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決戦にて 極限の深緑と決着
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自分の身体を圧縮して肉団子になったあいつは、心臓のようにドクンドクンと動くたびに少しずつ小さくなっていき、あいつの周りの魔力がどんどんあいつに吸収されていってる。なるほど、魔力の圧縮と吸収を同時にやってるのか。
『グババババババッ‼︎ ワレニ、ゴノゼンダグヲドラゼダ、ジブンダヂヲ、ゴウガイズルガイイッ‼︎』
「……みんな、ごめん。もっとあいつを弱らせてから確実に倒そうとしてたのが裏目になった」
『ただ単にあのものがはた迷惑な選択をしただけだ。ヤートが謝る事ではない』
『そうですね。主人に非はありません』
シールと世界樹がキッパリと断言してくれたから僕も思考を切り替える。
「自爆しようとしているあいつへ取れる対応として考えられるのは大きく分けて二つかな。一つ目は、あいつを何かで覆って自爆しても周りへ影響が小さくなるようにする事。二つ目は、あいつをどこか爆発しても影響が出ない別の場所へ運ぶ事。どっちもかなり厄介で面倒くさいのは確かだね」
『一つ目の欠点は我らの力で、あのものの爆発を抑え切れるかわからないという点だな』
『二つ目に関しては、あの愚物の爆発の影響が出ない場所があるのか? と、もしそんな場所があるなら、そこへ行くまでにどれくらいの時間がかかるのか? ですね。主人は、どうするつもりですか?』
僕はシールの質問に答えるため少し考えて結論を出す。
「僕は二つ目を考えてる」
『あのものが爆発しても大丈夫な場所に当てはあるのだな?』
「うん、場所的には問題ないと思う」
『それならば、あとは移動時間の確保ですね』
「それも考えてるよ。緑盛魔法・超育成・純粋なる深緑を纏う宿り木の抱擁」
腰の小袋から数個の種を取り出して魔法を詠唱すると、種はあいつの頭上へ飛んでいく。そして全て発芽し一気に成長して、あいつの表面を無数の細い根が覆っていく。
『グオオオオオ、ヤメロ‼︎ マリョグガ……』
「熱くて持てないなら冷ませば良いのと同じで、魔力が集まって爆発しそうになってるなら魔力を抜けば良いだけだよ。あいつの魔力は吸い尽くせないけど時間は稼げる」
『ふむ、道理だな』
『主人、あの愚物を運ぶ時は直接触りますか?』
「宿り木達に覆われてる状態なら触っても大丈夫だと思うけど、万が一を警戒しておく。世界樹」
「いつでも良いぞ」
「わかった。緑盛魔法・超育成・純粋なる深緑を纏う樹根触腕、純粋なる深緑を纏う緑盛網」
世界樹の各部から根や蔓が伸びて絡み合い、あいつを持ち上げた。
『ギ……ザ……マラ……』
「これなら万が一あいつが世界樹に何かしてきても対応できるはずだよ」
『動けない状態ならば危険だったかもしれぬが、万全に近い今ならあのものを好きにさせる気はない。…………だが、あのものへの警戒の必要性は理解している』
「うん、慎重に運んでね」
『それで主人は、あの愚物をどこに運ぶつもりなのですか?』
「世界樹、あそこまで飛んで」
『なるほど、そういう事か』
『私も理解しました』
僕が指差した方向を見てシールと世界樹は僕のやりたい事を察してくれる。本当に頼りになるね。うーん、ラカムタさん達は僕達の方へ説明する時間はないな。全部終わった後に怒られよう。
「世界樹、お願い」
『任せろ‼︎』
『わかりました』
世界樹が僕に答えて飛び上がり空のある一点に向かっていく。その間に僕とシールは、ある魔法をすぐに発動できるように準備をする。
『もうすぐ到達するぞ‼︎』
「わかった。シール」
『いつでもいけます』
「ありがとう。それじゃあ魔法を詠唱するよ。緑よ。緑よ。道をここに 。緑盛魔法・純粋なる深緑を纏う門」
『ナ……ンダ……ド……‼︎』
あいつが驚くのも無理はない。なぜなら僕の唱えた魔法で空間に穴が開いたからだ。ちなみに世界樹も驚いている。
『この世界の中と外をわける境界は、かなり強化されたと思ったが……』
「世界樹の言う通り境界は強化されていて、あいつみたいなこの世界の外から来る異物は通れなくなってる。でも、何事にも条件がそろえば例外ができるものだよ」
『例外だと?』
「うん、まず、この境界は世界樹竜の咆哮で強化されてるけど、その咆哮は僕の魔法でもあるから僕の別の魔法で干渉できる。それとここの空間は一度あいつが穴を開けているせいで、強化されていても他の場所に比べたら不安定っていうのも理由の一つ」
『つまり、一度主人の手が入った境界は主人ならある程度の開閉は可能。そして境界を抜けた先の世界の外なら、あの愚物が爆発しても問題ないという事ですね』
「そういう事。世界樹、あいつを世界の外へ放り投げて。宿り木は世界樹の根と蔓を伝い戻ってきて」
『任せろ‼︎』
僕が言うと世界樹は空中で横に回転をしてあいつを前世のテレビで見た陸上のハンマー投げのように振り回す。そしてだんだんと加速していき、まさに世界樹があいつにからめている根と蔓を解いて世界の外へ投げ捨てようとした瞬間、宿り木達が世界樹の根と蔓を伝って戻ってきた。最後の最後まであいつの魔力を吸い続けてくれて感謝しかない。世界樹も宿り木達の動きに感心しながら全力であいつを空間の穴から世界の外へ放り投げる。
『ギザマラーーーー‼︎』
この世界からどんどん離れていくあいつの憎しみと怒りのこもった叫び声が聞こえてきた。…………よし、ここで決めよう。
「シール、世界樹」
『わかっている』
『いつでも可能です』
「宿り木達も力を貸して」
みんなやるべき事がわかっていて、世界樹はあいつに向けて口を開き、宿り木達はあいつから吸収した魔力を渡してくれ、シールは僕が魔法を制御しやすいように全ての魔力を整えてくれた。これなら何の問題もないね。
『ギザマラ‼︎ ガナラズ、ガナラズ、グイゴロジデヤルゾ‼︎』
「緑よ。緑よ。力をここに。実をここに」
僕が詠唱を始めると、いくつもの深緑色の実が現れ世界樹の口を中心にした三重の円になるように並ぶ。
「緑よ。緑よ。繋がりをここに。循環をここに。加速をここに」
次に詠唱を進めると、全ての実が深緑色の光の線で結ばれ複雑な魔法陣を描き、魔法陣が回転していく。
「緑よ。緑よ。励起をここに。臨界をここに」
さらに詠唱が進むと、魔法陣から放たれる魔力量や魔法陣の回転速度と発光度が上がり続け、世界の外を深緑色で染め上げる。
『ユルザン‼︎ ユルザンゾ‼︎』
「あれだけ離れても、まだ声が聞こえるんだ。まあ、でも、これで終わりだね。緑よ。 緑よ。 集めし力を解き放て 。緑盛魔法・純粋なる深緑を纏う世界樹竜の深緑息」
詠唱が終わった次の瞬間、魔法陣は停止し魔法陣の魔力と光が全て世界樹の口に集まり、そして……。
『ゴアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーー‼︎』
『ギザマバ、ガナラズゴロジデヤ、ルオオオアアアアア…………』
世界樹の口から極大の光線が放たれ、僕への恨み言を叫ぶあいつを飲み込み消し去った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
『グババババババッ‼︎ ワレニ、ゴノゼンダグヲドラゼダ、ジブンダヂヲ、ゴウガイズルガイイッ‼︎』
「……みんな、ごめん。もっとあいつを弱らせてから確実に倒そうとしてたのが裏目になった」
『ただ単にあのものがはた迷惑な選択をしただけだ。ヤートが謝る事ではない』
『そうですね。主人に非はありません』
シールと世界樹がキッパリと断言してくれたから僕も思考を切り替える。
「自爆しようとしているあいつへ取れる対応として考えられるのは大きく分けて二つかな。一つ目は、あいつを何かで覆って自爆しても周りへ影響が小さくなるようにする事。二つ目は、あいつをどこか爆発しても影響が出ない別の場所へ運ぶ事。どっちもかなり厄介で面倒くさいのは確かだね」
『一つ目の欠点は我らの力で、あのものの爆発を抑え切れるかわからないという点だな』
『二つ目に関しては、あの愚物の爆発の影響が出ない場所があるのか? と、もしそんな場所があるなら、そこへ行くまでにどれくらいの時間がかかるのか? ですね。主人は、どうするつもりですか?』
僕はシールの質問に答えるため少し考えて結論を出す。
「僕は二つ目を考えてる」
『あのものが爆発しても大丈夫な場所に当てはあるのだな?』
「うん、場所的には問題ないと思う」
『それならば、あとは移動時間の確保ですね』
「それも考えてるよ。緑盛魔法・超育成・純粋なる深緑を纏う宿り木の抱擁」
腰の小袋から数個の種を取り出して魔法を詠唱すると、種はあいつの頭上へ飛んでいく。そして全て発芽し一気に成長して、あいつの表面を無数の細い根が覆っていく。
『グオオオオオ、ヤメロ‼︎ マリョグガ……』
「熱くて持てないなら冷ませば良いのと同じで、魔力が集まって爆発しそうになってるなら魔力を抜けば良いだけだよ。あいつの魔力は吸い尽くせないけど時間は稼げる」
『ふむ、道理だな』
『主人、あの愚物を運ぶ時は直接触りますか?』
「宿り木達に覆われてる状態なら触っても大丈夫だと思うけど、万が一を警戒しておく。世界樹」
「いつでも良いぞ」
「わかった。緑盛魔法・超育成・純粋なる深緑を纏う樹根触腕、純粋なる深緑を纏う緑盛網」
世界樹の各部から根や蔓が伸びて絡み合い、あいつを持ち上げた。
『ギ……ザ……マラ……』
「これなら万が一あいつが世界樹に何かしてきても対応できるはずだよ」
『動けない状態ならば危険だったかもしれぬが、万全に近い今ならあのものを好きにさせる気はない。…………だが、あのものへの警戒の必要性は理解している』
「うん、慎重に運んでね」
『それで主人は、あの愚物をどこに運ぶつもりなのですか?』
「世界樹、あそこまで飛んで」
『なるほど、そういう事か』
『私も理解しました』
僕が指差した方向を見てシールと世界樹は僕のやりたい事を察してくれる。本当に頼りになるね。うーん、ラカムタさん達は僕達の方へ説明する時間はないな。全部終わった後に怒られよう。
「世界樹、お願い」
『任せろ‼︎』
『わかりました』
世界樹が僕に答えて飛び上がり空のある一点に向かっていく。その間に僕とシールは、ある魔法をすぐに発動できるように準備をする。
『もうすぐ到達するぞ‼︎』
「わかった。シール」
『いつでもいけます』
「ありがとう。それじゃあ魔法を詠唱するよ。緑よ。緑よ。道をここに 。緑盛魔法・純粋なる深緑を纏う門」
『ナ……ンダ……ド……‼︎』
あいつが驚くのも無理はない。なぜなら僕の唱えた魔法で空間に穴が開いたからだ。ちなみに世界樹も驚いている。
『この世界の中と外をわける境界は、かなり強化されたと思ったが……』
「世界樹の言う通り境界は強化されていて、あいつみたいなこの世界の外から来る異物は通れなくなってる。でも、何事にも条件がそろえば例外ができるものだよ」
『例外だと?』
「うん、まず、この境界は世界樹竜の咆哮で強化されてるけど、その咆哮は僕の魔法でもあるから僕の別の魔法で干渉できる。それとここの空間は一度あいつが穴を開けているせいで、強化されていても他の場所に比べたら不安定っていうのも理由の一つ」
『つまり、一度主人の手が入った境界は主人ならある程度の開閉は可能。そして境界を抜けた先の世界の外なら、あの愚物が爆発しても問題ないという事ですね』
「そういう事。世界樹、あいつを世界の外へ放り投げて。宿り木は世界樹の根と蔓を伝い戻ってきて」
『任せろ‼︎』
僕が言うと世界樹は空中で横に回転をしてあいつを前世のテレビで見た陸上のハンマー投げのように振り回す。そしてだんだんと加速していき、まさに世界樹があいつにからめている根と蔓を解いて世界の外へ投げ捨てようとした瞬間、宿り木達が世界樹の根と蔓を伝って戻ってきた。最後の最後まであいつの魔力を吸い続けてくれて感謝しかない。世界樹も宿り木達の動きに感心しながら全力であいつを空間の穴から世界の外へ放り投げる。
『ギザマラーーーー‼︎』
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「シール、世界樹」
『わかっている』
『いつでも可能です』
「宿り木達も力を貸して」
みんなやるべき事がわかっていて、世界樹はあいつに向けて口を開き、宿り木達はあいつから吸収した魔力を渡してくれ、シールは僕が魔法を制御しやすいように全ての魔力を整えてくれた。これなら何の問題もないね。
『ギザマラ‼︎ ガナラズ、ガナラズ、グイゴロジデヤルゾ‼︎』
「緑よ。緑よ。力をここに。実をここに」
僕が詠唱を始めると、いくつもの深緑色の実が現れ世界樹の口を中心にした三重の円になるように並ぶ。
「緑よ。緑よ。繋がりをここに。循環をここに。加速をここに」
次に詠唱を進めると、全ての実が深緑色の光の線で結ばれ複雑な魔法陣を描き、魔法陣が回転していく。
「緑よ。緑よ。励起をここに。臨界をここに」
さらに詠唱が進むと、魔法陣から放たれる魔力量や魔法陣の回転速度と発光度が上がり続け、世界の外を深緑色で染め上げる。
『ユルザン‼︎ ユルザンゾ‼︎』
「あれだけ離れても、まだ声が聞こえるんだ。まあ、でも、これで終わりだね。緑よ。 緑よ。 集めし力を解き放て 。緑盛魔法・純粋なる深緑を纏う世界樹竜の深緑息」
詠唱が終わった次の瞬間、魔法陣は停止し魔法陣の魔力と光が全て世界樹の口に集まり、そして……。
『ゴアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーー‼︎』
『ギザマバ、ガナラズゴロジデヤ、ルオオオアアアアア…………』
世界樹の口から極大の光線が放たれ、僕への恨み言を叫ぶあいつを飲み込み消し去った。
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