288 / 318
決戦前にて 広がる悪影響と合流完了
しおりを挟む
僕の体調回復とみんなの休憩が終わり再び移動を開始した。ただ今からの移動はこれまでの速度重視ではなく、より安全を確かめるものとなっている。もともと爆走に次ぐ爆走をして進んできて合流期限日まで余裕があるので、ここから早足程度でも間に合うらしい。まあ、僕の界気化による索敵でも気持ち悪い奴を感じ取れたから近いのも当たり前か。
「ヤート君、これくらいの速さなら大丈夫かしら?」
「爆進してた時でも界気化での探知に問題はなかったんだけど、今くらいならじっくり探れるよ」
「そう、それなら良いわ。でも、少しでも異常があったらすぐに言ってね」
「うん、そこら辺はわかってるから大丈夫」
ナイルさんと会話をしながらでも、僕の頭の中には界気化した魔力を通じて情報が流れてくる。鬼熊はできるだけ揺れないように歩いてくれるしリンリーも僕の身体を優しく支えてくれるから、目を閉じて力を抜いても振り落とされないから界気化により集中できるな。やっぱり落ち着ける体勢って大事だね。
さらにしばらく進んだ時、僕はある動きを感知した。
「ナイルさん」
「何かしら?」
「僕達以外に集団で動いてる人達がいた」
僕が言うと、みんなは立ち止まりすばやく僕とリンリーが乗る鬼熊を中心に円陣を組んだ。…………僕が知る限り陣形を作る練習はしてなかったと思うんだけど、この無駄のない動きは何だろ? いや、気になる事は置いておいて、今は索敵の役目を全うしよう。僕は集団を感知した方向を指さして説明する。
「集団はあっちにいて、構成は騎馬隊だね。…………少なくとも向こうの人達は僕達の事を認識してないよ」
「ヤート君、その騎馬隊は私達の方に近づいてきてる?」
「うーん……、僕達と同じ方向に進んでるね。ラカムタさん、ナイルさん、界気化で記憶を読んでみて良い?」
「……俺は賛成だ。ナイル殿」
「そうね……。今は安全を確かめないとダメね。ヤート君、お願い」
「わかった。少し待って」
二人の許可が出たから僕は正体のわからない集団の先頭にいる大柄な人の頭の中へ界気化した魔力を送り込む。……特に魔法とかで精神や思考を守ってるわけじゃないね。これなら思考や記憶の読み取りに何の問題はないというわけで、必要な情報を読み取った結果……。
「あの人達は敵じゃなくてナイルさんの知り合いだよ」
「という事は教団を、いっしょに攻める子達ね。私達と似たような進路を取る国といったらあの子かしら? 何にしても現地で合流できるのが楽しみだわ。みんな、私達も進むわよ」
「ナイル殿、先を行くもの達がいるなら合流までの間はできるだけ短い方が良いはずだ。俺達も少し速度を上げるか?」
「…………そうね。少し上げて駆け足くらいで行きましょう」
僕達は円陣を解いて再び進んでいく。後ろから見てもわかるナイルさんの嬉しそうな様子で今回協力して戦う人達への興味が強くなった。
あれからそれなりの速さで進んでるけど、教団の本拠地へ向かっていると実感してる。なぜなら、界気化した魔力で受け取る気持ち悪い奴の情報が少しずつ増えてきているせいだ。たぶん僕が吐いた辺りが境界線だったと思う。感知能力のないみんなも口数が少なくなってるくらいだから筋金入りの気持ち悪さだね。
「みんな、大丈夫? 気分が悪いなら言ってよ」
「正直に言って、少しきてるわ。さっきヤート君が吐いた理由が、よくわかるわね」
「そうだな。気持ち悪いと同じくらい胸糞悪くなってくる。この先にいる奴は間違いなく敵だ」
「だけど、マルディ。心配なのは先に合流地点に到着してるかもしれない人達ね。この嫌な感覚を長時間感じるのはまずいわ。私達にはヤートがいるから最悪の事態にならないけど、他のところに対応できる人がいるとは思えないのよ」
「……ヤート君、今から急いで良いかしら?」
「うん、僕もその方が良いと思う。万が一、合流地点で厄介な事が起こってたら僕が治すから」
「お願いね」
安全を考慮しながら最大限の速さで合流地点に着くと、さっき僕らを追い抜いて行った人達を含めた多くの人達がいた。ただ、僕達を追い抜いて行った人達以外は、顔色が青白くなっていて明らかにぐったりしている。騎馬用の魔獣達も同じような感じで母さんの予想が当たったね。僕はすぐに合流地点全体を界気化した魔力で状況確認して、ナイルさんに報告した。
「ナイルさん、ほとんどの人が体調を崩してる。今から治療を始めて良い?」
「ヤート君、任せるわ。何か手伝える事はある?」
「それじゃあ動ける人達への状況説明と周囲の警戒をお願い」
「わかったわ。あなた達、行くわよ」
ナイルさんが部下の人達を連れて行くのを見ながら、僕は魔法の準備に入る。
「シール、まずは守りを強化するよ」
『わかりました』
「『緑盛魔法・純粋なる緑を纏う遮断膜』」
僕とシールは同時に詠唱して効果を倍増させた深緑色の光の膜が合流地点全体に広がり、気持ち悪い奴の気配というか存在感を遮断した。次に純粋なる緑を纏う遮断膜の深緑色の光の膜の内側を一周しながら一定間隔ごとに種を埋めシールと魔法を発動させる。
「『緑盛魔法・超育成・純粋なる緑を纏う聖月草』」
すぐに聖月草が成長して花を咲かせると、全ての聖月草は静かな夜の満月みたいな優しい光を放ち純粋なる緑を纏う遮断膜の膜の中を満たしていく。これで僕達の身体を侵食してる良くないものは消えて、みんなの体調も元に戻るはず。
「ラカムタさん、どう? 少しずつ気持ち悪さは取れてると思うけど……」
「ああ、かなりマシになった」
「良かった」
「あと鈍ってた感覚もはっきりしてきたな。…………ヤート、気配だけでここまで悪影響がある奴だ。厄介だぞ」
「それは魔石、死教って言ってたリザッバ、王都にいたゼビリランとかの親玉だから当然といえば当然だね」
「そうだったな」
「うん。それじゃあ僕は他の国の人達の様子を見てくるから、ラカムタさん達も何か気づいたり変化があったら教えて」
「わかった。他の奴らにも言っておく」
ラカムタさんと別れて僕は一人一人の体調を確認していく。もともとの病状の深刻さや個人の精神力の差で治り方にバラ付きがあるものの、全体として見たら確実に回復してきていた。そうして見回りを続けているとナイルさんが、ナイルさんと同じくらいの巨漢の人達と情報交換しているのが目に入る。
「ナイルさん、みんな良くなってきてるよ」
「あら、良い知らせね。ありがとう。ヤート君」
「治すのも僕の役目だから気にしないで。ところで一つ確認したいんだけど、今この場にいる人達で全員?」
「あと一国が合流すれば全員そろうわ」
「それなら、その最後の一国の人達も体調が崩してるはずだから、どんな状態でも対応できるように準備しておくね」
「最低でも私達と同じくらいには体調を崩してる可能性が高いかしら?」
「たぶん、そうだと思う」
「ヤート君、その子達もお願い。治してあげて」
「うん、任せて」
その後、みんなの回復を見守りながら最後の一国を待っていたんだけど、そう時間をあけずに合流した最後の一国の人達も、やっぱり体調を崩していた。だから、すぐに純粋なる緑を纏う遮断膜の中に入ってもらい聖月草の光を浴びてもらう。
よし、これで待つだけ。そして、みんなの体調が回復したら決戦だ。やれるだけの事をやって早く帰ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「ヤート君、これくらいの速さなら大丈夫かしら?」
「爆進してた時でも界気化での探知に問題はなかったんだけど、今くらいならじっくり探れるよ」
「そう、それなら良いわ。でも、少しでも異常があったらすぐに言ってね」
「うん、そこら辺はわかってるから大丈夫」
ナイルさんと会話をしながらでも、僕の頭の中には界気化した魔力を通じて情報が流れてくる。鬼熊はできるだけ揺れないように歩いてくれるしリンリーも僕の身体を優しく支えてくれるから、目を閉じて力を抜いても振り落とされないから界気化により集中できるな。やっぱり落ち着ける体勢って大事だね。
さらにしばらく進んだ時、僕はある動きを感知した。
「ナイルさん」
「何かしら?」
「僕達以外に集団で動いてる人達がいた」
僕が言うと、みんなは立ち止まりすばやく僕とリンリーが乗る鬼熊を中心に円陣を組んだ。…………僕が知る限り陣形を作る練習はしてなかったと思うんだけど、この無駄のない動きは何だろ? いや、気になる事は置いておいて、今は索敵の役目を全うしよう。僕は集団を感知した方向を指さして説明する。
「集団はあっちにいて、構成は騎馬隊だね。…………少なくとも向こうの人達は僕達の事を認識してないよ」
「ヤート君、その騎馬隊は私達の方に近づいてきてる?」
「うーん……、僕達と同じ方向に進んでるね。ラカムタさん、ナイルさん、界気化で記憶を読んでみて良い?」
「……俺は賛成だ。ナイル殿」
「そうね……。今は安全を確かめないとダメね。ヤート君、お願い」
「わかった。少し待って」
二人の許可が出たから僕は正体のわからない集団の先頭にいる大柄な人の頭の中へ界気化した魔力を送り込む。……特に魔法とかで精神や思考を守ってるわけじゃないね。これなら思考や記憶の読み取りに何の問題はないというわけで、必要な情報を読み取った結果……。
「あの人達は敵じゃなくてナイルさんの知り合いだよ」
「という事は教団を、いっしょに攻める子達ね。私達と似たような進路を取る国といったらあの子かしら? 何にしても現地で合流できるのが楽しみだわ。みんな、私達も進むわよ」
「ナイル殿、先を行くもの達がいるなら合流までの間はできるだけ短い方が良いはずだ。俺達も少し速度を上げるか?」
「…………そうね。少し上げて駆け足くらいで行きましょう」
僕達は円陣を解いて再び進んでいく。後ろから見てもわかるナイルさんの嬉しそうな様子で今回協力して戦う人達への興味が強くなった。
あれからそれなりの速さで進んでるけど、教団の本拠地へ向かっていると実感してる。なぜなら、界気化した魔力で受け取る気持ち悪い奴の情報が少しずつ増えてきているせいだ。たぶん僕が吐いた辺りが境界線だったと思う。感知能力のないみんなも口数が少なくなってるくらいだから筋金入りの気持ち悪さだね。
「みんな、大丈夫? 気分が悪いなら言ってよ」
「正直に言って、少しきてるわ。さっきヤート君が吐いた理由が、よくわかるわね」
「そうだな。気持ち悪いと同じくらい胸糞悪くなってくる。この先にいる奴は間違いなく敵だ」
「だけど、マルディ。心配なのは先に合流地点に到着してるかもしれない人達ね。この嫌な感覚を長時間感じるのはまずいわ。私達にはヤートがいるから最悪の事態にならないけど、他のところに対応できる人がいるとは思えないのよ」
「……ヤート君、今から急いで良いかしら?」
「うん、僕もその方が良いと思う。万が一、合流地点で厄介な事が起こってたら僕が治すから」
「お願いね」
安全を考慮しながら最大限の速さで合流地点に着くと、さっき僕らを追い抜いて行った人達を含めた多くの人達がいた。ただ、僕達を追い抜いて行った人達以外は、顔色が青白くなっていて明らかにぐったりしている。騎馬用の魔獣達も同じような感じで母さんの予想が当たったね。僕はすぐに合流地点全体を界気化した魔力で状況確認して、ナイルさんに報告した。
「ナイルさん、ほとんどの人が体調を崩してる。今から治療を始めて良い?」
「ヤート君、任せるわ。何か手伝える事はある?」
「それじゃあ動ける人達への状況説明と周囲の警戒をお願い」
「わかったわ。あなた達、行くわよ」
ナイルさんが部下の人達を連れて行くのを見ながら、僕は魔法の準備に入る。
「シール、まずは守りを強化するよ」
『わかりました』
「『緑盛魔法・純粋なる緑を纏う遮断膜』」
僕とシールは同時に詠唱して効果を倍増させた深緑色の光の膜が合流地点全体に広がり、気持ち悪い奴の気配というか存在感を遮断した。次に純粋なる緑を纏う遮断膜の深緑色の光の膜の内側を一周しながら一定間隔ごとに種を埋めシールと魔法を発動させる。
「『緑盛魔法・超育成・純粋なる緑を纏う聖月草』」
すぐに聖月草が成長して花を咲かせると、全ての聖月草は静かな夜の満月みたいな優しい光を放ち純粋なる緑を纏う遮断膜の膜の中を満たしていく。これで僕達の身体を侵食してる良くないものは消えて、みんなの体調も元に戻るはず。
「ラカムタさん、どう? 少しずつ気持ち悪さは取れてると思うけど……」
「ああ、かなりマシになった」
「良かった」
「あと鈍ってた感覚もはっきりしてきたな。…………ヤート、気配だけでここまで悪影響がある奴だ。厄介だぞ」
「それは魔石、死教って言ってたリザッバ、王都にいたゼビリランとかの親玉だから当然といえば当然だね」
「そうだったな」
「うん。それじゃあ僕は他の国の人達の様子を見てくるから、ラカムタさん達も何か気づいたり変化があったら教えて」
「わかった。他の奴らにも言っておく」
ラカムタさんと別れて僕は一人一人の体調を確認していく。もともとの病状の深刻さや個人の精神力の差で治り方にバラ付きがあるものの、全体として見たら確実に回復してきていた。そうして見回りを続けているとナイルさんが、ナイルさんと同じくらいの巨漢の人達と情報交換しているのが目に入る。
「ナイルさん、みんな良くなってきてるよ」
「あら、良い知らせね。ありがとう。ヤート君」
「治すのも僕の役目だから気にしないで。ところで一つ確認したいんだけど、今この場にいる人達で全員?」
「あと一国が合流すれば全員そろうわ」
「それなら、その最後の一国の人達も体調が崩してるはずだから、どんな状態でも対応できるように準備しておくね」
「最低でも私達と同じくらいには体調を崩してる可能性が高いかしら?」
「たぶん、そうだと思う」
「ヤート君、その子達もお願い。治してあげて」
「うん、任せて」
その後、みんなの回復を見守りながら最後の一国を待っていたんだけど、そう時間をあけずに合流した最後の一国の人達も、やっぱり体調を崩していた。だから、すぐに純粋なる緑を纏う遮断膜の中に入ってもらい聖月草の光を浴びてもらう。
よし、これで待つだけ。そして、みんなの体調が回復したら決戦だ。やれるだけの事をやって早く帰ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
2
お気に入りに追加
875
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】ちびっこ錬金術師は愛される
あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」
生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。
三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。
しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。
これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!
浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と共に幸せに暮らします。
にのまえ
恋愛
王太子ルールリアと結婚をして7年目。彼の浮気で、この世界が好きだった、恋愛ファンタジー小説の世界だと知った。
「前世も、今世も旦那となった人に浮気されるなんて」
悲しみに暮れた私は彼に離縁すると伝え、魔法で姿を消し、私と両親しか知らない秘密の森の中の家についた。
「ここで、ひっそり暮らしましょう」
そう決めた私に。
優しいフェンリルのパパと可愛い息子ができて幸せです。
だから、探さないでくださいね。
『お読みいただきありがとうございます。』
「浮気をした旦那様と離縁を決めたら。愛するフェンリルパパと愛しい子ができて幸せです」から、タイトルを変え。
エブリスタ(深月カナメ)で直しながら、投稿中の話に変えさせていただきました。
【完結】愛する人には裏の顔がありました
風子
恋愛
エルグスト子爵家の娘であるミリディは、婚約者に浮気をされ、三度も破談になるという前代未聞の不幸に見舞われていた。
落ち込むミリディだったが、破談になる度に慰め励ましてくれる頼もしい存在がいた。
その人は兄の親友であり、幼い頃から密かに想いを寄せる公爵家の令息ライド・ロベールトンだった。
身分の違いから叶わぬ恋心は封印し、兄と妹のような関係を築いてきたミリディだったが、ライドの積極的なアプローチに戸惑ってしまう。
いつも優しく親切な彼の真意とは‥‥
そして彼のもつ裏の顔とは‥‥
※作者の妄想の世界の話です。
殿下、婚約者の私より幼馴染の侯爵令嬢が大事だと言うなら、それはもはや浮気です。
和泉鷹央
恋愛
子爵令嬢サラは困っていた。
婚約者の王太子ロイズは、年下で病弱な幼馴染の侯爵令嬢レイニーをいつも優先する。
会話は幼馴染の相談ばかり。
自分をもっと知って欲しいとサラが不満を漏らすと、しまいには逆ギレされる始末。
いい加減、サラもロイズが嫌になりかけていた。
そんなある日、王太子になった祝いをサラの実家でするという約束は、毎度のごとくレイニーを持ち出してすっぽかされてしまう。
お客様も呼んであるのに最悪だわ。
そうぼやくサラの愚痴を聞くのは、いつも幼馴染のアルナルドの役割だ。
「殿下は幼馴染のレイニー様が私より大事だって言われるし、でもこれって浮気じゃないかしら?」
「君さえよければ、僕が悪者になるよ、サラ?」
隣国の帝国皇太子であるアルナルドは、もうすぐ十年の留学期間が終わる。
君さえよければ僕の国に来ないかい?
そう誘うのだった。
他の投稿サイトにも掲載しております。
4/20 帝国編開始します。
9/07 完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる