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決戦にて 質問と新たな試み
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『オ゛ノ゛レ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛‼︎』
あいつが、また普人族もどきを空間に開けた穴から引き寄せ身体の損傷を回復し始めたけど、それに反比例してあいつのイラつきはさらに大きくなっていく。まあ、ようやくできた魔石の大量再召喚という逆転の手が、みんなが参戦した事でそれほど効果のないものになってしまったからしょうがない。
『チッ……、まだ回復できるのか』
「本当だよね。もしかしたら誰にも気付かれずに潜んでる普人族もどきの方がやっかいなのかもしれないな」
『その意見には同意しますが、現状だとあの愚物を滅殺しなければ普人族もどきの討伐へ段階を進められません。さらに言えばあの愚物よりも先に、再びあの愚物に取り込まれる前に、私達の周りを飛び回る魔石を倒す必要があります』
『ふむ……、回復の促進をさせないためだな?』
『その通りです』
「それもそうか。体調も戻ってきたし、僕もみんなを手伝うべきだね」
僕は身体への負担を無視できる範囲で魔法を放とうとした。でも、僕が狙いを定めた魔石達が、どんどんみんなに撃破されていく。
「ヤート‼︎ お前は、そのまま休んで俺達の戦いぶりを見てろ‼︎」
「ラカムタさん?」
「雑魚は俺達に任せておけ‼︎ それとも俺達は頼りないか⁉︎」
みんながラカムタさんの言葉を聞いて近くの魔石を瞬殺していく。囲まれたら囲まれたで一人で無双したり何人かと協力して殲滅していってる。
「どうだ⁉︎」
「えっと……、うん……それじゃあ、僕は危ないと思った人を助けるのに専念するよ。みんな、魔石はお願い」
僕が言うと、なぜかみんなのやる気や魔力が膨れ上がり魔石一体あたりにかかる撃破までの時間が短くなった。どこにやる気を刺激した部分があったのかわからないけど、これなら僕が助ける回数はそこまで多くなさそうだし、あいつに集中できそうだね。
『お互いを思って全力を尽くす。良い関係だな』
「うん、確実にあいつよりは恵まれてると思う」
『ギザマ゛ラ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼︎』
とうとうイラつきの限界になったのか、あいつが騒ぎ出すと魔石も釣られて動きが速く雑になった。うーん、始めは数が多いだけだったけど、今は魔石同士の衝突が起きて、それぞれの軌道が複雑になったのはまずいな。みんなも戦い方を攻撃から防御主体にしている。目の前の魔石へ中途半端に手を出して体勢を崩したり隙を見せたら他の魔石に襲われる恐れがあるから仕方ないね。ここは僕の出番だ。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔弾」
魔弾を生み出して目を閉じ周りへ放っている界気化した魔力で、全ての魔石の軌道を把握していく。そして無目的に動いている魔石、みんなの死角を突きそうな魔石、あいつの方へ動いていく魔石に魔弾を当てて軌道を変えていった。フー……、だいたいの魔石をあいつから見て僕達を挟んだ向こう側へ誘導できたね。
「みんな、あっちの魔石達をお願い」
「ヤート、すまん‼︎ 行くぞ、お前ら‼︎」
世界樹の背中や周りにいたみんなが、いっせいに移動して魔石達との戦闘を再開した。もう少し戦えば、みんななら魔石の速くて雑な動きにも慣れると思う。そうしたら数が多いだけだった時と状態は変わらないから魔石の撃破は時間の問題だ。僕は傷を治してる最中でも殺意と怒りにまみれた視線で見てくるあいつに話しかける。
「うらやましい?」
『ナンダト⁉︎』
「僕には頼りになる家族も仲間もいる。うらやましい?」
『ワレニソンナモノハ、ムヨウダ‼︎』
「そう? これだけ追い込まれてるから、助けてくれる存在がほしくなったんじゃないの?」
『フ、フザケルナ‼︎ ワレイガイノソンザイハ、スベテエサダ‼︎』
「ふーん……」
『ザレゴトヲ、ザレゴトヲ、ヌカスナ‼︎』
「口は治ったみたいだけど、他の傷はまだだよね? 今動いたら僕は開いた傷を、また狙うよ?」
『グッ……』
あいつは僕の質問に激怒しまた感情のまま突進してこようとしたけど、えぐられるという単語に反応して動きを止めた。僕の嫌がらせは効果があったみたいだ。今の内に、いろいろ考えておこうかな。
まず、大前提として、あいつの回復は進んでる。でも、あいつの頭上にある空間の穴から落ちてくる普人族もどきの数が少なくなってきてるから、今みんなと戦っている魔石を取り込まない限りは急速な回復はない。次に今後新しい攻撃方法があるか? まあ、あってもおかしくないけど、あいつに話した僕の予想の範囲なら特に問題はない。あと考えておいた方が良い事、…………ないね。
最終的にどんな決着の仕方をするとしても、まずあいつを倒さない事には話が進まないから今は攻めるしかない。よし、やろう。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍」
僕は魔槍を数十本作り出し、落ちてくる普人族もどき三割あいつ七割という感じで撃ち分けた。
「「「ギィギャア‼︎」」」
「…………邪魔だな。緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍」
誘導し損ねた魔石が魔槍を全て防いでしまった。僕は魔弾を放っても同じだと判断して、魔槍一本だけ生み出して魔力を込めながらキリキリキリキリとねじっていく。……うーん、僕だけで威力を上げる方法を考えて、頭に浮かんだ前世のドリルを再現するためねじってるんだけど初めてやるから加減がわからないな。
「……これくらいなら魔槍として保ててるな。発射」
「ギィ、ギャガガガガ……」
『ヌグウッ、オ、オノレエエエエエエエッ‼︎』
「お、一発目で成功したね」
限界までねじった魔槍は一番初めに魔槍の進路へ割り込んできた魔石に当たると、ねじりが解放されガリガリと魔石に穴を開けながら貫通した。そして、そのままいっさい減速せずに進み、あいつの身体も貫いた。よしよし、あいつの身体の大きさからすれば小さい穴だけど、僕だけで開けられたと考えるとなかなかの成果だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
あいつが、また普人族もどきを空間に開けた穴から引き寄せ身体の損傷を回復し始めたけど、それに反比例してあいつのイラつきはさらに大きくなっていく。まあ、ようやくできた魔石の大量再召喚という逆転の手が、みんなが参戦した事でそれほど効果のないものになってしまったからしょうがない。
『チッ……、まだ回復できるのか』
「本当だよね。もしかしたら誰にも気付かれずに潜んでる普人族もどきの方がやっかいなのかもしれないな」
『その意見には同意しますが、現状だとあの愚物を滅殺しなければ普人族もどきの討伐へ段階を進められません。さらに言えばあの愚物よりも先に、再びあの愚物に取り込まれる前に、私達の周りを飛び回る魔石を倒す必要があります』
『ふむ……、回復の促進をさせないためだな?』
『その通りです』
「それもそうか。体調も戻ってきたし、僕もみんなを手伝うべきだね」
僕は身体への負担を無視できる範囲で魔法を放とうとした。でも、僕が狙いを定めた魔石達が、どんどんみんなに撃破されていく。
「ヤート‼︎ お前は、そのまま休んで俺達の戦いぶりを見てろ‼︎」
「ラカムタさん?」
「雑魚は俺達に任せておけ‼︎ それとも俺達は頼りないか⁉︎」
みんながラカムタさんの言葉を聞いて近くの魔石を瞬殺していく。囲まれたら囲まれたで一人で無双したり何人かと協力して殲滅していってる。
「どうだ⁉︎」
「えっと……、うん……それじゃあ、僕は危ないと思った人を助けるのに専念するよ。みんな、魔石はお願い」
僕が言うと、なぜかみんなのやる気や魔力が膨れ上がり魔石一体あたりにかかる撃破までの時間が短くなった。どこにやる気を刺激した部分があったのかわからないけど、これなら僕が助ける回数はそこまで多くなさそうだし、あいつに集中できそうだね。
『お互いを思って全力を尽くす。良い関係だな』
「うん、確実にあいつよりは恵まれてると思う」
『ギザマ゛ラ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼︎』
とうとうイラつきの限界になったのか、あいつが騒ぎ出すと魔石も釣られて動きが速く雑になった。うーん、始めは数が多いだけだったけど、今は魔石同士の衝突が起きて、それぞれの軌道が複雑になったのはまずいな。みんなも戦い方を攻撃から防御主体にしている。目の前の魔石へ中途半端に手を出して体勢を崩したり隙を見せたら他の魔石に襲われる恐れがあるから仕方ないね。ここは僕の出番だ。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔弾」
魔弾を生み出して目を閉じ周りへ放っている界気化した魔力で、全ての魔石の軌道を把握していく。そして無目的に動いている魔石、みんなの死角を突きそうな魔石、あいつの方へ動いていく魔石に魔弾を当てて軌道を変えていった。フー……、だいたいの魔石をあいつから見て僕達を挟んだ向こう側へ誘導できたね。
「みんな、あっちの魔石達をお願い」
「ヤート、すまん‼︎ 行くぞ、お前ら‼︎」
世界樹の背中や周りにいたみんなが、いっせいに移動して魔石達との戦闘を再開した。もう少し戦えば、みんななら魔石の速くて雑な動きにも慣れると思う。そうしたら数が多いだけだった時と状態は変わらないから魔石の撃破は時間の問題だ。僕は傷を治してる最中でも殺意と怒りにまみれた視線で見てくるあいつに話しかける。
「うらやましい?」
『ナンダト⁉︎』
「僕には頼りになる家族も仲間もいる。うらやましい?」
『ワレニソンナモノハ、ムヨウダ‼︎』
「そう? これだけ追い込まれてるから、助けてくれる存在がほしくなったんじゃないの?」
『フ、フザケルナ‼︎ ワレイガイノソンザイハ、スベテエサダ‼︎』
「ふーん……」
『ザレゴトヲ、ザレゴトヲ、ヌカスナ‼︎』
「口は治ったみたいだけど、他の傷はまだだよね? 今動いたら僕は開いた傷を、また狙うよ?」
『グッ……』
あいつは僕の質問に激怒しまた感情のまま突進してこようとしたけど、えぐられるという単語に反応して動きを止めた。僕の嫌がらせは効果があったみたいだ。今の内に、いろいろ考えておこうかな。
まず、大前提として、あいつの回復は進んでる。でも、あいつの頭上にある空間の穴から落ちてくる普人族もどきの数が少なくなってきてるから、今みんなと戦っている魔石を取り込まない限りは急速な回復はない。次に今後新しい攻撃方法があるか? まあ、あってもおかしくないけど、あいつに話した僕の予想の範囲なら特に問題はない。あと考えておいた方が良い事、…………ないね。
最終的にどんな決着の仕方をするとしても、まずあいつを倒さない事には話が進まないから今は攻めるしかない。よし、やろう。
「緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍」
僕は魔槍を数十本作り出し、落ちてくる普人族もどき三割あいつ七割という感じで撃ち分けた。
「「「ギィギャア‼︎」」」
「…………邪魔だな。緑盛魔法・純粋なる緑の魔槍」
誘導し損ねた魔石が魔槍を全て防いでしまった。僕は魔弾を放っても同じだと判断して、魔槍一本だけ生み出して魔力を込めながらキリキリキリキリとねじっていく。……うーん、僕だけで威力を上げる方法を考えて、頭に浮かんだ前世のドリルを再現するためねじってるんだけど初めてやるから加減がわからないな。
「……これくらいなら魔槍として保ててるな。発射」
「ギィ、ギャガガガガ……」
『ヌグウッ、オ、オノレエエエエエエエッ‼︎』
「お、一発目で成功したね」
限界までねじった魔槍は一番初めに魔槍の進路へ割り込んできた魔石に当たると、ねじりが解放されガリガリと魔石に穴を開けながら貫通した。そして、そのままいっさい減速せずに進み、あいつの身体も貫いた。よしよし、あいつの身体の大きさからすれば小さい穴だけど、僕だけで開けられたと考えるとなかなかの成果だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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