286 / 318
決戦前にて 優位と一線
しおりを挟む
黒帝神馬になっているミックと黒帝神馬のオイリスが、お互いの後ろを取ろうと一定距離を保ちながら牽制し合う様子は戦場の雰囲気を醸しだす見応えのあるものになっている。だけど……、どうしてもチラチラとラカムタさん達の方を見てしまう。
黒の村にいる時から女性陣の方が男性陣よりも優位になってるのを見てたけど、ああやって母さんがラカムタさんと父さんの後ろに立ってるだけで二人の背筋が緊張で伸びるくらい差があるの?
「あはは、竜人族でも、やっぱり女性の方が上なのね」
「ナイルさん、竜人族でもって事は普人族でも女性陣の方が?」
「人間関係、それぞれの性格、身分とかで違いは出てくるけれど、だいたいそうね。それに夫や父親が嫁や母親の尻に敷かれていると家庭円満になりやすいから、割と自然な状態だと思うわ」
「…………ナイルさんも尻に敷かれてるの?」
僕が質問するとナイルさんは副官のエレレクアさんを見た。
「何か?」
「い、いえ、何でもないわ。それよりついてきてる子達の調子はどうかしら?」
「この程度でどうにかなるような鍛え方はさせてません。…………仮に調子を崩しているようなら叩きのめして王都へ送り返すので大丈夫です」
「そ、そう……、万が一の予想外の事態も考えられるから気は配ってあげて」
「…………わかりました」
エレレクアさんが一礼して離れていくと、ナイルさんは大きく息を吐く。
「ヤート君……、女性とはよく話をするのよ」
「えっと、わかった」
「それじゃあ、あっちの観戦に集中しましょう」
男女の力関係がよくわからない僕・満足そうにうなずくナイルさん・母さんに後ろに立たれてピキンと動けなくなっているラカムタさんと父さんという、統一性がいっさいない僕らはミックとオイリスへ目を向けた。今のところは牽制をし続けてる最中だね。ただ、一定の距離で無軌道に動き回ってた二体は、お互いを視界にとらえたまま円を描くようになった。…………あ、少しずつ円の軌道が小さくなってきてる。ラカムタさん達やナイルさんも僕と同じ考えになってるらしく、緩んだ空気が引き締まりピンと張り詰める。
「あの円が小さくなった時が牽制の終わりだよね?」
「そうだな。ここまででミックとオイリスはお互いの動きをある程度把握して、どう攻めるかも考えただろうから攻め出した後に一線を越えたら一気に決着まで行くはずだ」
父さんの言葉にみんながうなずいて肯定する。…………少なくとも二体は止められる事を望んでないから見守るしかないか。
時間が経つごとに二体が描く円は小さくなっていく。そして円の直径が黒帝神馬三体くらいになった時、ミックとオイリスの姿がブレた。…………二ルーメを超えるナイルさんを乗せれるくらいの巨体がブレて見えるなんて、どれだけすごい筋力で出してる速さなんだ? 僕やラカムタさん達か
「オイリス、あんなに動けたのね……。私ったら、可愛がるばかりであの子のやりたい事を何もやらせてあげられなかったんだわ……」
「ナイルさんとオイリスは会話できないから仕方ないと思う」
「ヤート君、私達騎士は人馬一体を目指さないといけないの。それなのに仕草や目から気持ちを読み取れないのはダメなのよ。現にエレレクアやサムゼンはできてるわ。本当に私は騎士失格ね……」
「少なくともオイリスはナイルさんを乗せる事を嫌がってない。だから、これからもっと深い関係になれば良いよ」
「…………そうね。諦めたらそこで終わりだから、いろいろやってみるわ。ありがとう、ヤート君」
「うん。……ところで、ナイルさん達はミックとオイリスの動き見えてる?」
「まあ、大丈夫よ」
「確かに速いが見えるぞ」
「俺もだ」
「私も見えてるわ」
「そうなんだ……」
あれが見える……? どれだけ凝視しても無理なので、目に集中する形で強化魔法を発動してみる。…………素の状態よりマシなだけで、まだ二体の姿はブレて見えた。他のみんなはどうなのか気になったから様子を伺うと、三体・サムゼンさん・エレレクアさんははっきり見えてるみたい。兄さん達と精鋭部隊の騎士さん達は、凝視してる感じだけど僕よりは見えてるらしい。
やっぱり僕は身体能力だと下の方だなって若干ヘコみつつ、目を閉じ界気化した魔力による同調で二体の動きを把握していく。…………今の二体は相手の背後を取る前に、まず相手の横を取って自分が有利になろうとしてる。だけど、少しでも相手に横を取られそうになったら前足を軸にして身体を旋回させ対面する形に戻してるね。
僕が読み取れる範囲で差はないのは、まあ、ミックがオイリスになってるわけだから当然だとして……。
「これって決着はつくの?」
「しばらくは、この状態だと思うぞ。だが、一線を超えたらすぐにつく」
「父さん、さっきも言ってたけど、その一線っていうのは?」
「あー……、いろいろある」
「え?」
「戦う奴ら、戦う時間、戦う状況なんかで一線は変わってくる。それが来るまで見ているしかない」
「……わかった」
他のみんなからも異論が出ないから僕達の観戦は続く。
本当に本当にしばらくミックとオイリスの横の取り合うの見ていたら、二体の雰囲気がイラつくような感じへ急激に変わった。
「お、あいつらは、こういう感じか。よし、いつでも止められるように構えるぞ」
父さんの言葉が理解できなくて困惑してると、ラカムタさん達は膝を少し曲げていつでも動く準備をする。そして、それと同時にミックとオイリスが離れた。でも、ただ離れたわけじゃなくてミックとオイリスはお互いに向かった前傾姿勢になっている。
ピキ……、ピキピキ……。
うん? この音は……? あ、二体の身体の肩や胸周りの鉱石が形を変えて突撃槍みたいになっていってる。この後の展開は一つしかないから、僕は腰の世界樹の杖に触れて魔法を発動させた。
「緑盛魔法・純粋なる緑を纏う樹根触腕」
ズドンッ‼︎
魔法を発動させ何十本もの根が伸びた次の瞬間、ミックとオイリスは全力で突進した。樹根触腕は間に合うか? いや、間に合わす‼︎
ザザザザザザザザザザザザッ‼︎
…………ふー、僕の樹根触腕は二体の突き出た鉱石に巻きつき、ラカムタさん達は二体の身体や足に抱き込むようにして、なんとか止めたけど危なかった。突き出た鉱石同士は、僕の腕を伸ばした距離まで接近してたから瞬き数回分でも遅れてたら激突してたはず。本当に止めれて良かったよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
黒の村にいる時から女性陣の方が男性陣よりも優位になってるのを見てたけど、ああやって母さんがラカムタさんと父さんの後ろに立ってるだけで二人の背筋が緊張で伸びるくらい差があるの?
「あはは、竜人族でも、やっぱり女性の方が上なのね」
「ナイルさん、竜人族でもって事は普人族でも女性陣の方が?」
「人間関係、それぞれの性格、身分とかで違いは出てくるけれど、だいたいそうね。それに夫や父親が嫁や母親の尻に敷かれていると家庭円満になりやすいから、割と自然な状態だと思うわ」
「…………ナイルさんも尻に敷かれてるの?」
僕が質問するとナイルさんは副官のエレレクアさんを見た。
「何か?」
「い、いえ、何でもないわ。それよりついてきてる子達の調子はどうかしら?」
「この程度でどうにかなるような鍛え方はさせてません。…………仮に調子を崩しているようなら叩きのめして王都へ送り返すので大丈夫です」
「そ、そう……、万が一の予想外の事態も考えられるから気は配ってあげて」
「…………わかりました」
エレレクアさんが一礼して離れていくと、ナイルさんは大きく息を吐く。
「ヤート君……、女性とはよく話をするのよ」
「えっと、わかった」
「それじゃあ、あっちの観戦に集中しましょう」
男女の力関係がよくわからない僕・満足そうにうなずくナイルさん・母さんに後ろに立たれてピキンと動けなくなっているラカムタさんと父さんという、統一性がいっさいない僕らはミックとオイリスへ目を向けた。今のところは牽制をし続けてる最中だね。ただ、一定の距離で無軌道に動き回ってた二体は、お互いを視界にとらえたまま円を描くようになった。…………あ、少しずつ円の軌道が小さくなってきてる。ラカムタさん達やナイルさんも僕と同じ考えになってるらしく、緩んだ空気が引き締まりピンと張り詰める。
「あの円が小さくなった時が牽制の終わりだよね?」
「そうだな。ここまででミックとオイリスはお互いの動きをある程度把握して、どう攻めるかも考えただろうから攻め出した後に一線を越えたら一気に決着まで行くはずだ」
父さんの言葉にみんながうなずいて肯定する。…………少なくとも二体は止められる事を望んでないから見守るしかないか。
時間が経つごとに二体が描く円は小さくなっていく。そして円の直径が黒帝神馬三体くらいになった時、ミックとオイリスの姿がブレた。…………二ルーメを超えるナイルさんを乗せれるくらいの巨体がブレて見えるなんて、どれだけすごい筋力で出してる速さなんだ? 僕やラカムタさん達か
「オイリス、あんなに動けたのね……。私ったら、可愛がるばかりであの子のやりたい事を何もやらせてあげられなかったんだわ……」
「ナイルさんとオイリスは会話できないから仕方ないと思う」
「ヤート君、私達騎士は人馬一体を目指さないといけないの。それなのに仕草や目から気持ちを読み取れないのはダメなのよ。現にエレレクアやサムゼンはできてるわ。本当に私は騎士失格ね……」
「少なくともオイリスはナイルさんを乗せる事を嫌がってない。だから、これからもっと深い関係になれば良いよ」
「…………そうね。諦めたらそこで終わりだから、いろいろやってみるわ。ありがとう、ヤート君」
「うん。……ところで、ナイルさん達はミックとオイリスの動き見えてる?」
「まあ、大丈夫よ」
「確かに速いが見えるぞ」
「俺もだ」
「私も見えてるわ」
「そうなんだ……」
あれが見える……? どれだけ凝視しても無理なので、目に集中する形で強化魔法を発動してみる。…………素の状態よりマシなだけで、まだ二体の姿はブレて見えた。他のみんなはどうなのか気になったから様子を伺うと、三体・サムゼンさん・エレレクアさんははっきり見えてるみたい。兄さん達と精鋭部隊の騎士さん達は、凝視してる感じだけど僕よりは見えてるらしい。
やっぱり僕は身体能力だと下の方だなって若干ヘコみつつ、目を閉じ界気化した魔力による同調で二体の動きを把握していく。…………今の二体は相手の背後を取る前に、まず相手の横を取って自分が有利になろうとしてる。だけど、少しでも相手に横を取られそうになったら前足を軸にして身体を旋回させ対面する形に戻してるね。
僕が読み取れる範囲で差はないのは、まあ、ミックがオイリスになってるわけだから当然だとして……。
「これって決着はつくの?」
「しばらくは、この状態だと思うぞ。だが、一線を超えたらすぐにつく」
「父さん、さっきも言ってたけど、その一線っていうのは?」
「あー……、いろいろある」
「え?」
「戦う奴ら、戦う時間、戦う状況なんかで一線は変わってくる。それが来るまで見ているしかない」
「……わかった」
他のみんなからも異論が出ないから僕達の観戦は続く。
本当に本当にしばらくミックとオイリスの横の取り合うの見ていたら、二体の雰囲気がイラつくような感じへ急激に変わった。
「お、あいつらは、こういう感じか。よし、いつでも止められるように構えるぞ」
父さんの言葉が理解できなくて困惑してると、ラカムタさん達は膝を少し曲げていつでも動く準備をする。そして、それと同時にミックとオイリスが離れた。でも、ただ離れたわけじゃなくてミックとオイリスはお互いに向かった前傾姿勢になっている。
ピキ……、ピキピキ……。
うん? この音は……? あ、二体の身体の肩や胸周りの鉱石が形を変えて突撃槍みたいになっていってる。この後の展開は一つしかないから、僕は腰の世界樹の杖に触れて魔法を発動させた。
「緑盛魔法・純粋なる緑を纏う樹根触腕」
ズドンッ‼︎
魔法を発動させ何十本もの根が伸びた次の瞬間、ミックとオイリスは全力で突進した。樹根触腕は間に合うか? いや、間に合わす‼︎
ザザザザザザザザザザザザッ‼︎
…………ふー、僕の樹根触腕は二体の突き出た鉱石に巻きつき、ラカムタさん達は二体の身体や足に抱き込むようにして、なんとか止めたけど危なかった。突き出た鉱石同士は、僕の腕を伸ばした距離まで接近してたから瞬き数回分でも遅れてたら激突してたはず。本当に止めれて良かったよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
2
お気に入りに追加
875
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】ちびっこ錬金術師は愛される
あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」
生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。
三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。
しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。
これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!
浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と共に幸せに暮らします。
にのまえ
恋愛
王太子ルールリアと結婚をして7年目。彼の浮気で、この世界が好きだった、恋愛ファンタジー小説の世界だと知った。
「前世も、今世も旦那となった人に浮気されるなんて」
悲しみに暮れた私は彼に離縁すると伝え、魔法で姿を消し、私と両親しか知らない秘密の森の中の家についた。
「ここで、ひっそり暮らしましょう」
そう決めた私に。
優しいフェンリルのパパと可愛い息子ができて幸せです。
だから、探さないでくださいね。
『お読みいただきありがとうございます。』
「浮気をした旦那様と離縁を決めたら。愛するフェンリルパパと愛しい子ができて幸せです」から、タイトルを変え。
エブリスタ(深月カナメ)で直しながら、投稿中の話に変えさせていただきました。
【完結】愛する人には裏の顔がありました
風子
恋愛
エルグスト子爵家の娘であるミリディは、婚約者に浮気をされ、三度も破談になるという前代未聞の不幸に見舞われていた。
落ち込むミリディだったが、破談になる度に慰め励ましてくれる頼もしい存在がいた。
その人は兄の親友であり、幼い頃から密かに想いを寄せる公爵家の令息ライド・ロベールトンだった。
身分の違いから叶わぬ恋心は封印し、兄と妹のような関係を築いてきたミリディだったが、ライドの積極的なアプローチに戸惑ってしまう。
いつも優しく親切な彼の真意とは‥‥
そして彼のもつ裏の顔とは‥‥
※作者の妄想の世界の話です。
殿下、婚約者の私より幼馴染の侯爵令嬢が大事だと言うなら、それはもはや浮気です。
和泉鷹央
恋愛
子爵令嬢サラは困っていた。
婚約者の王太子ロイズは、年下で病弱な幼馴染の侯爵令嬢レイニーをいつも優先する。
会話は幼馴染の相談ばかり。
自分をもっと知って欲しいとサラが不満を漏らすと、しまいには逆ギレされる始末。
いい加減、サラもロイズが嫌になりかけていた。
そんなある日、王太子になった祝いをサラの実家でするという約束は、毎度のごとくレイニーを持ち出してすっぽかされてしまう。
お客様も呼んであるのに最悪だわ。
そうぼやくサラの愚痴を聞くのは、いつも幼馴染のアルナルドの役割だ。
「殿下は幼馴染のレイニー様が私より大事だって言われるし、でもこれって浮気じゃないかしら?」
「君さえよければ、僕が悪者になるよ、サラ?」
隣国の帝国皇太子であるアルナルドは、もうすぐ十年の留学期間が終わる。
君さえよければ僕の国に来ないかい?
そう誘うのだった。
他の投稿サイトにも掲載しております。
4/20 帝国編開始します。
9/07 完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる