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第二章 前編
第二十八話
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彼女は策謀のあらましを語ってくれた。
「伯爵と側近を全員大々的に殺し、街を焼き払うのです。秘密裏に明後日侵攻する『キリカナム教団』にも掛け合ってみましょう。計画の詳細については、後から二人で話し合って決めていきましょう」
「わかりました」
こうなることは、ある程度予想がついていた。故に、平常心のまま会話を続けた。
「明後日は混戦になりそうですが、そこでバセリアを排除することは出来ませんか? 彼女に手の内を見せなかったのは敵対することを想定していたからでしょう?」
「…そこに帰着させる予定で貴女をここに呼んだ訳ですが、話すまでもありませんでしたか。そうですね、私もそれは考えてみたのですが、まだ『あれ』には利用価値がありますから。貴女は近々それを知らされることになりますが、さすがにそこまでは読んでいませんよね?」
「どういうことですか?」
「バセリアが貴女を弟子にしたいと、伯爵と交渉中です。ケンダル王国屈指の剣士から技を盗むことが出来るのですよ」
「なるほど。棄てるのは使ってからの方がいいですね」
私はふとラーラの顔に目をやった。
彼女は面白そうに笑っていた。
「どうしたのですか?」
「いや、随分と『魔王』らしい言葉遣いになってきましたね」
私ははっとした。
「伯爵と側近を全員大々的に殺し、街を焼き払うのです。秘密裏に明後日侵攻する『キリカナム教団』にも掛け合ってみましょう。計画の詳細については、後から二人で話し合って決めていきましょう」
「わかりました」
こうなることは、ある程度予想がついていた。故に、平常心のまま会話を続けた。
「明後日は混戦になりそうですが、そこでバセリアを排除することは出来ませんか? 彼女に手の内を見せなかったのは敵対することを想定していたからでしょう?」
「…そこに帰着させる予定で貴女をここに呼んだ訳ですが、話すまでもありませんでしたか。そうですね、私もそれは考えてみたのですが、まだ『あれ』には利用価値がありますから。貴女は近々それを知らされることになりますが、さすがにそこまでは読んでいませんよね?」
「どういうことですか?」
「バセリアが貴女を弟子にしたいと、伯爵と交渉中です。ケンダル王国屈指の剣士から技を盗むことが出来るのですよ」
「なるほど。棄てるのは使ってからの方がいいですね」
私はふとラーラの顔に目をやった。
彼女は面白そうに笑っていた。
「どうしたのですか?」
「いや、随分と『魔王』らしい言葉遣いになってきましたね」
私ははっとした。
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