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菖の作ってくれた料理は少し味付けが濃いめで、酒の進む味付けだった。
それでいて肉ばかりじゃなく、野菜も多く使われていて、彼女の気遣いに溢れていた。
料理を食べ、酒を飲み、また食べる。
いつもよりも酒が進んでしまい、限度を超えているのにも気づかなかった俺は、菖の肩に手をまわしながら愚痴をこぼしていた。
仕事の不満や、再就職できない焦り。減っていく貯金。先の見えない不安。菖との関係。
「俺さ……頑張ったよな……なのにあの無能ゴミ上司とその取り巻きの野郎ども……俺がアヤメと良い仲だからって、こんな仕打ちしやがって……」
「うん。ツムが頑張ってるの、アヤメは知ってるよ」
「アヤメは優しいなぁ……俺はアヤメがいたから、頑張れたんだよ……部下なのに、一目惚れしちゃってさ……頼られる上司であろうって、気合い入れてたのにあっという間に仕事覚えて逆にフォローされちゃってさ……」
「え、一目惚れ!?」
「そうだよ……めっちゃ可愛くてさ……でも、俺とアヤメって、10才も離れてるだろ? 酒の席で酔ったアヤメを送ったとき、できるだけ紳士にって思ってたのに、そっちから誘われたらさ……」
「ひいた?」
「惚れた女に誘われて、嫌な男はいない」
「そ、そっか」
「アヤメはさ、美人で優しくて仕事もできて、家事もできる……でも、二人の時は子供ぽい面があって、こんな俺に甘えてくれるのがものすごく可愛くて……俺にはもったいなさすぎるくらい、イイ女なんだよ……」
「え、えっと……さ、さすがに、ほめすぎじゃない?」
「本心だよ……今日だってさ……ほんとうは、別れようって、言おうとしてたんだよ?」
「……え?」
菖が強ばった声を出したことに気づかず、俺はしゃべり続けた。
酒は口を軽くする。
酒は飲むとも飲まるるなと。
新人時代に痛い目を見たはずなのに、今日の俺は止まれなかった。
「俺にお前はもったいなさ過ぎるって……俺みたいな無職で将来性ない男より、しっかりとして頼れる若い男と一緒の方がアヤメは幸せになれるから、身を引こうって……なのになぁ、こんなに優しくされたら、手放したくないよ……」
「ツムは……アヤメとずっと一緒にいたい?」
「当たり前だろ! ずっと一緒にいたいさ……だけどさ、俺は、収入もないし職もない……こうして酒飲んで女に泣きついて、頼りなくて情けない……こんな男、アヤメの傍にいる資格なんてないだろ……」
「ツム……ツラかったね。頑張ったね。大丈夫。ツムがアヤメを大事にしてくれていること、ちゃんと伝わってるから。愛してくれてるって、わかってるから。だから、良いんだよ。アヤメに甘えて、ね?」
菖が俺の頭を胸に抱き寄せると、優しく頭を撫でてくれた。
「う、うぅ……」
菖の前で酒に溺れて醜態をさらしてきたが、最後の意地で涙は流すまいとぐっと堪える。
「こんな時くらい思いっきり泣いて良いのに……よしよし。ツムたんは頑張った。いっぱいいっぱい頑張った。これならアヤメには見えないから、泣いても良いんだよ? 服とか汚しても洗えばいいから……ね?」
菖の優しさ、温かさ、ふんわりと香る甘い匂い、柔らかくて弾力のある胸に包まれる。
「アヤメのために、たくさん我慢して頑張ってくれてたんだね。でも、もういいんだよ、無理しないで。頑張らなくて良いんだよ。アヤメには、ツムが必要なんだから……ううん、ツムがいればそれで十分幸せだから。だから、アヤメの前からいなくならないで。身を引くなんて、言わないで。そのためなら、胸でもなんでも貸すし、アヤメが養ってあげる。思いっきり、甘やかしてあげるから。今までツムがアヤメにしてくれたみたいに、今度はアヤメが、ツムを支えてあげるから、ね?」
子供をあやすような落ち着いた口調で、俺がほしかった言葉をくれる。
必要としてくれて、甘えても良いと言ってくれる。
「どうして、そんなに優しいんだよ……」
「だって、アヤメも一目惚れだったんだから。お酒の席で誘ったのだって、狙ってたから……」
菖が、俺なんかに、一目惚れ?
「格好良い人だなって。一緒に仕事するのも、スゴくどきどきしてた。でも、部下としてしか見てくれてないなって、思ったから……告白する前にセックスしちゃったけど……ずっと、良いなって、思ってた……」
撫でる手がとまって、恥ずかしさを誤魔化すようにギュッと抱き締められる。
たわわな双丘に埋もれて、うまく呼吸ができない。息が、苦しい。
菖の体を軽くたたいて、呼吸ができていないことを訴えると、
「あ、ごめん」
抱きしめる力は弱くなり、隙間が開いて呼吸ができるようになった。
それでも俺を離そうとせず、顔は菖の乳房に乗ったままだ。
「ツムたんはさ、いろんなことをひとりで難しく考えすぎだよ。良いんだよ、甘えても。誰かに頼っても。性別も年齢も上下関係も、関係ない。お金だって、アヤメが稼げばいい。これでも、仕事はできるんだからね?」
菖が仕事ができるのは、一緒に仕事をしてきたから知っている。
「アヤメじゃ、頼りない? ツムを甘えさせるには、力不足?」
「そんなことは、ない。アヤメがいなかったら、俺はとっくに潰れて……」
「じゃあ、問題なし♪」
「でも、今の俺じゃ……」
「……ああ、もう! 難しいことなんて良いから、今は素直にアヤメに甘えなさい!!」
グダグダ言う俺に痺れを切らした菖は俺の頭を離すと手近にあった酒を口に含み、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
「んぶ!?」
唇の隙間から菖の舌が入ってきて、俺の歯をノックする。
驚いてパニックに陥る俺は歯を閉じる力を緩めてしまった。
「ん、んぐ……っう!」
菖はその隙を逃さず、俺の口腔内に舌をねじ込み、少しずつ口移しでアルコールを流し込んでくる。
菖の唾液の混ざったカクテルは甘く、脳を痺れさせ、考える力と抵抗する力を奪っていく。
払いのける力も抜け、体を支えている力も抜けていく。
後退した俺の背中にベッドが当たり、退路が断たれた。
菖は俺の頭をつかんで唇を離さず、俺に跨がって舌を絡ませてくる。
菖の口内にはもうアルコールは残っていないのに、離れない。唾液がかき混ぜられるネチャネチャという湿った音が口内から頭に響く。
「ぷはぁ……ふふ、ツムたんの唾液、美味しかったー」
唇の端に垂れた唾液を舌で舐めとりながら、菖が艶っぽく微笑む。
発情したときに見せる、男を骨抜きにする妖艶な微笑みを前に、俺は動くことができなくなった。
「んんー? ふふ、ツムたん。アヤメのお尻に、なにか硬いのがゴリゴリ当たってるよー?」
「えっ、あ……」
仕事に追われ、解雇されたショックで鈍麻した性欲が、菖の淫気にあてられて蘇る。
ズボンと下着を押し上げるほど滾る肉槍を、菖は嬉しそうに服の上から優しく撫でた。
「アヤメに欲情して、大きくしちゃったの? ふふ、ツムたんは可愛いな~。食べちゃいたいくらい♪」
先端を爪でカリカリとされるだけで、電流が走るような快感に体が震える。
それを楽しそうに見つめる菖。
「あれからずーっとしてないし、ツムも抜いてないでしょ? 今日は、アヤメに任せて。頭が真っ白になって、なにも考えられなくなるぐらい、気持ちよくしてあげるから」
菖が俺から降りるとズボンとパンツに手をかけ、同時にずり下ろすとゴムに引っかかった肉槍が反動で跳ね上がる。
「んー、ツムたんの、雄臭い……いつもよりニオイがきついね。袋もパンパンに張って苦しそう……それと、ちょっとしょっぱいね。ちゃんと洗ってる?」
菖はニオイがきついと言いつつ、ペロリと先端部分を舐める……確かに、そのあたりの洗いが雑になっていた気がする。というか、
「アヤメっ!? 今日はまだ、風呂入ってないから、汚いよ!!」
「ツムたんのなら平気。むしろ、ニオイが濃くて、ドキドキしちゃうよ。それに、汚れてるなら、アヤメがきれいにお掃除してあげる」
チロチロと尿道口に舌先を入れながら笑うアヤメが綺麗にすると言って、亀頭をなめ回したあと、竿全体を口の中に収めた。
ねっとりと、唾液で満たされた熱い肉の筒に包まれる。
裏筋の敏感な部分に舌がちょうど当たって気持ちいい。
カリと皮の付け根に溜まった垢を舐めとるように舌が動くたび、快感で腰が跳ねる。
「ん、ちゅっ……んん、んぶ」
「う、あっ、やめ……くっ、あ、出ちゃ」
射精感がこみ上げてきたところで、菖の口が肉槍から離される。
「あ……なんで、」
あがっていた精液が、戻っていく。
あと少しで、イケたのに、なんで、
「止めちゃうのかって? ふふ、このまま濃いのをゴックンしてあげても良いんだけど……ツムたんは、それでいいのかな~? アヤメの中、入れたくないの?」
耳元で囁かれながら、菖の唾液で滑る肉槍が手で擦られ、くちゅくちゅという湿った音を響かせる。
「う、あっ……」
うまく声が出せない。
そんな俺をさらに追いつめるよう、耳たぶを甘噛みして、溝を舌が這いずる。
「ほら、どうしたいの? アヤメに入れたい? ゴックンしてほしい? それとも……このまま手だけでイっちゃう? アヤメにかけたい?」
ニヤニヤしながら、菖が俺に問う。
「入れ、たい……アヤメの、中に……」
「うん、よく言えました。でも、生はまだダメだからね? 生はまた今度。その時は、たーっくさん、受け止めてあげるから」
いつの間にか用意されていた、薄いゴムが装着される。
菖の中は正直キツい。そのうえよく濡れ、隙間なく密着して、締め付けてくる。
ゴムをつけていないと、あっという間に果ててしまうほど、菖は名器の持ち主だ。
そこに妖艶な美しさと、包み込むたわわな双丘。肉厚の尻と優しく強めの性欲を持ち合わせた淫魔。
俺の愚息が菖を穿つ槍なら、ゴムはは淫魔と対峙するための鎧。
「それじゃあ、入れるよ?」
対面座位の姿勢で俺に跨がった菖が竿を握ると、涎を垂らす秘裂に愚息を導く。
先端に熱い汁気を感じると、あっという間に全体が菖の体内に埋まる。
「ん、くぅ……いつもより、大きい……アヤメのお腹、下から押し上げられてる。ぴくぴく震えて……もう出そう?」
「アヤ、メ……俺、もう、」
「良いよ、ツム。アヤメの中にいっぱい出しちゃって。今日はツムがなにも考えれなくなるまで、いーーっぱい、出させてあげる」
菖の中がキュッと絞まる。
その衝撃に耐えきれず、俺はゴムの中に精を放った。
「ああー、きた! ゴム越しにツムの射精、感じる!! どぴゅどぴゅって、子宮叩いてる!!」
嬉しそうに俺の精液を搾り取りながら、菖が叫ぶ。
脈動が落ち着くまで抱き合ったまま動きを止め、脈動が落ち着いたところで引き抜かれる。
ゴムの先端に溜まった精液が重たそうに揺れていた。
「は、んん……ふふ、いつもより、早かった、けど……いっぱい、出たね」
ゴムがはずされ、中に溜まった白濁液を眺めながら菖は嬉しそうに微笑んだ。
そして、液溜まりを摘みながら逆さにし、滴る液を舌で受け止める。
「あーん……ふふ、御馳走様♪ 舌に絡みつくくらい、濃厚で……あ、まだ残ってる……もったいない」
ゴムに溜まった液を、菖は美味しそうに飲み下す。
そして亀頭から垂れる残滓を見ると、もったいないと舌で舐めとり、ストローで吸い上げるように竿の中に残っていた残滓まで残さず絞り取った。
「くっ、あぁ……ぐっ」
敏感になっているところに追撃を受け、思わず声が出てしまう。
菖はそんな俺を見て楽しそうに微笑みながら吸い続けた。
「う、んん……ふぅ……やっぱり、直接飲む方が美味しい♪ ツムたんの可愛い顔も見れたし……あっ、お腹の中にツムたんのが泳いでる。必死にアヤメの卵子を探してるのかな? でも、残念。そこに赤ちゃんの種はないんだよ? このままゆーっくり、アヤメのお腹の中で吸収されて、ツムたんはアヤメの一部になるんだよ」
汁をすべて舐めとり、すすり上げた菖が竿から口を離し、お腹をさすりながら笑う。
その淫靡な笑みに、欲情が抑えれない。
「んー? ツムたんの、まだ元気だねー。これだけ元気なら、もっとできる? アヤメ、今度はツムたんに気持ちよくしてもらいたいなー」
菖がゴムの束を摘みながら、続きをしようと言う。
一度放出して、少しだけ落ち着いたが……やられっぱなしじゃいられない。今度は俺が、この女を乱したい。喘がせたい。
ゴムを受け取ると、自分で手早く装着し、菖の衣服を剥ぎ取る。
「あん! ツムたん、そんなに慌てなくても、逃げないよ?」
四つん這いにさせて腰を掴みながら、俺は菖を後ろから貫いた。
「あぐっ! ぎ、あっ、そんな、一気に!?」
「は、あぁ……アヤメ、アヤメ……」
うわごとのように愛する女の名を呼びながら、腰を打ち付ける。
ただひたすら、がむしゃらに動いた。
「ああん、ツム、しゅごひ! しゅご、は、ぐぅ、んん……いひ! あは、ふ、あぐ、ああん!!」
腰を打ち付ける音が部屋に響く。
菖の絞まりが強くなり、大きな快楽の波がくるのを教えてくれる。
「ツム、んん……アヤメ、いふ……いっひゃ、ふ……ツムに、いかしゃ……ひっ、あ、ひ、イクウウゥゥウ!!」
「ああ、アヤメ……出す、ぞ……中に、射精……っくぅ!!」
「ひ、ゃああぁぁああ!!!」
キュッと、締め付けが強くなった瞬間……菖の絶頂にあわせて2度目の精を放った。
酒もあいまって、頭がくらくらする。
運動不足で体力が落ちているところに激しい運動で消耗したせいで、意識を保つのもツライ。
「ア、ヤメ……愛して、る……」
菖の中に挿入したまま、俺は意識を手放した。
それでいて肉ばかりじゃなく、野菜も多く使われていて、彼女の気遣いに溢れていた。
料理を食べ、酒を飲み、また食べる。
いつもよりも酒が進んでしまい、限度を超えているのにも気づかなかった俺は、菖の肩に手をまわしながら愚痴をこぼしていた。
仕事の不満や、再就職できない焦り。減っていく貯金。先の見えない不安。菖との関係。
「俺さ……頑張ったよな……なのにあの無能ゴミ上司とその取り巻きの野郎ども……俺がアヤメと良い仲だからって、こんな仕打ちしやがって……」
「うん。ツムが頑張ってるの、アヤメは知ってるよ」
「アヤメは優しいなぁ……俺はアヤメがいたから、頑張れたんだよ……部下なのに、一目惚れしちゃってさ……頼られる上司であろうって、気合い入れてたのにあっという間に仕事覚えて逆にフォローされちゃってさ……」
「え、一目惚れ!?」
「そうだよ……めっちゃ可愛くてさ……でも、俺とアヤメって、10才も離れてるだろ? 酒の席で酔ったアヤメを送ったとき、できるだけ紳士にって思ってたのに、そっちから誘われたらさ……」
「ひいた?」
「惚れた女に誘われて、嫌な男はいない」
「そ、そっか」
「アヤメはさ、美人で優しくて仕事もできて、家事もできる……でも、二人の時は子供ぽい面があって、こんな俺に甘えてくれるのがものすごく可愛くて……俺にはもったいなさすぎるくらい、イイ女なんだよ……」
「え、えっと……さ、さすがに、ほめすぎじゃない?」
「本心だよ……今日だってさ……ほんとうは、別れようって、言おうとしてたんだよ?」
「……え?」
菖が強ばった声を出したことに気づかず、俺はしゃべり続けた。
酒は口を軽くする。
酒は飲むとも飲まるるなと。
新人時代に痛い目を見たはずなのに、今日の俺は止まれなかった。
「俺にお前はもったいなさ過ぎるって……俺みたいな無職で将来性ない男より、しっかりとして頼れる若い男と一緒の方がアヤメは幸せになれるから、身を引こうって……なのになぁ、こんなに優しくされたら、手放したくないよ……」
「ツムは……アヤメとずっと一緒にいたい?」
「当たり前だろ! ずっと一緒にいたいさ……だけどさ、俺は、収入もないし職もない……こうして酒飲んで女に泣きついて、頼りなくて情けない……こんな男、アヤメの傍にいる資格なんてないだろ……」
「ツム……ツラかったね。頑張ったね。大丈夫。ツムがアヤメを大事にしてくれていること、ちゃんと伝わってるから。愛してくれてるって、わかってるから。だから、良いんだよ。アヤメに甘えて、ね?」
菖が俺の頭を胸に抱き寄せると、優しく頭を撫でてくれた。
「う、うぅ……」
菖の前で酒に溺れて醜態をさらしてきたが、最後の意地で涙は流すまいとぐっと堪える。
「こんな時くらい思いっきり泣いて良いのに……よしよし。ツムたんは頑張った。いっぱいいっぱい頑張った。これならアヤメには見えないから、泣いても良いんだよ? 服とか汚しても洗えばいいから……ね?」
菖の優しさ、温かさ、ふんわりと香る甘い匂い、柔らかくて弾力のある胸に包まれる。
「アヤメのために、たくさん我慢して頑張ってくれてたんだね。でも、もういいんだよ、無理しないで。頑張らなくて良いんだよ。アヤメには、ツムが必要なんだから……ううん、ツムがいればそれで十分幸せだから。だから、アヤメの前からいなくならないで。身を引くなんて、言わないで。そのためなら、胸でもなんでも貸すし、アヤメが養ってあげる。思いっきり、甘やかしてあげるから。今までツムがアヤメにしてくれたみたいに、今度はアヤメが、ツムを支えてあげるから、ね?」
子供をあやすような落ち着いた口調で、俺がほしかった言葉をくれる。
必要としてくれて、甘えても良いと言ってくれる。
「どうして、そんなに優しいんだよ……」
「だって、アヤメも一目惚れだったんだから。お酒の席で誘ったのだって、狙ってたから……」
菖が、俺なんかに、一目惚れ?
「格好良い人だなって。一緒に仕事するのも、スゴくどきどきしてた。でも、部下としてしか見てくれてないなって、思ったから……告白する前にセックスしちゃったけど……ずっと、良いなって、思ってた……」
撫でる手がとまって、恥ずかしさを誤魔化すようにギュッと抱き締められる。
たわわな双丘に埋もれて、うまく呼吸ができない。息が、苦しい。
菖の体を軽くたたいて、呼吸ができていないことを訴えると、
「あ、ごめん」
抱きしめる力は弱くなり、隙間が開いて呼吸ができるようになった。
それでも俺を離そうとせず、顔は菖の乳房に乗ったままだ。
「ツムたんはさ、いろんなことをひとりで難しく考えすぎだよ。良いんだよ、甘えても。誰かに頼っても。性別も年齢も上下関係も、関係ない。お金だって、アヤメが稼げばいい。これでも、仕事はできるんだからね?」
菖が仕事ができるのは、一緒に仕事をしてきたから知っている。
「アヤメじゃ、頼りない? ツムを甘えさせるには、力不足?」
「そんなことは、ない。アヤメがいなかったら、俺はとっくに潰れて……」
「じゃあ、問題なし♪」
「でも、今の俺じゃ……」
「……ああ、もう! 難しいことなんて良いから、今は素直にアヤメに甘えなさい!!」
グダグダ言う俺に痺れを切らした菖は俺の頭を離すと手近にあった酒を口に含み、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
「んぶ!?」
唇の隙間から菖の舌が入ってきて、俺の歯をノックする。
驚いてパニックに陥る俺は歯を閉じる力を緩めてしまった。
「ん、んぐ……っう!」
菖はその隙を逃さず、俺の口腔内に舌をねじ込み、少しずつ口移しでアルコールを流し込んでくる。
菖の唾液の混ざったカクテルは甘く、脳を痺れさせ、考える力と抵抗する力を奪っていく。
払いのける力も抜け、体を支えている力も抜けていく。
後退した俺の背中にベッドが当たり、退路が断たれた。
菖は俺の頭をつかんで唇を離さず、俺に跨がって舌を絡ませてくる。
菖の口内にはもうアルコールは残っていないのに、離れない。唾液がかき混ぜられるネチャネチャという湿った音が口内から頭に響く。
「ぷはぁ……ふふ、ツムたんの唾液、美味しかったー」
唇の端に垂れた唾液を舌で舐めとりながら、菖が艶っぽく微笑む。
発情したときに見せる、男を骨抜きにする妖艶な微笑みを前に、俺は動くことができなくなった。
「んんー? ふふ、ツムたん。アヤメのお尻に、なにか硬いのがゴリゴリ当たってるよー?」
「えっ、あ……」
仕事に追われ、解雇されたショックで鈍麻した性欲が、菖の淫気にあてられて蘇る。
ズボンと下着を押し上げるほど滾る肉槍を、菖は嬉しそうに服の上から優しく撫でた。
「アヤメに欲情して、大きくしちゃったの? ふふ、ツムたんは可愛いな~。食べちゃいたいくらい♪」
先端を爪でカリカリとされるだけで、電流が走るような快感に体が震える。
それを楽しそうに見つめる菖。
「あれからずーっとしてないし、ツムも抜いてないでしょ? 今日は、アヤメに任せて。頭が真っ白になって、なにも考えられなくなるぐらい、気持ちよくしてあげるから」
菖が俺から降りるとズボンとパンツに手をかけ、同時にずり下ろすとゴムに引っかかった肉槍が反動で跳ね上がる。
「んー、ツムたんの、雄臭い……いつもよりニオイがきついね。袋もパンパンに張って苦しそう……それと、ちょっとしょっぱいね。ちゃんと洗ってる?」
菖はニオイがきついと言いつつ、ペロリと先端部分を舐める……確かに、そのあたりの洗いが雑になっていた気がする。というか、
「アヤメっ!? 今日はまだ、風呂入ってないから、汚いよ!!」
「ツムたんのなら平気。むしろ、ニオイが濃くて、ドキドキしちゃうよ。それに、汚れてるなら、アヤメがきれいにお掃除してあげる」
チロチロと尿道口に舌先を入れながら笑うアヤメが綺麗にすると言って、亀頭をなめ回したあと、竿全体を口の中に収めた。
ねっとりと、唾液で満たされた熱い肉の筒に包まれる。
裏筋の敏感な部分に舌がちょうど当たって気持ちいい。
カリと皮の付け根に溜まった垢を舐めとるように舌が動くたび、快感で腰が跳ねる。
「ん、ちゅっ……んん、んぶ」
「う、あっ、やめ……くっ、あ、出ちゃ」
射精感がこみ上げてきたところで、菖の口が肉槍から離される。
「あ……なんで、」
あがっていた精液が、戻っていく。
あと少しで、イケたのに、なんで、
「止めちゃうのかって? ふふ、このまま濃いのをゴックンしてあげても良いんだけど……ツムたんは、それでいいのかな~? アヤメの中、入れたくないの?」
耳元で囁かれながら、菖の唾液で滑る肉槍が手で擦られ、くちゅくちゅという湿った音を響かせる。
「う、あっ……」
うまく声が出せない。
そんな俺をさらに追いつめるよう、耳たぶを甘噛みして、溝を舌が這いずる。
「ほら、どうしたいの? アヤメに入れたい? ゴックンしてほしい? それとも……このまま手だけでイっちゃう? アヤメにかけたい?」
ニヤニヤしながら、菖が俺に問う。
「入れ、たい……アヤメの、中に……」
「うん、よく言えました。でも、生はまだダメだからね? 生はまた今度。その時は、たーっくさん、受け止めてあげるから」
いつの間にか用意されていた、薄いゴムが装着される。
菖の中は正直キツい。そのうえよく濡れ、隙間なく密着して、締め付けてくる。
ゴムをつけていないと、あっという間に果ててしまうほど、菖は名器の持ち主だ。
そこに妖艶な美しさと、包み込むたわわな双丘。肉厚の尻と優しく強めの性欲を持ち合わせた淫魔。
俺の愚息が菖を穿つ槍なら、ゴムはは淫魔と対峙するための鎧。
「それじゃあ、入れるよ?」
対面座位の姿勢で俺に跨がった菖が竿を握ると、涎を垂らす秘裂に愚息を導く。
先端に熱い汁気を感じると、あっという間に全体が菖の体内に埋まる。
「ん、くぅ……いつもより、大きい……アヤメのお腹、下から押し上げられてる。ぴくぴく震えて……もう出そう?」
「アヤ、メ……俺、もう、」
「良いよ、ツム。アヤメの中にいっぱい出しちゃって。今日はツムがなにも考えれなくなるまで、いーーっぱい、出させてあげる」
菖の中がキュッと絞まる。
その衝撃に耐えきれず、俺はゴムの中に精を放った。
「ああー、きた! ゴム越しにツムの射精、感じる!! どぴゅどぴゅって、子宮叩いてる!!」
嬉しそうに俺の精液を搾り取りながら、菖が叫ぶ。
脈動が落ち着くまで抱き合ったまま動きを止め、脈動が落ち着いたところで引き抜かれる。
ゴムの先端に溜まった精液が重たそうに揺れていた。
「は、んん……ふふ、いつもより、早かった、けど……いっぱい、出たね」
ゴムがはずされ、中に溜まった白濁液を眺めながら菖は嬉しそうに微笑んだ。
そして、液溜まりを摘みながら逆さにし、滴る液を舌で受け止める。
「あーん……ふふ、御馳走様♪ 舌に絡みつくくらい、濃厚で……あ、まだ残ってる……もったいない」
ゴムに溜まった液を、菖は美味しそうに飲み下す。
そして亀頭から垂れる残滓を見ると、もったいないと舌で舐めとり、ストローで吸い上げるように竿の中に残っていた残滓まで残さず絞り取った。
「くっ、あぁ……ぐっ」
敏感になっているところに追撃を受け、思わず声が出てしまう。
菖はそんな俺を見て楽しそうに微笑みながら吸い続けた。
「う、んん……ふぅ……やっぱり、直接飲む方が美味しい♪ ツムたんの可愛い顔も見れたし……あっ、お腹の中にツムたんのが泳いでる。必死にアヤメの卵子を探してるのかな? でも、残念。そこに赤ちゃんの種はないんだよ? このままゆーっくり、アヤメのお腹の中で吸収されて、ツムたんはアヤメの一部になるんだよ」
汁をすべて舐めとり、すすり上げた菖が竿から口を離し、お腹をさすりながら笑う。
その淫靡な笑みに、欲情が抑えれない。
「んー? ツムたんの、まだ元気だねー。これだけ元気なら、もっとできる? アヤメ、今度はツムたんに気持ちよくしてもらいたいなー」
菖がゴムの束を摘みながら、続きをしようと言う。
一度放出して、少しだけ落ち着いたが……やられっぱなしじゃいられない。今度は俺が、この女を乱したい。喘がせたい。
ゴムを受け取ると、自分で手早く装着し、菖の衣服を剥ぎ取る。
「あん! ツムたん、そんなに慌てなくても、逃げないよ?」
四つん這いにさせて腰を掴みながら、俺は菖を後ろから貫いた。
「あぐっ! ぎ、あっ、そんな、一気に!?」
「は、あぁ……アヤメ、アヤメ……」
うわごとのように愛する女の名を呼びながら、腰を打ち付ける。
ただひたすら、がむしゃらに動いた。
「ああん、ツム、しゅごひ! しゅご、は、ぐぅ、んん……いひ! あは、ふ、あぐ、ああん!!」
腰を打ち付ける音が部屋に響く。
菖の絞まりが強くなり、大きな快楽の波がくるのを教えてくれる。
「ツム、んん……アヤメ、いふ……いっひゃ、ふ……ツムに、いかしゃ……ひっ、あ、ひ、イクウウゥゥウ!!」
「ああ、アヤメ……出す、ぞ……中に、射精……っくぅ!!」
「ひ、ゃああぁぁああ!!!」
キュッと、締め付けが強くなった瞬間……菖の絶頂にあわせて2度目の精を放った。
酒もあいまって、頭がくらくらする。
運動不足で体力が落ちているところに激しい運動で消耗したせいで、意識を保つのもツライ。
「ア、ヤメ……愛して、る……」
菖の中に挿入したまま、俺は意識を手放した。
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私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
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