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第四章
第十五話
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領主に龍の頭を届け、報酬について契約を交わしてから宿に戻って来た。
メンバー全員がベッドや椅子に座り、真剣な面持ちで向き合っていた。
「さて」
マギクが開会させる。
「総括を始めようか」
今回の戦闘に関して、最初は各自、自分に関する反省点を挙げていった。
その後パーティ全体に対して、或いは他のメンバーに対して指摘していった。
全員が謙虚かつ互いを尊重・信頼し合っているからこそ成せる業だ。そして反省の質自体もものすごく高いと感じる。
こういう細かい所でさえ洗練されているからこそ「金級」なのだろう。
しばらく話を聞いていると、やっぱり今回の彼らは本調子ではなかったらしい。
もちろん、相手が物理攻撃にも魔法攻撃にも強く、攻撃手段が限られているというのもあるが、それ以上に最初に不意打ちとして火球を受け、大半が動けない上に手負いの状態で開戦したことが、メンバー間の連携と調子を乱したとのことだ。
特に、ピーキーな強さを持ち、持ち味を十分に発揮するための「リズム」を大事にするリレラにとっては、より一段と厳しかったらしい。
だとしても絶えず攻撃の突破口になり続けていたのは流石だ。
リレラと並ぶ攻撃の要になっていたジールバードについても、最初に爆発を浴びて負傷していながら応急処置のみで問題なく戦い抜いていた所を鑑みるに、年齢や「固定砲台」という役回りに見合わぬタフネスを備えているようだ。
分析に徹して気を紛らわせていても、私の心の底にほんのり渦巻く恐怖心は大きくなっていく。
いつしか議題は敵の分析へと切り替わっていた。
「俺が『龍溶酸』をあいつに投げ付けた時、あいつは指先で小突いて割った。あいつは瞬時にヤバさを見抜いて、自分に掛からないよう最適な行動を取ったってことだ」
熱心に論じているのはウロだ。
「これがどういうことか分かるか?」
「ああ。…だが、それだけじゃねえだろう?」
ジールバードが鋭い視線を返していた。
「そうだ。防御を崩す打撃の使い方、不意を突く攻撃対象の変更、火球を使った追い打ち、瞬時に一番危険な奴を理解して対策…。ただの蛇畜生がやれることとは思えねえ」
「…それに、あの龍は半年前に突然現れたそうだけど、そもそもこの地域に生息している種ではないらしいんだよね」
マギクが二人と視線を交わした。
「だとしたら答えは一つだ。だよね、ウロ?」
「ああ」
何者かが、それも恐らくかなり実力の高い「魔物使い」が何らかの意図を持って龍を放った、という結論が示された。
「もし自分の手駒が倒されたって気付かれたら、さらなる攻撃を仕掛けて来るかもしれない。明後日また会うときに領主さんに話をしようか」
「だな」
話が一段落した。
このまま終わってほしいと思っている自分が居る。だが、そんな私の望みなどお構いなしに、会議はまだ続くようだった。
「ところで…」
ウロが私の方を向いた。彼に釣られて他のメンバーの視線も私に集まる。
思わず身体がビクッと跳ね、冷や汗が流れる。
よりによって最も恐れていたことが起きた。
「こいつについてだ。お前らはどう思う?」
返答はすぐには行われなかった。
沈黙の時間は多分ほんの数秒だっただろう。だけど、その僅かな時間が私にとっては恐ろしかった。
「やめないか」
沈黙を破り、目を閉じて震えている私の救いになったのはテンだった。
彼は立ち上がって言った。
「この子は…ウロ、貴方の命を救ったんだぞ。そんな命の恩人に残酷な仕打ちをーー」
「黙ってろ。捕虜が俺たちの会議に口を挟むな」
ウロの声は厳格だった。だが、そこに怒りや憎しみはない。冷静さを秘めた、窘めるような言い方だ。
「…答えが出ないなら、俺の意見から話させてもらうわ。整理すると、まずこいつは『裏切り』の可能性が高い上で勝手に行動し、さらに剣まで抜いた。しかも麻痺も『魔力断ち』も知らねえ内に治してやがった」
その時、ウロと目が合ってしまった。
私は思わずまた目を瞑った。
椅子が引かれる音がした後、足音が近付く。
「おい」
ウロがすぐそこに来ている。
どうにか助からないかと、高速で思考を巡らせる。その度に目に涙が溜まる。
その時、頭に手が乗せられた。
脳内が真っ白になった。
死んだと思った。
だが、その手は優しく、私の頭を丁寧に撫でていった。
「そんなに怯えるなよ」
目を開けようとすると、ウロは目元をハンカチで拭ってきた。
「オレは今からお前の弁護をしようとしてんだから」
ハンカチを半ば強引に渡してきてから、話を再開した。
「こいつは裏切るリスクが高い。身体は万全だし、現に武器を抜いてる。でも、それで下手したらぶっ殺されるかもしれねえってことを、こいつも分かっていた筈だ。分かってんのにオレを助けた。しかも、あの時のオレはこいつが動き出したのに気付くのも遅れたし、こいつは位置的にオレを刺そうと思えば刺せた。でもそうしなかった。分かるか? 今こうなる展開まで全部計算してやっているって可能性が無いわけじゃねえ。が、こいつの事をもう少しだけ信じてやれねえか? …もしそうしねえなら、オレの命の価値も軽くなっちまう」
ウロの熱弁に私は感動していた。
昔馬車の上で初めて出会ったリレラに助けて貰った時のように、胸がぽかぽかしていた。
「はあ」
マギクは溜め息を一つ吐いた。
「熱心に話してくれたところ悪いけど、僕は最初から君と同意見だよ」
「あたしもだ」
「俺も賛成だ」
マギクの言葉に続いてリレラ、ジールバードもそう言った。
「ちっ」
ウロが舌打ちする。
「なら最初から言えっつうの」
「だって、ウロが殺す派だと思ったんだもん」
リレラの発言にウロが反論しようとするが、マギクが口を挟んだ。
「君は不器用なんだよ。君の言い方が紛らわしくて乱暴だから、グレアさんも勘違いしてこんなに泣いちゃった訳だしさ。命の恩人を震えあがらせてどうするんだい?」
そして今度はジールバードが反論の間を与えなかった。
「俺だって今回は擁護出来んぞ。お前が頭を撫でた時、唖然とした。てっきりもぎに行ったのかと錯覚したぞ」
その後も三人と一人のどんちゃん騒ぎは続いた。
「よかったな。でも力になれなくてすまなかった」
テンが私の横で頭を下げていた。
「いいんですよ。立場上テン様も難しかったでしょうし。結局良い方に転んだので」
「もういい、オレゃ寝る」
その時、不貞腐れのウロがベッドの上に寝転がった。
私は彼の隣に行って、お礼を言った。
「ありがとうございました。私を許して下さって、それから助けてくださって」
彼の長い腕が伸び、私の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「うるせぇ。お前はオレの被害者なんだから、礼なんか言うんじゃねえ」
そう言うと、ウロは寝返りを打ってそっぽを向いてしまった。
頭には暖かさが残っていた。
罪は消えない。でも受け入れられた気がした。
メンバー全員がベッドや椅子に座り、真剣な面持ちで向き合っていた。
「さて」
マギクが開会させる。
「総括を始めようか」
今回の戦闘に関して、最初は各自、自分に関する反省点を挙げていった。
その後パーティ全体に対して、或いは他のメンバーに対して指摘していった。
全員が謙虚かつ互いを尊重・信頼し合っているからこそ成せる業だ。そして反省の質自体もものすごく高いと感じる。
こういう細かい所でさえ洗練されているからこそ「金級」なのだろう。
しばらく話を聞いていると、やっぱり今回の彼らは本調子ではなかったらしい。
もちろん、相手が物理攻撃にも魔法攻撃にも強く、攻撃手段が限られているというのもあるが、それ以上に最初に不意打ちとして火球を受け、大半が動けない上に手負いの状態で開戦したことが、メンバー間の連携と調子を乱したとのことだ。
特に、ピーキーな強さを持ち、持ち味を十分に発揮するための「リズム」を大事にするリレラにとっては、より一段と厳しかったらしい。
だとしても絶えず攻撃の突破口になり続けていたのは流石だ。
リレラと並ぶ攻撃の要になっていたジールバードについても、最初に爆発を浴びて負傷していながら応急処置のみで問題なく戦い抜いていた所を鑑みるに、年齢や「固定砲台」という役回りに見合わぬタフネスを備えているようだ。
分析に徹して気を紛らわせていても、私の心の底にほんのり渦巻く恐怖心は大きくなっていく。
いつしか議題は敵の分析へと切り替わっていた。
「俺が『龍溶酸』をあいつに投げ付けた時、あいつは指先で小突いて割った。あいつは瞬時にヤバさを見抜いて、自分に掛からないよう最適な行動を取ったってことだ」
熱心に論じているのはウロだ。
「これがどういうことか分かるか?」
「ああ。…だが、それだけじゃねえだろう?」
ジールバードが鋭い視線を返していた。
「そうだ。防御を崩す打撃の使い方、不意を突く攻撃対象の変更、火球を使った追い打ち、瞬時に一番危険な奴を理解して対策…。ただの蛇畜生がやれることとは思えねえ」
「…それに、あの龍は半年前に突然現れたそうだけど、そもそもこの地域に生息している種ではないらしいんだよね」
マギクが二人と視線を交わした。
「だとしたら答えは一つだ。だよね、ウロ?」
「ああ」
何者かが、それも恐らくかなり実力の高い「魔物使い」が何らかの意図を持って龍を放った、という結論が示された。
「もし自分の手駒が倒されたって気付かれたら、さらなる攻撃を仕掛けて来るかもしれない。明後日また会うときに領主さんに話をしようか」
「だな」
話が一段落した。
このまま終わってほしいと思っている自分が居る。だが、そんな私の望みなどお構いなしに、会議はまだ続くようだった。
「ところで…」
ウロが私の方を向いた。彼に釣られて他のメンバーの視線も私に集まる。
思わず身体がビクッと跳ね、冷や汗が流れる。
よりによって最も恐れていたことが起きた。
「こいつについてだ。お前らはどう思う?」
返答はすぐには行われなかった。
沈黙の時間は多分ほんの数秒だっただろう。だけど、その僅かな時間が私にとっては恐ろしかった。
「やめないか」
沈黙を破り、目を閉じて震えている私の救いになったのはテンだった。
彼は立ち上がって言った。
「この子は…ウロ、貴方の命を救ったんだぞ。そんな命の恩人に残酷な仕打ちをーー」
「黙ってろ。捕虜が俺たちの会議に口を挟むな」
ウロの声は厳格だった。だが、そこに怒りや憎しみはない。冷静さを秘めた、窘めるような言い方だ。
「…答えが出ないなら、俺の意見から話させてもらうわ。整理すると、まずこいつは『裏切り』の可能性が高い上で勝手に行動し、さらに剣まで抜いた。しかも麻痺も『魔力断ち』も知らねえ内に治してやがった」
その時、ウロと目が合ってしまった。
私は思わずまた目を瞑った。
椅子が引かれる音がした後、足音が近付く。
「おい」
ウロがすぐそこに来ている。
どうにか助からないかと、高速で思考を巡らせる。その度に目に涙が溜まる。
その時、頭に手が乗せられた。
脳内が真っ白になった。
死んだと思った。
だが、その手は優しく、私の頭を丁寧に撫でていった。
「そんなに怯えるなよ」
目を開けようとすると、ウロは目元をハンカチで拭ってきた。
「オレは今からお前の弁護をしようとしてんだから」
ハンカチを半ば強引に渡してきてから、話を再開した。
「こいつは裏切るリスクが高い。身体は万全だし、現に武器を抜いてる。でも、それで下手したらぶっ殺されるかもしれねえってことを、こいつも分かっていた筈だ。分かってんのにオレを助けた。しかも、あの時のオレはこいつが動き出したのに気付くのも遅れたし、こいつは位置的にオレを刺そうと思えば刺せた。でもそうしなかった。分かるか? 今こうなる展開まで全部計算してやっているって可能性が無いわけじゃねえ。が、こいつの事をもう少しだけ信じてやれねえか? …もしそうしねえなら、オレの命の価値も軽くなっちまう」
ウロの熱弁に私は感動していた。
昔馬車の上で初めて出会ったリレラに助けて貰った時のように、胸がぽかぽかしていた。
「はあ」
マギクは溜め息を一つ吐いた。
「熱心に話してくれたところ悪いけど、僕は最初から君と同意見だよ」
「あたしもだ」
「俺も賛成だ」
マギクの言葉に続いてリレラ、ジールバードもそう言った。
「ちっ」
ウロが舌打ちする。
「なら最初から言えっつうの」
「だって、ウロが殺す派だと思ったんだもん」
リレラの発言にウロが反論しようとするが、マギクが口を挟んだ。
「君は不器用なんだよ。君の言い方が紛らわしくて乱暴だから、グレアさんも勘違いしてこんなに泣いちゃった訳だしさ。命の恩人を震えあがらせてどうするんだい?」
そして今度はジールバードが反論の間を与えなかった。
「俺だって今回は擁護出来んぞ。お前が頭を撫でた時、唖然とした。てっきりもぎに行ったのかと錯覚したぞ」
その後も三人と一人のどんちゃん騒ぎは続いた。
「よかったな。でも力になれなくてすまなかった」
テンが私の横で頭を下げていた。
「いいんですよ。立場上テン様も難しかったでしょうし。結局良い方に転んだので」
「もういい、オレゃ寝る」
その時、不貞腐れのウロがベッドの上に寝転がった。
私は彼の隣に行って、お礼を言った。
「ありがとうございました。私を許して下さって、それから助けてくださって」
彼の長い腕が伸び、私の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「うるせぇ。お前はオレの被害者なんだから、礼なんか言うんじゃねえ」
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