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青の村にて いつの間にか決まっていた事と急展開
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ヌイジュとの立ち会いから三日が経った日の朝食後、ラカムタさんに呼ばれた。
「ラカムタさん、僕に用があるって聞いたけど何?」
「来たか。まあ、こっちに座れ」
「うん、わかっ……」
僕はその場から飛び退きラカムタさんから離れる。いきなりで少し驚きながらラカムタさんを見ると、僕を見てうなずいていた。
「なかなか良い反応だな」
「……ラカムタさん?」
「ヤート、続けるぞ」
ラカムタさんは座ったままで、僕はしゃがんだり回転する。周りのみんなには僕が突然一人で動いているように見えてるかも知れないけど、僕は真剣そのもの。
なぜなら僕が常に身体から放っている界気化した魔力で感知した、ラカムタさんが頭の中で浮かべた攻撃を避けているからだ。今のところラカムタさんはジッと僕を見ながら攻撃を意識してるだけなんだけど、僕が回避行動を鈍らせた場合には本当に攻撃してくるみたいだから動きを止めれない。
そうして僕が制御しながら強化魔法を発動させつつ十分くらい避けていると、だんだん周りのみんなも僕のしている事に気づいてくる。そんな中、兄さん達がラカムタさんの方へ走り寄ろうとした次の瞬間、ラカムタさんは座ってる状態からフッと消えて僕の後ろに移動し、右拳を振り下ろしてきた。
ちょうど僕の顔を正面から蹴るっていうラカムタさんが想像した攻撃を避けるために、身体を反らしている最中だったから結構辛い。とはいえ泣き言を言ってる暇は一切ないから、のけぞった勢いのまま地面に倒れる。そして、あと少しで地面に身体が着くという時に右手で地面を叩き、その反動を利用して左に転がった。
バカンッ‼︎
数瞬前に僕の立っていた地面から破壊音が響き、衝撃波や破片が僕の身体に当たる。少しして煙が晴れると、振り下ろした右拳を地面に埋めたラカムタさんが僕を見ていた。
「ヤート……」
ラカムタさんが僕を見ながら右拳を地面から引き抜き身体を起こす。そして僕に向かって掌を拳にしたまま右手を伸ばしてきた。周りのみんなは緊張で張り詰め、兄さん達はすぐに動けるよう強化魔法を発動させている。
……あれ? なんかラカムタさんから嬉しさとか、よくやったっていう僕を褒める感情が伝わってきた。僕がどう反応するべきかわからないでいると、ラカムタさんは伸ばした拳の親指を立てるとニヤリと笑い口を開く。
「合格だ‼︎ ヤート、よくやった‼︎」
ラカムタさんの嬉しそうな大声が辺りに響いたけど、僕を含めて誰も反応できない。……いや、例外がいた。ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんが、ラカムタさんに近づいていく。
「なかなかに見応えのあるやり取りでしたね」
「強化魔法の使い方にも目を見張るものがありましたな」
「ヤート殿も良い体捌きだった。おっと、まずは祝福するべきか。ヤート殿、おめでもう」
「……えーと、ありがとう?」
本当にどう反応したら正解なんだろ? あっ、イリュキンがイーリリスさんに近づいていく。
「お、お祖母様、これはいったい……?」
「ああ、混乱させてしまいましたね。実は、ここ数日の間で私達は話し合いを続けていました。内容はヤート殿についてです」
「僕の事?」
「はい。鍛錬開始時は私の崩しや投げの技術の習得を目指していましたが、諸々の事情によってヤート殿の鍛錬は、界気化と強化魔法の精度向上へと方針の変更をしました」
僕は今までの事を思い出してうなずく。
「そうだね。それがイーリリスさん達の話し合いに繋がるの?」
「私達が話し合っていたのは、ヤート殿の鍛錬期間についてです」
「というと?」
「私の技術の習得ならば私が教える事もできるのですが、正直なところ界気化に関しては基本は修めヤート殿自身で深める段階ですし、強化魔法については私でなくとも指導は可能となれば、現状すでに青の私達がヤート殿に教えれる事がないのです」
「ですが、お祖母様」
「イリュキンの言いたい事はわかっています。界気化と強化魔法の鍛錬をある程度終えた後、私の技術の習得に移れば良い、ですね?」
「はい。それではダメなのですか?」
「ダメというわけではありませんが、さすがにこの村いるのが長くなりすぎます」
僕はイーリリスさんの説明で疑問に思った事をラカムタに聞いてみる。
「ラカムタさん、青の村に長くいたらダメなの?」
「青の村に滞在するのは良いんだが、そろそろ青の村で起こった事を報告しにいったん戻りたいと思っている」
「…………今、ラカムタさんとイーリリスさんが言ったのと、僕がラカムタさんに攻撃されたのは何の関係が?」
「ヤートの鍛錬の成果を見るためだな。もし鍛錬の成果が目に見える形で出ていれば、良い区切りになるだろ?」
「なるほど、そういう事か」
「そうだ。突然俺に攻撃されても対応できるくらいに、界気化と強化魔法も仕上がっている。良い報告事項が増えて嬉しいぞ」
「あ……」
イリュキンがラカムタさんの言葉を肩を落としてる。ラカムタさんは、そんなイリュキンに気づいて僕へと振り向く。
「よし、ヤート、大髭様へイリュキンといっしょにあいさつしてこい」
「「え?」」
ラカムタさんから唐突な提案を聞いて僕とイリュキンの口から困惑の声が漏れた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「ラカムタさん、僕に用があるって聞いたけど何?」
「来たか。まあ、こっちに座れ」
「うん、わかっ……」
僕はその場から飛び退きラカムタさんから離れる。いきなりで少し驚きながらラカムタさんを見ると、僕を見てうなずいていた。
「なかなか良い反応だな」
「……ラカムタさん?」
「ヤート、続けるぞ」
ラカムタさんは座ったままで、僕はしゃがんだり回転する。周りのみんなには僕が突然一人で動いているように見えてるかも知れないけど、僕は真剣そのもの。
なぜなら僕が常に身体から放っている界気化した魔力で感知した、ラカムタさんが頭の中で浮かべた攻撃を避けているからだ。今のところラカムタさんはジッと僕を見ながら攻撃を意識してるだけなんだけど、僕が回避行動を鈍らせた場合には本当に攻撃してくるみたいだから動きを止めれない。
そうして僕が制御しながら強化魔法を発動させつつ十分くらい避けていると、だんだん周りのみんなも僕のしている事に気づいてくる。そんな中、兄さん達がラカムタさんの方へ走り寄ろうとした次の瞬間、ラカムタさんは座ってる状態からフッと消えて僕の後ろに移動し、右拳を振り下ろしてきた。
ちょうど僕の顔を正面から蹴るっていうラカムタさんが想像した攻撃を避けるために、身体を反らしている最中だったから結構辛い。とはいえ泣き言を言ってる暇は一切ないから、のけぞった勢いのまま地面に倒れる。そして、あと少しで地面に身体が着くという時に右手で地面を叩き、その反動を利用して左に転がった。
バカンッ‼︎
数瞬前に僕の立っていた地面から破壊音が響き、衝撃波や破片が僕の身体に当たる。少しして煙が晴れると、振り下ろした右拳を地面に埋めたラカムタさんが僕を見ていた。
「ヤート……」
ラカムタさんが僕を見ながら右拳を地面から引き抜き身体を起こす。そして僕に向かって掌を拳にしたまま右手を伸ばしてきた。周りのみんなは緊張で張り詰め、兄さん達はすぐに動けるよう強化魔法を発動させている。
……あれ? なんかラカムタさんから嬉しさとか、よくやったっていう僕を褒める感情が伝わってきた。僕がどう反応するべきかわからないでいると、ラカムタさんは伸ばした拳の親指を立てるとニヤリと笑い口を開く。
「合格だ‼︎ ヤート、よくやった‼︎」
ラカムタさんの嬉しそうな大声が辺りに響いたけど、僕を含めて誰も反応できない。……いや、例外がいた。ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんが、ラカムタさんに近づいていく。
「なかなかに見応えのあるやり取りでしたね」
「強化魔法の使い方にも目を見張るものがありましたな」
「ヤート殿も良い体捌きだった。おっと、まずは祝福するべきか。ヤート殿、おめでもう」
「……えーと、ありがとう?」
本当にどう反応したら正解なんだろ? あっ、イリュキンがイーリリスさんに近づいていく。
「お、お祖母様、これはいったい……?」
「ああ、混乱させてしまいましたね。実は、ここ数日の間で私達は話し合いを続けていました。内容はヤート殿についてです」
「僕の事?」
「はい。鍛錬開始時は私の崩しや投げの技術の習得を目指していましたが、諸々の事情によってヤート殿の鍛錬は、界気化と強化魔法の精度向上へと方針の変更をしました」
僕は今までの事を思い出してうなずく。
「そうだね。それがイーリリスさん達の話し合いに繋がるの?」
「私達が話し合っていたのは、ヤート殿の鍛錬期間についてです」
「というと?」
「私の技術の習得ならば私が教える事もできるのですが、正直なところ界気化に関しては基本は修めヤート殿自身で深める段階ですし、強化魔法については私でなくとも指導は可能となれば、現状すでに青の私達がヤート殿に教えれる事がないのです」
「ですが、お祖母様」
「イリュキンの言いたい事はわかっています。界気化と強化魔法の鍛錬をある程度終えた後、私の技術の習得に移れば良い、ですね?」
「はい。それではダメなのですか?」
「ダメというわけではありませんが、さすがにこの村いるのが長くなりすぎます」
僕はイーリリスさんの説明で疑問に思った事をラカムタに聞いてみる。
「ラカムタさん、青の村に長くいたらダメなの?」
「青の村に滞在するのは良いんだが、そろそろ青の村で起こった事を報告しにいったん戻りたいと思っている」
「…………今、ラカムタさんとイーリリスさんが言ったのと、僕がラカムタさんに攻撃されたのは何の関係が?」
「ヤートの鍛錬の成果を見るためだな。もし鍛錬の成果が目に見える形で出ていれば、良い区切りになるだろ?」
「なるほど、そういう事か」
「そうだ。突然俺に攻撃されても対応できるくらいに、界気化と強化魔法も仕上がっている。良い報告事項が増えて嬉しいぞ」
「あ……」
イリュキンがラカムタさんの言葉を肩を落としてる。ラカムタさんは、そんなイリュキンに気づいて僕へと振り向く。
「よし、ヤート、大髭様へイリュキンといっしょにあいさつしてこい」
「「え?」」
ラカムタさんから唐突な提案を聞いて僕とイリュキンの口から困惑の声が漏れた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
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