異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-

とーふ(代理カナタ)

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第1話『私は私の夢を叶える為に、冒険者になります!!』 4/5

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私の日記を勝手に持ち出すだけでなく、その中を見て! 私の夢を! この様な形で!!

くっ、顔が熱くなっていた。

「という訳だ。早く処理し、最優先事項として行え」

「殿下! その様な暴挙はお止め下さい!」

「何が暴挙だ。ミラ。君は誰よりもこの事業の重要性を理解している筈だ」

「それは、そうですが……それでも、冒険者組合にこの事業を行っていただく事は出来ません。殿下にだってお分りでしょう? 冒険者組合は世界国家連合議会の実行組織として存在します。確かに、日々の依頼と実行はそれぞれの組合で管理運営される物ですが、依頼主の存在しない特定依頼を発行する際には、世界国家連合議会の可決が必要だと。だからこそ、受付で殿下の依頼をお受けする事は出来ないんです」

「それは理解している。だからこそ、まずはヴェルクモント王国冒険者組合で実行し、その有用性を示してから、国連議会に案の提出を行うつもりなのだ」

「では、その費用はどこから支払われる予定なのですか? 陛下が私の様な小娘の案に予算を使う筈がありません」

「それは、その通りだ。だから……その、だな」

「……受付の方。殿下は依頼料に関してどの様に仰っていましたか?」

「おい!」

「っ!」

「殿下! その様に民を脅すのはお止め下さい。それはいずれ王となる御方がとってはならぬ行動です」

「……分かった。すまぬ」

私は改めて、受付の方に意見を伺うべく一歩前に踏み出した。

殿下と受付の方の間に。

「では改めて、お願いします。大丈夫。何を話しても罰則などはありません。私がさせません」

「は、はい。その……費用は組合で負担するか、依頼料無しにして強制的に受けさせる様にと」

「殿下!!」

私は勢いよく振り向いて、ばつの悪そうな顔をしている殿下にその怒りをぶつけた。

なんという事を言っているのだろうか。この人は!

「仕方ないだろう。他に方法が無いのだ」

「ならばこの様な依頼を出さなければ良いのです! 『歴史研究と失われた魔術の発見の依頼』等という、短慮で、子供じみた夢が書かれた依頼は!」

怒りのままに叫んだせいか涙が滲んでしまう。
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