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青の村にて 三体への報告と崩れた予定
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一通り報告と話し合いが終わり、みんなの食事の手も止まる。話し合いの結論としては異常の原因と思われる存在を見つけるまでは警戒を続けるという事になった。
「さて、それでは解散するとしよう。それぞれ作業に戻れ。警戒は怠らんようにな。ヤート殿はもう少し話を聞きたいゆえに残ってほしい」
「わかった」
みんなが広場から散り散りに離れていくのを見送りながら、一つどうしても先送りにできない問題を思い出す。一応、ラカムタさんに聞いてみるか。
「ラカムタさん、三体はどうしてる?」
「ああ……」
「その顔でわかったよ。僕がなだめておくね」
「……頼む」
僕はハインネルフさんに三体の事を伝える。
「ハインネルフさん、先に三体をなだめてくるから話をするのはその後で良い?」
「……ぜひ、お願いする」
「それじゃあ、ちょっと行ってくる」
渋い顔のラカムタさんやハインネルフさん達と別れて僕は青の村を出る。その際に門番の人達が顔を引きつらせながら一点を凝視しているのに気づく。僕が視線を向けると、三体がじっとしているし威圧も出てないけど見るからに爆発寸前の雰囲気になっていた。門番の人達に僕が三体に近づく事を言っておこう。
「僕が三体をなだめてくるから動かないでね」
「だ、大丈夫なのか……?」
「大丈夫だよ。じゃあね」
僕はあっさりと何でもない事のように三体に近づいていく僕を驚愕しながら見てくる門番の人達の視線を背中に感じながら三体に近づく。すると僕の匂いを感じたり足音に反応したのか、三体が僕の方をバッと振り向いた。
「久しぶり……は日付で言ったら何日も経ってるわけじゃないからおかしいか。でも心配かけてごめん。僕はこの通り無事だよ」
「ガア……」
「ブオ……」
「……安心シマシタ」
鬼熊と破壊猪が僕の身体に鼻先をグリグリ当ててきて、ディグリはポツリと心の底からのつぶやきを言った。本当にこいつらは僕には、もったいないくらいの強くて優しい良い奴らだね。
「ガア、ガ?」
「うん。兄さんと姉さんの様子を見て大丈夫だと判断したら行くよ」
「ガア」
「ブオ」
「私モ行キマス」
「その時が来たらよろしく」
三体は僕の言葉にうなずいてくれた。ラカムタさん達だけでなく三体が来てくれたら、異常を引き起こしてる奴と戦いになっても大丈夫だね。僕は三体が落ち着いてくれたからハインネルフさんの元へ戻ったんだけど、その際に門番の人達にありえないっていう目で見られたのは当然と言えば当然か。
二日経ち兄さんと姉さんは大丈夫って判断できたから、本当にバレないように少数精鋭で青の村を抜け出すはずだったんだけどな……。
「ヤート、ラカムタのおっさん達と、どこ行く気だ?」
僕達が青の村を抜け出そうとしたところで、思いっきり兄さん・姉さん・リンリー・イリュキンにバレた。というか兄さん達は、まるで僕達を待ち伏せしてたかのように門の近くにいたけど何でバレたんだろ? 僕の疑問はラカムタさん達も思ってたみたいで、ラカムタさんが代表する形で兄さんに聞いた。
「お前ら何でここにいる? いや、違うな。何で俺達が抜け出そうとしたのがわかった?」
「リンリーのおかげだぜ」
「リンリーだと?」
兄さんがリンリーの名前を出した事に驚いて、僕がリンリーを見るとリンリーは僕に小さく笑う。……ああ、そういう事か。
「リンリーが気配と姿を消して僕かラカムタさんかハインネルフさん達の青の村を抜け出す話を聞いてたんだね」
「はい」
「ちなみに誰の話を聞いてたの?」
「ヤート君とラカムタさんは消えてる私に慣れてるので見破られると思ったので、無礼ですが青の村長殿と水添え殿のそばにいました」
リンリーの言葉を聞いてハインネルフさんとイーリリスさんは唖然としていた。うん、二人の気持ちはよくわかる。僕もリンリーの気配と姿を消す技術がハインネルフさんとイーリリスさんの感覚をかいくぐる程だとは思わなかったな。
「私……まったく気づきませんでした」
「……油断していたわけではないのだが、わしもだ」
「これは中々の使い手ですな。いや、御見逸れしました」
ハインネルフさんとイーリリスさんの二人と違ってタキタさんはすごく嬉しそうだね。
「ラカムタのおっさん、借りを返すっていう意味なら俺とマイネの方が一番権利を持ってるよな?」
「ガルの言う通りね。まさか、私とガルを除け者にはしないわよね?」
「私は実力を示したので連れて行ってほしいです」
「私も蚊帳の外にいるつもりはない」
兄さん・姉さん・リンリー・イリュキンはそれぞれの言葉でお願いしてくる。まあ、お願いって言う割にラカムタさんと同じかそれ以上に目がギラギラしてるから恫喝と取れない事はないかな。あ、ラカムタさん・ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんが僕らから少し離れた場所で話し合いだした。
少しして四人が戻ってきたけど、どういう結論になったんだろうね。僕はラカムタさんに聞いてみる。
「ラカムタさん、何か決まったの?」
「ヤート、青の村の中に戻るぞ」
「という事は異常の原因を探すのは中止?」
「逆だ」
「逆?」
「ヤート殿、青と黒の竜人族にヤート殿のお供の魔獣達が力を合わせる総力戦という事だ」
規模が大きくなった。でも、まあ、この方がわかりやすくて良いか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「さて、それでは解散するとしよう。それぞれ作業に戻れ。警戒は怠らんようにな。ヤート殿はもう少し話を聞きたいゆえに残ってほしい」
「わかった」
みんなが広場から散り散りに離れていくのを見送りながら、一つどうしても先送りにできない問題を思い出す。一応、ラカムタさんに聞いてみるか。
「ラカムタさん、三体はどうしてる?」
「ああ……」
「その顔でわかったよ。僕がなだめておくね」
「……頼む」
僕はハインネルフさんに三体の事を伝える。
「ハインネルフさん、先に三体をなだめてくるから話をするのはその後で良い?」
「……ぜひ、お願いする」
「それじゃあ、ちょっと行ってくる」
渋い顔のラカムタさんやハインネルフさん達と別れて僕は青の村を出る。その際に門番の人達が顔を引きつらせながら一点を凝視しているのに気づく。僕が視線を向けると、三体がじっとしているし威圧も出てないけど見るからに爆発寸前の雰囲気になっていた。門番の人達に僕が三体に近づく事を言っておこう。
「僕が三体をなだめてくるから動かないでね」
「だ、大丈夫なのか……?」
「大丈夫だよ。じゃあね」
僕はあっさりと何でもない事のように三体に近づいていく僕を驚愕しながら見てくる門番の人達の視線を背中に感じながら三体に近づく。すると僕の匂いを感じたり足音に反応したのか、三体が僕の方をバッと振り向いた。
「久しぶり……は日付で言ったら何日も経ってるわけじゃないからおかしいか。でも心配かけてごめん。僕はこの通り無事だよ」
「ガア……」
「ブオ……」
「……安心シマシタ」
鬼熊と破壊猪が僕の身体に鼻先をグリグリ当ててきて、ディグリはポツリと心の底からのつぶやきを言った。本当にこいつらは僕には、もったいないくらいの強くて優しい良い奴らだね。
「ガア、ガ?」
「うん。兄さんと姉さんの様子を見て大丈夫だと判断したら行くよ」
「ガア」
「ブオ」
「私モ行キマス」
「その時が来たらよろしく」
三体は僕の言葉にうなずいてくれた。ラカムタさん達だけでなく三体が来てくれたら、異常を引き起こしてる奴と戦いになっても大丈夫だね。僕は三体が落ち着いてくれたからハインネルフさんの元へ戻ったんだけど、その際に門番の人達にありえないっていう目で見られたのは当然と言えば当然か。
二日経ち兄さんと姉さんは大丈夫って判断できたから、本当にバレないように少数精鋭で青の村を抜け出すはずだったんだけどな……。
「ヤート、ラカムタのおっさん達と、どこ行く気だ?」
僕達が青の村を抜け出そうとしたところで、思いっきり兄さん・姉さん・リンリー・イリュキンにバレた。というか兄さん達は、まるで僕達を待ち伏せしてたかのように門の近くにいたけど何でバレたんだろ? 僕の疑問はラカムタさん達も思ってたみたいで、ラカムタさんが代表する形で兄さんに聞いた。
「お前ら何でここにいる? いや、違うな。何で俺達が抜け出そうとしたのがわかった?」
「リンリーのおかげだぜ」
「リンリーだと?」
兄さんがリンリーの名前を出した事に驚いて、僕がリンリーを見るとリンリーは僕に小さく笑う。……ああ、そういう事か。
「リンリーが気配と姿を消して僕かラカムタさんかハインネルフさん達の青の村を抜け出す話を聞いてたんだね」
「はい」
「ちなみに誰の話を聞いてたの?」
「ヤート君とラカムタさんは消えてる私に慣れてるので見破られると思ったので、無礼ですが青の村長殿と水添え殿のそばにいました」
リンリーの言葉を聞いてハインネルフさんとイーリリスさんは唖然としていた。うん、二人の気持ちはよくわかる。僕もリンリーの気配と姿を消す技術がハインネルフさんとイーリリスさんの感覚をかいくぐる程だとは思わなかったな。
「私……まったく気づきませんでした」
「……油断していたわけではないのだが、わしもだ」
「これは中々の使い手ですな。いや、御見逸れしました」
ハインネルフさんとイーリリスさんの二人と違ってタキタさんはすごく嬉しそうだね。
「ラカムタのおっさん、借りを返すっていう意味なら俺とマイネの方が一番権利を持ってるよな?」
「ガルの言う通りね。まさか、私とガルを除け者にはしないわよね?」
「私は実力を示したので連れて行ってほしいです」
「私も蚊帳の外にいるつもりはない」
兄さん・姉さん・リンリー・イリュキンはそれぞれの言葉でお願いしてくる。まあ、お願いって言う割にラカムタさんと同じかそれ以上に目がギラギラしてるから恫喝と取れない事はないかな。あ、ラカムタさん・ハインネルフさん・イーリリスさん・タキタさんが僕らから少し離れた場所で話し合いだした。
少しして四人が戻ってきたけど、どういう結論になったんだろうね。僕はラカムタさんに聞いてみる。
「ラカムタさん、何か決まったの?」
「ヤート、青の村の中に戻るぞ」
「という事は異常の原因を探すのは中止?」
「逆だ」
「逆?」
「ヤート殿、青と黒の竜人族にヤート殿のお供の魔獣達が力を合わせる総力戦という事だ」
規模が大きくなった。でも、まあ、この方がわかりやすくて良いか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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