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第1話『ねぇ、一緒にキャッチボールしない?』
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何かに期待するという事を諦めたのがいつだったか正直覚えていない。
思えば、何かにつけて気に入らない子だと言われていた様な気がする。
可愛くない。どんくさい。頭が悪い。言われた言葉はもう覚えていない。
ただ私がそう言われているだけならば、傷つきながらも耐えられただろう。
でも、そうじゃなかった。
私が酷い事を言われている分だけ、父や母に優しい言葉を掛けてもらっている存在が居たのだ。
そう。私の妹が。
妹は肉親の贔屓目を除いても、かなり愛らしい姿をしており、また幼い頃の私よりもずっと優秀らしい。
段々と家に私の居場所は無くなっていった。
繰り返されるのは呪いの言葉。
『お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい』
『紗理奈を見習ったらどうなの?』
『紗理奈は本当に凄いな。天才だな。それに引き換えお姉ちゃんは』
『紗理奈とは大違いだな。本当にうちの子か?』
紗理奈は、紗理奈が、紗理奈を。
お姉ちゃんは、お姉ちゃんは、お姉ちゃんは。
私はお姉ちゃんなんて名前じゃ無いのに。
加奈子って名前があるんだよ? 忘れちゃったの?
不安に押しつぶされそうな心は、必死にそう両親へ訴えようと心で叫び続けるが、結局何の言葉も出せず、ただ頷く事しか私には出来なかった。
『貴方は、紗理奈のお姉ちゃんでしょ!』
ゆっくりと与えられる何かは、私の中に降り積もっていく。
私の中にあった『私』を覆い隠す様に。
消えていく。
運命という言葉を信じるのならば、この後どれだけ長い人生を歩んだとしても、この日、この瞬間こそが私にとって最良の運命だったと胸を張って言えるだろう。
学校の先生から手渡されたプリントを手に、先生からの呼びかけも聞かず飛び出していったという大野くんを私は探していた。
いや、居る場所は聞いていたのだが、その場所が分からずに街をさ迷っていたのだ。
そしてそんな風にウロウロとしていた私は、見た事も来た事も無い場所に戸惑い、不安から目尻に涙を浮かべ、何かに助けを求めていた。
しかし私が助けを呼べる人など頭には誰も浮かばず、ただ流れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、周囲を見渡していた。
そして、どうしようもなく怖くて、悲しくて、寂しくて、蹲ってしまった。
このまま独りぼっちで誰からも求められずに消えてしまうのかもしれない。
だって、どうせ私は……。
「お前、どうした? 腹でも痛いのか?」
「……? ……っ!!」
不意に呼びかけられ、顔を上げた私は驚き、言葉を失ってしまった。
だって、そこに居たのはお父さんやお母さんが危ないと、近づくなと言っていた不良だったからだ。
黄色の髪の毛に、動く度にジャラジャラと鳴る何かを付けている。
怖い、ただ、怖かった。
「腹は痛くないのか? なら腹減ったのか?」
私は助けを求める様に必死に首を振っていた。
もしかしたら食べられてしまうかもしれないと思ったからだ。
しかし、不良の人は困ったという様な表情を浮かべるだけで、いつまで経っても襲ってくる事は無かった。
「違うのか。って事は、どっか痛いのか?」
首を振る。
「これも違う。何だ? 何で泣いてんだ? 空が晴れてるからか!」
不良の人は空を指しながら、眩しそうに目を手で覆う。
しかし、私には意味が分からない。
不良の人は空が晴れていると泣くのだろうか。
「これも違いそうだな。すると、何が問題なんだ」
私は何度も話しかけてくる不良の人が悪い人ではなく、私を助けようとしているのでは無いかと思うようになっていた。
だから、凄く勇気を振り絞って、カバンから一枚のプリントを取り出した。
「これ、届けたいの」
「ほう。どこにだ?」
「山野広場の、大野くん」
「山野広場の大野くんね。分かった。そこに届ければ良いんだな? じゃ、いっちょ俺が届けてやるよ。お前は安心して帰りな」
「だ、駄目!」
「駄目なのか?」
「うん。だって、それは、私が届けてって先生に頼まれた奴だから」
「そうなのか。なんだ。お前は優しい子だな」
「そう、なの?」
「あぁ、頼まれた事を放り出さず、やり遂げようとするっていうのは当たり前な事だが、難しい事なんだ。それなのに、途中で投げ出さず、頑張ってるお前は偉いよ」
不良の人は少し乱暴に私の頭を撫でて、プリントを手渡して来た。
そんな風に褒められたのは凄く久しぶりで、私は、胸の奥から熱い何かが溢れてくるのを感じていた。
それが先ほどまでとは違う。悲しみではない、寂しさでもない涙に変わって溢れてきた。
「お、おい。大丈夫か?」
「う、んっ!」
「大丈夫そうには見えんが……まぁ良いか。大丈夫だって言ってんだし。じゃあ、山野広場。行くか?」
私は不良の人の問いに大きく頷き、手を繋いでもらいながら山野広場を目指した。
それから、それほど遠くない広場へ着くと、私は広場の端っこでボールを持っている大野くんを見つけた。
「お。見つけたか。じゃあな。帰りは迷子になるなよ」
「あ、待っ」
私は不良の人にお礼を言おうとしたが、不良の人は右手を軽く上げながら去っていってしまった。
結局助けられるだけ助けられて何も出来なかった。
それを酷く残念に感じながらも、手に持っていたプリントを思い出して、私は大野くんの所へと向かって行くのだった。
大野くんに近づくと、どうやら同じくらいの子と話しているらしかった。
そして近づいてみて、思わずプリントを渡さずに逃げようかと考えてしまった。
だって、そこに居たのは、つい先日クラスに転校してきた人『立花光佑』くんだったからだ。
彼はその優れた容姿と明るい性格であっという間に、クラスの中心人物へと変わっていった。
今までクラスで中心だった人も彼に飲み込まれて、何処にでもいる人になってしまった。
それが、妹に重なって、私は彼に恐怖を感じたのだ。
しかし、逃げ出そうとした所で頭にさっき聞いた言葉を私は思い出していた。
『頼まれた事を放り出さず、やり遂げようとするっていうのは当たり前な事だが、難しい事なんだ。それなのに、途中で投げ出さず、頑張ってるお前は偉いよ』
そうだ。私は、頼まれた事を途中で投げ出したりはしない。
私は逃げたくなる心を抑え込んで、大野くんに呼びかけた。
「あ、あの!」
「ん? 誰?」
「晄弘。彼女は同じクラスの子だよ。千歳加奈子ちゃん。でしょ?」
穏やかな笑顔で私や大野くんに話しかける立花くんに、私は今すぐ逃げ出したくなる気持ちが溢れたが、ここでそんな事をすれば、立花くんに悪いし、必死にその気持ちを抑え込んだ。
そして、大野くんは立花くんの言葉に大いに頷いた後、何か用? と問うてきた。
これはさっさと用事を終わらせて帰るチャンスだと、私は手に持っていたプリントを彼に手渡して、さっさと帰ろうとした。
しかし。
「じゃ、じゃあ。私は、これで」
「待って」
「え?」
「ねぇ、一緒にキャッチボールしない?」
大野くんは私の手を掴むと、今までのちょっとボーっとした顔から、真剣な表情に変わると私にそんな事を言ってきたのだった。
そんな大野くんの言葉に、私は首を振って今すぐに逃げ出したい気持ちで溢れたが、そんな事が出来る勇気は無く、結局私は彼らとキャッチボールなる遊びをする事になってしまう。
とは言っても、彼らのやっているボールを投げ、取るという事は私には難しく、出来ない為、私は彼らの間でボールを拾ったり、投げたりするだけだったのだが、楽しそうに笑っている彼らを見ていると、何だか私まで嬉しくなってしまった。
だって彼らは、私がどれだけ失敗しても、怒らないし、バカにしたりしないのだ。
それが酷く心地よくて、私はこの時間が永遠に続けば良いのにと願ってしまうのだった。
しかし、現実には時間は進んでいくし、どんな楽しい時間もいつか終わりが来る。
「そろそろ日も沈むし。帰ろうか」
「あ」
「え」
「……ふふ。二人とも楽しめたみたいだね。それは良かった。良かった」
立花くんの終わりという合図にガッカリという反応を示していた私と大野くんに立花くんは楽しそうに笑う。
そして、帰り道を送っていくと言いながら、私達は三人で家に帰る事になったのだった。
「今日は楽しかったね」
「……うん」
「……そうだね」
「何だか暗いなぁ。二人とも」
「だって」
「うん」
「まったく。二人とも。もっと思った事は口にしないと駄目だよ」
立花くんは一人先を歩いていたのだけれど、振り向いて私達を見据えると、人差し指を立てて悪戯っぽく笑う。
「ほら、晄弘。言いたい事があるんだろう?」
「……?」
「か、加奈子。また明日、遊ばないか?」
大野くんのその言葉に、私は思わず目を見開いて驚いてしまった。
それは、私の名前を呼んで、私に話しかけているというのもそうだが、一緒に遊ぼうと言ってくれた事もそうだった。
そして私は、そんな大野くんの言葉に立花くんを見た。
立花くんは私と目が合うと、ゆっくりと頷いてくれて、私も二人を見ながら大きく頷いた。
それから二人とは別れ、私は家に帰って、すぐに部屋へ入る。
そして一人部屋で、今日の事を思い出して笑ってしまうのだった。
思えば、何かにつけて気に入らない子だと言われていた様な気がする。
可愛くない。どんくさい。頭が悪い。言われた言葉はもう覚えていない。
ただ私がそう言われているだけならば、傷つきながらも耐えられただろう。
でも、そうじゃなかった。
私が酷い事を言われている分だけ、父や母に優しい言葉を掛けてもらっている存在が居たのだ。
そう。私の妹が。
妹は肉親の贔屓目を除いても、かなり愛らしい姿をしており、また幼い頃の私よりもずっと優秀らしい。
段々と家に私の居場所は無くなっていった。
繰り返されるのは呪いの言葉。
『お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい』
『紗理奈を見習ったらどうなの?』
『紗理奈は本当に凄いな。天才だな。それに引き換えお姉ちゃんは』
『紗理奈とは大違いだな。本当にうちの子か?』
紗理奈は、紗理奈が、紗理奈を。
お姉ちゃんは、お姉ちゃんは、お姉ちゃんは。
私はお姉ちゃんなんて名前じゃ無いのに。
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『貴方は、紗理奈のお姉ちゃんでしょ!』
ゆっくりと与えられる何かは、私の中に降り積もっていく。
私の中にあった『私』を覆い隠す様に。
消えていく。
運命という言葉を信じるのならば、この後どれだけ長い人生を歩んだとしても、この日、この瞬間こそが私にとって最良の運命だったと胸を張って言えるだろう。
学校の先生から手渡されたプリントを手に、先生からの呼びかけも聞かず飛び出していったという大野くんを私は探していた。
いや、居る場所は聞いていたのだが、その場所が分からずに街をさ迷っていたのだ。
そしてそんな風にウロウロとしていた私は、見た事も来た事も無い場所に戸惑い、不安から目尻に涙を浮かべ、何かに助けを求めていた。
しかし私が助けを呼べる人など頭には誰も浮かばず、ただ流れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、周囲を見渡していた。
そして、どうしようもなく怖くて、悲しくて、寂しくて、蹲ってしまった。
このまま独りぼっちで誰からも求められずに消えてしまうのかもしれない。
だって、どうせ私は……。
「お前、どうした? 腹でも痛いのか?」
「……? ……っ!!」
不意に呼びかけられ、顔を上げた私は驚き、言葉を失ってしまった。
だって、そこに居たのはお父さんやお母さんが危ないと、近づくなと言っていた不良だったからだ。
黄色の髪の毛に、動く度にジャラジャラと鳴る何かを付けている。
怖い、ただ、怖かった。
「腹は痛くないのか? なら腹減ったのか?」
私は助けを求める様に必死に首を振っていた。
もしかしたら食べられてしまうかもしれないと思ったからだ。
しかし、不良の人は困ったという様な表情を浮かべるだけで、いつまで経っても襲ってくる事は無かった。
「違うのか。って事は、どっか痛いのか?」
首を振る。
「これも違う。何だ? 何で泣いてんだ? 空が晴れてるからか!」
不良の人は空を指しながら、眩しそうに目を手で覆う。
しかし、私には意味が分からない。
不良の人は空が晴れていると泣くのだろうか。
「これも違いそうだな。すると、何が問題なんだ」
私は何度も話しかけてくる不良の人が悪い人ではなく、私を助けようとしているのでは無いかと思うようになっていた。
だから、凄く勇気を振り絞って、カバンから一枚のプリントを取り出した。
「これ、届けたいの」
「ほう。どこにだ?」
「山野広場の、大野くん」
「山野広場の大野くんね。分かった。そこに届ければ良いんだな? じゃ、いっちょ俺が届けてやるよ。お前は安心して帰りな」
「だ、駄目!」
「駄目なのか?」
「うん。だって、それは、私が届けてって先生に頼まれた奴だから」
「そうなのか。なんだ。お前は優しい子だな」
「そう、なの?」
「あぁ、頼まれた事を放り出さず、やり遂げようとするっていうのは当たり前な事だが、難しい事なんだ。それなのに、途中で投げ出さず、頑張ってるお前は偉いよ」
不良の人は少し乱暴に私の頭を撫でて、プリントを手渡して来た。
そんな風に褒められたのは凄く久しぶりで、私は、胸の奥から熱い何かが溢れてくるのを感じていた。
それが先ほどまでとは違う。悲しみではない、寂しさでもない涙に変わって溢れてきた。
「お、おい。大丈夫か?」
「う、んっ!」
「大丈夫そうには見えんが……まぁ良いか。大丈夫だって言ってんだし。じゃあ、山野広場。行くか?」
私は不良の人の問いに大きく頷き、手を繋いでもらいながら山野広場を目指した。
それから、それほど遠くない広場へ着くと、私は広場の端っこでボールを持っている大野くんを見つけた。
「お。見つけたか。じゃあな。帰りは迷子になるなよ」
「あ、待っ」
私は不良の人にお礼を言おうとしたが、不良の人は右手を軽く上げながら去っていってしまった。
結局助けられるだけ助けられて何も出来なかった。
それを酷く残念に感じながらも、手に持っていたプリントを思い出して、私は大野くんの所へと向かって行くのだった。
大野くんに近づくと、どうやら同じくらいの子と話しているらしかった。
そして近づいてみて、思わずプリントを渡さずに逃げようかと考えてしまった。
だって、そこに居たのは、つい先日クラスに転校してきた人『立花光佑』くんだったからだ。
彼はその優れた容姿と明るい性格であっという間に、クラスの中心人物へと変わっていった。
今までクラスで中心だった人も彼に飲み込まれて、何処にでもいる人になってしまった。
それが、妹に重なって、私は彼に恐怖を感じたのだ。
しかし、逃げ出そうとした所で頭にさっき聞いた言葉を私は思い出していた。
『頼まれた事を放り出さず、やり遂げようとするっていうのは当たり前な事だが、難しい事なんだ。それなのに、途中で投げ出さず、頑張ってるお前は偉いよ』
そうだ。私は、頼まれた事を途中で投げ出したりはしない。
私は逃げたくなる心を抑え込んで、大野くんに呼びかけた。
「あ、あの!」
「ん? 誰?」
「晄弘。彼女は同じクラスの子だよ。千歳加奈子ちゃん。でしょ?」
穏やかな笑顔で私や大野くんに話しかける立花くんに、私は今すぐ逃げ出したくなる気持ちが溢れたが、ここでそんな事をすれば、立花くんに悪いし、必死にその気持ちを抑え込んだ。
そして、大野くんは立花くんの言葉に大いに頷いた後、何か用? と問うてきた。
これはさっさと用事を終わらせて帰るチャンスだと、私は手に持っていたプリントを彼に手渡して、さっさと帰ろうとした。
しかし。
「じゃ、じゃあ。私は、これで」
「待って」
「え?」
「ねぇ、一緒にキャッチボールしない?」
大野くんは私の手を掴むと、今までのちょっとボーっとした顔から、真剣な表情に変わると私にそんな事を言ってきたのだった。
そんな大野くんの言葉に、私は首を振って今すぐに逃げ出したい気持ちで溢れたが、そんな事が出来る勇気は無く、結局私は彼らとキャッチボールなる遊びをする事になってしまう。
とは言っても、彼らのやっているボールを投げ、取るという事は私には難しく、出来ない為、私は彼らの間でボールを拾ったり、投げたりするだけだったのだが、楽しそうに笑っている彼らを見ていると、何だか私まで嬉しくなってしまった。
だって彼らは、私がどれだけ失敗しても、怒らないし、バカにしたりしないのだ。
それが酷く心地よくて、私はこの時間が永遠に続けば良いのにと願ってしまうのだった。
しかし、現実には時間は進んでいくし、どんな楽しい時間もいつか終わりが来る。
「そろそろ日も沈むし。帰ろうか」
「あ」
「え」
「……ふふ。二人とも楽しめたみたいだね。それは良かった。良かった」
立花くんの終わりという合図にガッカリという反応を示していた私と大野くんに立花くんは楽しそうに笑う。
そして、帰り道を送っていくと言いながら、私達は三人で家に帰る事になったのだった。
「今日は楽しかったね」
「……うん」
「……そうだね」
「何だか暗いなぁ。二人とも」
「だって」
「うん」
「まったく。二人とも。もっと思った事は口にしないと駄目だよ」
立花くんは一人先を歩いていたのだけれど、振り向いて私達を見据えると、人差し指を立てて悪戯っぽく笑う。
「ほら、晄弘。言いたい事があるんだろう?」
「……?」
「か、加奈子。また明日、遊ばないか?」
大野くんのその言葉に、私は思わず目を見開いて驚いてしまった。
それは、私の名前を呼んで、私に話しかけているというのもそうだが、一緒に遊ぼうと言ってくれた事もそうだった。
そして私は、そんな大野くんの言葉に立花くんを見た。
立花くんは私と目が合うと、ゆっくりと頷いてくれて、私も二人を見ながら大きく頷いた。
それから二人とは別れ、私は家に帰って、すぐに部屋へ入る。
そして一人部屋で、今日の事を思い出して笑ってしまうのだった。
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