神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜

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第6章 お花見と修羅場

第352話 お花見と双子

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 春の日差しが暖かい3月28日。
 春休み真っ只中の、この日。

 神木家の三兄妹弟は、友達を連れて、お花見にいくことになりました。

「わ~すごーぃ!」

 朝、キッチンで料理をする飛鳥を見て、華が興奮ぎみに声を上げた。お花見と言うだけあり、そこには、既に豪勢なお弁当が出来上がっていた。

 定番の唐揚げや卵焼きを始めとし、色鮮やかなおかずがオシャレに並ぶ姿をみれば、ワクワクとした感情が更に高ぶってくる。

 だが、今日のお花見に行くのは、全員で8人。
 しかし、8人分のお弁当にしては、少し少ない。

「飛鳥兄ぃ、8人分だよ? それ、足りるの?」

「大丈夫だよ。隆ちゃんも作って来てくれるって言ってたし、あかりも少しだけどサンドイッチ作ってくるって」

「なんだ~、それなら大丈夫だね!」

「それより、お前たちは、もう準備できたの?」

「うん! 遊び道具もしっかり準備したよ!」

「遊び道具?」

「バドミントンやろう! バドミントン!」

「……お前、ノリノリだな」

 キャッキャと小学生みたいに、テンションを上げる華をみて、飛鳥が苦笑する。

 こうして花見に行くのは、何年ぶりだろうか?

 華にとっても、みんなで出かけるのが嬉しくて仕方ないのだろう。特に華は、思い出作りをしたいと前にも言っていたから。

「華、あと任せてもいい? 俺も着替えてくる」

 少し寂しく思いながらも、飛鳥がエプロンを外しながら、そういえば、華が

「は~い!」

 と明るく返事をしたのをみて、飛鳥がリビングから出ていって、その後、華は、傍で荷物の確認をしていた蓮に声をかけた。

「ねぇ蓮、飛鳥兄ぃ、やっぱりなにかあったよね?」

「?」

 まるで探偵のように顎に手を当て、ふむと眉をひそめた華を見て、蓮が首を傾げる。

「そうか? 兄貴いつも通りじゃん」

「えー、絶対なにかあったよ! 多分、あかりさん絡み! 私の女の勘がそう言ってる!」

「また女の勘かよ。お前の勘、無駄に当たりまくるから怖ぇーだよ」

 レジャーシートをバッグに詰め込みながら、ため息を着く蓮。

 華の勘は意外とよくあたる。だが、もし当たっているなら、あかりさん関連で、兄になにかあったことになる。

「別にあかりさんとは限りないだろ。兄貴は、ほら、ミサさんともまだ会ってないし。今は、色々と複雑な時期だし」

「そうだけど……でも、この前、あかりさんがお土産もらってきてから、なんか落ち込んでる気がするんだよね?」

 再び考え込む華。

 今、兄はあかりさんのことが好きだ。だが、その恋は、なかなか上手くいっていないらしい。

「まさか、もうフラれたとか?」

「それはないだろ。なにより、花見の約束してて、その前に告るか?」

「まぁ、確実に脈ナシのあの状態で、告白しにいってたら、もはや無謀というよりバカだよね」

「だろ? だから、フラれてはいないだろ。まぁ、脈ナシだから、落ち込んでるのはあるかもしれないけど」

「そっか。じゃぁ、ここはやっぱり、私たちが二人の仲を進展させるべきだね!」

「は?」

 すると、ぱっと顔を明るくし力説する華をみて、蓮は怪訝な顔をうかべた。

「進展って、お前……っ」

「だって飛鳥兄ぃには幸せになって欲しいじゃん! きっと、飛鳥兄ぃ可愛すぎて男としてみられてないんだよ!」

「うわ、兄貴が聞いたら怒るぞ」

「今はいないから大丈夫! ね! 蓮も協力して!」

「協力って、具体的にどうすんだよ?」

「ふふふ、それはコレです!!」

 瞬間、華が差し出してきたのはバドミントンのセット。

「バドミントン?……で、どうすんの?」

「二人上手いことペアにして、一緒に戦わせれば、もしかしたら芽生えるかもしれない、愛が!!」

「戦って芽生えるのは、愛じゃなくて友情じゃないか?」

「細かいことはいいの! とにかく、上手く2人の仲が進展するよう協力してね!」

「…………」

 これは、なかなか厄介な花見になりそうだ。
 蓮はその瞬間、そう確信したとか。

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