魔王メーカー

壱元

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第四章

第六話

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 敵数…ざっと30以上。

「俺たちに手を出すたぁ、なかなか見上げた度胸じゃねえか」

ジールバードが銃を構えながら言った。

「みんな」

マギクが両手に魔力を溜めながらパーティメンバーに呼びかける。

「この二人を守るように。特別条件はそれだけ。後はいつもどおりやってくれ」

「了解!」

三人が返答し、全員が同時に動き出す。

敵も同じタイミングで一斉に押し寄せる。

マギクの両手から魔法が放たれ、前方の戦士五人程が一瞬で氷漬けになり、バラバラと崩れる。

ジールバードが弓を構える弓兵の眉間を正確に撃ち抜き、リレラが真っ赤に光る大剣を振り回しながら剣士二人を同時に相手する。

遥か格上の見せる高等な戦闘技術に思わず目を奪われる。

そんな時、どこからか弦の震える音・風を切る音が聞こえるや否や視界が遮られる。

「あっぶねえな、おい」

大盾を装備したウロが素早く飛び出し、私に飛んで来た矢を防いだのだ。

「ありがとうございます」

彼が気付いてくれなければ回避する術のない私は死ぬところだった。わだかまりはあったものの素直に礼を言った。

「リーダーの指示を遵守してるだけだ」

彼はこちらを見ず、ぶっきらぼうにそう答えると、背中に背負った大きな革袋に手を伸ばし、二つの小瓶を指に引っ掛け、まとめて敵に投げた。

小瓶は先程の弓兵の足元で割れ、中身が飛び散って混ざった途端、爆発を起こす。

ウロは一気に四、五人を仕留めた。

「すごい…」

思わず感想が口から洩れた。ウロに限らず全メンバーが今までお目にかかったことがない程効率的で安全な戦い方をしている。

これが「金級」冒険者、これが「夜明けの旅団」…!

「あーあ」

ウロは革袋から盾の揃いの銅色の装飾がついた金槌を取り出しながら言った。

「キリカが居れば、こんな能無しのごろつきども、もっと早く片付いていたのによぉ。誰がキリカを殺したんだろうなぁ」

私が何も言えずに居ると、ウロは敵に向かって金槌を投げ、それを追うように走っていった。

相手は体格が大きく、大斧に角付きの兜を装備した典型的な重装歩兵。投げつけた金槌の一撃は防がれつつも斧刃を砕き、跳ね返ってきた金槌を受け取ったウロは、攻撃を身軽に躱し、盾で受け流しながら全身の急所を撃ち砕いていく。

その数m先ではリレラがレイピアを装備した軽装の戦士と打ち合っていた。

戦士はリレラの重い一撃を細い刀身で巧く受け止め、完璧に受け流すが、レイピアの方が「炎刃」の熱でぐにゃりと曲がってしまう。

防御の手段を失った敵は次の攻撃の回避を試みたものの、それを読んでか半歩踏み込んだリレラに鮮やかに一刀両断される。

直後、発砲音が響き、遠くの敵が崩れ落ちる。よく見ると、その手にもライフル銃があった。

ちょうどジールバードが「早撃ち」に勝利したところだろう。

他メンバーの激闘を横目に、リーダー:マギクも再度魔法を放ち、目の前の数人を地面から飛び出させた鉄の棘で串刺しにする。

討伐人数だけを見れば、マギクが一番だ。やはり集団戦において魔法は強い。

このまま戦闘が終わってしまうと思ったその時、マギクに向けて氷でできた大剣が飛んでくる。

彼は攻撃を辛うじて回避したが、剣は勢いのまま木を次々切り倒す。

倒れてくる木も咄嗟の「影渡りヌイコーゼ」で避けて体勢を整え、敵を見据えた。

そこには、白髪で瓜二つの若い魔女が二人並んで立っていた。

その時、リレラの前にも鬼のような仮面を被った小柄な剣士が飛び出し、ジールバードは遠くから飛んできた矢を左腕の鉤爪で弾く。ウロの前にもスキンヘッドの武術家のような男が立っていた。

わざわざこんな大人数で徒党を組んで「金級」パーティを襲おうというのだ。

やっぱり奥の手があった。

今宵最後の戦いが始まった。

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