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第二章 前編
第七話
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嫌な予感に限って必中なのは世の定めだ。
初日:凍てつく顔の女中頭、サノーネ・キオスに、貴族に仕える者に求められる所作の有無を試され、一挙手一投足にダメ出しされた。
これでは評価対象にならないということで、サノーネに礼儀作法を一から叩き込まれた。
そして一日の終わりにそれらの習得を試され、十点中四点と評価された。
この日は適度に休憩が挟まれ、幸いだった。
夕食時に、さっそく身に付けた振る舞いを実践してみたが、残念ながら誰も褒めてはくれなかった。
二日目:この日はバセリアが担当者だった。
安心したのも束の間、「これを持て」といきなり木剣を投げ渡され、稲妻のような問答の末に決闘が始まった。
その剣技の恐ろしさを垣間見た私は、思わず足が竦んでいたが、多少は手を緩めてくれるものだろう、と恐怖を振り切って対峙した。
結果、全く歯が立たず、私は全身の苦痛とともに地面に臥した。
「まだまだだな」
彼女はそう言い残して夕日を背に帰城してしまった。
その後、バセリアが戻ってきて怪我の手当をしてくれなかったら、私は人間不信に陥るところだった。
閣下の「彼女は君の師になるかもしれない」という言葉は明暗二色に染められた。
この日は試験開始時刻も遅く、試験時間が短かったので、体力の消費自体は大したことがなかった。
三日目:再びサノーネが担当。
今度は「汎人語」の運用能力と算術が試験対象となった。
前者では試験官との簡単な問答に加え、筆記や物語の読解を行った。
後者では四則演算を用いて様々な形態の問題を解いた。
筆記も算術も初めて行ったが、少し基礎を教わったことで、何とか形になった。
この日に限っては、楽しささえ覚えていたので、苦ではなかった。
最終日、朝食を済ませた私は城門に来るよう指示された。
扉を開けた途端、私の身体は強張った。
そこで馬とともに待機していたのは、私が忌避し続けた例の黒フード、「秘密のラーラ」だった。
初日:凍てつく顔の女中頭、サノーネ・キオスに、貴族に仕える者に求められる所作の有無を試され、一挙手一投足にダメ出しされた。
これでは評価対象にならないということで、サノーネに礼儀作法を一から叩き込まれた。
そして一日の終わりにそれらの習得を試され、十点中四点と評価された。
この日は適度に休憩が挟まれ、幸いだった。
夕食時に、さっそく身に付けた振る舞いを実践してみたが、残念ながら誰も褒めてはくれなかった。
二日目:この日はバセリアが担当者だった。
安心したのも束の間、「これを持て」といきなり木剣を投げ渡され、稲妻のような問答の末に決闘が始まった。
その剣技の恐ろしさを垣間見た私は、思わず足が竦んでいたが、多少は手を緩めてくれるものだろう、と恐怖を振り切って対峙した。
結果、全く歯が立たず、私は全身の苦痛とともに地面に臥した。
「まだまだだな」
彼女はそう言い残して夕日を背に帰城してしまった。
その後、バセリアが戻ってきて怪我の手当をしてくれなかったら、私は人間不信に陥るところだった。
閣下の「彼女は君の師になるかもしれない」という言葉は明暗二色に染められた。
この日は試験開始時刻も遅く、試験時間が短かったので、体力の消費自体は大したことがなかった。
三日目:再びサノーネが担当。
今度は「汎人語」の運用能力と算術が試験対象となった。
前者では試験官との簡単な問答に加え、筆記や物語の読解を行った。
後者では四則演算を用いて様々な形態の問題を解いた。
筆記も算術も初めて行ったが、少し基礎を教わったことで、何とか形になった。
この日に限っては、楽しささえ覚えていたので、苦ではなかった。
最終日、朝食を済ませた私は城門に来るよう指示された。
扉を開けた途端、私の身体は強張った。
そこで馬とともに待機していたのは、私が忌避し続けた例の黒フード、「秘密のラーラ」だった。
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