魔王メーカー

壱元

文字の大きさ
上 下
56 / 132
第二章 前編

第二十八話

しおりを挟む
 彼女は策謀のあらましを語ってくれた。

「伯爵と側近を全員大々的に殺し、街を焼き払うのです。秘密裏に明後日侵攻する『キリカナム教団』にも掛け合ってみましょう。計画の詳細については、後から二人で話し合って決めていきましょう」

「わかりました」

こうなることは、ある程度予想がついていた。故に、平常心のまま会話を続けた。

「明後日は混戦になりそうですが、そこでバセリアを排除することは出来ませんか? 彼女に手の内を見せなかったのは敵対することを想定していたからでしょう?」

「…そこに帰着させる予定で貴女をここに呼んだ訳ですが、話すまでもありませんでしたか。そうですね、私もそれは考えてみたのですが、まだ『あれ』には利用価値がありますから。貴女は近々それを知らされることになりますが、さすがにそこまでは読んでいませんよね?」

「どういうことですか?」

「バセリアが貴女を弟子にしたいと、伯爵と交渉中です。ケンダル王国屈指の剣士から技を盗むことが出来るのですよ」

「なるほど。棄てるのは使ってからの方がいいですね」

私はふとラーラの顔に目をやった。

彼女は面白そうに笑っていた。

「どうしたのですか?」

「いや、随分と『魔王』らしい言葉遣いになってきましたね」

私ははっとした。


    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

エクリプス 〜瑪瑙の章〜

亜夏羽
ファンタジー
某西暦X年、春。 私立妖華軍化学高校(あやはな軍化学高校)に入学した新入生の瑪瑙 紅華は入学早々、様々な出来事に巻き込まれる。 国と国との戦争・冷戦や揉め事、親友や新たな仲間、能力の開花・覚醒、 大事な"あの人"との関係も明らかに?! 国同士のぶつかり合いが今、始まる……! これは、たった1人の少女が国を背負って闘う、学園ファンタジー物語。

【第一部完結】魔王暗殺から始まった僕の異世界生活は、思ってたよりブラックでした

水母すい
ファンタジー
 やりたいことがない空っぽの高校生の僕がトラックに轢かれて転移したのは、なんと魔王城だった。  貴重な役職の《暗殺者》である僕はチートスキルを駆使して、魔王を倒して囚われの姫を救い出すことに。  ⋯⋯ただし使えるのは短剣一本。  英雄なのに英雄になれない、そんな報われない僕の異世界生活は魔王討伐から始まる── ・一話の分量にバラつきがありますが気分の問題なのでご容赦を⋯⋯ 【第一部完結】 第二部以降も時間とネタができ次第執筆するつもりでいます。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...