グラディア(旧作)

壱元

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プロローグ

P-03

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「なんで店から出てきたの?」

二人が出会った隠れ家の前で、少年は問いかけた。

「俺、有名な『プリマ・リーガ』の選手だったんだよ」

 「プリマ・リーガ」…親もなく、家もなく、教育も受けて来なかったソウでもその名を知っていた。

娯楽の少ないこの世界における、最大のエンターテインメント:「グラディア」の唯一のメジャーリーグにして、全人類の憧れの的。

「今は引退したけれど、みんな俺の事を知っているから、あの店で話せることにも限界がある。まさか君があんなに質問するのは想定外だったよ。まあ、質問するのはいいことだが」

「おれをグラディアートルにして」

「どうして?」

「グラディアートルはかっこよくたたかうし、おっさんみたいに金もちになれるから」

「なるほどね」

ロキは腕時計の水色の発光部分に触れた。

刹那、水色の光と共にもう片方の手の中に立派な弓が現れる。

   元はロキのオーダーメイドであり、現在ではその完成度と使い易さ故に一般販売もされている「オーディン社」製:「フーギン-004」。

銀色の骨組みで、リムの部分には一本の水色ネオンが光る。

弦も同じく鮮烈な水色で、それが浪漫となり、特にソウの憧れを刺激した。

「いいぜ。俺は既に引退した訳だし、時間と金はたっぷりあるから、君をグラディアートルに育ててやる」

「やった!   ほんとうだね?」

「ただし、やるからにはちゃんとやれよ!」

「うん!」

「よし、言ったな!   今日から君は正真正銘、俺の弟子だからね」

この日から、二人の奇妙な生活が始まった。

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