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ダニエル編

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アンジェラが我が家に来た翌日、なぜか幼馴染のグスタフが予告もなくやってきた。奴は、何故かアンジェラを見るなり目を見開き、すぐに嫌悪に満ちた顔で彼女を睨みつけた。そして、彼女に近づき挨拶もせずに無礼なもの言いをした為、俺は怒りが湧いた。アンジェラは、失礼な事を言われても健気に返そうとしていたが俺が止めに入った。


「あんた、みない顔だけど…誰?なんで、この家にいる。」
「…グスタフ。突然来たと思ったら随分な態度だな?彼女は、大事な客人だ。」
「…んぐ?」

どさくさに紛れて、彼女を後ろから抱きしめて、何かを言いかけていた可愛い唇を塞いだ。俺の行動にアンジェラもグスタフも固まっているが気にしない。

ちらりと、シャーリーを見ると我関せずで優雅に紅茶飲んでいた。

「いくら、幼馴染のお前でも彼女に失礼な態度を取るなら許さない…覚えておけ。」


彼女を侮辱する奴は許さない。その意味も込めて、グスタフを睨みつけた。手の置き場に困り、さりげなくアンジェラのお腹をサワサワと撫でる。


「ダニー…なんで、君は…。」

グスタフは、俺の態度にショックを受けた様だったが、知るか。しばらくアンジェラのお腹を撫でながらグスタフを、睨むという妙な構図だったが、沈黙を破ったのは優雅に紅茶を飲んでいたシャーリーだった。


「グスタフ兄様、彼女はアンジェラ。私の大切なお友達なの。しばらく、この屋敷に滞在するからくれぐれもよろしくね?」
 

ニコッと、有無を言わせないシャーリーの微笑みにグスタフも逆らえないのか、小声で「あぁ…。」と返事をして、落ち込んで帰っていった。
ナイスだ、妹よ。

「すまなかったな…アンジュ。グスタフが失礼な態度を取って…辛かったろう?」
「い、いえ。平気ですから…あっ。」

彼女の耳元で囁いて、チュッと耳たぶにキスを落とす。あっと、声が出てめちゃくちゃ可愛らしい。


というか、恋人でもないのにどさくさに紛れて耳にキスを落としてしまったが、後悔などない。明らかに鈍そうな彼女だから、これくらいの行動を起こさなければ俺の事など意識をしてくれなさそうだ。

ーー俺はアンジュを必ず手に入れると決意した。

できれば両思いがいいが、アンジュの事だから大胆な行動で示さないと逃げかねない。その時は、泣かれても無理矢理でも繋ぎ止めてやる。今の俺は獲物を見つけた狩人の気分だ。
彼女を見ると、何やら考え込んでいて俺の方を見ようとしない。それが腹ただしく感じて、彼女に問いかけた。


「アンジュ…?どうしたんだい。何を考えている?」
「へっ?!わわっ、ダニエル様⁈」

彼女は、俺に驚き距離を取ろうとしたため、すかさず詰め寄った。
 
「どうした?アンジュ…。」
「いっ、いえ、あの…ち、近すぎませんか?」
「そうか?君の顔がよく見える。」

俺が微笑んでそう言うと、彼女は俯いたがその白い頬に朱が差したのを俺は見逃さなかった。

もしかして、彼女も俺に気があるのか?

浮かれていた俺は、この時とんでもない思い違いをしていたのだが、それは置いておこう。

…まさか、彼女が俺で妄想していたなんて露にもおもわなかったのだから。



アンジュが我が家に滞在するようになり、俺の生活はそれはそれは健全なものに変わって行った。
夜な夜な出歩いて、していた火遊びをやめて誘われても応じなくなったし、たまに襲われたが、なんとか撃退してやり過ごしていた。
あの、変態国王兄弟からの呼び出しにも行くのは、行ったが見るに徹してプレイには混じらなかった。


本当、国王がしつこかったが何とか言いくるめた。



やっかいなのは、グスタフだった。
あいつは、家が近所なのもあるし使用人達にも顔が効くもんだから、人の寝込みを襲いに来るのだ。
男の朝の生理現象を利用されて、起きたら喘ぎながら腰振ってた事が数回あった。気づかない俺もいけないが、アイツも相当だと思う…。
まぁ、グスタフの件に関しては俺が悪かった事もあるんだが…。俺が男女見境なく遊び歩いてるとこを見かけたアイツは、それまで心の奥に抑えてた俺への恋情が爆発して、半分ヤケになって俺を襲ってきた。
俺は、兄弟の様に育った彼の事を見捨てる事ができず、身体だけの関係を続けてしまった。その結果、グスタフを誰にでも尻を開くビッチにしてしまったのだ…。俺も人のこと言えないけど…。
とりあえず、グスタフには悪いがアンジュに誤解されたくないから当面、屋敷に出入り禁止にしよう。
アイツには、幸せになれるよう可愛がってくれるいい男を紹介してやろう。うん。



俺の願いはただ一つ、彼女が欲しい。
その為なら、どんな事だってする。例え、彼女に蔑まれても、泣かれても。




ーー俺の心に宿ったのは、彼女に対する恋心と仄暗い独占欲と執着心だった。
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