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第一章
第二十二話
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身体を起こして窓越しに見てみると、まだ外は暗く、真っ黒な空には星が数多く光っていた。
期待と不安を伴った「恋の悩み」のせいで予期せぬ時間帯に目が覚めてしまった。
もう一度寝てしまおうと考えたのだが、何故か意識は冴えわたっているし眠気もないので「プランB」を試すことにした。
最近は夜でも狼たちの活動が見られない、というアルクの助言を私は記憶している。
先日、「孤独な秘密の散歩」の楽しみを覚えてしまった私を止めることなど出来ない。
秘密が知られた今、懸念事項はたった一つ。二人を起こさないようにすることだけだ。
私は静かに支度を済ませると、忍び足で家を出た。
どうやら雨が降ったようで、地面は濡れていた。
私は村に泥を踏みしめる湿った音を響かせながら、未探検だった西の方を歩いていった。
村の中心にある村長の家は、相変わらず立派な様相だったが、宵闇の中で一際黒く染まっていて、どこかに「悍ましさ」にも似た荘厳さがあった。
さらに進んだ最西端には壮大な造りの建物があり、気になって近寄り目を凝らしてみると、中では家畜たちが熟睡しているのだった。
未知との出会いに心躍らせながら、ぐるりと周って、北の森の方を歩いていた。
その時、風が吹き、木々がざあざあと揺れた。
私はこれを気にも留めなかったのだが、木々は風が「止んでからも」変わらずに揺れ続けているのだ。
私は立ち止まり、訝しんだ。
そして、この不可解を察知すると同時に、私はある事に気付いた。
というのも、木が音を立てて大きく揺れる程、先程の風は強くなかったのである。
刹那、木の間から巨大な「何か」が姿を現した。
身体は小石で出来ている様に見え、二本足で歩いていた。
背丈は少なくとも2mを越えていて、その手には石の斧を持っていた。
私は直感した。
トロールだ。
期待と不安を伴った「恋の悩み」のせいで予期せぬ時間帯に目が覚めてしまった。
もう一度寝てしまおうと考えたのだが、何故か意識は冴えわたっているし眠気もないので「プランB」を試すことにした。
最近は夜でも狼たちの活動が見られない、というアルクの助言を私は記憶している。
先日、「孤独な秘密の散歩」の楽しみを覚えてしまった私を止めることなど出来ない。
秘密が知られた今、懸念事項はたった一つ。二人を起こさないようにすることだけだ。
私は静かに支度を済ませると、忍び足で家を出た。
どうやら雨が降ったようで、地面は濡れていた。
私は村に泥を踏みしめる湿った音を響かせながら、未探検だった西の方を歩いていった。
村の中心にある村長の家は、相変わらず立派な様相だったが、宵闇の中で一際黒く染まっていて、どこかに「悍ましさ」にも似た荘厳さがあった。
さらに進んだ最西端には壮大な造りの建物があり、気になって近寄り目を凝らしてみると、中では家畜たちが熟睡しているのだった。
未知との出会いに心躍らせながら、ぐるりと周って、北の森の方を歩いていた。
その時、風が吹き、木々がざあざあと揺れた。
私はこれを気にも留めなかったのだが、木々は風が「止んでからも」変わらずに揺れ続けているのだ。
私は立ち止まり、訝しんだ。
そして、この不可解を察知すると同時に、私はある事に気付いた。
というのも、木が音を立てて大きく揺れる程、先程の風は強くなかったのである。
刹那、木の間から巨大な「何か」が姿を現した。
身体は小石で出来ている様に見え、二本足で歩いていた。
背丈は少なくとも2mを越えていて、その手には石の斧を持っていた。
私は直感した。
トロールだ。
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