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決戦にて 揺るがない弱者と動揺する強者
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キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。キリキリキリキリ……、発射。
「「「「「ギギャアアア‼︎」」」」」
『ウグ、ク、オ、オノレエエエエ‼︎』
このねじった魔槍は、あいつの身体も魔石も貫通できてるから僕だけで威力を出すっていう目的は達成できてる。ただ……。
「これ魔槍を一本一本ねじるのに時間がかって連射性が低くなるから使いづらいな」
『……いや、十分効果的だろう』
「そう?」
『私も即興で、この威力を出せているなら十分だと思います』
「うーん……、あ、そうか」
僕は根本的な事に思い至り魔槍をねじってから撃つのやめた。その代わり両手をあいつへ向かって伸ばして目を閉じた。
『ヤート、待て。何をするつもりだ?』
「魔槍を作ってねじって発射するっていう三段階を高速で繰り返す魔法を作ってる」
『『は?』』
なんかシールと世界樹が僕の返答に唖然としてるみたいだけど、今は魔法の構築に集中する。さっきまでの魔槍をねじって発射するのは前世のドリルを参考にした。それなら次に参考にするべきなのは…………銃だね。つまり僕自身を銃弾をためて供給する弾倉に、両手を銃身に見立てて機関銃を魔法で再現する。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
僕は目を開け魔法を詠唱すると、すでにねじられた魔槍が現れ、そのまま発射された。そして次の瞬間には、またねじられた魔槍が現れて発射される。お、ノリと勢いで作った魔法にしては意外と良いかもしれない。あとは続けて使った時にどうなるかだね。
しばらくあいつに向けて純粋なる緑の魔槍銃を発動しても、特に問題が起きない。これは大丈夫だなと思っていたら、突然両掌にピリッと痛みが走る。僕が両掌の状態を確かめる前に、それは起こった。
バツンッ‼︎
僕の両掌が弾けた。魔法を止めて両掌を見ると掌の肉が飛び散り骨がむき出しになっていて指も何本か無くなっている。
「うーん、魔法の制御を失敗したかな?」
『ヤート‼︎』
『主人‼︎ すぐに治療を‼︎』
『フ、フハハハハハハ‼︎ ジブンノマホウデキズツクトハ‼︎』
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
『ヤハリ、キサマラハオロカ、ダバア‼︎』
シールに言われたけど、僕は両掌を治さずに両腕を伸ばして魔法を発動させ、大きく口を開けて叫んでるあいつへねじった魔槍を撃ち込んでいった。あー、やっぱりこの魔法は制御が難しいな。両腕がどんどん魔法の負荷に耐え切れずに吹き飛んでいく。
『ヤート、今すぐ、その魔法をやめろ‼︎』
『そうです‼︎ やめてください‼︎ 肩までの肉と骨が全て吹き飛んでいってるので、このままでは出血死もありえます‼︎』
「さすがに出血死は困る。水生魔法、緑盛魔法・純粋なる緑の強薬水液」
薬草団子が入っている腰の小袋の一つを水生魔法の水に浸して薬草団子を溶かし魔法を発動させると、深緑色の液体ができて腕のなくなった肩口を覆う。今回は粘性を上げているから、これで出血を防ぎつつ両腕を再生できるね。
『ギ、ギザマ……ジョウギガ?』
うん? ジョウギガ? ……ああ、正気か? か。あいつの顔に魔法を撃ち込んだせいで、また声が聞き取りづらくなってるな。
「変な事を言うね。僕はいたって正気だよ」
『ブ、ブザゲルナ‼︎ ジョウウギナラ、ジブンノウデヲ、ブギドバジデ、ベイギデイラレルワゲガナイ‼︎ ギザマ、イタミヲガンジナイノガ⁉︎』
「お前、頭悪いのか? 両腕が吹き飛んでるんだから痛いに決まってる」
『ナラバ、ナゼ、ゾゴマデレイゼイデイラレル⁉︎』
「…………逆に聞きたい。何で、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで騒がないといけないの?」
『ナンダド……?』
「僕とお前を比べたら、どう考えても僕の方が圧倒的に弱い。それならそんな弱い僕が命がけで戦っている時に、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで隙を見せられるわけがない」
『『『…………』』』
あれ? 何かシールと世界樹まで絶句してる。……まあ、別にやれる事をやるだけだからどうでも良いか。僕は強薬水液で再生しつつある両腕を、あいつの方へ伸ばす。
「それじゃあ、また我慢比べをやろうか」
『ヤート、止めろ‼︎ 我はもう少しで動けるようになる‼︎ それまで待て‼︎』
『主人‼︎ せめて私が補助できるまで待ってください‼︎』
「聞いての通り、もう少しでシールと世界樹の体勢が整う。それまで僕がお前を攻め続けられたら僕の勝ち。逆に僕が自分の魔法の負荷で潰れたらお前の勝ちだ。理解できた?」
『グルッデル……。ギザマバ、ゼッダイニグルッデル‼︎』
「へえ、この世界を滅ぼそうとしてるお前から見ても僕はおかしいんだ。それなら何の問題もない」
『ナニ……?』
「僕の精神性や思考が理解できないって事は、その点ではお前より僕の方が上って事。一つ勝ってる部分があるなら、この命がけの勝負にも勝てる可能性があるって事だ」
僕が言い切ると、シール、世界樹、あいつが驚愕で目を大きく見開いたけど、すぐにあいつだけは僕を殺意と怒りに満ちた目で見てくる。
『……リガイジダ‼︎』
「何を?」
『ギザマダ‼︎ ギザマヲゴロゼバ、ゴノゼカイバ、ドウドデモナル‼︎』
「そういう事は僕の魔法に耐え切ってから言うべきじゃない? そうじゃないとできない事を叫ぶ、ただの情けない奴だよ?」
『ガナラズ、ゴロジデヤル‼︎』
「良いね。僕もお前もやる気に満ちている。それじゃあ二度目の我慢比べの始まりだ。緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
さて、シールと世界樹が動けるようになるまで、もう少し頑張ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「「「「「ギギャアアア‼︎」」」」」
『ウグ、ク、オ、オノレエエエエ‼︎』
このねじった魔槍は、あいつの身体も魔石も貫通できてるから僕だけで威力を出すっていう目的は達成できてる。ただ……。
「これ魔槍を一本一本ねじるのに時間がかって連射性が低くなるから使いづらいな」
『……いや、十分効果的だろう』
「そう?」
『私も即興で、この威力を出せているなら十分だと思います』
「うーん……、あ、そうか」
僕は根本的な事に思い至り魔槍をねじってから撃つのやめた。その代わり両手をあいつへ向かって伸ばして目を閉じた。
『ヤート、待て。何をするつもりだ?』
「魔槍を作ってねじって発射するっていう三段階を高速で繰り返す魔法を作ってる」
『『は?』』
なんかシールと世界樹が僕の返答に唖然としてるみたいだけど、今は魔法の構築に集中する。さっきまでの魔槍をねじって発射するのは前世のドリルを参考にした。それなら次に参考にするべきなのは…………銃だね。つまり僕自身を銃弾をためて供給する弾倉に、両手を銃身に見立てて機関銃を魔法で再現する。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
僕は目を開け魔法を詠唱すると、すでにねじられた魔槍が現れ、そのまま発射された。そして次の瞬間には、またねじられた魔槍が現れて発射される。お、ノリと勢いで作った魔法にしては意外と良いかもしれない。あとは続けて使った時にどうなるかだね。
しばらくあいつに向けて純粋なる緑の魔槍銃を発動しても、特に問題が起きない。これは大丈夫だなと思っていたら、突然両掌にピリッと痛みが走る。僕が両掌の状態を確かめる前に、それは起こった。
バツンッ‼︎
僕の両掌が弾けた。魔法を止めて両掌を見ると掌の肉が飛び散り骨がむき出しになっていて指も何本か無くなっている。
「うーん、魔法の制御を失敗したかな?」
『ヤート‼︎』
『主人‼︎ すぐに治療を‼︎』
『フ、フハハハハハハ‼︎ ジブンノマホウデキズツクトハ‼︎』
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
『ヤハリ、キサマラハオロカ、ダバア‼︎』
シールに言われたけど、僕は両掌を治さずに両腕を伸ばして魔法を発動させ、大きく口を開けて叫んでるあいつへねじった魔槍を撃ち込んでいった。あー、やっぱりこの魔法は制御が難しいな。両腕がどんどん魔法の負荷に耐え切れずに吹き飛んでいく。
『ヤート、今すぐ、その魔法をやめろ‼︎』
『そうです‼︎ やめてください‼︎ 肩までの肉と骨が全て吹き飛んでいってるので、このままでは出血死もありえます‼︎』
「さすがに出血死は困る。水生魔法、緑盛魔法・純粋なる緑の強薬水液」
薬草団子が入っている腰の小袋の一つを水生魔法の水に浸して薬草団子を溶かし魔法を発動させると、深緑色の液体ができて腕のなくなった肩口を覆う。今回は粘性を上げているから、これで出血を防ぎつつ両腕を再生できるね。
『ギ、ギザマ……ジョウギガ?』
うん? ジョウギガ? ……ああ、正気か? か。あいつの顔に魔法を撃ち込んだせいで、また声が聞き取りづらくなってるな。
「変な事を言うね。僕はいたって正気だよ」
『ブ、ブザゲルナ‼︎ ジョウウギナラ、ジブンノウデヲ、ブギドバジデ、ベイギデイラレルワゲガナイ‼︎ ギザマ、イタミヲガンジナイノガ⁉︎』
「お前、頭悪いのか? 両腕が吹き飛んでるんだから痛いに決まってる」
『ナラバ、ナゼ、ゾゴマデレイゼイデイラレル⁉︎』
「…………逆に聞きたい。何で、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで騒がないといけないの?」
『ナンダド……?』
「僕とお前を比べたら、どう考えても僕の方が圧倒的に弱い。それならそんな弱い僕が命がけで戦っている時に、たかが両腕が吹き飛んだぐらいで隙を見せられるわけがない」
『『『…………』』』
あれ? 何かシールと世界樹まで絶句してる。……まあ、別にやれる事をやるだけだからどうでも良いか。僕は強薬水液で再生しつつある両腕を、あいつの方へ伸ばす。
「それじゃあ、また我慢比べをやろうか」
『ヤート、止めろ‼︎ 我はもう少しで動けるようになる‼︎ それまで待て‼︎』
『主人‼︎ せめて私が補助できるまで待ってください‼︎』
「聞いての通り、もう少しでシールと世界樹の体勢が整う。それまで僕がお前を攻め続けられたら僕の勝ち。逆に僕が自分の魔法の負荷で潰れたらお前の勝ちだ。理解できた?」
『グルッデル……。ギザマバ、ゼッダイニグルッデル‼︎』
「へえ、この世界を滅ぼそうとしてるお前から見ても僕はおかしいんだ。それなら何の問題もない」
『ナニ……?』
「僕の精神性や思考が理解できないって事は、その点ではお前より僕の方が上って事。一つ勝ってる部分があるなら、この命がけの勝負にも勝てる可能性があるって事だ」
僕が言い切ると、シール、世界樹、あいつが驚愕で目を大きく見開いたけど、すぐにあいつだけは僕を殺意と怒りに満ちた目で見てくる。
『……リガイジダ‼︎』
「何を?」
『ギザマダ‼︎ ギザマヲゴロゼバ、ゴノゼカイバ、ドウドデモナル‼︎』
「そういう事は僕の魔法に耐え切ってから言うべきじゃない? そうじゃないとできない事を叫ぶ、ただの情けない奴だよ?」
『ガナラズ、ゴロジデヤル‼︎』
「良いね。僕もお前もやる気に満ちている。それじゃあ二度目の我慢比べの始まりだ。緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍銃」
さて、シールと世界樹が動けるようになるまで、もう少し頑張ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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