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決戦後にて 膝枕と帰還
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「ヤート殿、もうすぐ遠目に青の村が見えてきますよ」
「……あれ?」
まだ完全に疲労とかが抜けてなかったのと、大髭様の頭の上で感じる風や音や日差しが気持ち良くて眠りそうだなって思ってたら本当に寝ていたみたいだ。イーリリスさんの声ですぐに目が覚めたくらいの浅い眠りだけど、眠る前よりもスッキリしてる気がする。……まあ、それは良いとして。
「イーリリスさん、一つ聞いて良い?」
「何でしょうか?」
「僕は何で目が覚めたらイーリリスさんに膝枕されてるの?」
僕はイーリリスさんの膝に頭を乗せていた。眠る前は僕とイーリリスさんは横並びに座っていたのに、起きたらイーリリスさんの顔を下から見てる形になってて、自分の状況に困惑したよ。
「ヤート殿が眠さで身体をフラフラさせていたので、そのまま大髭様の頭の上に直接寝かせても良かったのですが、万が一何かの拍子に大髭様の頭の上から転げ落ちるという事を考え、さらにどうせならゆっくり寝てもらおうと思い、私の膝枕でヤート殿が寝てもらうという形になりました」
「そうだったんだ。いろいろ考えてくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。身体の調子はどうです?」
「寝る前よりスッキリしてるから源泉の中で目が覚めた時よりも、もっと回復してると思う」
「それは良かったですね。ヤート殿の元気な姿を村に残ったみんなに見せれますね」
「僕もそう思うよ。あ、そろそろ青の村が見えてくるんだっけ?」
「はい。そろそろ見えてくると思います」
僕はイーリリスさんの膝枕から起きて大髭様の進む先を見る。大神林と違って大霊湖の距離感をつかめてないけど、僕が眠ってた間にも順調に距離を稼いでたらしい。……そうだ。
「大髭様、僕が眠ってる間も揺れないようにしてくれてありがとう。お陰でかなり体調が良くなった」
「バフ」
大髭様が気にするなと言ってくれた。三体にしても大神林の奥にいる世界樹にしても大髭様にしても、この世界の高位の存在は本当に優しいね。
少しして僕の目でも青の村が見えてきた。みんなの力強い魔力を感じるからイーリリスさんから聞いた通り、みんなは無事らしいね。……ただ、一つ知らない魔力があるのはなんでだろ?
みんながこの僕の知らない魔力を警戒してないから害のない存在なのはわかるとして、気になるのは魔力の感じがディグリと似ている事だ。ディグリ以外に植物の魔獣はいないはず。……まあ、着いたらわかるか。
「ヤート殿、そろそろ大髭様だと進めない浅瀬になりますので、ヤート殿の緑葉船に移りましょう」
「わかった」
緑葉船を湖面に降ろし乗り移る。おっと大髭様にお礼を言わないとね。僕は腰の小袋から種を一つ取り出して緑葉船の船底に置いて魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・水蜜桃。イーリリスさん、緑葉船を動かして良い?」
「大丈夫ですよ」
僕はイーリリスさんに確認してから緑葉船を大髭様の正面に移動させ、成長した水蜜桃の樹から実をもぎ取った。
「大髭様、ここまで乗せてくれてありがとう」
「バフ!!」
「それで、これはそのお礼だから口を開けて」
「バ」
もぎ取った水蜜桃の十個の実を大髭様が開けた大きな口に放り込むと、大髭様は口を閉じ口を微妙にモゴモゴ動かす。水蜜桃は大髭様に比べたらかなり小さいけど、大霊湖の莫大な魔力を吸収して成長したものだから、実の味や含まれてる魔力はそれ相応になってる。実際、大髭様の目は笑ってるから満足してくれたみたい。
「大髭様、黒の村に帰る前にまた会いに行くから」
「バフ」
「うん、またね」
大髭様を見送り水蜜桃を種に戻して回収した後、僕達は青の村へと進路を取った。
数分緑葉船を走らせて青の村の広場がはっきり見えてくると、広場にラカムタさん達やハインネルフさん達がいるのがわかった。さすがに苔達をモスゴーレムにしたり大髭様が動いたら目立つよね。
緑葉船が広場の端の近くまで進むと、青の大人数人が広場の中まで緑葉船を引き上げてくれた後、イーリリスさん・僕の順で降りると兄さん達が走り寄ってきた。
「「ヤート!!」」
「「ヤート君!!」」
「兄さん、姉さん、リンリー、イリュキン、久しぶり……で良いのかな?」
僕が久しぶりに会ったみんなへのあいさつに悩んでたら、みんなが苦笑する。
「ヤートのそういう反応を見たらお前が帰ってきたって実感できるな。でもな、ヤート……」
「何?」
「帰ってきて、まず言うのはそれじゃねえだろ?」
「……ああ、そうだった」
僕は兄さん達や、僕と兄さん達のやり取りを微笑ましそうに見ているラカムタさんやハインネルフさん達を見渡してから言った。
「みんな、ただいま」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「……あれ?」
まだ完全に疲労とかが抜けてなかったのと、大髭様の頭の上で感じる風や音や日差しが気持ち良くて眠りそうだなって思ってたら本当に寝ていたみたいだ。イーリリスさんの声ですぐに目が覚めたくらいの浅い眠りだけど、眠る前よりもスッキリしてる気がする。……まあ、それは良いとして。
「イーリリスさん、一つ聞いて良い?」
「何でしょうか?」
「僕は何で目が覚めたらイーリリスさんに膝枕されてるの?」
僕はイーリリスさんの膝に頭を乗せていた。眠る前は僕とイーリリスさんは横並びに座っていたのに、起きたらイーリリスさんの顔を下から見てる形になってて、自分の状況に困惑したよ。
「ヤート殿が眠さで身体をフラフラさせていたので、そのまま大髭様の頭の上に直接寝かせても良かったのですが、万が一何かの拍子に大髭様の頭の上から転げ落ちるという事を考え、さらにどうせならゆっくり寝てもらおうと思い、私の膝枕でヤート殿が寝てもらうという形になりました」
「そうだったんだ。いろいろ考えてくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。身体の調子はどうです?」
「寝る前よりスッキリしてるから源泉の中で目が覚めた時よりも、もっと回復してると思う」
「それは良かったですね。ヤート殿の元気な姿を村に残ったみんなに見せれますね」
「僕もそう思うよ。あ、そろそろ青の村が見えてくるんだっけ?」
「はい。そろそろ見えてくると思います」
僕はイーリリスさんの膝枕から起きて大髭様の進む先を見る。大神林と違って大霊湖の距離感をつかめてないけど、僕が眠ってた間にも順調に距離を稼いでたらしい。……そうだ。
「大髭様、僕が眠ってる間も揺れないようにしてくれてありがとう。お陰でかなり体調が良くなった」
「バフ」
大髭様が気にするなと言ってくれた。三体にしても大神林の奥にいる世界樹にしても大髭様にしても、この世界の高位の存在は本当に優しいね。
少しして僕の目でも青の村が見えてきた。みんなの力強い魔力を感じるからイーリリスさんから聞いた通り、みんなは無事らしいね。……ただ、一つ知らない魔力があるのはなんでだろ?
みんながこの僕の知らない魔力を警戒してないから害のない存在なのはわかるとして、気になるのは魔力の感じがディグリと似ている事だ。ディグリ以外に植物の魔獣はいないはず。……まあ、着いたらわかるか。
「ヤート殿、そろそろ大髭様だと進めない浅瀬になりますので、ヤート殿の緑葉船に移りましょう」
「わかった」
緑葉船を湖面に降ろし乗り移る。おっと大髭様にお礼を言わないとね。僕は腰の小袋から種を一つ取り出して緑葉船の船底に置いて魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・水蜜桃。イーリリスさん、緑葉船を動かして良い?」
「大丈夫ですよ」
僕はイーリリスさんに確認してから緑葉船を大髭様の正面に移動させ、成長した水蜜桃の樹から実をもぎ取った。
「大髭様、ここまで乗せてくれてありがとう」
「バフ!!」
「それで、これはそのお礼だから口を開けて」
「バ」
もぎ取った水蜜桃の十個の実を大髭様が開けた大きな口に放り込むと、大髭様は口を閉じ口を微妙にモゴモゴ動かす。水蜜桃は大髭様に比べたらかなり小さいけど、大霊湖の莫大な魔力を吸収して成長したものだから、実の味や含まれてる魔力はそれ相応になってる。実際、大髭様の目は笑ってるから満足してくれたみたい。
「大髭様、黒の村に帰る前にまた会いに行くから」
「バフ」
「うん、またね」
大髭様を見送り水蜜桃を種に戻して回収した後、僕達は青の村へと進路を取った。
数分緑葉船を走らせて青の村の広場がはっきり見えてくると、広場にラカムタさん達やハインネルフさん達がいるのがわかった。さすがに苔達をモスゴーレムにしたり大髭様が動いたら目立つよね。
緑葉船が広場の端の近くまで進むと、青の大人数人が広場の中まで緑葉船を引き上げてくれた後、イーリリスさん・僕の順で降りると兄さん達が走り寄ってきた。
「「ヤート!!」」
「「ヤート君!!」」
「兄さん、姉さん、リンリー、イリュキン、久しぶり……で良いのかな?」
僕が久しぶりに会ったみんなへのあいさつに悩んでたら、みんなが苦笑する。
「ヤートのそういう反応を見たらお前が帰ってきたって実感できるな。でもな、ヤート……」
「何?」
「帰ってきて、まず言うのはそれじゃねえだろ?」
「……ああ、そうだった」
僕は兄さん達や、僕と兄さん達のやり取りを微笑ましそうに見ているラカムタさんやハインネルフさん達を見渡してから言った。
「みんな、ただいま」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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