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第1話『私は私の夢を叶える為に、冒険者になります!!』 2/5
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私は冒険者組合の受付で、お姉さんに元気よく登録の依頼をしたのだが、お姉さんは私を見て固まっている。
ん……? おかしいな。
私はお姉さんが何か困っている様な気配を感じて、受付に置いてあった案内板を見た。
『冒険者組合への依頼及び、冒険者登録はこちら』
うん。受付先は間違えていない。
んんー?
私は首を傾げながら、ハッと一つの答えに辿り着いた。
そうか。声が小さかったのか。なるほど。
「あの! 冒険者になりたいのですが!」
「っ!? あっ、申し訳ございません。ミラ様。反応が遅れまして」
「いえいえ。問題ありませんよ。受付の業務は大変ですものね」
私は大勢の人で賑わう組合のロビーを見渡しながら、焦る受付のお姉さんに微笑んだ。
多くの人を相手にするというのはそれだけで大変だし、中には我儘を言う人も居るだろう。
そうなれば、私も無理を言う事は出来ないというものだ。
等と考えていたら、少し離れた受付で叫んでいる人を見つけてしまった。
しかも、よく知っている人だ。
まったくもう! 人の上に立つ貴族だというのなら、その誇りを持って欲しいものですね!
「失礼。少々外します」
「え? あっ、お待ちください! ミラ様! 我々で対処出来ますので! ミラ様!?」
私は受付で騒いでいる方の所まで歩いてゆき、その肩を軽く叩いた。
「お取込中失礼。少々よろしいでしょうか?」
「はぁ!? 私は今、忙しい……! って、ミラ! ミラじゃないか! どうしたんだ? こんな所で」
「『こんな所』ではございません。殿下。ここはヴェルクモント王国の民が、日々の糧を」
「まぁまぁ、そういう固い話は良いじゃないか。ここで会えたのも何かの縁だ。どこかの店でゆっくりと話でもしよう。私たちの未来についてとかな」
「殿下。前にもお伝えしましたが、私は殿下とご結婚をする事は」
「殿下だなんて他人行儀な呼び方は止めて…… 私の事はセオと呼んでくれ! ミラ!」
「セオドラー王太子殿下。その様に、家族でない異性に対して軽率に振舞うのはよろしくないと、私は具申いたします」
「なんだ? 嫉妬しているのか? 気にしなくても私の目にはミラしか見えていない。安心してくれ」
「その様な話を私はしていません」
私は頭が痛くなってくるのを感じながら、殿下の手をやんわりと私の手から外した。
ん……? おかしいな。
私はお姉さんが何か困っている様な気配を感じて、受付に置いてあった案内板を見た。
『冒険者組合への依頼及び、冒険者登録はこちら』
うん。受付先は間違えていない。
んんー?
私は首を傾げながら、ハッと一つの答えに辿り着いた。
そうか。声が小さかったのか。なるほど。
「あの! 冒険者になりたいのですが!」
「っ!? あっ、申し訳ございません。ミラ様。反応が遅れまして」
「いえいえ。問題ありませんよ。受付の業務は大変ですものね」
私は大勢の人で賑わう組合のロビーを見渡しながら、焦る受付のお姉さんに微笑んだ。
多くの人を相手にするというのはそれだけで大変だし、中には我儘を言う人も居るだろう。
そうなれば、私も無理を言う事は出来ないというものだ。
等と考えていたら、少し離れた受付で叫んでいる人を見つけてしまった。
しかも、よく知っている人だ。
まったくもう! 人の上に立つ貴族だというのなら、その誇りを持って欲しいものですね!
「失礼。少々外します」
「え? あっ、お待ちください! ミラ様! 我々で対処出来ますので! ミラ様!?」
私は受付で騒いでいる方の所まで歩いてゆき、その肩を軽く叩いた。
「お取込中失礼。少々よろしいでしょうか?」
「はぁ!? 私は今、忙しい……! って、ミラ! ミラじゃないか! どうしたんだ? こんな所で」
「『こんな所』ではございません。殿下。ここはヴェルクモント王国の民が、日々の糧を」
「まぁまぁ、そういう固い話は良いじゃないか。ここで会えたのも何かの縁だ。どこかの店でゆっくりと話でもしよう。私たちの未来についてとかな」
「殿下。前にもお伝えしましたが、私は殿下とご結婚をする事は」
「殿下だなんて他人行儀な呼び方は止めて…… 私の事はセオと呼んでくれ! ミラ!」
「セオドラー王太子殿下。その様に、家族でない異性に対して軽率に振舞うのはよろしくないと、私は具申いたします」
「なんだ? 嫉妬しているのか? 気にしなくても私の目にはミラしか見えていない。安心してくれ」
「その様な話を私はしていません」
私は頭が痛くなってくるのを感じながら、殿下の手をやんわりと私の手から外した。
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