いつかの僕らのために

水城雪見

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新世界にて

シュリングまでの旅 9

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「……レイ、起きれるか?」


 体を揺すられて目を覚ますと、暗がりの中でもすぐそばにルイスがいるのを感じた。
 危険なものは入れない結界付きのテントだし、みんながいるから安心していたのもあるけど、ルイスがテントに入ってきたのに全く気が付かなかった。
 初めての野営で熟睡できるとか、我ながら図太いと思う。


「大丈夫。起こしてくれて、ありがとう」


 うーんと背伸びをして、体を起こすと、ルイスが腕を引いて立ち上がるのを手伝ってくれる。
 

「六花と雪花はリュミを見てて」


 六花と雪花も俺の後を付いてきそうだったので、爆睡しているリュミを任せて、テントの外に出た。
 季節はまだ冬だから、朝方となると結構寒い。
 六花と雪花が温かかったから、外との温度差があり過ぎて、思わず体が震えてしまった。
 空間庫からローブを取り出して羽織り、焚火で暖を取ることにする。
 腕時計で時間を確認すると、まだ4時前で、夜明けまではもう少し時間があった。
 6時過ぎにはみんな起き出してくるそうだから、それを考えると随分ゆっくり眠らせてもらったんじゃないだろうか。


「改めて、おはよう、ルイス。コーヒーがあるけど、飲む? 紅茶の方がいい?」


 バトラーが取り寄せてくれたコーヒーは、紅茶ほどではないけれど、それなりに飲まれているらしい。
 過去の転生者でコーヒー中毒だった人が、長い間、旅をして探し当て、その後に普及させたものだ。
 200年ほど前にその人が作った喫茶店は、今もまだ残っているそうなので、いつか行けたらいいなと思っている。
 ただ、コーヒーの味はピンキリみたいで、最初にどんな味のコーヒーを飲んだかで、好き嫌いが分かれるらしい。
 俺の場合、父さんがコーヒー好きだったから、上手にコーヒーがいれられるように頑張って練習したので、それなりの豆を使ってもそこそこ美味しくいれられる。
 焙煎は料理スキルを持っていればできるようになるので、バトラーにお願いして、生のコーヒー豆を大量に取り寄せてもらった。


「おはよう、レイ。コーヒーがあるならくれ。眠気はたいしたことがないんだが、寒いんだ」


 焚火に当たっていても、この時間帯は特に寒いみたいで、ルイスもしっかり外套を着込んでる。
 そういえば熊って冬眠する動物だけど、熊の獣人も寒さに弱いんだろうか?
 疑問に思いながら、空間庫からいれたてのコーヒーが入ったガラス製のサーバーを取り出して、陶器のマグカップに注いだ。
 このサーバーもマグカップも俺の手製だ。
 他にも豆を挽くためのミルやドリップの道具一式など、色々なサイズで作ってあった。


「ミルクと砂糖は入れる? 温かいミルクもあるから、カフェオレにもできるよ?」


 ベンチみたいな簡易椅子に座ったルイスの隣に腰掛けながら聞くと、何やら悩んでいる様子だ。


「なんかよくわからんから、レイと同じのでいいぞ」


 あまりコーヒーを飲みなれていないのか、最終的にはルイスが丸投げしてきたので、カフェオレにして、ついでに砂糖も入れて甘くした。
 ちょっと甘いカフェオレは俺のお気に入りだ。
 ミルクを入れないときはブラックで飲むけど、ミルクを入れるときは必ず砂糖を入れる。
 

「ふぅ……うまいな、これ。何か、ホッとする味だ」


 猫舌ではないのか、熱いカフェオレを美味しそうに飲みながら、ルイスが小さく息をつく。
 少しでも暖を取ろうと、ルイスに寄り添うように座って、俺もカフェオレを一口、味わうように飲んだ。
 こうしてると、父さんと一緒に流星群を見に行った時のことを思い出す。
 寒いねって言いながら隣り合って座って、流れ星を見ながら、一緒にあったかいカフェオレを飲んだ。
 そんなに昔のことじゃないのに懐かしく思い出す。
 

「お腹空いてない? これ、食べる?」


 寂しさに支配される前に、気持ちを切り替えるようにルイスに声をかけた。
 ナッツ入りのクッキーが入った容器を取り出して勧めると、ルイスは嬉しそうに一つ摘まんだ。
 ルイスは大きな体をしているだけあってよく食べるけど、あまり燃費がよくないらしい。
 一日3食じゃ足りず、余裕があるときはおやつも食べているそうだ。
 ダンジョンに籠っているときとかは、神経が高ぶっていてあまり空腹を感じないそうだけど、街にいたりして余裕があるときは、我慢せずに食べると言っていた。
 クリスプの街で買い物をしているときも、出ている屋台で色々買い食いをしていて、横から一口だけ味見させてもらったりした。
 俺の分も買ってくれるって言ったけど、絶対に食べきれないから、一口だけちょうだいっておねだりしたら、何だかやけに嬉しそうだったのを思い出した。


「これもレイの手作りか? 本当に何でもできるんだな」


 二つ目のクッキーに手を伸ばしながら、ルイスが感心したように呟く。


「お菓子を作るのも、結構楽しいんだよ。今ならたくさん作っても、空間庫があるから出来立てを保存できるしね」


 お菓子作りの最初のきっかけは、調理実習だった。
 カップケーキを作った時に、差し入れをたくさんもらったんだけど、はっきり言って自分で作ったのが一番美味しかった。
 差し入れとか、一人から受け取ると、その後が断り辛い。
 気が付くと、持って帰るのが面倒になるくらい、カップケーキが山積みになっていた。
 もらってしまった以上、食べずに捨てるとかできなくて、無理やり食べたらお腹を壊してしまった。
 3日くらい腹痛で苦しんで、げっそりやつれた時に、もう手作りは滅多なことがなければもらわないと心に誓った。
 それまでも、幼稚園時代からバレンタインになるとチョコレートをもらっていたりしたけれど、市販のものが多かったので幸いにもお腹を壊したことはなかったのだ。
 けれど、調理実習だけじゃなく、誕生日にクリスマスにバレンタインと、手作りのお菓子をもらう機会は何度もあるし、学年が上がるに連れ手作り率が増えていく。
 せっかくの好意を踏みにじるようで、『いらない』という一言が言えなくて、手作りのお菓子をもらわずに済む方法を、子供なりに俺は必死に考えた。
 そして、当時小学生だった俺が出した答えが、菓子作りを極めることだった。
 パティシエに手作りのお菓子をプレゼントする人は、まずいない。
 俺がお菓子作りは得意だと知れ渡れば、手作りのお菓子をプレゼントしてくる子はいなくなるんじゃないかと、ひたすらお菓子作りの練習をした。
 幸か不幸か、俺の周囲には俺に激甘な大人がたくさんいて、その筆頭だった貴士さんが、自宅マンションにお菓子作りに必要な道具や材料を一通り揃えてくれた。
 だから材料費とか全く気にすることもなく、ほぼ毎日のように通ってお菓子を作っているうちに作るのが楽しくなっていって、それなりの腕になっていた。
 ただ、作るのは楽しいけど、食べられる量には限度があるから、傷む前に食べきるのが大変だった。
 仲のいい友達に配って、何とか消費するようにしていたけれど。
 今は空間庫があるから、その心配がないのでとてもありがたい。

 ちなみに、お菓子作りを覚えたことで引いてくれたのは、慎ましい問題のない子達で、おまじないと称してお菓子に異物を混入するタイプは残ってしまった。
 一言『いらない』と言えばいいのにそれが言えなくて、結局斜め上の努力をしていたわけだけど、それを知った貴士さんは涙が出るほど大爆笑して、その後に秘策を授けてくれた。
 どうやって断ったらいいのかとあんなに悩んだのに、貴士さんから教えられたように『好きな子からしか受け取らないことにしたんだ』と言ったら、みんな驚くくらいあっさりと引いてくれて、手作りのお菓子に悩まされることはなくなった。
 当時を思い出すと、幼かったなと、恥ずかしくなるけれど、おかげでたくさんのレシピが持ち込めたのだから、結果的にはとてもよかったと思う。
 ルイスもなんだかすごく喜んでくれてるみたいだし。


「言われてみれば、このクッキー、まだほんのりあったかいな。ナッツが香ばしくて、すげぇ美味い」


 幸せそうにクッキーを食べているルイスを見てると、俺も食べたくなった。
 一枚摘まんで食べてみると、まだ焼き立てのような美味しさで、空間庫のありがたみを思い知る。
 
 
「あんまり食べると、朝ご飯が美味しく食べられないから、ほどほどにね」


 ルイスは大食いだから、これくらいで朝ご飯が食べられないということはないだろうけど、ご飯の前は程よくお腹が空いていた方が、美味しく食べられると思うから注意しておいた。


「朝飯って言っても、携帯食だしなぁ。こっちの方が美味い」


 いい歳して子供みたいなことを言うルイスに笑ってしまいながら、目に見えて量の減ったクッキーの容器に蓋をする。
 ちなみに、タッパーなんてありがたいものは当然のことながら存在していないので、悩みに悩んで重箱のようなものを作った。
 木で作ったのだけど、重箱だから重ねられるし、結構重宝している。
 ひっくり返して中身が散らばったりしないように、専用の袋を作ったり、重箱を縛るベルトのようなものを布で作ったりもした。
 伸縮性のある布を織るところから作った風呂敷も、かなり役に立っている。
 風呂敷を使った多種多様な物の包み方は、日本で生きているときに学習済みだったので、何がどこで役に立つかわからないものだと思う。
 知識に無駄はない。
 保存用の容器としては、ガラス瓶などが出回っていて、それらも一通りは作成済みだ。
 ガラスというと、熱して空気を吹き込んでというイメージだったけど、こちらではスキルさえ持っていればそんな面倒なことをしなくて済む。
 魔力を消費するけれど、スキルがあれば想像した通りにガラス加工もできるので、とても便利だし制作欲も刺激される。
 色ガラスを使ったり、絵を描いたりして作ったガレ風のランプは、結構いい感じに仕上がっていると思う。
 いつか、自分の家を持てたら使うつもりで、今は空間庫の肥やしになっているけれど。


「これ、容器ごとあげるから、空間庫に入れておきなよ。みんなが起きるまで、まだ時間があるでしょ? 今からあったかいスープを作るから、後はそっちを食べて」


 クッキーの容器に蓋をされたときは、余程食べたかったのかショックを受けたような様子だったルイスが、俺がスープを作ると言い出すと、不思議そうに首を傾げた。
 まだ薄暗いし、昨夜作った簡易の竈はここから離れているので、どうやってスープを作るのかと思っているのだろう。


「簡易の調理台なら持ってるし、材料もある。だから、スープくらいならすぐに作れるよ。朝ご飯は大事だから、携帯食じゃ嫌な気持ちもわかるしね」


 ルイスに重箱を渡してから立ち上がって、焚火の近くの邪魔にならない辺りに、空間庫から調理台を取り出す。
 これは調理台とシンク、それからコンロが二つ備えられた簡易なもので、シンクでは水やお湯も使えるようになっている。
 手元が暗いので、灯りの魔道具を取り出して、光量を調節してからスイッチを入れた。
 あまり明るすぎると、テント越しに届く灯りで他の人が目を覚ましてしまうかもしれないので、明るくなり過ぎないように調節したけど、もうすぐ日が昇るだろうから、スープを作っているうちに灯りはいらなくなるだろう。


「これで簡易? もしかしてこれも、レイが作ったのか?」


 立ち上がって、興味深そうに調理台の周りをうろうろしながら問いかけてくるルイスがまさしく熊のようで、つい笑ってしまう。
 見た目は体が大きいだけの普通の人なのに、ルイスは時々熊っぽい。
 といっても俺が知っている熊は、テレビや動物園で見たのと、絵本やアニメなどで見た黄色いあいつくらいだけど。
 幼児のころは大きなテディベアも持っていたけれど、俺が大事にしてると母親に捨てられるので、何度目かに捨てられた時から、ぬいぐるみには飽きた振りをしてクローゼットにしまい込むようになった。


「これは、水とかコンロの魔道具を組み合わせただけだよ。お湯も出るようにしたりとか、シンクから流れた水が下に溜まるようになってたりとか、ちょっと工夫は凝らしてるけどね」


 調理台を片づけるときに、全体に浄化を掛ければ、溜まっていた汚水は全部消えてなくなる。
 使ったコンロの掃除もいらないし、浄化の魔法って本当にありがたい。
 ちなみにコンロはクッキングヒーターみたいに平面なので、拭くだけでもきれいになる。
 調理台に使う材料や器具を取り出して、一度軽く浄化を掛けた。
 これをしておくと、野菜なんかも先に水洗いする必要がないので、とても手軽でいい。
 ほうれん草の根っこのところの土とか、念入りに洗う必要もないのがすごく嬉しい。


「アレンが見たら、きっと仕入れたがるぞ。昨夜だって、灯りの魔道具で大騒ぎしていただろ?」


 ルイスに言われて、昨夜の騒ぎを思い出した。
 金属とガラスを使った、ランプ型の灯りの魔道具は、商人として色々な物を見ているアレンさんでも見たことがない物だったようで、それをいくつも俺が出したから、凄く驚かれた。
 灯りの魔道具というのはあるにはあるらしく、貴族の館などでは使われているそうだけど、俺の持っている魔道具は通常の魔道具よりもずっと明るいらしい。
 光量を調節するというのも今までにない発想らしく、こういった魔道具の作り方の特許を取りたいから、商業ギルドのマスターに逢いたいのだと話をしたら、一日も早くギルドマスターに逢うべきだと、協力を申し出てくれた。
 俺の作った灯りの魔道具は、台座の部分に魔核が入っていて、それを交換することで半永久的に使える。
 スイッチを入れることで灯りの魔法が発動して、通常はライトという灯りの魔法を使ったときに空中に浮くふよふよとした物体が、ランプのガラスの中で灯りを放つ作りだ。
 割れやすいガラスを使っているけれど、魔核がない状態で纏めて破損防止を掛けてあるので、地面に叩きつけても壊れることはない。
 その昔、象が踏んでも壊れないというCMがあったのだと、どこかで聞いたことがあるけれど、象どころか、ドラゴンが踏んでも壊れない頑丈なものだ。
 吊り下げて使えるようにもなっているので、ダンジョンの中でも重宝するだろうとクラウスさんが言っていた。
 通常、ダンジョンの中というのは一定の光源が保たれてるけれど、薄暗い場所などもあるので、魔法やたいまつを使うこともあるらしい。
 魔法は魔力消費が問題になるし、たいまつは片手が塞がってしまう。だから、腰やバッグに吊り下げても使えるランプは需要があるらしい。
 金属とガラスを使ったランプだから、作るのが少し面倒だけど、そこまで複雑な作りでもないから、そこそこの腕のある職人に依頼すれば作成は可能なようだ。


「水の魔道具とかコンロは、割と手に入れやすい魔道具なんだよね? それを組み合わせただけだから、誰でも作れそうだけど」


 水や火の属性を持つ人は多いから、水の魔道具やコンロは作りやすいとバトラーに聞いたけど、違ってるんだろうか?
 大きなスープ鍋に水を入れて、コンロに運ぼうとすると、気づいたルイスがすぐに手伝ってくれた。
 コンロのスイッチを入れてから、スープに使う野菜を刻み始める。
 人参や玉ねぎはいつもと同じだけど、今日は体が温まるように白菜も使う。
 生姜やネギを入れて作った鶏挽き肉の肉団子があるので、それも入れるつもりだ。
 粉状に加工したスープの素なんかは、普通に流通していて、俺も自分で作ったものを数種類持ち合わせている。
 少し割高ではあるものの、手間を掛けなくても美味しいスープが作れると、食料品を扱う店では人気の高い品らしい。
 今日はそれを使って、和風にしたいので、隠し味に醤油を少し入れるつもりだ。
 

「他の魔道具と比べたら出回っているってだけで、誰でも手に入れられるようなものじゃないぞ? アレンの家は魔道具を扱う老舗の商家だが、それでも煮炊きには竈を使っているはずだ」


 ルイスが呆れ顔で説明しながら、俺の頭をぽふぽふと撫で叩く。
 最初、アレンさんに会ったときに、小さいか歴史の浅い商会の主なんじゃないかと予測したけど、それは間違っていたらしい。
 あれ? でも、今回アレンさんが運んでいるのは、魔道具じゃないみたいなんだけどなぁ。
 何にしても、魔道具を扱う老舗の商会ですら、厨房に魔道具がないというのなら、この世界の魔道具職人は、生活に根差した魔道具というのはあまり作らないのかもしれない。
 それか、職人の数が少なくて、そういったものを作る余裕がないのだろうか。
 魔道具を作るのに必要なのは、魔力と属性、それから魔皮紙と魔法陣だ。
 魔法陣について学び、高価な魔皮紙を用意するとしたら、ある程度裕福な家の生まれでなければならない。
 そういった恵まれた環境で生まれ育った人だと、水の魔道具を作るための蛇口やコンロなどを、職人のように一から作るというのは無理なのかもしれない。
 従来の魔道具の作り方だと、ある程度の手先の器用さも要求されるから、あらゆるものに手を出すよりも、一つのものを作り続ける特化型になりやすいのだろう。
 何となく、生活に根差した魔道具が、あまり出回ってない理由が分かった気がした。


「魔核の加工ができるようになったら、今までとは魔道具の作り方が違ってくるから、こういった物も売りに出されると思うよ。ただ、できるだけ簡易にしても調理台は大きいから、持ち運べるのは空間庫やマジックバッグを持つ人ばかりだよね」


 色々と試してみたけれど、魔核を使ったマジックバッグが上手く作れない。
 バッグの一部に飾りのように魔核を組み込むことも考えたんだけど、マジックバッグ用の魔核となるとどうしても大きいので、バランスが悪いのだ。
 それに、空間属性の大きな魔核は貴重なのに、マジックバッグにするとバッグ内の時を止めるからか、呆れるほどに効率も悪くて、俺が実験で作った時には、普通の荷馬車の半分くらいの容量しかない、できそこないのマジックバッグになってしまった。
 荷馬車の半分だとしても需要はあるのだろうと思うけど、貴重な空間属性の魔核をそんな無駄な使い方をするくらいなら、従来通りに魔核を使わずに作った方がマシだ。


「マジックバッグと言えば、フランツが持ってるからあまり説得力がないかもしれないが、持ってる奴なんて滅多にいないからな? だから、レイがマジックバッグを持っているのは、できるだけ知られないようにしろ。空間庫は奪えないけど、マジックバッグなら奪える。そう言えば、どれだけ危険か想像がつくか?」


 いつもよりも低めの声で、警告するように問われて、何度も頷いた。
 マジックバッグに関しては、奪われないように、早めの対策が必要なようだ。


「時間停止してなくて、荷物がたくさん入るだけのバッグでも、需要あると思う? もちろん軽量化も掛けるから、重さは普通のバッグと変わらないようにしたやつなんだけど」


 鍋でスープをぐつぐつと煮込んでいる間に、もう使わない器具に浄化を掛けて片づけていく。
 調理器具は一つの箱に纏めてしまっているので、持ち上げようとすると結構重くなるけど、レベルが上がって身体能力も上がっているので苦も無く持つことができる。
 もっとも、持ち上げなくても空間庫やマジックバッグにしまえるので、持ち上げる必要はないのだけど。


「当然、需要はありますよ」


 ルイスが答える前に、いつの間に起きてきたのか、フランツさんから返事がきた。



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