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白銀の魔皇と真紅の魔王編 禁忌の悪魔の遊び
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罪とは一体何か。
それは規範や倫理に反することを指すという。
しかし、本来は宗教的観念であり
ある行為を罪とするには意図的かどうかで変わる。
また、罪に対する
「後悔ともう二度と犯さないとの決意を表現する」
懺悔と「過去に犯した行為への贖い」の代償が必要ともされる。
では、罪を犯したのが悪魔であればどうなるのか?
神に意思表明する懺悔や代償が受け入れられるのだろうか?
もちろん神には受け入れられない。
しかし、それ以外には受け入れられることもあろう。
悪魔には悪魔の罪がある。
しかし、その罪が人と違うものかと問われれば、そうでもない。
人と同様に、いやそれ以上に厳しく代償を求められ、懺悔を迫られる。
罪を忌み嫌う時代、ある場所にその悪魔の少女は生まれた。
その少女は幼さ故に禁忌を犯し
罪深きことにありとあらゆるものを壊した。
存在が許されるはずはなく、赦されるはずもなく。
それでも少女は、永遠の孤独という罰と
禁忌という罪を犯して生きていく。
1日目
ここは真っ暗だ。
明かりはどこにも無い。
私が望んでここにいるのか。
それとも、彼女の命令でここにいるのか。
恐らくその両方だと思う。
こうなったきっかけはなんだったかな?
私的に些細なことだったと思う。
破壊衝動を抑えずに好き勝手やってきたことへの罰なのか
暇潰しにそこらじゅうの魔物を捻り潰したからなのか。
夜中に人間を殺しまくっていたことがお姉ちゃんにバレたのか
心当たりはあまりにも多すぎて
ただ光の無い暗闇にいる自分の事しかわからない。
37日目
やることが無いのでうたをうたった。
かごめかごめと闇の中で歌う。
壁の間隔すらもわからなかったが
ただ、何も見えない中にエコーだけが壁の存在を実感させた。
時間を流すにはそうするしか無かった。
どこからともなく流れ出てきて
私の足元に溜まっていく血のように赤い水だけが
時間の流れを知る機会だった。
いまが朝なのか夜なのかもわからないのだけれど。
467日目
悪意。邪悪。それらの黒い感情が私の中に蓄積されていく。
私は世界を壊す悪魔だ。
だから、邪悪を持つのも本能である。
彼女も神様とはいえあくまで心は人間のまま。
それ故に悪意や邪悪といった感情も生まれる
悪意を育てるには闇がいい。
何も見えないこの闇の中でこそ、悪意はよく育つ。
だから”この場所”で良いのだ。
12750日目
私は誰だっただろうか。
もう、大好きなお姉ちゃんの名前も
私をここに閉じ込めた両親の名前もあまり思い出せない。
髪の色はどうだったかな?
顔はどんなだったっけ?
思い出そうとしても思い出せない。
ただ、内なる悪意の波紋だけが
加速する振り子のようにぐるぐると力を増していく。
これならいつか・・・出られるかもしれない?
2758743日目
どうしよう、何も思いつかないわ。
954748651日目
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
タ■■テ■■■ドウ■■■■イヤ■■■■シ■タ■
1639094954日目
オネエチャンニ…… アイタイ………
オネエチャン……
オネエチャン……………
4954489987485067507日目
それは突如として私の前に現れた。
それは、今にも消えそうな蝋燭の火のようで
だけど、何故かそれを手にしたくて
私は、レーヴァテインと呼ばれたその火を手に取った。
その火を手にした瞬間、頭が狂っていなければ
脳が理解を拒むような宇宙の全ての情報を
無理矢理脳に流し込まれるような
頭の中に永遠に完結しない
知っただけで正気を失う禁断に関する情報が流れ込んできて
私は、禁忌の力の使い方を完全に理解し
外の世界に再び干渉出来るだけの力を手にして
全てをゼロにするパワーを手に入れた。
闇の中での言葉の連鎖こそが邪悪を醸造させる最高の手段だった。
”この禁忌”は、全てを破壊できる。
この精神世界の全範囲。
そして外の世界さえも完全に破壊する事ができるだろう。
【ここにたどり着くために、私はずっとここにいた】
まずはこの場にいる全員を殺す。
この禁忌によって、私は全てを破壊する。
赤と黒の鮮血の光が、円を描いて拡散を繰り返していく。
それらは無限の万華鏡のようにリフレクション。
反射を繰り返して、無限に分裂を伴う増殖を繰り返す。
そしてその光は接触するもの全てを破壊できる。
これまで闇しか無かった世界に光が見えた。
全てをゼロにできるまでもうすぐだった。
そうして、わたしは長年縛り付けていた
忌々しい天魔の鎖を破壊し
外の世界に通じる心の扉を壊した。
「……なんか変な夢見ちゃったわ。」
シャル姉と遊びたくて体がウズウズする。
体を思い存分動かして暴れたい。
魔力を抑えずに思いっきり魔法を使いたい。
みんなと楽しい楽しい殺し合いがしたい
普段は抑えられてたけど変な夢を見たせいか
気持ちが昂ぶって暴れて何もかも壊したくて堪らない。
「シャル姉~モル姉~!殺し合いしよ~!」
「いいよ。皆で一緒に遊ぼうか。」
「ちょっとシャルロット…いきなり殺し合いって何なのよ!?」
「遊びのノリにしては物騒ですね…」
「面白そう~わたしもやる!」
「ルクシアちゃんは危ないと思うなー」
「シャル姉って私に勝てたこと一度でもあったっけ~?」
「ないよ。一度も」
「だよね~シャル姉って雑魚だもんね~」
「産まれた時から力も魔力も私の方がずっと強かったし。」
「でも私だって前よりは強くなったと思うなー」
「そう?むしろシャル姉、昔よりずっと弱くなってない?」
「き、気のせいだと思うな~」
私達は周囲に何もない荒野のような場所に移動する。
「まずは、アカシックレコードで
彼女の情報を赤裸々にして白日の下に晒してあげます。」
「星命流転!!」
ルミナの魔法により
青白い粒子が集い本のような形を象った魔法
アカシックレコードが出消し
現在より未来のことが書かれたページが開かれ
あの少女の情報を検索する。
『デスルイン・レガリア・ジエンド
外見の年齢は10歳
年齢は44■4■49■55■55■0000■00■000eee年時生■■死■存■歳
(神核保持者)
神核の覚醒段階
『破壊の神核』(解放済み)
『神核覚醒:傲慢たる救恤終焉吸血姫』(魔王への覚醒準備完了。)
【魔王顕現】[神を殺す破壊の魔王]
【破滅と終焉をもたらす狂気と紅恤の破壊神】
【固有魔法】
『深紅の破滅と終焉』
(真紅の魔王の最終奥義と酷似している魔法
魔力を零まで圧縮し続け三十秒間弱体化するが
三十秒後、圧縮された魔力を解き放ち
数十万倍に強化された状態を六十秒間持続させる。)
『禁忌の神炎魔剣』
『混沌に堕ちる世界の理』
(アカシックレコードに魔力回路を接続し
アカシックレコードの一部を一時的に破壊し
世界の理をめちゃくちゃにする禁忌の魔法。)
『約束された破滅と終末』
(着弾した瞬間、星の全面積を焼き尽くす
赤黒い獄炎や魔法弾を発射する魔法。)
『顕現する破壊された並行個体』
(己の世界に存在できる個の数は一体だけという
世界の理を破壊することで分身する魔法)
『星砕の破滅流紅星群』
(破壊の力を帯びた無数の隕石を降らせる魔法)
『逆行する破滅の運命』
(背中に逆行する終末時計を顕現させて
時間の理を破壊し、過去の世界に存在した
禁断の力を現代に呼び起こす禁断の魔法。)
『星命が存在しない終末世界』
(自身以外の全てを破壊し
何も存在しない空虚な世界を作り出す禁断の魔法。)
破壊衝動、心の闇、凶暴性
狂気が人の形を模ったような存在。
能力はあらゆる全てを破壊する力
星を数分で飲み込むサイズの
超巨大ブラックホール生成可能。
(破壊対象は壊せない物はなくなんでもあり。
体の自由を破壊して相手の行動の一切を封じる。
(手加減された場合は一時的な拘束に過ぎないが
本気で破壊された場合は
体の自由は永遠に戻らない。。)
能力を破壊して固有能力を喪失させることも可能。
(これも手加減された場合は
一時的な能力の消滅、使用不可に留まるが
その気になれば永遠の喪失となる。)
傷やダメージを受けた事実を破壊して
現実を改竄し無傷の状態にすることも可能。
彼女の紅い破壊神の魔力は
ただそこに存在するだけで
崩壊現象を引き起こして世界を壊す危険性あり。
(破壊の適応範囲は
空間、物質、改竄された現象
特殊能力、現象、事象、森羅万象に至る全てを壊す)
念じた物や人を原子レベルで破壊する。
衝撃波を飛ばし、触れた物を壊す。
紅い雷や炎にして飛ばす
視界に入った物を自動で壊す
紅黒い巨大隕石を降らす等、バリエーション豊富。
常に気が触れていて
禁忌とされた危険な力を持っている為
長い時間特殊な空間に幽閉され
最近まで存在を秘匿されていた少女
話が通用せず制御不能
一切力の加減が出来ず
少女の心の闇と内に秘めた凶暴性と幼さ故の狂気は
遊び感覚でも凄惨な光景を作り出してしまい
彼女と遊ぶだけでも命懸けとなる。
武器の名前は(レーヴァテイン)
(原初の火が神の炎剣の形を模った
暁のような煉獄の魔剣
軽く振っただけで巨大な壁のような獄炎が発生し
星の表面のほとんどを焼き尽くし焦土に変えられる。)
少女の心の闇と内に秘めた凶暴性と幼さ故の狂気は
殺戮を遊びと捉えて楽しむ戦闘狂
戦闘になると頭の回転が早くなる。
普段は気だるげな末っ子の妹らしい口調だが
突然気性の荒さを露わにすることがある
情緒不安定。
『破壊衝動に駆られて何もかも破壊しまくる残忍な悪魔』
『無知で無邪気な幼い少女』
『計画性のあるシリアルキラー』のような
理性的な印象を受ける
不気味な怖さを持った狂気の少女。
気が狂っているが悪い子では無いので
普通に困ってたり襲われてる人を見かけたら
助けるような善性はある。
長年、外の世界の様子を眺めていた
彼女は友達というモノや
絆や人との繋がりに漠然とした憧れを抱いている。』
『混沌に堕ちる世界の理』
「星命流転!!」
お互いアカシックレコードに魔力回路を接続し
世界に影響を与える魔法を発動させ
アカシックレコードの一部を一時的に破壊し
世界の理をめちゃくちゃにしようとするルインと
それをアカシックレコードを改竄することで
破壊された箇所を修復することで
禁忌魔法の発動を防ぎ妨害する
ルミナとの激しい攻防戦が繰り広げられる。
「それじゃあ、コレならドウ?」
『約束された破滅と終末!!』
ルインの手に赤黒いブラックホールのような
凄まじい魔力の塊が現れる。
それは着弾した瞬間、星の全面積を焼き尽くす威力
赤黒い獄炎や魔法弾を放ち、星を壊す魔法
星命流転覇星激爆覇《アストラル・ノヴァ》!!」
ルミナが放った星座の魔法陣から放たれた
超新星爆発のような白銀の輝きにも見える
究極の極大消滅魔法の力は
星の最期の煌きを彷彿とさせる、淡く美しい輝き。
その極光は星を壊す魔法ごとルインを飲み込んだ。
直撃したにも関わらず、ルインは無傷だった。
ルインの生存を確認したら
すかさずルミナは二発目、三発目を放つ。
「星命流転覇星激爆覇!!」
二発目は、禁忌と呼ばれる破壊の概念を使い
片手で軽く払い除けるように白銀の極光を破壊し、粉々に砕いた。
そして、三発目は
ルインは白銀の極光に手をかざすと
右手に赤雷が迸り握りつぶすような動作をすると
星命流転覇星激爆覇が空間ごと歪み爆発を引き起こしたのだ。
弾かれた二発目の星命流転覇星激爆覇の軌道上にある建物数棟が全て音も無く消滅する。
「へえ、アナタってなかなか面白い魔法を使うのね。 」
「それじゃあ、ルインも魔法使っちゃおうかな~」
「……レーヴァテインっ!」
彼女が天に手を伸ばすと虚空から獄炎が爆ぜて
レーヴァテインと呼ばれる神の魔剣が顕現する。
原初の火が神の炎剣の形を模った
暁のような煉獄の魔剣
それを手にした瞬間、激しい魔力の昇流が起こり
世界が数秒間、暁のような闇と紅い光に包まれた。
彼女が炎の魔剣を軽く振っただけで
巨大な壁のような獄炎が発生し
星の表面のほとんどを焼き尽くし
世界が焦土に変えられようとしていた。
ルミナは即座に膨大な魔力を練り上げて
背後にダイヤモンドのように美しい白銀氷の翼を生み出し
巨大な白銀氷の魔法陣を展開させて無数の
星命流転覇星激爆覇の魔法陣を展開させ
星命流転星氷滅流星覇氷星激爆覇を射出した。
眩いばかりの白銀の魔力の光を振り撒きながら
究極の消滅魔法とその魔法と同等の効果を付与した
氷を纏った白銀の星々が滅茶苦茶な軌道で
獄炎の壁に着弾していき
獄炎の壁に蜂の巣のような大きな穴が幾つも空き
白銀の極光のレーザーと氷柱がルインに向かって飛んでいく。
ルインはそれを必要最小限の動作で避け
白銀の氷柱を軽く片手で弾き、砕いた。
無数に飛来したレーザーや氷柱や星々を
ルインはレーヴァテインを大きく横薙ぎに振るうと
暁星の煌めきのような大爆発が起こり
ルミナの弾幕を跡形もなく消し去ってしまった。
そして、爆風でルミナの視界を一時的に奪われた瞬間
ルインは、ルミナに向かって右手を向けて
握りつぶすような動作をすると
ルミナの体がガクンッと糸が切れた操り人形のように
体を一切、己の意志で動かせないようになり
体の自由と魔力をルインに破壊されてしまい
一時的に無限の魔力が消失する。
「体が…………動かせません……っ!?」
「フフフ…あなたの『体の自由』を破壊したわ。」
「クスクス…動けないよねえ?怖い?苦しい?」
「アハハ…もっと悲鳴を聞かせてよ?お姉ちゃん?」
無防備になったルミナは
レーヴァテインの直撃を受けてしまい
力なく地に伏せてしまう。
「あれれ~お腹を裂いたら動かなくなっちゃった?」
「まあ、いいや、玩具はまだまだあるんだし…ね。」
ルインは狂ったような瞳をこちらに向ける。
こちらに迫るレーヴァテインを
クルルのディアボロスが受け止める。
「……!へえ…ルインのレーヴァテインを止められるなんて
貴女も強そうね?」
「ワーハッハッハッ!!!当然なのだ!
我はっ!!世界最強の六天魔皇にして
アストラル界と世界を支配せし魔王の生まれ変わり!!!
クルル・ヘル・ルシファー様だからなあっ!」
【神核覚醒:新世界の創世神】
ルクシアの足元には星命流転の星々の魔法陣と
創世と終焉の神の力が融合した魔法陣が出現し
ルクシアの体が宙に浮く。
三人の力が混ざりあった異能の力が解き放たれた。
神々しい純白の光と禍々しい闇が合わさって
世界の均等を覆す最強の力が解き放たれ
神核の覚醒と同時に神化され
少女は純白の創世神の衣装を纏うが
邪神の闇を取り込んだことにより
黒く染まった創世の神のような神装に変化する。
【星命流転覇魔天黒滅皇星漆燼塵爆覇】
ルクシアが放った
禍々しい赤黒い闇色の魔法陣から放たれた
超新星爆発のような輝きにも見える漆黒の光
漆黒の究極消滅魔法の力はルインには有効打にならないが
死神のような大鎌を振るい攻撃が大振りになりやすい
クルルの攻防の隙間をカバーする形で援護をするルクシア
「ワーハッハッハ!!今こそ見せよう
我の禁じられた究極にして最強の力をっ!」
『神核覚醒:堕天した明けの明星』
眼帯を外し顕になった
クルルの右目が金色の輝きを放ち
宇宙を破壊する黄昏邪神魔王眼が発動し
宇宙さえも本当に破壊しかねないと思わせるような
この世の理を超越した奇跡を起こす。
それは、ルインの禁忌の力さえも消滅させる程の
禍々しく神々しいと思わせる堕天使の禁じられた
クルルの魔王としての力【魔王顕現】
【堕天した深罪世界の断罪魔王】
天使の堕天とは
高潔な魂が黒く濁り悪魔に堕ちることにより
魔王化することを意味する。
クルルは堕天したことにより発現した
クルルの右目に宿った魔王の異能の輝きによって
ルインの破壊の力を消し去ってしまった。
そして、黄昏を思わせる禍々しく神々しい
黒金の魔力を纏わせたディアボロスの大鎌による斬撃と
レーヴァテインの破壊の概念を纏わせた獄炎による
二つの極大斬撃がぶつかり合い
世界を金色と深紅に染め上げる。
クルルとルクシアがルインを食い止めている間に
モルドレッドは腹を斬られたルミナの元に駆け寄り
ルミナを抱きかかえるとルミナの弱々しい声が聞こえてくる。
「モルドレッド…さん…」
「ルミナっ!…その傷……大丈夫…なの…?」
「はい…心配しないでください。
私はこう見えても頑丈なので…それに…
このぐらいの傷なら回復魔法ですぐに治ります。」
「それより…モルドレッドさん…受け取ってほしいんです…」
「ルミ……ナ…んっ」
ルミナは口の端から垂れていた鮮血を
モルドレッドに口移しで飲ませた。
その時、天を貫く程の巨大な極光の柱が出現し
膨大な白銀の魔力の昇流が起こった。
モルドレッドの雰囲気が大きく変わった。
モルドレッドの髪がルミナのような白銀に染まって
左目が蒼白く輝く白銀に染まっていき
まるで神話に登場する伝説の魔王のような風貌に変わっていく。
ルミナの魔王因子と白銀の魔力が混ざったことで
一時的にだが、モルドレッドの神核は昇華され
最終段階である『魔王顕現』まで到達した。
それは、全ての生命を奪っていき凍てつかせる
氷と星滅の概念を支配している魔王の力だった。
白銀の魔力を解放した余波だけで、古戦場は一瞬で凍りつき
世界を凍てつく白銀の世界に塗り変えていく。
バチバチと迸る蒼雷と白銀の氷のような魔力を纏った
魔王化したモルドレッドは、狂気の破壊神と静かに対峙する。
『顕現する破壊された並行個体!!!』
己の世界に存在できる個の数は一体だけという
世界の理を破壊することで
同一個体を生み出し分身する魔法。
しかし、分身は出現した瞬間に
魔王の絶対的な権能の前に
一瞬で凍てつきあっけなく粉々に砕かれてしまう。
本体のルインのみは、凍てつき氷像になった瞬間
禁忌と呼ばれる禁断の破壊の神の力で
魔王の絶対的な権能や魔力を跳ね除け、破壊した。
「えりゃああああああああああああっ!!!」
ルインはレーヴァテインを全力で振るい
モルドレッド目掛けて振り下ろしたが
指二本だけで軽く受け止められてしまう。
不意に強烈な冷気がルインを襲った。
それは、霊界のような魂さえも凍てつかせる
寒気がルインの全身を駆け巡り
彼女の指が触れた所からレーヴァテインが凍りついていき
バキッという嫌な音が鳴った瞬間
レーヴァテインが跡形も無く消し飛んでいた。
「……へえ…なかなかやるじゃん。」
右手に禍々しい獄炎の魔法が展開され
一瞬、モルドレッドの魔王の権能で
魔法陣が凍てつき、魔法の発動がキャンセルされるが
ルインが禁断の破壊神の権能を使い
無理矢理魔法陣の凍結を解除させたことで
ルインの手に再びレーヴァテインが顕現する。
ルインはレーヴァテインを大きく振るい
全力でモルドレッドに叩きつけられるが
髪の毛一本すら焦げず切れず
レーヴァテインの獄炎の温度を完全に上回る冷気と
いかなる攻撃も通さない鉄壁の魔王の体
モルドレッドに有効打を与える手段は
『破壊』しかないと悟ったルインは
無数の禍々しい星を壊す為の魔法陣を展開する。
『星砕の破滅流紅星群!!』
破壊の力を帯びた無数の赤黒い魔力の塊を纏った隕石を降らせるが
モルドレッドに直撃する寸前に凍てつき
氷の塊となった隕石はモルドレッドの体に
触れた瞬間に硝子のように砕け散った。
「………………コロス。」
モルドレッドの瞳から蒼雷が走り
白銀の魔力が更に膨れ上がり荒れ狂い
その魔力の余波によって宇宙空間さえも凍てつき始める。
『逆行する破滅の運命!!』
ルインの背中に逆行する終末時計を顕現させ
時間の理を破壊し、過去の世界に存在した
禁断の力を現代に呼び起こす禁断の魔法を発動させる。
【真紅灼獄焔焉覇星激爆覇!!】
その瞬間、ルインの深紅の魔力が爆発した。
魔法陣から射出された真紅の極光は
周囲の全てを一瞬で焼き尽くし
範囲内のありとあらゆる全てを焼き滅ぼした。
しかし、その破滅的な爆発の中を平然と突っ切り
悪魔の少女に隕石の如く重たい一撃を与えた存在がいた。
咄嗟にレーヴァテインで防いだが
レーヴァテインを拳で粉砕し
凄まじい衝撃波がルインを襲い吹き飛ばした。
「アハハ…ギャハハハハハハハハッッ!!!」
「いいわ…貴女と遊ぶのとっても楽しいわ…」
「特別に私のとっておきを見せてあげるわっ!」
『星命が存在しない終末世界!!!』
空間を破壊し歪ませて
この星を数秒で飲み込む超巨大なブラックホールを顕現させ
自身以外の全てを破壊し
何も存在しない空虚な世界を作り出す禁断の魔法。
「………………コワス。」
モルドレッドはブラックホールを真紅の瞳で見つめ
ルインがやったようにブラックホールを見据えて
握りつぶすように広げた指をゆっくりと閉じていく
すると、ブラックホールが空間ごと一瞬にして凍てつき
粉々に破壊されてしまった。
「アハハハハハハッッ!凄い凄いっ!」
「貴女もルインみたいに壊せちゃうんだ~!」
「それなら、これならどう?」
ルインはレーヴァテインを水平に構えると
悪魔の少女は、真紅の瞳を静かに閉じる。
するとあれだけ溢れていた
崩壊現象を引き起こしていた禁忌と呼ばれた力と
真紅の魔力が掻き消えて、魔力が一切感じられなくなる。
魔力を零まで抑えて圧縮している間
そして、三十秒が経過した途端
圧縮されていた魔力が弾けた。
力を解放した瞬間、深紅の魔力が荒れ狂い
身体能力と魔力を数十万倍まで増大させた
破壊神の深紅の魔力を解き放った。
【深紅の破滅と終焉】
(……まずいな…このままじゃ
いくら世界をひっくり返せるような
規格外の異能を持ってるお姉ちゃんと言えど負ける。
ここから更に能力を昇華させる為には…)
「クルルとルクシア…力を貸してほしいんだけどいいかな?」
「お姉様の頼みならなんでもっ…痛いのだっ!?」
「なになに~私もやる~!……イテテッ!?」
シャルロットはルクシアとクルルの指を軽く切って
ルクシアとクルルの血液を二つの小瓶に集め
回復魔法で傷口を再生させる。
「お姉ちゃん…これ受け取ってっっ!!」
そして、シャルロットはまずルクシアの血が入った
小瓶をモルドレッドに全力で投げつけた。
小瓶を顔面で受け取った(?)モルドレッド
小瓶が割れて中身の血液が彼女の口内に入り込んだ。
すると、彼女の体が虹色に発光し始め
瞳に三日月の紋様が浮かび
髪色もルクシアのような淡い黄緑色に変わり虹色の魔力が迸る。
ルクシアの血液を摂取したことでこれより引き起こされる
魔王化したモルドレッドに起こる奇跡は。
ルクシアの完全模倣能力と
並行世界や宇宙さえも一つにする程の究極の融合能力。
モルドレッドがルインに手を翳すと
ルインを中心に世界中のありとあらゆる物が
ルインに引き寄せられるように引っ張られ
ルインを物量で押し潰そうとする。
しかし、ルインの持つ禁忌の破壊神の権能により
融合しかけた物質が破壊され木っ端微塵に吹き飛ばされる。
モルドレッドはこの世界には存在しない
未知の物質を大量に生み出し融合させ
その巨大な塊をルインに向かってぶん投げた。
ルインが謎の物体に右手を向けると赤雷が迸り
謎の物体が破壊される。
(うむ、こうなることは想定通りだが
やらりこの能力はルインとは相性が悪いな)
「よし、次はペルちゃん、君に決めた。」
「えっ!?ギャアアーーーッ!!???」
シャルロットはペルちゃんの首根っこを掴むと
ペルちゃんをモルドレッドに向かってぶん投げた。
モルドレッドは咄嗟にペルちゃんを抱きかかえるように受け止めるが
投擲と受け止められた衝撃によって
ペルちゃんの体が砕け散り盛大に吐血する。
そして、ペルネリアの血がモルドレッドの口内に入り
モルドレッドは更なる進化を遂げる。
虚弱体質な少女
不死なる冥界の姫にして
冥界を支配している魔王ハーデスの娘。
ペルネリア・デスポーネ・ハーデス
彼女の血液を取り込んだことにより起こった異変は
真紅の瞳が青みががった紫の瞳に染まり
冥府の冷気と決して滅びぬ不死の肉体と魂
そして、彼女の所有している
冥界の魔王ハーデスから受け継いだ
冥界の魔王兵装、冥獄滅天サクリファイス
そして、ペルネリアの血が引き起こす奇跡は
この現世を冥界へと変える
『生命の存在を赦されない死の世界』
「へえ…ペルちゃんの力も使えるんだ?」
サクリファイスとレーヴァテインが激しくぶつかり合い
冷気と熱気が荒れ狂い異常気象を発生させる。
そしてお互い互角に見える対決を繰り広げるが
モルドレッドは覚醒能力の連続発動で
魔力が既に限界が近づいていた。
(そろそろお姉ちゃんも保たないか……最後は、これにするか)
次にシャルロットが取り出したのは
クルルの血液を溜めておいた小瓶。
全力でぶん投げられた背後から迫る小瓶を
モルドレッドはノールックで受け取り
小瓶の血液を一気に飲み干す。
すると、またモルドレッドの様子が大きく変化し
堕天使の魔王の力がモルドレッドにも顕現する。
堕天使を思わせるような
神々しい輝きを放つ純白の天使の翼と
禍々しい黒い悪魔のような堕天使の翼が背中に生え
頭上には、漆黒の闇と金色の光が合わさったような
天使の光輪が浮かんでおり
髪色もクルルのように一部が黒い銀色に染まり
瞳も左目は真紅の瞳、右目が金色の瞳のオッドアイに変わり
手には、禍々しい闇が死神の鎌のように具現化した
魔王の最終兵装の一つである
クルルの持っている物と同じディアボロスが握られている。
魔王兵装を持つことは強制的に魔王顕現の段階まで
引き上げられることを意味する。
魔王兵装に認められなければ
手にした者に待っているのは死のみ。
なのだが、ルミナの力で既に魔王化していたことにより
奇跡が起こり、魔王兵装に認められる条件を偶然全てクリアしており
クルル同様に平然と魔王兵装であるディアボロスを所持している。
そして、ルインの持つ禁忌の魔剣レーヴァテインは
現在存在すると言われている三つ目の魔王兵装であり
他の魔王兵装…ルミナスとディアボロスと同等の力を宿している。
レーヴァテインとディアボロスが激しくぶつかり合い
火花を散らすが先程のクルルとの短い時間の戦闘を経て
ルインはディアボロスとの打ち合い方を会得し
レーヴァテインが振るわれたディアボロスを弾いていく。
しかし、クルルと同じ要領で相手をしているはずなのに
クルルと違って徐々に徐々にルインが押され始める。
モルドレッドの異能の真価は
取り込んだ血液の主の能力を
オリジナルより遥かに強化された状態で再現し
それだけでなく世界の理を根底から覆せる
奇跡のような現象を引き起こすことにある。
堕天使の魔王の血を取り込んだことで
モルドレッドが起こす奇跡とは
世界の裁定者にして断罪執行者としての神の権能
ルインはその身に有り余る力を持ってしまっただけの
ただの純粋無垢な子供だ。
今は戦闘による興奮で狂気に理性を支配されているが
それを沈静化させる方法は
彼女の犯してしまった禁忌の罪を断罪すること。
モルドレッドが振るったディアボロスは
彼女の犯してしまった罪を切り裂いて、罪を浄化していき
モルドレッドがディアボロスを振るう度に
防御不可、回避不能の痛みとして神罰を与えられ
彼女の狂気は徐々に鳴りを潜めだす。
そして、最後の一撃をルインに与えると
同時にシャルロットにもディアボロスの刃が届く。
彼女が狂気の破壊神と成ってしまった
そもそもの原因は元を辿れば
彼女を悪魔として恐れ忌み嫌った世界と
シャルロットが長過ぎる時間、彼女を幽閉したことによる
膨れ上がった外の世界への憧れと願望
そして孤独が彼女をより狂わせてしまったのだ。
そして、彼女の罪とは殺戮以外の遊びを知らないことだ。
今は、昔と違い、彼女の周りには沢山の友達がいる
これからは私達と色んな遊びを知っていけば
自然とそれが人知れず贖罪となるであろう。
そして、狂気をある程度落ち着かせたのはいいが
私ではこの子に有効打を与えられない。
攻め悩んでいる内に魔力と効力が切れてしまった。
神々しい輝きが失われモルドレッドが地面に堕ちる。
次の瞬間、白紫色の凄まじい魔力が発生し大気を激しく振動させる。
それは、金色の瞳を真祖の吸血鬼のように紅くさせ
魔王のような風貌となり悪魔の片翼を展開した
シャルロットが天高く掲げた
魔剣から溢れ出した天を貫く白夜の極光の光柱。
「我が最強の一撃で全てを終わらせる。」
そして、魔剣が振り下ろされた瞬間
神や人の領域を遥かに超えている規格外の魔力が爆発を起こし
周囲を白夜のように明るく照らし、私達は白い極光に飲み込まれた。
シャルロットの宇宙を滅ぼす魔王の斬撃によって
何もかも全てを消し飛ばしてしまった。
魔王が放った斬撃は世界を断ち切る斬撃と無限の魔力
そひてルインの破壊を上回る破壊とは対極の力と
同じく破壊を上回る破壊が合わさった創世神の斬撃
全力で彼女は抗いお互いの魔力と破壊が拮抗し
最終的にそのまま周囲の全てを跡形もなく消し飛ばしてしまった。
シャルロットは足元で目を回して気絶している
ルインの頭を撫でていると目を覚ます。
「おはよーシャル姉~もう朝~?」
「…凄いなアレを食らってもピンピンしてやがる。」
「久しぶりにシャル姉の魔力を浴びて興奮してきちゃったな~」
「シャル姉~二回戦やっていい?」
「今日はもう殺し合いごっこはお終い。
みんな疲れちゃったからまた明日やろう。」
「はーい。」
久しぶりに思いっきり暴れられて機嫌が良いのか
素直に言う事を聞いてくれた。
そして、戦闘後の周囲の街の変わり果てた荒廃具合を見て
私は頭を抱えるのであった。
それは規範や倫理に反することを指すという。
しかし、本来は宗教的観念であり
ある行為を罪とするには意図的かどうかで変わる。
また、罪に対する
「後悔ともう二度と犯さないとの決意を表現する」
懺悔と「過去に犯した行為への贖い」の代償が必要ともされる。
では、罪を犯したのが悪魔であればどうなるのか?
神に意思表明する懺悔や代償が受け入れられるのだろうか?
もちろん神には受け入れられない。
しかし、それ以外には受け入れられることもあろう。
悪魔には悪魔の罪がある。
しかし、その罪が人と違うものかと問われれば、そうでもない。
人と同様に、いやそれ以上に厳しく代償を求められ、懺悔を迫られる。
罪を忌み嫌う時代、ある場所にその悪魔の少女は生まれた。
その少女は幼さ故に禁忌を犯し
罪深きことにありとあらゆるものを壊した。
存在が許されるはずはなく、赦されるはずもなく。
それでも少女は、永遠の孤独という罰と
禁忌という罪を犯して生きていく。
1日目
ここは真っ暗だ。
明かりはどこにも無い。
私が望んでここにいるのか。
それとも、彼女の命令でここにいるのか。
恐らくその両方だと思う。
こうなったきっかけはなんだったかな?
私的に些細なことだったと思う。
破壊衝動を抑えずに好き勝手やってきたことへの罰なのか
暇潰しにそこらじゅうの魔物を捻り潰したからなのか。
夜中に人間を殺しまくっていたことがお姉ちゃんにバレたのか
心当たりはあまりにも多すぎて
ただ光の無い暗闇にいる自分の事しかわからない。
37日目
やることが無いのでうたをうたった。
かごめかごめと闇の中で歌う。
壁の間隔すらもわからなかったが
ただ、何も見えない中にエコーだけが壁の存在を実感させた。
時間を流すにはそうするしか無かった。
どこからともなく流れ出てきて
私の足元に溜まっていく血のように赤い水だけが
時間の流れを知る機会だった。
いまが朝なのか夜なのかもわからないのだけれど。
467日目
悪意。邪悪。それらの黒い感情が私の中に蓄積されていく。
私は世界を壊す悪魔だ。
だから、邪悪を持つのも本能である。
彼女も神様とはいえあくまで心は人間のまま。
それ故に悪意や邪悪といった感情も生まれる
悪意を育てるには闇がいい。
何も見えないこの闇の中でこそ、悪意はよく育つ。
だから”この場所”で良いのだ。
12750日目
私は誰だっただろうか。
もう、大好きなお姉ちゃんの名前も
私をここに閉じ込めた両親の名前もあまり思い出せない。
髪の色はどうだったかな?
顔はどんなだったっけ?
思い出そうとしても思い出せない。
ただ、内なる悪意の波紋だけが
加速する振り子のようにぐるぐると力を増していく。
これならいつか・・・出られるかもしれない?
2758743日目
どうしよう、何も思いつかないわ。
954748651日目
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
タ■■テ■■■ドウ■■■■イヤ■■■■シ■タ■
1639094954日目
オネエチャンニ…… アイタイ………
オネエチャン……
オネエチャン……………
4954489987485067507日目
それは突如として私の前に現れた。
それは、今にも消えそうな蝋燭の火のようで
だけど、何故かそれを手にしたくて
私は、レーヴァテインと呼ばれたその火を手に取った。
その火を手にした瞬間、頭が狂っていなければ
脳が理解を拒むような宇宙の全ての情報を
無理矢理脳に流し込まれるような
頭の中に永遠に完結しない
知っただけで正気を失う禁断に関する情報が流れ込んできて
私は、禁忌の力の使い方を完全に理解し
外の世界に再び干渉出来るだけの力を手にして
全てをゼロにするパワーを手に入れた。
闇の中での言葉の連鎖こそが邪悪を醸造させる最高の手段だった。
”この禁忌”は、全てを破壊できる。
この精神世界の全範囲。
そして外の世界さえも完全に破壊する事ができるだろう。
【ここにたどり着くために、私はずっとここにいた】
まずはこの場にいる全員を殺す。
この禁忌によって、私は全てを破壊する。
赤と黒の鮮血の光が、円を描いて拡散を繰り返していく。
それらは無限の万華鏡のようにリフレクション。
反射を繰り返して、無限に分裂を伴う増殖を繰り返す。
そしてその光は接触するもの全てを破壊できる。
これまで闇しか無かった世界に光が見えた。
全てをゼロにできるまでもうすぐだった。
そうして、わたしは長年縛り付けていた
忌々しい天魔の鎖を破壊し
外の世界に通じる心の扉を壊した。
「……なんか変な夢見ちゃったわ。」
シャル姉と遊びたくて体がウズウズする。
体を思い存分動かして暴れたい。
魔力を抑えずに思いっきり魔法を使いたい。
みんなと楽しい楽しい殺し合いがしたい
普段は抑えられてたけど変な夢を見たせいか
気持ちが昂ぶって暴れて何もかも壊したくて堪らない。
「シャル姉~モル姉~!殺し合いしよ~!」
「いいよ。皆で一緒に遊ぼうか。」
「ちょっとシャルロット…いきなり殺し合いって何なのよ!?」
「遊びのノリにしては物騒ですね…」
「面白そう~わたしもやる!」
「ルクシアちゃんは危ないと思うなー」
「シャル姉って私に勝てたこと一度でもあったっけ~?」
「ないよ。一度も」
「だよね~シャル姉って雑魚だもんね~」
「産まれた時から力も魔力も私の方がずっと強かったし。」
「でも私だって前よりは強くなったと思うなー」
「そう?むしろシャル姉、昔よりずっと弱くなってない?」
「き、気のせいだと思うな~」
私達は周囲に何もない荒野のような場所に移動する。
「まずは、アカシックレコードで
彼女の情報を赤裸々にして白日の下に晒してあげます。」
「星命流転!!」
ルミナの魔法により
青白い粒子が集い本のような形を象った魔法
アカシックレコードが出消し
現在より未来のことが書かれたページが開かれ
あの少女の情報を検索する。
『デスルイン・レガリア・ジエンド
外見の年齢は10歳
年齢は44■4■49■55■55■0000■00■000eee年時生■■死■存■歳
(神核保持者)
神核の覚醒段階
『破壊の神核』(解放済み)
『神核覚醒:傲慢たる救恤終焉吸血姫』(魔王への覚醒準備完了。)
【魔王顕現】[神を殺す破壊の魔王]
【破滅と終焉をもたらす狂気と紅恤の破壊神】
【固有魔法】
『深紅の破滅と終焉』
(真紅の魔王の最終奥義と酷似している魔法
魔力を零まで圧縮し続け三十秒間弱体化するが
三十秒後、圧縮された魔力を解き放ち
数十万倍に強化された状態を六十秒間持続させる。)
『禁忌の神炎魔剣』
『混沌に堕ちる世界の理』
(アカシックレコードに魔力回路を接続し
アカシックレコードの一部を一時的に破壊し
世界の理をめちゃくちゃにする禁忌の魔法。)
『約束された破滅と終末』
(着弾した瞬間、星の全面積を焼き尽くす
赤黒い獄炎や魔法弾を発射する魔法。)
『顕現する破壊された並行個体』
(己の世界に存在できる個の数は一体だけという
世界の理を破壊することで分身する魔法)
『星砕の破滅流紅星群』
(破壊の力を帯びた無数の隕石を降らせる魔法)
『逆行する破滅の運命』
(背中に逆行する終末時計を顕現させて
時間の理を破壊し、過去の世界に存在した
禁断の力を現代に呼び起こす禁断の魔法。)
『星命が存在しない終末世界』
(自身以外の全てを破壊し
何も存在しない空虚な世界を作り出す禁断の魔法。)
破壊衝動、心の闇、凶暴性
狂気が人の形を模ったような存在。
能力はあらゆる全てを破壊する力
星を数分で飲み込むサイズの
超巨大ブラックホール生成可能。
(破壊対象は壊せない物はなくなんでもあり。
体の自由を破壊して相手の行動の一切を封じる。
(手加減された場合は一時的な拘束に過ぎないが
本気で破壊された場合は
体の自由は永遠に戻らない。。)
能力を破壊して固有能力を喪失させることも可能。
(これも手加減された場合は
一時的な能力の消滅、使用不可に留まるが
その気になれば永遠の喪失となる。)
傷やダメージを受けた事実を破壊して
現実を改竄し無傷の状態にすることも可能。
彼女の紅い破壊神の魔力は
ただそこに存在するだけで
崩壊現象を引き起こして世界を壊す危険性あり。
(破壊の適応範囲は
空間、物質、改竄された現象
特殊能力、現象、事象、森羅万象に至る全てを壊す)
念じた物や人を原子レベルで破壊する。
衝撃波を飛ばし、触れた物を壊す。
紅い雷や炎にして飛ばす
視界に入った物を自動で壊す
紅黒い巨大隕石を降らす等、バリエーション豊富。
常に気が触れていて
禁忌とされた危険な力を持っている為
長い時間特殊な空間に幽閉され
最近まで存在を秘匿されていた少女
話が通用せず制御不能
一切力の加減が出来ず
少女の心の闇と内に秘めた凶暴性と幼さ故の狂気は
遊び感覚でも凄惨な光景を作り出してしまい
彼女と遊ぶだけでも命懸けとなる。
武器の名前は(レーヴァテイン)
(原初の火が神の炎剣の形を模った
暁のような煉獄の魔剣
軽く振っただけで巨大な壁のような獄炎が発生し
星の表面のほとんどを焼き尽くし焦土に変えられる。)
少女の心の闇と内に秘めた凶暴性と幼さ故の狂気は
殺戮を遊びと捉えて楽しむ戦闘狂
戦闘になると頭の回転が早くなる。
普段は気だるげな末っ子の妹らしい口調だが
突然気性の荒さを露わにすることがある
情緒不安定。
『破壊衝動に駆られて何もかも破壊しまくる残忍な悪魔』
『無知で無邪気な幼い少女』
『計画性のあるシリアルキラー』のような
理性的な印象を受ける
不気味な怖さを持った狂気の少女。
気が狂っているが悪い子では無いので
普通に困ってたり襲われてる人を見かけたら
助けるような善性はある。
長年、外の世界の様子を眺めていた
彼女は友達というモノや
絆や人との繋がりに漠然とした憧れを抱いている。』
『混沌に堕ちる世界の理』
「星命流転!!」
お互いアカシックレコードに魔力回路を接続し
世界に影響を与える魔法を発動させ
アカシックレコードの一部を一時的に破壊し
世界の理をめちゃくちゃにしようとするルインと
それをアカシックレコードを改竄することで
破壊された箇所を修復することで
禁忌魔法の発動を防ぎ妨害する
ルミナとの激しい攻防戦が繰り広げられる。
「それじゃあ、コレならドウ?」
『約束された破滅と終末!!』
ルインの手に赤黒いブラックホールのような
凄まじい魔力の塊が現れる。
それは着弾した瞬間、星の全面積を焼き尽くす威力
赤黒い獄炎や魔法弾を放ち、星を壊す魔法
星命流転覇星激爆覇《アストラル・ノヴァ》!!」
ルミナが放った星座の魔法陣から放たれた
超新星爆発のような白銀の輝きにも見える
究極の極大消滅魔法の力は
星の最期の煌きを彷彿とさせる、淡く美しい輝き。
その極光は星を壊す魔法ごとルインを飲み込んだ。
直撃したにも関わらず、ルインは無傷だった。
ルインの生存を確認したら
すかさずルミナは二発目、三発目を放つ。
「星命流転覇星激爆覇!!」
二発目は、禁忌と呼ばれる破壊の概念を使い
片手で軽く払い除けるように白銀の極光を破壊し、粉々に砕いた。
そして、三発目は
ルインは白銀の極光に手をかざすと
右手に赤雷が迸り握りつぶすような動作をすると
星命流転覇星激爆覇が空間ごと歪み爆発を引き起こしたのだ。
弾かれた二発目の星命流転覇星激爆覇の軌道上にある建物数棟が全て音も無く消滅する。
「へえ、アナタってなかなか面白い魔法を使うのね。 」
「それじゃあ、ルインも魔法使っちゃおうかな~」
「……レーヴァテインっ!」
彼女が天に手を伸ばすと虚空から獄炎が爆ぜて
レーヴァテインと呼ばれる神の魔剣が顕現する。
原初の火が神の炎剣の形を模った
暁のような煉獄の魔剣
それを手にした瞬間、激しい魔力の昇流が起こり
世界が数秒間、暁のような闇と紅い光に包まれた。
彼女が炎の魔剣を軽く振っただけで
巨大な壁のような獄炎が発生し
星の表面のほとんどを焼き尽くし
世界が焦土に変えられようとしていた。
ルミナは即座に膨大な魔力を練り上げて
背後にダイヤモンドのように美しい白銀氷の翼を生み出し
巨大な白銀氷の魔法陣を展開させて無数の
星命流転覇星激爆覇の魔法陣を展開させ
星命流転星氷滅流星覇氷星激爆覇を射出した。
眩いばかりの白銀の魔力の光を振り撒きながら
究極の消滅魔法とその魔法と同等の効果を付与した
氷を纏った白銀の星々が滅茶苦茶な軌道で
獄炎の壁に着弾していき
獄炎の壁に蜂の巣のような大きな穴が幾つも空き
白銀の極光のレーザーと氷柱がルインに向かって飛んでいく。
ルインはそれを必要最小限の動作で避け
白銀の氷柱を軽く片手で弾き、砕いた。
無数に飛来したレーザーや氷柱や星々を
ルインはレーヴァテインを大きく横薙ぎに振るうと
暁星の煌めきのような大爆発が起こり
ルミナの弾幕を跡形もなく消し去ってしまった。
そして、爆風でルミナの視界を一時的に奪われた瞬間
ルインは、ルミナに向かって右手を向けて
握りつぶすような動作をすると
ルミナの体がガクンッと糸が切れた操り人形のように
体を一切、己の意志で動かせないようになり
体の自由と魔力をルインに破壊されてしまい
一時的に無限の魔力が消失する。
「体が…………動かせません……っ!?」
「フフフ…あなたの『体の自由』を破壊したわ。」
「クスクス…動けないよねえ?怖い?苦しい?」
「アハハ…もっと悲鳴を聞かせてよ?お姉ちゃん?」
無防備になったルミナは
レーヴァテインの直撃を受けてしまい
力なく地に伏せてしまう。
「あれれ~お腹を裂いたら動かなくなっちゃった?」
「まあ、いいや、玩具はまだまだあるんだし…ね。」
ルインは狂ったような瞳をこちらに向ける。
こちらに迫るレーヴァテインを
クルルのディアボロスが受け止める。
「……!へえ…ルインのレーヴァテインを止められるなんて
貴女も強そうね?」
「ワーハッハッハッ!!!当然なのだ!
我はっ!!世界最強の六天魔皇にして
アストラル界と世界を支配せし魔王の生まれ変わり!!!
クルル・ヘル・ルシファー様だからなあっ!」
【神核覚醒:新世界の創世神】
ルクシアの足元には星命流転の星々の魔法陣と
創世と終焉の神の力が融合した魔法陣が出現し
ルクシアの体が宙に浮く。
三人の力が混ざりあった異能の力が解き放たれた。
神々しい純白の光と禍々しい闇が合わさって
世界の均等を覆す最強の力が解き放たれ
神核の覚醒と同時に神化され
少女は純白の創世神の衣装を纏うが
邪神の闇を取り込んだことにより
黒く染まった創世の神のような神装に変化する。
【星命流転覇魔天黒滅皇星漆燼塵爆覇】
ルクシアが放った
禍々しい赤黒い闇色の魔法陣から放たれた
超新星爆発のような輝きにも見える漆黒の光
漆黒の究極消滅魔法の力はルインには有効打にならないが
死神のような大鎌を振るい攻撃が大振りになりやすい
クルルの攻防の隙間をカバーする形で援護をするルクシア
「ワーハッハッハ!!今こそ見せよう
我の禁じられた究極にして最強の力をっ!」
『神核覚醒:堕天した明けの明星』
眼帯を外し顕になった
クルルの右目が金色の輝きを放ち
宇宙を破壊する黄昏邪神魔王眼が発動し
宇宙さえも本当に破壊しかねないと思わせるような
この世の理を超越した奇跡を起こす。
それは、ルインの禁忌の力さえも消滅させる程の
禍々しく神々しいと思わせる堕天使の禁じられた
クルルの魔王としての力【魔王顕現】
【堕天した深罪世界の断罪魔王】
天使の堕天とは
高潔な魂が黒く濁り悪魔に堕ちることにより
魔王化することを意味する。
クルルは堕天したことにより発現した
クルルの右目に宿った魔王の異能の輝きによって
ルインの破壊の力を消し去ってしまった。
そして、黄昏を思わせる禍々しく神々しい
黒金の魔力を纏わせたディアボロスの大鎌による斬撃と
レーヴァテインの破壊の概念を纏わせた獄炎による
二つの極大斬撃がぶつかり合い
世界を金色と深紅に染め上げる。
クルルとルクシアがルインを食い止めている間に
モルドレッドは腹を斬られたルミナの元に駆け寄り
ルミナを抱きかかえるとルミナの弱々しい声が聞こえてくる。
「モルドレッド…さん…」
「ルミナっ!…その傷……大丈夫…なの…?」
「はい…心配しないでください。
私はこう見えても頑丈なので…それに…
このぐらいの傷なら回復魔法ですぐに治ります。」
「それより…モルドレッドさん…受け取ってほしいんです…」
「ルミ……ナ…んっ」
ルミナは口の端から垂れていた鮮血を
モルドレッドに口移しで飲ませた。
その時、天を貫く程の巨大な極光の柱が出現し
膨大な白銀の魔力の昇流が起こった。
モルドレッドの雰囲気が大きく変わった。
モルドレッドの髪がルミナのような白銀に染まって
左目が蒼白く輝く白銀に染まっていき
まるで神話に登場する伝説の魔王のような風貌に変わっていく。
ルミナの魔王因子と白銀の魔力が混ざったことで
一時的にだが、モルドレッドの神核は昇華され
最終段階である『魔王顕現』まで到達した。
それは、全ての生命を奪っていき凍てつかせる
氷と星滅の概念を支配している魔王の力だった。
白銀の魔力を解放した余波だけで、古戦場は一瞬で凍りつき
世界を凍てつく白銀の世界に塗り変えていく。
バチバチと迸る蒼雷と白銀の氷のような魔力を纏った
魔王化したモルドレッドは、狂気の破壊神と静かに対峙する。
『顕現する破壊された並行個体!!!』
己の世界に存在できる個の数は一体だけという
世界の理を破壊することで
同一個体を生み出し分身する魔法。
しかし、分身は出現した瞬間に
魔王の絶対的な権能の前に
一瞬で凍てつきあっけなく粉々に砕かれてしまう。
本体のルインのみは、凍てつき氷像になった瞬間
禁忌と呼ばれる禁断の破壊の神の力で
魔王の絶対的な権能や魔力を跳ね除け、破壊した。
「えりゃああああああああああああっ!!!」
ルインはレーヴァテインを全力で振るい
モルドレッド目掛けて振り下ろしたが
指二本だけで軽く受け止められてしまう。
不意に強烈な冷気がルインを襲った。
それは、霊界のような魂さえも凍てつかせる
寒気がルインの全身を駆け巡り
彼女の指が触れた所からレーヴァテインが凍りついていき
バキッという嫌な音が鳴った瞬間
レーヴァテインが跡形も無く消し飛んでいた。
「……へえ…なかなかやるじゃん。」
右手に禍々しい獄炎の魔法が展開され
一瞬、モルドレッドの魔王の権能で
魔法陣が凍てつき、魔法の発動がキャンセルされるが
ルインが禁断の破壊神の権能を使い
無理矢理魔法陣の凍結を解除させたことで
ルインの手に再びレーヴァテインが顕現する。
ルインはレーヴァテインを大きく振るい
全力でモルドレッドに叩きつけられるが
髪の毛一本すら焦げず切れず
レーヴァテインの獄炎の温度を完全に上回る冷気と
いかなる攻撃も通さない鉄壁の魔王の体
モルドレッドに有効打を与える手段は
『破壊』しかないと悟ったルインは
無数の禍々しい星を壊す為の魔法陣を展開する。
『星砕の破滅流紅星群!!』
破壊の力を帯びた無数の赤黒い魔力の塊を纏った隕石を降らせるが
モルドレッドに直撃する寸前に凍てつき
氷の塊となった隕石はモルドレッドの体に
触れた瞬間に硝子のように砕け散った。
「………………コロス。」
モルドレッドの瞳から蒼雷が走り
白銀の魔力が更に膨れ上がり荒れ狂い
その魔力の余波によって宇宙空間さえも凍てつき始める。
『逆行する破滅の運命!!』
ルインの背中に逆行する終末時計を顕現させ
時間の理を破壊し、過去の世界に存在した
禁断の力を現代に呼び起こす禁断の魔法を発動させる。
【真紅灼獄焔焉覇星激爆覇!!】
その瞬間、ルインの深紅の魔力が爆発した。
魔法陣から射出された真紅の極光は
周囲の全てを一瞬で焼き尽くし
範囲内のありとあらゆる全てを焼き滅ぼした。
しかし、その破滅的な爆発の中を平然と突っ切り
悪魔の少女に隕石の如く重たい一撃を与えた存在がいた。
咄嗟にレーヴァテインで防いだが
レーヴァテインを拳で粉砕し
凄まじい衝撃波がルインを襲い吹き飛ばした。
「アハハ…ギャハハハハハハハハッッ!!!」
「いいわ…貴女と遊ぶのとっても楽しいわ…」
「特別に私のとっておきを見せてあげるわっ!」
『星命が存在しない終末世界!!!』
空間を破壊し歪ませて
この星を数秒で飲み込む超巨大なブラックホールを顕現させ
自身以外の全てを破壊し
何も存在しない空虚な世界を作り出す禁断の魔法。
「………………コワス。」
モルドレッドはブラックホールを真紅の瞳で見つめ
ルインがやったようにブラックホールを見据えて
握りつぶすように広げた指をゆっくりと閉じていく
すると、ブラックホールが空間ごと一瞬にして凍てつき
粉々に破壊されてしまった。
「アハハハハハハッッ!凄い凄いっ!」
「貴女もルインみたいに壊せちゃうんだ~!」
「それなら、これならどう?」
ルインはレーヴァテインを水平に構えると
悪魔の少女は、真紅の瞳を静かに閉じる。
するとあれだけ溢れていた
崩壊現象を引き起こしていた禁忌と呼ばれた力と
真紅の魔力が掻き消えて、魔力が一切感じられなくなる。
魔力を零まで抑えて圧縮している間
そして、三十秒が経過した途端
圧縮されていた魔力が弾けた。
力を解放した瞬間、深紅の魔力が荒れ狂い
身体能力と魔力を数十万倍まで増大させた
破壊神の深紅の魔力を解き放った。
【深紅の破滅と終焉】
(……まずいな…このままじゃ
いくら世界をひっくり返せるような
規格外の異能を持ってるお姉ちゃんと言えど負ける。
ここから更に能力を昇華させる為には…)
「クルルとルクシア…力を貸してほしいんだけどいいかな?」
「お姉様の頼みならなんでもっ…痛いのだっ!?」
「なになに~私もやる~!……イテテッ!?」
シャルロットはルクシアとクルルの指を軽く切って
ルクシアとクルルの血液を二つの小瓶に集め
回復魔法で傷口を再生させる。
「お姉ちゃん…これ受け取ってっっ!!」
そして、シャルロットはまずルクシアの血が入った
小瓶をモルドレッドに全力で投げつけた。
小瓶を顔面で受け取った(?)モルドレッド
小瓶が割れて中身の血液が彼女の口内に入り込んだ。
すると、彼女の体が虹色に発光し始め
瞳に三日月の紋様が浮かび
髪色もルクシアのような淡い黄緑色に変わり虹色の魔力が迸る。
ルクシアの血液を摂取したことでこれより引き起こされる
魔王化したモルドレッドに起こる奇跡は。
ルクシアの完全模倣能力と
並行世界や宇宙さえも一つにする程の究極の融合能力。
モルドレッドがルインに手を翳すと
ルインを中心に世界中のありとあらゆる物が
ルインに引き寄せられるように引っ張られ
ルインを物量で押し潰そうとする。
しかし、ルインの持つ禁忌の破壊神の権能により
融合しかけた物質が破壊され木っ端微塵に吹き飛ばされる。
モルドレッドはこの世界には存在しない
未知の物質を大量に生み出し融合させ
その巨大な塊をルインに向かってぶん投げた。
ルインが謎の物体に右手を向けると赤雷が迸り
謎の物体が破壊される。
(うむ、こうなることは想定通りだが
やらりこの能力はルインとは相性が悪いな)
「よし、次はペルちゃん、君に決めた。」
「えっ!?ギャアアーーーッ!!???」
シャルロットはペルちゃんの首根っこを掴むと
ペルちゃんをモルドレッドに向かってぶん投げた。
モルドレッドは咄嗟にペルちゃんを抱きかかえるように受け止めるが
投擲と受け止められた衝撃によって
ペルちゃんの体が砕け散り盛大に吐血する。
そして、ペルネリアの血がモルドレッドの口内に入り
モルドレッドは更なる進化を遂げる。
虚弱体質な少女
不死なる冥界の姫にして
冥界を支配している魔王ハーデスの娘。
ペルネリア・デスポーネ・ハーデス
彼女の血液を取り込んだことにより起こった異変は
真紅の瞳が青みががった紫の瞳に染まり
冥府の冷気と決して滅びぬ不死の肉体と魂
そして、彼女の所有している
冥界の魔王ハーデスから受け継いだ
冥界の魔王兵装、冥獄滅天サクリファイス
そして、ペルネリアの血が引き起こす奇跡は
この現世を冥界へと変える
『生命の存在を赦されない死の世界』
「へえ…ペルちゃんの力も使えるんだ?」
サクリファイスとレーヴァテインが激しくぶつかり合い
冷気と熱気が荒れ狂い異常気象を発生させる。
そしてお互い互角に見える対決を繰り広げるが
モルドレッドは覚醒能力の連続発動で
魔力が既に限界が近づいていた。
(そろそろお姉ちゃんも保たないか……最後は、これにするか)
次にシャルロットが取り出したのは
クルルの血液を溜めておいた小瓶。
全力でぶん投げられた背後から迫る小瓶を
モルドレッドはノールックで受け取り
小瓶の血液を一気に飲み干す。
すると、またモルドレッドの様子が大きく変化し
堕天使の魔王の力がモルドレッドにも顕現する。
堕天使を思わせるような
神々しい輝きを放つ純白の天使の翼と
禍々しい黒い悪魔のような堕天使の翼が背中に生え
頭上には、漆黒の闇と金色の光が合わさったような
天使の光輪が浮かんでおり
髪色もクルルのように一部が黒い銀色に染まり
瞳も左目は真紅の瞳、右目が金色の瞳のオッドアイに変わり
手には、禍々しい闇が死神の鎌のように具現化した
魔王の最終兵装の一つである
クルルの持っている物と同じディアボロスが握られている。
魔王兵装を持つことは強制的に魔王顕現の段階まで
引き上げられることを意味する。
魔王兵装に認められなければ
手にした者に待っているのは死のみ。
なのだが、ルミナの力で既に魔王化していたことにより
奇跡が起こり、魔王兵装に認められる条件を偶然全てクリアしており
クルル同様に平然と魔王兵装であるディアボロスを所持している。
そして、ルインの持つ禁忌の魔剣レーヴァテインは
現在存在すると言われている三つ目の魔王兵装であり
他の魔王兵装…ルミナスとディアボロスと同等の力を宿している。
レーヴァテインとディアボロスが激しくぶつかり合い
火花を散らすが先程のクルルとの短い時間の戦闘を経て
ルインはディアボロスとの打ち合い方を会得し
レーヴァテインが振るわれたディアボロスを弾いていく。
しかし、クルルと同じ要領で相手をしているはずなのに
クルルと違って徐々に徐々にルインが押され始める。
モルドレッドの異能の真価は
取り込んだ血液の主の能力を
オリジナルより遥かに強化された状態で再現し
それだけでなく世界の理を根底から覆せる
奇跡のような現象を引き起こすことにある。
堕天使の魔王の血を取り込んだことで
モルドレッドが起こす奇跡とは
世界の裁定者にして断罪執行者としての神の権能
ルインはその身に有り余る力を持ってしまっただけの
ただの純粋無垢な子供だ。
今は戦闘による興奮で狂気に理性を支配されているが
それを沈静化させる方法は
彼女の犯してしまった禁忌の罪を断罪すること。
モルドレッドが振るったディアボロスは
彼女の犯してしまった罪を切り裂いて、罪を浄化していき
モルドレッドがディアボロスを振るう度に
防御不可、回避不能の痛みとして神罰を与えられ
彼女の狂気は徐々に鳴りを潜めだす。
そして、最後の一撃をルインに与えると
同時にシャルロットにもディアボロスの刃が届く。
彼女が狂気の破壊神と成ってしまった
そもそもの原因は元を辿れば
彼女を悪魔として恐れ忌み嫌った世界と
シャルロットが長過ぎる時間、彼女を幽閉したことによる
膨れ上がった外の世界への憧れと願望
そして孤独が彼女をより狂わせてしまったのだ。
そして、彼女の罪とは殺戮以外の遊びを知らないことだ。
今は、昔と違い、彼女の周りには沢山の友達がいる
これからは私達と色んな遊びを知っていけば
自然とそれが人知れず贖罪となるであろう。
そして、狂気をある程度落ち着かせたのはいいが
私ではこの子に有効打を与えられない。
攻め悩んでいる内に魔力と効力が切れてしまった。
神々しい輝きが失われモルドレッドが地面に堕ちる。
次の瞬間、白紫色の凄まじい魔力が発生し大気を激しく振動させる。
それは、金色の瞳を真祖の吸血鬼のように紅くさせ
魔王のような風貌となり悪魔の片翼を展開した
シャルロットが天高く掲げた
魔剣から溢れ出した天を貫く白夜の極光の光柱。
「我が最強の一撃で全てを終わらせる。」
そして、魔剣が振り下ろされた瞬間
神や人の領域を遥かに超えている規格外の魔力が爆発を起こし
周囲を白夜のように明るく照らし、私達は白い極光に飲み込まれた。
シャルロットの宇宙を滅ぼす魔王の斬撃によって
何もかも全てを消し飛ばしてしまった。
魔王が放った斬撃は世界を断ち切る斬撃と無限の魔力
そひてルインの破壊を上回る破壊とは対極の力と
同じく破壊を上回る破壊が合わさった創世神の斬撃
全力で彼女は抗いお互いの魔力と破壊が拮抗し
最終的にそのまま周囲の全てを跡形もなく消し飛ばしてしまった。
シャルロットは足元で目を回して気絶している
ルインの頭を撫でていると目を覚ます。
「おはよーシャル姉~もう朝~?」
「…凄いなアレを食らってもピンピンしてやがる。」
「久しぶりにシャル姉の魔力を浴びて興奮してきちゃったな~」
「シャル姉~二回戦やっていい?」
「今日はもう殺し合いごっこはお終い。
みんな疲れちゃったからまた明日やろう。」
「はーい。」
久しぶりに思いっきり暴れられて機嫌が良いのか
素直に言う事を聞いてくれた。
そして、戦闘後の周囲の街の変わり果てた荒廃具合を見て
私は頭を抱えるのであった。
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