「夜の生地は『Nightと冗談と砂糖菓子とJK』で出来ている」

雨だれ

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「夜の生地は『Nightと冗談と砂糖菓子とJK』で出来ている」

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 夜は深い。
 その深さたるや、人では決して認識できない領域だろう。
 だからこそ生地を練る必要がある。
『夜の生地』だ。
 この世界に生きていて、これを知らない者はいない。
 生地に必要なのは『その夜に揃う』と言われている。
 だから俺は待った。

 すると『Night』が落ちてきた。
 これはどう見ても『Night』と書かれているので、そうなのだろう。
 とりあえずボウルに投げ込む。

 次に『冗談』が冗談めかして落ちてきた。
 まるで木の葉のように落ちてくるのだから冗談だと思った。
 とりあえずこれもボウル行きだ。

 次に『砂糖菓子』が落ちてきた。
 まさか完成品が落ちてくるとは思わなかった。
 複数落ちてきたので、一つだけ口に放り込み、残りは雑にボウルに入れる。

 そうして。
 悲鳴が届き、続いて何かが落ちてくる音が聞こえて、それはどうやら俺の頭上であり、少しだけ立ち位置をずらして、俺は、落ちてきた『JK』をキャッチした。
 これは決して少女ではない『JK』だ。
 女子〇生でもない『JK』という存在だ。
 これも知らないのは間抜けか無知か愚かである。
 つまるところ、これも、生地になる……のだが。
 仮にも人である。
 気が引ける。
 こちらに怯えの顔を向ける『JK』も見てしまったから、余計にだ。
 しかし混ぜねば『夜の生地』にならない。
 どうすれば……そういえば。
 ボウルに入らないものは、一部だけでいいと聞いたことがある。
 これで失敗したら、まあツキがなかったということでいいだろう。
 というわけで『JK』の胸を窮屈に締め付けている上着のスカーフだけを拝借し、ボウルに放り込む。

 そうして俺は混ぜた。
 混ぜに混ぜた。
 もうそれは、傍から見たら「こいつ死ぬんじゃねえか?」っていうくらい。
 そばにいる『JK』も心配するくらいに。
 そうして『夜の生地』は出来上がった。
 これで俺の夜は始まるのだ。
 ここからどういう風に育っていくのか、楽しみである。



 あ、この後JKは俺の家族になって、一緒に生地の成長を見守ってくれることになったことは、別に、まあ、たいして語ることもないので割愛する。
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