魔王メーカー

壱元

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第二章 前編

第二十二話

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 黒色の十字が大きく入った白色の修道着を着た、私達とほぼ同世代の少年。

髪は黒色で、前髪は目元を覆うほど長く、真っ白な歯をむき出して笑っている。

「やっぱり『霊体』じゃ精度が落ちるな。記憶も曖昧だ。だが、お前達のことは憶えてるぜ」

敵はそう言うと、一瞬にして目の前から姿を消した。

ラーラがこちらを振り返る。

刹那、首に火に焼かれたような熱さを覚える。

「同じ技だな、『秘密のラーラ』」

敵の手とナイフが、目下すぐそこにあった。私は咄嗟に上半身を回転させ、伸ばした腕を敵に叩きつけた。

「うあっ!」

敵は武器を私の頸部に残したまま、三メートルほど弾け飛んだ。

地に臥せり、悶えながら吐血している敵の背後にラーラが出現し、手にした「影織ヌイヴァス」でその首筋を打った。

次の瞬間、敵の頭は独りでにごろごろと地面を転がり、もう一方の断面からは大量の血が噴き出した。私の頬にも噴血がピチャリとぶつかった。

突如、私は咳き込んだ。

直径十cm程の血溜まりがすぐ下の地面に出来た。

首の方からもだらだらと流血してくる。

全身から力が抜けたと思うと、いつの間にか地面に倒れていた。

「グレア様! しっかり!」

ラーラが大慌てで、一度転びながら駆け寄り、何やら言ったようだったが、聞き取れなかった。


だんだんと、意識は遠くなっていった…


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