4 / 31
三者三様のコンプレックス
いつもとは違う
しおりを挟む待ち合わせ場所に指定されたカフェに、まだ杉野の姿はなかった。
コーヒーは苦手なので、紅茶を注文してから、携帯で時間を確認する。
待ち合わせまではまだ5分あるし、杉野からメールは届いていないから、もう少し待てばやってくるだろう。
こんな風にプライベートで杉野と待ち合わせするのは初めてなので、落ち着かない気持ちになる。
杉野と二人でどこかに行くときは、仕事の帰りにたまたま一緒になったときとか、取引先に一緒に出掛けた帰りとかだったから、こんな風に待ったことはなかった。
期待しすぎちゃいけない、そう思うのに、胸が騒いで落ち着かなくて、入り口の方を何度も見てしまう。
紅茶を味わう余裕もなくしばらく待っていると、走ってきたのか勢いよく杉野が店内に入ってきた。
どれだけ急いだのか、肩が小さく上下していて、呼吸が乱れている。
店内を見渡して私の姿を見つけた途端、こっちが恥ずかしくなるくらいに嬉し気な笑みを零しながら近づいてきた。
「遅れてごめん。10分の遅刻だな」
額の汗を拭いながら、杉野が腕時計で時間を確認する。
急いで走ってきたとわかるから、10分くらいの遅刻なんてどうでもいい。
「予定通りに終わらないことなんてよくあるんだから、気にしないで。お水、飲んだら? これ、手を付けていないから」
私が席に着いた時に出された水の入ったグラスを、向かいの席に座った杉野に差し出すと、走って喉が渇いていたのか、一息に飲み干した。
男らしさと子供っぽさが混在したような様子が微笑ましくて、笑みが浮かぶ。
杉野は二つ年上だけど、少年っぽいというか、可愛いところがあると思う。
凛には時々、『ヘタレわんこ』と呼ばれているようだけど、確かに大型犬っぽい雰囲気がある。
「行こうか? 大学時代の先輩にいい店を教えてもらったから、実は予約してあるんだ」
予約の時間が迫っているのか、何もオーダーせずに伝票を手に立ち上がって、杉野が先に歩き出す。
私が頼んだ紅茶なのに、手早く支払いを済ませてしまった。
いつもと違い、まるでエスコートするみたいに扉を開けてくれる。
「ありがとう、ご馳走様」と、紅茶代を支払ってもらったお礼を言うと、照れたように頬を搔く杉野がやっぱりいつもと違う。
いつもは仲のいい仕事仲間扱いだけど、今は違ってる気がする。
連れていかれたビルの最上階にあるお店を見た時、その気持ちはより強くなった。
いつもは居酒屋なのに、杉野が予約してくれたお店は、デートで使うような雰囲気のリストランテだ。
ドレスコードがあるほどではないけれど、ちょっとお洒落をして入りたいような素敵なお店で、店内は男女二人連れのお客が多かった。
「急な予約だったから、さすがに個室は取れなかった。でも、味は保証する。先輩と来た時、どの料理もすごく美味しかったから。この雰囲気だから、男二人っていうのは、ちょっと恥ずかしかったけど」
もしかして女の先輩なのだろうか?と疑いかけたところで、気持ちを読んだみたいに杉野が説明してくれる。
カップルだらけのところに男二人というのは、確かに目立つかもしれないけれど、でも、女子会でも使われているようだし、きっと杉野がかっこいいから見られていたんじゃないだろうか。
杉野が予約していたことを告げると、奥まったあまり人目につかない席に案内された。
席に着くと、窓の外には桜並木が見えた。
もちろん、6月の今は花などなくて、遠目に桜の木であることがわかるくらいだけど、川べりの桜並木はライトアップされているので、とても綺麗に見える。
明るいところで見れば、都内を流れている川なんてたいして綺麗でもないけれど、こうしてライトアップされてると綺麗に見えるのだから不思議だ。
もしかして、杉野と二人きりだから、特別なフィルターがかかってしまっているんだろうか。
「桜の季節に来てみたいな」
窓の外を見ながら呟くと、「そうだな」と、返事が返ってくる。
窓から杉野に視線を移すと、まっすぐに見つめられていて、鼓動が早くなった。
強すぎる視線に動揺したのを誤魔化すようにメニューを手に取るけれど、その手を大きな手で包まれて、思わず震えてしまう。
「来年の桜が咲くころ、また来ようか。……瀬永が、付き合ってくれるのなら、だけど」
来年の約束に驚いて顔をあげた瞬間、杉野が照れたように視線を逸らす。
期待していいのかな?
仕事仲間以上の気持ちを、杉野も持っているって思ってもいいのかな?
どう解釈していいかわからないまま、それでも来年の約束が嬉しくて頷きを返すと、杉野が見たことがないほど嬉しそうに微笑んだ。
「腹減ったな。どれにする? コースもあるけど、いくつか頼んでシェアするか?」
照れ隠しなのか、一緒にメニューを覗き込みながら、前に来た時に特に美味しかったものを教えてくれる。
私は割としっかり食べる方だし、杉野はもっとたくさん食べるから、シェアするならと、あれもこれもと二人で相談しながら料理を選んだ。
最初こそ、いつもと違う雰囲気にお互い照れてしまっていたけれど、美味しい料理をシェアして食べているうちに、いつもと同じように会話も弾むようになった。
早紀先輩がいなくなった後、後任としてやってきた潮田さんと私があまり上手くいっていないことを、杉野は気づいていたみたいで、心配しつつも励ましてくれた。
『一緒に仕事をしていれば、お前がいい奴なのはすぐにわかるから』という、杉野の言葉が嬉しくて、明日からまた頑張ろうって思えた。
楽しくおしゃべりをしながら食べていた料理があらかた片付き、デザートを待っている間に化粧直しに行く。
直すほどしっかり化粧をしているわけじゃないけれど、珍しく少し酔ってしまったみたいなので、顔が赤くなっていないかどうか確認したかった。
明るい場所で見ても不自然ではない程度の赤味だと確認してから、化粧室を出て戻ろうとすると、個室のある方から歩いてきた人とぶつかりそうになってしまった。
「すみません」
軽く抱き留められ、足を止めて謝罪すると、「優美花?」と呼びかけられる。
思いがけない声を聞いて驚きながらも、久しぶりに逢えたのが嬉しくて、いつものように腕に抱きついてしまった。
「元気そうだね。優美花もここに食事に来ていたの? この店は事務所と近いから、僕も時々来るんだよ」
顔色を確かめるように頬を撫でられて、その手に擦り寄る。
促されて顔を上げると、いつ見ても自分の父親だとは思えないほどに若々しい顔に、少しの疲れが見えた。
新しい映画の撮影も始まっているみたいだし、忙しいのかもしれない。
母が再婚する数年前から、父の仕事も増え始めて、今ではまとまった休みを取るのも難しいほどに仕事のオファーがくるようになった。
以前のように外で堂々と逢うのが難しくなって、たまに食事をしたり、ロケ先のお土産を送ってくれたりという交流しかできていない。
売れない時代が長かった父が夢を叶えたのは嬉しいけれど、中々逢えなくなったのだけが不満だった。
私の部屋に来てくれてもいいのに、父は私の新しい家族に遠慮して、一度も訪ねてきたことはない。
父の家の場所は知っているけれど、私の存在がマスコミにばれることを警戒しているから、ほとんど訪ねたことはなかった。
血の繋がった実の親子なのにと思うと寂しいけれど、私の存在から、母と結婚していた過去がばれてしまえば、大女優の元夫といわれ、売名みたいになってしまうのが嫌だという父の気持ちも理解できるから、我慢するしかない。
父とはそんな関係だから、偶然でも逢えたのが嬉しくて仕方なかった。
「パパはちょっとお疲れ気味? 健康管理をしてくれる人がいないんだから、あまり無理しちゃだめよ?」
顔色を確かめるように手を伸ばしかけて、化粧室の前とはいえ、人目があることを思い出した。
軽く変装をしているとはいえ、正体がばれると騒ぎになる可能性もあるし、名残惜しいけれど身体を離す。
「優美花の顔を見られたから、少し元気になったよ。僕の可愛いお姫様、そんなことより、今日はデートなの? 相手の男はどんなやつ? ちょっと、挨拶に行こうかなぁ?」
最初はにこやかだったのに、私が男連れだと想像しただけで複雑な気持ちになってしまったのか、顔は笑顔のまま、声だけが不穏になっていく。
父は本名で仕事をしているから、変装をしていても、挨拶をされたらさすがに正体がばれてしまう。
それに、杉野とは微妙な関係で、今日のこれがデートなのかははっきり言えないので、そんな状態で父親を紹介なんてできない。
「同期とご飯食べてただけだから。もう、これあげるから、挨拶は我慢して」
バッグに忍ばせていた、杉野にあげるはずだったパウンドケーキを取り出して父に押し付けると、わかりやすく頬が緩む。
私の作るお菓子を、いつも一番喜んでくれるのは父だ。
「仕方がないから誤魔化されてあげるよ。優美花、男は狼だからね、気を付けるんだよ? 優美花は梨華さんよりも綺麗だから、心配で仕方がないよ」
女優の母よりも綺麗なんてありえないのに、親馬鹿すぎる。
でも、すぐに自信喪失する私の心を支えてくれるのは、際限なく与えられる父の愛情なのだ。
一緒に暮らせなかったけど、でも、ちゃんと愛されているのだと感じることで、両親に捨てられたと思わずにいられた。
上手くいかないことや、嫌なこともたくさんあるけれど、それを補って余りあるほどに私は恵まれている。
「またメールするね。逢えて嬉しかった」
随分杉野を待たせてしまったことに気づいて、父と別れ、慌てて席に戻る。
戻ってみると、杉野は小声で電話をしている最中だった。
仕事の連絡かと思い、できるだけ音を立てないように席に着くけれど、「おやすみ、陽菜ちゃん」と、電話の最後に呼びかける声で、仕事の電話ではないのがわかってしまった。
浮かれていた幸せな気持ちに冷や水を浴びせられたような気分で、既にテーブルに届いていたデザートに手を付ける。
ジェラードは溶けかけていて、随分長い間待たせてしまったのだと知らされた。
「待たせてごめんなさい。偶然、知人にあって近況を話していたら、遅くなってしまったの」
待たせた私が悪いのだからと、顔を俯けたまま謝る。
今、杉野がどんな顔をしているのか、怖くて見ることはできなかった。
「遠目にも目立つ、かっこいい雰囲気の人だったな。戻ってくるのが遅いから様子を見に行ったんだけど、親し気だったから声が掛けづらくてさ」
父といるところを見られていたのだとわかったけど、何と言えばいいのかわからない。
誤解されているような気がしたけれど、知人だと言ってしまったから、今更、実は親子なんですなんて言えないし、下手な嘘は言いたくなくて口を噤むしかなかった。
「杉野も、田辺さんと仲がよさそうね。恋人だって噂を聞いたわ」
父のことを説明することもできないくせに、彼女と電話をしていたことが引っかかって、可愛げのないことを言ってしまう。
噂がデマであることを知っているのに、私って馬鹿だ。
「恋人じゃないけどさ、あれだけ一途に慕われると無下にできないっていうか。可愛いとは思ってしまうよ。……瀬永は、俺と陽菜ちゃんが恋人かもしれないって思ったのに、どうして俺の誘いに乗ったんだ?」
やっぱり、田辺さんのこと、可愛いって思っているんだ。
ショックで涙が浮かんでしまったけれど、溢れさせないように瞬きをしてごまかす。
もう、手遅れなのかな?
まだ恋人ではないというだけで、杉野は彼女のことが好きなの?
「……杉野が誘ってくれたのが嬉しかったから。だから、ここにいるの。杉野がどんな気持ちで誘ってくれたのかわからないけど、私は嬉しかったから」
一瞬だけ、諦めてしまいそうになった。
でも、いつもみたいに諦めて、好きな気持ちを押し殺してしまうのは嫌で、勇気を出して顔を上げ、まっすぐに杉野を見つめた。
たった一言、好きだと言えない自分がもどかしくて、それでも、何とか想いを伝えたくて、ただ見つめることしかできない。
杉野は私の強すぎる眼差しに驚いたのか、迷うように視線を彷徨わせて、けれどもすぐに何かを決意したような表情で私を見つめる。
「俺も、誰に誘われても断る瀬永が、俺の誘いに乗ってくれたのが嬉しかった。……少しは特別なんじゃないかって浮かれてたから、瀬永がすげぇかっこいい人と親しげなのを見て、へこんだんだ。俺にとってお前は、高嶺の花っていうか、近くにいても手を伸ばせない、そんな相手だからさ。一応、俺の方が年上なのに、かっこ悪すぎて嫌になる」
話しているうちに、杉野の耳が少しずつ赤くなっていく。
拗ねたように視線を逸らす仕草とか口調で、照れているのだと伝わってきて、杉野にとって少しは特別な存在なのかもと自惚れそうになる。
同じ気持ちなんだろうか?
さっきまで落ち込んでいたのが噓みたいに気持ちがふわふわとして、好きって言われたわけでもないのに、とても幸せだと思った。
「とりあえず、行くぞ! もう遅いし、送ってく」
私が席を外していた間に支払いを済ませていたようで、席を立った杉野が私の手を取って、有無を言わさず歩いていく。
店の外に出て、エレベーターに乗り込む間も杉野はずっと黙ったままで、けれど、私の手を離すことはなかった。
手を繋がれただけ、ただそれだけのことにドキドキとさせられて、頬が火照ってくる。
よく考えてみたら、家族以外の人と手を繋いだのは、中学の時に付き合った先輩くらいで、自分のあまりの経験のなさに恥ずかしさが増していく。
経験豊富と噂される私が、実はキスの経験さえほとんどないとか、誰も信じてくれないだろう。
私の見た目が清純とか純情とか、そういう言葉と程遠いことは、さすがに自覚している。
「杉野。私を送ったら遠回りでしょう? ここからならタクシーで帰れるし、送ってくれなくても大丈夫よ?」
駅に向かって歩き出した杉野に、可愛げがないかなと思いながらも声をかけた。
終電まではまだ時間があるけれど、私を送っていたら杉野が家に帰りつくのが遅くなってしまう。
明日も普通に出勤しなければいけないから、少しでも体を休めてほしかった。
営業の業務でどれだけ気力や体力を使うか、近くで見ているだけでも十分にわかる。
週明けの月曜の内からあまり疲れさせたくない。
「じゃあ、タクシーで送ってく。心配して気遣ってくれるのは嬉しいけど、こういう時くらい素直に甘えろよ。デートの後、大事な女を送りもしないで放り出すとか、無理だから」
前を見たまま、杉野が思いがけないことを言うから、それ以上反論なんてできなかった。
杉野がデートだと思ってくれてたんだと思うと、嬉しいけど恥ずかしくて、頬が火照っていく。
抱きついてしまいたいような衝動を堪えて、繋がれたままの手をぎゅっと握った。
0
お気に入りに追加
591
あなたにおすすめの小説
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
わたしは出発点の人生で浮気され心が壊れた。転生一度目は悪役令嬢。婚約破棄、家を追放、処断された。素敵な王太子殿下に転生二度目は溺愛されます。
のんびりとゆっくり
恋愛
わたしはリディテーヌ。ボードリックス公爵家令嬢。
デュヴィテール王国ルシャール王太子殿下の婚約者。
わたしは、ルシャール殿下に婚約を破棄され、公爵家を追放された。
そして、その後、とてもみじめな思いをする。
婚約者の座についたのは、わたしとずっと対立していた継母が推していた自分の娘。
わたしの義理の妹だ。
しかし、これは、わたしが好きだった乙女ゲーム「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」の世界だった。
わたしは、このゲームの悪役令嬢として、転生していたのだ。
わたしの出発点の人生は、日本だった。
ここでわたしは、恋人となった幼馴染を寝取られた。
わたしは結婚したいとまで思っていた恋人を寝取られたことにより、心が壊れるとともに、もともと病弱だった為、体も壊れてしまった。
その後、このゲームの悪役令嬢に転生したわたしは、ゲームの通り、婚約破棄・家からの追放を経験した。
その後、とてもみじめな思いをすることになる。
これが転生一度目だった。
そして、わたしは、再びこのゲームの悪役令嬢として転生していた。
そのことに気がついたのは、十七歳の時だった。
このままだと、また婚約破棄された後、家を追放され、その後、とてもみじめな思いをすることになってしまう。
それは絶対に避けたいところだった。
もうあまり時間はない。
それでも避ける努力をしなければ、転生一度目と同じことになってしまう。
わたしはその時から、生まれ変わる決意をした。
自分磨きを一生懸命行い、周囲の人たちには、気品を持ちながら、心やさしく接するようにしていく。
いじわるで、わたしをずっと苦しめてきた継母を屈服させることも決意する。
そして、ルシャール殿下ではなく、ゲームの中で一番好きで推しだったルクシブルテール王国のオクタヴィノール殿下と仲良くなり、恋人どうしとなって溺愛され、結婚したいと強く思った。
こうしてわたしは、新しい人生を歩み始めた。
この作品は、「小説家になろう」様にも投稿しています。
「小説家になろう」様では、「わたしは出発点の人生で寝取られ、心が壊れた。転生一度目は、悪役令嬢。婚約破棄され、家を追放。そして……。もうみじめな人生は嫌。転生二度目は、いじわるな継母を屈服させて、素敵な王太子殿下に溺愛されます。」という題名で投稿しています。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる