまり長居しては皆さんのご迷惑になってしまいますから」
「……」
「あ、そうそう。受付の……あ、お姉さん。申し訳ございません。先ほどの件はまた後日お伺いさせていただきますね」
「え? いや、ミラ様!? まさか、本当に冒険者になるおつもりなのですか!?」
「はい。やはり自分の夢は自分で叶えてこそ。ですからね」
「そ、そんな……」
「では、参りましょう殿下」
私は呆然としている殿下の手を引き、静まり返った冒険者組合を後にした。
そして、殿下の護衛として付いてきた騎士さんにお願いして、殿下が行こうとしていた店まで向かう。
それから、お店がわざわざ用意してくれた席に座って、お茶をお願いするのだった。
「……殿下。そろそろ意識を戻していただけませんか?」
「はっ! す、すまない。あまりの事態に、意識が何処かへ旅立っていた様だ。いや、なんだ。酷い悪夢を見ていた様だ。すまないな。白昼夢という奴だろうな」
「左様でございますか。現実に帰ってきてくださってありがたく思います」
「あぁ、そうだな。いや、まさかミラが冒険者になるなどと、酷い悪夢を見たものだ」
「それは現実ですよ。殿下」
私は用意されたお茶を一口飲み、殿下に笑顔でそう告げた。
しかし、殿下は紅茶のカップを持ったまま固まり、強張った顔で私を見据える。
「何を言っているんだ! ミラ! 冒険者などと! 危険だ! 魔物に出会ったらどうするつもりだ!」
「大丈夫ですよ。殿下。私、これでも冒険者について色々と勉強をしているんです」
「ほぅ。聞こうか?」
私はふふんと笑いながら、殿下に冒険者としての常識をお伝えする事にした。
そして、落ち着いたのを確認してから目を開き、手を下ろす。
「……大変な騒ぎでしたね。では殿下。そろそろ例のお店へ向かいましょう。あまり長居しては皆さんのご迷惑になってしまいますから」
「……」
「あ、そうそう。受付の……あ、お姉さん。申し訳ございません。先ほどの件はまた後日お伺いさせていただきますね」
「え? いや、ミラ様!? まさか、本当に冒険者になるおつもりなのですか!?」
「はい。やはり自分の夢は自分で叶えてこそ。ですからね」
「そ、そんな……」
「では、参りましょう殿下」
私は呆然としている殿下の手を引き、静まり返った冒険者組合を後にした。
そして、殿下の護衛として付いてきた騎士さんにお願いして、殿下が行こうとしていた店まで向かう。
それから、お店がわざわざ用意してくれた席に座って、お茶をお願いするのだった。
「……殿下。そろそろ意識を戻していただけませんか?」
「はっ! す、すまない。あまりの事態に、意識が何処かへ旅立っていた様だ。いや、なんだ。酷い悪夢を見ていた様だ。すまないな。白昼夢という奴だろうな」
「左様でございますか。現実に帰ってきてくださってありがたく思います」
「あぁ、そうだな。いや、まさかミラが冒険者になるなどと、酷い悪夢を見たものだ」
「それは現実ですよ。殿下」
私は用意されたお茶を一口飲み、殿下に笑顔でそう告げた。
しかし、殿下は紅茶のカップを持ったまま固まり、強張った顔で私を見据える。
「何を言っているんだ! ミラ! 冒険者などと! 危険だ! 魔物に出会ったらどうするつもりだ!」
「大丈夫ですよ。殿下。私、これでも冒険者について色々と勉強をしているんです」
「ほぅ。聞こうか?」
私はふふんと笑いながら、殿下に冒険者としての常識をお伝えする事にした。
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