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青の村にて 知らない一面と敵
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あれから時間が経つごとに僕の界気化した魔力の浸透が進んで、兄さんと姉さんから僕が受け取る情報が増えていく。僕の頭の中に浮かぶ兄さんの記憶も姉さんの記憶も登場人物が若返ってるから、兄さんと姉さんの意識を遡れてるみたいだね。このまま順調に進めたら、割りとすぐに兄さんと姉さんの意識の奥底にたどり着けそうだ。
『ヤート殿、今はどのような事柄を受け取ってますか?』
僕の隣にいるはずのイーリリスさんの声が遠くから聞こえた。たぶん僕の意識が兄さんと姉さんの方に向いてるせいかな。これはあれだ。読書に熱中してる時に話しかけられるのと似てる気がする。
「兄さんと姉さんの記憶を受け取ってるところ。イーリリスさん、受け取った記憶の中のみんなが若くなっていくんだけど、このままで良いんだよね?」
『それはヤート殿の界気化した魔力がお二人の意識に浸透している証拠なので大丈夫です』
「わかった。このまま兄さんと姉さんの無意識に浸透するまで続けるよ。あとラカムタさん」
『なんだ?』
「兄さんと姉さんの記憶を遡れば遡るほど、二人が激しくケンカしてる記憶ばっかりなんだけど……」
『ああ、それはそうだ。今のガルとマイネは口ゲンカやにらみ合いが主だが、昔はもっとひどくてよく未熟ながらも強化魔法発動させて本気の殴り合いをしていたぞ』
「そうなんだ」
『ヤートと深く触れ合うようになってから、ずいぶん落ち着いたな』
僕の知らない兄さんと姉さんの一面を知ってしまって微妙な気分になる。今が緊急事態だとしても、こういう一方的に知ってしまうのは不公平な気がするんだよね。…………前世の事を兄さんと姉さんに話してみようかな。
『ヤート殿、魔力の界気化が少し乱れています。今は集中してください』
「ごめん。すぐに元に戻す」
今はあとの事を考えてる場合じゃない。まずは目の前の兄さんと姉さんの無意識を探るのが最優先だ。
イーリリスさんに注意されてから気を引き締め直して界気化した魔力の放出を続けていると、兄さんと姉さんから受け取る情報が変わる。僕の頭に浮かんでいた映像がどんどんぼやけていき、兄さんと姉さんのいろいろな感情とか思いだけを受け取っている感じになった。
これが兄さんと姉さんの意識の奥底にある無意識に思ってる事なのかな? 陽気な感情が多いから兄さんと姉さんは毎日を楽しんでるみたいで良かった。……僕への心配もあるね。うん、いろいろ終わったら謝るとして、兄さんと姉さんの無意識に僕の界気化した魔力が浸透したんだから、あとは兄さんと姉さんをおかしくしてる奴を見つけるだけだ。
「兄さんと姉さんの意識の奥底に界気化した魔力が到達したみたい。今から全力で探ってみるから話しかけないでね」
『ヤート、慎重にな』
「うん」
僕は界気化した魔力の放出量を増やして、兄さんと姉さんの意識の奥底である無意識の隅々にまで浸透させていく。当然、僕が受け取る情報が増えて負担も増すけどどうでも良い。異常の原因を見つけてみせる。
僕がその後もひたすら兄さんと姉さんの無意識からの情報を受け取り探っていると、とうとう明らかにおかしいものを見つけた。それは兄さんと姉さんの無意識の隅の方にヘドロのようにへばりついていて、そいつから受け取れる情報とにかく濁っていて気持ち悪い。こいつが原因だって確信できる。
「緑盛魔法・超育成・聖月草」
『ヤート!!』
『ヤート殿!!』
『『ヤート君!!』』
僕の突然の行動にみんな驚いてたけど、一切構ってる余裕はない。僕は種を腰の小袋に入れたまま聖月草を成長させ、開花した聖月草が放つ邪なものを退ける光を界気化した魔力に乗せて兄さんと姉さんの無意識の隅々にまで流し込んだ。
『ギギィッ!!』
兄さんと姉さんの無意識の隅にへばりついてる奴がうめき声を出し、へばりついている奴が僕を憎々しげに見てくる。視線と気配でわかる。こいつは間違いなく敵で、こいつが兄さんと姉さんの無意識にいる事は絶対に許したらダメだ。
「緑盛魔法・純粋なる緑の波紋!!」
僕は聖月草の発する光をいったん手に集め増幅・強化をしてから、兄さんと姉さんの無意識にへばりついてる奴に叩き込む。
『ギ、ギャァア!!』
僕の純粋なる緑の波紋をくらい、へばりついてる奴が暴れながらも霧散していくけどほんの一欠片も残さないため、僕はさらに純粋なる緑の波紋を強めて放ち続ける。霧散しながらもへばりついてる奴が暴れてるせいで兄さんと姉さんの身体もガクガク動いてるけど、ラカムタさん達が押さえ込んでくれてるみたいだから今は気にしないでおく。
その後、僕は純粋なる緑の波紋の放出を続けて、へばりついてる奴が消えて気持ち悪い感じが無くなると魔力の界気化もやめて目を開けた。汗が滝のように流れてる。
「ヤート、ガルとマイネの意識の奥底で何があった?」
「絶対に許せない敵がいた……」
「敵だと……?」
僕の言葉を聞いて、みんなが困惑した表情で見てくる。兄さんと姉さんが目を覚ましたら説明しよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
『ヤート殿、今はどのような事柄を受け取ってますか?』
僕の隣にいるはずのイーリリスさんの声が遠くから聞こえた。たぶん僕の意識が兄さんと姉さんの方に向いてるせいかな。これはあれだ。読書に熱中してる時に話しかけられるのと似てる気がする。
「兄さんと姉さんの記憶を受け取ってるところ。イーリリスさん、受け取った記憶の中のみんなが若くなっていくんだけど、このままで良いんだよね?」
『それはヤート殿の界気化した魔力がお二人の意識に浸透している証拠なので大丈夫です』
「わかった。このまま兄さんと姉さんの無意識に浸透するまで続けるよ。あとラカムタさん」
『なんだ?』
「兄さんと姉さんの記憶を遡れば遡るほど、二人が激しくケンカしてる記憶ばっかりなんだけど……」
『ああ、それはそうだ。今のガルとマイネは口ゲンカやにらみ合いが主だが、昔はもっとひどくてよく未熟ながらも強化魔法発動させて本気の殴り合いをしていたぞ』
「そうなんだ」
『ヤートと深く触れ合うようになってから、ずいぶん落ち着いたな』
僕の知らない兄さんと姉さんの一面を知ってしまって微妙な気分になる。今が緊急事態だとしても、こういう一方的に知ってしまうのは不公平な気がするんだよね。…………前世の事を兄さんと姉さんに話してみようかな。
『ヤート殿、魔力の界気化が少し乱れています。今は集中してください』
「ごめん。すぐに元に戻す」
今はあとの事を考えてる場合じゃない。まずは目の前の兄さんと姉さんの無意識を探るのが最優先だ。
イーリリスさんに注意されてから気を引き締め直して界気化した魔力の放出を続けていると、兄さんと姉さんから受け取る情報が変わる。僕の頭に浮かんでいた映像がどんどんぼやけていき、兄さんと姉さんのいろいろな感情とか思いだけを受け取っている感じになった。
これが兄さんと姉さんの意識の奥底にある無意識に思ってる事なのかな? 陽気な感情が多いから兄さんと姉さんは毎日を楽しんでるみたいで良かった。……僕への心配もあるね。うん、いろいろ終わったら謝るとして、兄さんと姉さんの無意識に僕の界気化した魔力が浸透したんだから、あとは兄さんと姉さんをおかしくしてる奴を見つけるだけだ。
「兄さんと姉さんの意識の奥底に界気化した魔力が到達したみたい。今から全力で探ってみるから話しかけないでね」
『ヤート、慎重にな』
「うん」
僕は界気化した魔力の放出量を増やして、兄さんと姉さんの意識の奥底である無意識の隅々にまで浸透させていく。当然、僕が受け取る情報が増えて負担も増すけどどうでも良い。異常の原因を見つけてみせる。
僕がその後もひたすら兄さんと姉さんの無意識からの情報を受け取り探っていると、とうとう明らかにおかしいものを見つけた。それは兄さんと姉さんの無意識の隅の方にヘドロのようにへばりついていて、そいつから受け取れる情報とにかく濁っていて気持ち悪い。こいつが原因だって確信できる。
「緑盛魔法・超育成・聖月草」
『ヤート!!』
『ヤート殿!!』
『『ヤート君!!』』
僕の突然の行動にみんな驚いてたけど、一切構ってる余裕はない。僕は種を腰の小袋に入れたまま聖月草を成長させ、開花した聖月草が放つ邪なものを退ける光を界気化した魔力に乗せて兄さんと姉さんの無意識の隅々にまで流し込んだ。
『ギギィッ!!』
兄さんと姉さんの無意識の隅にへばりついてる奴がうめき声を出し、へばりついている奴が僕を憎々しげに見てくる。視線と気配でわかる。こいつは間違いなく敵で、こいつが兄さんと姉さんの無意識にいる事は絶対に許したらダメだ。
「緑盛魔法・純粋なる緑の波紋!!」
僕は聖月草の発する光をいったん手に集め増幅・強化をしてから、兄さんと姉さんの無意識にへばりついてる奴に叩き込む。
『ギ、ギャァア!!』
僕の純粋なる緑の波紋をくらい、へばりついてる奴が暴れながらも霧散していくけどほんの一欠片も残さないため、僕はさらに純粋なる緑の波紋を強めて放ち続ける。霧散しながらもへばりついてる奴が暴れてるせいで兄さんと姉さんの身体もガクガク動いてるけど、ラカムタさん達が押さえ込んでくれてるみたいだから今は気にしないでおく。
その後、僕は純粋なる緑の波紋の放出を続けて、へばりついてる奴が消えて気持ち悪い感じが無くなると魔力の界気化もやめて目を開けた。汗が滝のように流れてる。
「ヤート、ガルとマイネの意識の奥底で何があった?」
「絶対に許せない敵がいた……」
「敵だと……?」
僕の言葉を聞いて、みんなが困惑した表情で見てくる。兄さんと姉さんが目を覚ましたら説明しよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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