魔王メーカー

壱元

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第四章

第十二話

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「たまたま酒場に来てた役人が俺の首に掛かった『金級』の飾りを見かけて声を掛けてきた。『金級』以上にしか頼めねえ依頼があるってな」

ジールバードは依頼の内容を話し始め、さっきまでリラックスしていたメンバーは皆真剣になって耳を傾けた。

半年前、べレムジア周辺の森林に「鏡鱗蟷螂蛤腕地龍スペッキマンティシェレームボズドラカ」という魔物が現れた。

「すげえ名前だな」

ウロが真剣な表情のまま言う。

都市に出入りする者がその魔物に襲われる事件が何度も起こり、既に数十人が死亡している。そのために主要な街道のいくつかを封鎖する必要性にも迫られ、主産業である魔具・魔導書、薬草等の取引に支障が出ているという。

「だが、それだけやられてもここの連中にはこいつをどうにも出来ない理由がある」

魔物の「鏡鱗スペッキ」には魔力を打ち消す性質があり、「蛤腕シェレームボズ」は物理攻撃を防ぐ。“魔法都市”の衛兵の得意技は無効化され、渋々繰り出す不得手な一撃は役に立たない。

かつて「銀級」以下の冒険者が依頼を受けてこの怪物の討伐に向かうも、彼らの多くは先に挙げた「数十人」に含まれることになった。

「金級」以上専用というのはそういった経緯からだろう。

「報酬はいくらだい?」

マギクはそう訊きながら「魔物図鑑」と書かれた本のページをパラパラと捲っている。

だが、ジールバードがその額を答えるとその手が止まった。

メンバーが無言で視線を交わし合う。

答えは決まっていた。


 翌日、正式に依頼を引き受けた「夜明けの旅団」は領主や役員たちに見送られながら都市を発った。

例によって私達三人もマギクたちに付いていくことになった。

数十分経ったところで目的地に着き、馬車を停め、私達は森の中へ入って行った。

森の中は不気味な程に静かだった。

季節の関係もあるだろうが、他の魔物はおろか小さな虫にさえ一向に出会わない。

もはや敵はここを去ってしまったのではないか、そんな疑念が漂い始めた頃、木々が不自然に倒され、地面が削られ、一本道のようになった地形が目の前に現れた。

「…行ってみよう」

一段と増す緊張感の中でマギクが先陣を切って進んでいく。

しばらく行くと、大量の人骨が入口に転がる大きな洞穴があった。その周辺もやはり整地されて広場のようになっている。

龍はすぐそこに居る…!

全員が武器を構えた時、洞穴から巨大な火球が飛び出した。

一瞬の出来事だった。

火球はマギクが咄嗟に放った「水」属性魔法で軽減されたが、爆発の衝撃によってリレラとジールバードが吹き飛ばされ、洞穴が崩れて岩や木々が飛び散った。

一瞬にして甚大な被害が出た。

そんな中、瓦礫の下から橙色をした丸く、大きな光輝く魔物の体躯が現れた。


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