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第3幕【謁見:レダの王】
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ようやく広々とした部屋に通された謁見の間…
周りを見回していると、男が後ろから足を蹴る
俺は片膝をつき頭を下げ、王の到着を待つ
謁見の間に鳥のさえずりが聞こえる
何という鳥だったかなぁ?
その鳥は特徴的な声で風のように優しいさえずりだ
ミール河のほとりでも聞いたことがあるな‥たしか、『月呼鳥』だったか…
そう考えていると、奥から足音が聞こえてきた
2?いや3人か…
2人は足音を揃え、金属のすれる音がかすかに聞こえる
多分神官だろうか
もう1人の足音は重く、心の臓に持病があるのか息がかすかに荒い
「ふぅ~」
ようやく座った矢先、咳き込み出した
かなり体調もお悪いのか咳はなかなか止まらない
付きの者から水をもらい少しして咳も治まった
「旅の者よ…おもてをあげよ。」
王たる者の重く、そして静かなる声だった
俺は頭を上げ、王を見つめた
顔色は悪くやせ細り、70歳ぐらいだろうか…
しかし、眼には王たる風格がある
まじまじと見ながら髭を触る
「旅の者か?」
「はい」
「ではそなたは色々な国を見て回ってきたのであろう」
「その通りでございます」
「では....おぬしに問う。
そのお主の眼(マナコ)で見た国の在り方とはどのように写ったか?」
「国とは民のためにあるべきもの。民は国の領土を管理し、耕し、国を育てるものであります。民が滅べば国も滅びます」
むう~
また髭を触る
「我が王よ!!」
男の声が静寂を破る
「隣国からの不審な動きはご存知のはず!今こそ軍事の強化をすることこそ王たる職務でございます!」
それを言い終わるよりも早く、王は右手をゆっくりと上げその男に言った
「…ジークよ。お前には聞いておらぬ。少し黙っておれ…」
その一言で後ろからもう、声はしなくなった
俺は今まで立ち寄った国や町の話をした
王は大きく身を乗り出し、笑みを浮かべながら聞いていた
あれからどのくらい話をしただろうか
身振り手振りを交えて今までの経験を声を上げて力の限り振り絞る
はたから見れば余りにもこっけいに映っているのかもしれない
俺自身驚いているほどだ
しかし、王の子供のように輝く瞳を見ると無性に話したくなる
そういえば、喉もカラカラだ
案の定、思わず咳き込んでしまった
「これ、水を旅の者に」
王が言うと1人の神官が俺に水の入った器を手渡す
俺は感謝の言葉を述べて、一気にそれを飲んだ
キリキリ…
空きっ腹に染み渡る
◆ぎゅるるるる~
目覚めた俺の胃はホルステンの鳴き声のように音を立て、静かなる謁見の間に主張するかのごとく、その音は響き渡った…
穴に入りたいとはこのことだ…
しばらくの沈黙のあと、王は笑い出した
「無理もない。せっかくの食事を邪魔されたしのぅ」
王は笑いながらそう言った
何故そのことを知っているのか、俺は不思議に顔を上げた
周りを見回していると、男が後ろから足を蹴る
俺は片膝をつき頭を下げ、王の到着を待つ
謁見の間に鳥のさえずりが聞こえる
何という鳥だったかなぁ?
その鳥は特徴的な声で風のように優しいさえずりだ
ミール河のほとりでも聞いたことがあるな‥たしか、『月呼鳥』だったか…
そう考えていると、奥から足音が聞こえてきた
2?いや3人か…
2人は足音を揃え、金属のすれる音がかすかに聞こえる
多分神官だろうか
もう1人の足音は重く、心の臓に持病があるのか息がかすかに荒い
「ふぅ~」
ようやく座った矢先、咳き込み出した
かなり体調もお悪いのか咳はなかなか止まらない
付きの者から水をもらい少しして咳も治まった
「旅の者よ…おもてをあげよ。」
王たる者の重く、そして静かなる声だった
俺は頭を上げ、王を見つめた
顔色は悪くやせ細り、70歳ぐらいだろうか…
しかし、眼には王たる風格がある
まじまじと見ながら髭を触る
「旅の者か?」
「はい」
「ではそなたは色々な国を見て回ってきたのであろう」
「その通りでございます」
「では....おぬしに問う。
そのお主の眼(マナコ)で見た国の在り方とはどのように写ったか?」
「国とは民のためにあるべきもの。民は国の領土を管理し、耕し、国を育てるものであります。民が滅べば国も滅びます」
むう~
また髭を触る
「我が王よ!!」
男の声が静寂を破る
「隣国からの不審な動きはご存知のはず!今こそ軍事の強化をすることこそ王たる職務でございます!」
それを言い終わるよりも早く、王は右手をゆっくりと上げその男に言った
「…ジークよ。お前には聞いておらぬ。少し黙っておれ…」
その一言で後ろからもう、声はしなくなった
俺は今まで立ち寄った国や町の話をした
王は大きく身を乗り出し、笑みを浮かべながら聞いていた
あれからどのくらい話をしただろうか
身振り手振りを交えて今までの経験を声を上げて力の限り振り絞る
はたから見れば余りにもこっけいに映っているのかもしれない
俺自身驚いているほどだ
しかし、王の子供のように輝く瞳を見ると無性に話したくなる
そういえば、喉もカラカラだ
案の定、思わず咳き込んでしまった
「これ、水を旅の者に」
王が言うと1人の神官が俺に水の入った器を手渡す
俺は感謝の言葉を述べて、一気にそれを飲んだ
キリキリ…
空きっ腹に染み渡る
◆ぎゅるるるる~
目覚めた俺の胃はホルステンの鳴き声のように音を立て、静かなる謁見の間に主張するかのごとく、その音は響き渡った…
穴に入りたいとはこのことだ…
しばらくの沈黙のあと、王は笑い出した
「無理もない。せっかくの食事を邪魔されたしのぅ」
王は笑いながらそう言った
何故そのことを知っているのか、俺は不思議に顔を上げた
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