47 / 205
第二章 前編
第十九話
しおりを挟む
二日目、丘の上にて、ラーラは闇で作った黒い布「影織」を構え、私が次々に放つ大小様々な「火球」を受け止めていた。
魔法の出力強化の為に必要なのは、回数をこなすことらしい。
だが、「習うより慣れろ」ではない。
「火球」系統の生成、その原理を理解した上で反復練習に臨んでいるのだ。
原理を理解すれば、応用も自ずと可能になる。
三日目、私は師の命に従い、掌ではなく指先を起点として魔法を発動していた。
その成功を見て、彼女は私を称賛してくれ、私も彼女の指導に対する感謝を心底より告げた。
四日目、新たな魔法を二つ習得すると同時に、驚くべき事が起こった。
たった一度だけだが、「大火球」を放った時、それが「影織」を見事に打ち破ったのだ。
「この数日間でよくもここまで成長しましたね」
そう吐息混じりに言うラーラの黒フードの隙間には汗が光っていた。
これがどの感情に基づくのか、この時は特定できなかったが、その答えは図らずも翌日に明かされた。
五日目、試験時の頼れる相棒を腕に装着した彼女は、「怖いので」と言い、間を入れず「褒め言葉ですよ?」と付加した。
前日の新魔法二つと「火球」類を試した後、「光槍」を放った。
奇跡的に形を成したそれは、「影織」を破り、液体魔法の六割を消し去った。
「試験時よりずっと強くなっています。威力は申し分ないですから、コントロールを錬成しましょう」
彼女はそう言った。
フードの下では、きっと笑っていただろう。
六日目の夕方、到着直後の私達に、警備兵より伝言が手渡された。
どうやら、西方の農村に、強力な魔物が迫っているという。
専門家によると、これに対しては、物理攻撃よりも魔法が有効らしく、数も少なく、丁度二人の魔法使いで討伐するのが適している、という。
「ふふ、鴨が葱を背負ってやって来ましたね」
ラーラは楽しげに言った。
魔法の出力強化の為に必要なのは、回数をこなすことらしい。
だが、「習うより慣れろ」ではない。
「火球」系統の生成、その原理を理解した上で反復練習に臨んでいるのだ。
原理を理解すれば、応用も自ずと可能になる。
三日目、私は師の命に従い、掌ではなく指先を起点として魔法を発動していた。
その成功を見て、彼女は私を称賛してくれ、私も彼女の指導に対する感謝を心底より告げた。
四日目、新たな魔法を二つ習得すると同時に、驚くべき事が起こった。
たった一度だけだが、「大火球」を放った時、それが「影織」を見事に打ち破ったのだ。
「この数日間でよくもここまで成長しましたね」
そう吐息混じりに言うラーラの黒フードの隙間には汗が光っていた。
これがどの感情に基づくのか、この時は特定できなかったが、その答えは図らずも翌日に明かされた。
五日目、試験時の頼れる相棒を腕に装着した彼女は、「怖いので」と言い、間を入れず「褒め言葉ですよ?」と付加した。
前日の新魔法二つと「火球」類を試した後、「光槍」を放った。
奇跡的に形を成したそれは、「影織」を破り、液体魔法の六割を消し去った。
「試験時よりずっと強くなっています。威力は申し分ないですから、コントロールを錬成しましょう」
彼女はそう言った。
フードの下では、きっと笑っていただろう。
六日目の夕方、到着直後の私達に、警備兵より伝言が手渡された。
どうやら、西方の農村に、強力な魔物が迫っているという。
専門家によると、これに対しては、物理攻撃よりも魔法が有効らしく、数も少なく、丁度二人の魔法使いで討伐するのが適している、という。
「ふふ、鴨が葱を背負ってやって来ましたね」
ラーラは楽しげに言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる