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第4章 異世界の男は手に入れる
第24話
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武鳴 雷門の戦闘態勢は整っているのに対して、俺はまだ腕の痺れが取れていない。
全く腕を動かせないわけではないものの、武鳴 雷門は中途半端な状態で戦って良い相手じゃないとわかったから厳しいな……。
おそらく数分もすれば元通り動かせられるだろうから、それまでなんとか時間を稼ぐしかないか。
俺は地面に刺していた木刀と葛城ノ剣を抜き、攻めよりも守りや回避を重視した構えをとる。
本来の俺の攻め方は速さを活かして敵から何かされる前にさっさと斬る特攻スタイルだから、こういう相手の反応を確認して動くやり方はそれほど得意じゃない。
しかし、何もせずに負けたいとも楽をして勝ちたいとも思わないから、俺が本調子に戻るまでは本気であがいてやると覚悟を決めた。
◆◆◆◆◆
数分経ち、戦況がどうなったかと言えば実は何も変わっていない。
なぜなら武鳴 雷門本体と雷精全ての輝きと放電が強くなり続けて力が溜まっているにも関わらず何もしてこなかったからだ。
俺の頭の中に生まれた疑問をぶつけるように問いただす。
「おい、どういうつもりだ? 俺を舐めてるのか?」
「そんなつもりは全くない」
「それなら何で攻めてこない?」
「こちらは総力戦をすると言ったはずだ」
「そのための助走の時間とでも?」
「その通り」
「…………それはいつになったら見れるんだ?」
「本当ならば、もう少し時間をほしいところだが、お前を待たせているのも事実。良いだろう。今から見せてやる」
武鳴 雷門が言うと、全ての雷精が帯電している空間の上部に散っていった。
「お前は雷雨を知っているか?」
「雷雨? 文字通り雷と雨がいっしょになっているひどい天気だろ? 前の世界ではそんな中でも戦っていたから知っている。あれは豪雨で身体は冷えるし落雷で感電死する奴らもいて本当に最悪だったぞ……」
「そ、そうか……、だが、俺の雷雨は違う‼︎」
「俺の雷雨だと……?」
「ああ、本物の雷雨を見せてやろう。雷よ‼︎」
次の瞬間、雷精を起点として帯電している空間の上部に稲光が起き始めた。
…………ああ、この後に何が起きるかなんて考えるまでもないな。
すぐに俺の予想通り……違う。
予想以上の事が起き、雷が雨のごとく無数に、同時に、絶え間なく地面へ向けて落ちてくる。
俺は木刀と葛城ノ剣で俺の間合いに入った雷を斬り捨てながら、この状況の厄介さに歯噛みした。
単純に無数の雷が落ちる事で爆音と閃光が起きて視覚と聴覚が潰されるし、さらに落雷時に起きる衝撃波も俺の動きの邪魔となる。
そして一番俺に不利な点は、武鳴 雷門の姿が見えなくなり気配も感じ取れなくなった事。
まず、あいつの攻撃の始動時に起こる放電音も、これだけの雷音が響いていればないのと同じ。
さらに今降り注いでいる雷は武鳴 雷門が生み出したもので、しかも武鳴 雷門自身も雷精化という雷と同質と言って良い状態だ。
おそらくこの雷は武鳴 雷門にとっては空気と同じで移動や動きに何の支障もないはずで、つまり……。
ドカンッ‼︎
嫌な予感がして雷を斬り払いながら横に跳ぶと、いきなり俺の立っていた場所を武鳴 雷門の右拳が通過した。
「これだけの俺に有利な状況を作り出してなお、攻撃を避けられるか……。化け物め……」
武鳴 雷門が何かをつぶやいてから雷の中に消えていった気もするが、どうせ聞こえないし見えないからどうでも良い。
◆◆◆◆◆
落雷が始まって何分経過したかは分からないが、今のところは俺の間合いに入った雷にも武鳴 雷門の雷速の打撃にも対応できているが、問題なのは攻撃密度と攻撃回数の多さだ。
連続した落雷と、そこに武鳴 雷門の雷速の打撃が加わった事でまさに息つく暇のない攻撃になっている。
相手を追い込むという意味では間違いなく正解で、木刀と葛城ノ剣で雷を斬り払うという急激な高速運動をずっと続けていたせいか、そろそろ俺の呼吸が苦しくなっていた。
さすがに細く息をしてごまかしても限界はある。
…………正直に言って自前の剣技だけで戦いたかったがしょうがない。
自分の中の迷いを消して頭を切り替え、その時を狙う。
そして俺は再び嫌な予感がしたのに合わせて、葛城ノ剣を振り上げつつ刀身から異能力を消し飛ばす光を放った。
「ぐおおおおおお‼︎」
「スー……、ハー……、スー……、ハー……、ふう」
落雷が止んだのを感じ取った俺は、ゆっくり呼吸を繰り返して身体に酸素を取り込んでいく。
お、まだ視覚と聴覚は潰れたままだが武鳴 雷門の乱れた気配を認識できたぞ。
とりあえず目を閉じたまま無理に攻めずに感覚が元に戻るのを待つとしよう。
◆◆◆◆◆
…………また何もないまま数分が経過したわけだが、これほど緩急に差のある戦いも珍しいな。
おそらく葛城ノ剣の光の直撃を受けたためだとは思うけれど、身体を異能力で変化させる奴にここまで効果があったのは予想外だ。
ザ……。
うん? これは地面を踏みしめる音?
俺は、どうやら感覚が戻ってきたみたいだなと判断し目を開けたら、そこには雷精化を解いた武鳴 雷門がいた。
それにサッと周りを確認したら雷精達もいないな。
「お前の剣が発した光で雷も雷精達も消し飛んだ。そらに雷精化を解かなければ俺自身も危なかった……」
「そうか……」
「俺の攻撃を破ったというのに、なぜそんな顔をする?」
やっぱり、やりたくない事をやったら顔に出てしまうんだな。
「俺には元々異能力なんてものはないから剣技だけで戦いたいと思っていた。だが、それもお前の怒涛の攻めに抗えなくなって、結局、葛城ノ剣の力に頼る始末。…………自分の弱さに腹が立つ」
「ははは……、雷を斬った事もそうだが、異能力者に、それも精霊級に技量だけで対抗できた事がそもそも異常だと自覚しろ」
「そうか? 秋臣は俺に近い動きをできるようになってるぞ」
「…………その話は後で詳しく聞かせてもらうとして、今はこの戦いに集中させてもらう‼︎ ハアッ‼︎」
武鳴 雷門が気合とともに自分の胸を叩くと、再び雷が発生させ始めた。
しかし前と違い、今回の雷は俺達の周りの空間を帯電させる事はなく全てが武鳴 雷門の周りに集まっていく。
「もう数の暴力はしてこないのか?」
「その数の暴力を覆した奴にする意味はない。ここからは正真正銘全力の一対一だ‼︎」
そう言った瞬間、武鳴 雷門の身体が今までで一番強く輝き放電しだす。
なるほど雷精を生み出していた分の力も自分の強化に回したのか。
それならば俺も全力を尽くすべきだと判断し、目を閉じて深呼吸をする。
「ここからの俺も全力だ」
「ふはははははははははははっ‼︎ 心行くまで楽しんだ後にお前を超えてやる‼︎」
「やってみろ」
俺の言葉を最後に俺達の会話は終わり、辺りには武鳴 雷門の放電音だけが響き渡る。
そして、特に打ち合わせたわけでもないのに、俺は武鳴 雷門が動き出したと同時に音と色のない世界へ入った。
◆◆◆◆◆
…………へえ、俺以外が限りなくゆっくり動くこの世界でも武鳴 雷門の動きは速く見えるな。
俺は目の前で突き出される武鳴 雷門の拳を見ながら感心しつつ身体を半回転させて避け、そのまま木刀をこいつの背中へ振る。
『な、く……』
お、俺に攻撃を避けられた事に気づいた武鳴 雷門が慌てながら俺から離れた。
まあ武鳴 雷門は俺と同じく速さで相手を圧倒封殺していくタイプで、おそらく今までまともに反撃された経験すらないはずだろうから当然か。
俺は葛城ノ剣と戦った時の慌てた自分を思い出して笑ってしまった。
しかし、すぐに気を取り直して身体を倒しながら跳んで体勢を崩している武鳴 雷門に接近し、木刀と葛城ノ剣で連撃を繰り出す。
『このっ……』
俺が無数の雷を斬り捨てた時のように、今度は武鳴 雷門が必死に俺の攻撃を受けたり避けたり捌いたりしている。
しかし、最大強化状態での攻防に慣れていないのか、ぎこちない動きになっているためどんどん対応しきれなくなっていた。
連撃中に観察した結果、武鳴 雷門に今の状況に適応される前に攻め切るべきだと決め、さらに連撃の速度を上げたのだが俺の狙いはうまくいかない。
連撃を数発打ち込め次に葛城ノ剣を当てた瞬間、突然武鳴 雷門の身体から葛城ノ剣を通して大量の雷が流れてきたため、俺は葛城ノ剣を消しながら跳び退く。
俺も葛城ノ剣の光で同じような事をしたわけだが…………クソッ、これで武鳴 雷門に落ち着く時間を与えてしまった。
『見事な思い切りと攻撃だった。しかし、もうお前が一方的に攻める展開はない』
『おもしろい。だったら、どうするのか見せてみろ』
俺は攻めきれなかった後悔を頭の隅に追いやり着地と同時に跳び再び連撃で攻め立てたが、俺の連撃は始めの数発以外の全てを武鳴 雷門の鋭く細かい突きで迎撃されていた。
……チッ、気づかれたか。
そもそも武鳴 雷門ほどの速さがあれば、わざわざ大振りで勝負を決めにこなくてもを銃弾のように指二本をピッと突き出すだけで人は死ぬ。
武鳴 雷門の対応力の高さに舌を巻きつつ、俺はこれでさっきの雷雨の時と同じく高速運動の持久戦になってしまったから更なる覚悟を決めた。
このままとことんやり合ってダメなら、限界を超えてもう一段階上の俺を見せてやるよ‼︎
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら、お気に入りの登録を、ぜひお願いします。
また感想や誤字脱字報告もお待ちしています。
全く腕を動かせないわけではないものの、武鳴 雷門は中途半端な状態で戦って良い相手じゃないとわかったから厳しいな……。
おそらく数分もすれば元通り動かせられるだろうから、それまでなんとか時間を稼ぐしかないか。
俺は地面に刺していた木刀と葛城ノ剣を抜き、攻めよりも守りや回避を重視した構えをとる。
本来の俺の攻め方は速さを活かして敵から何かされる前にさっさと斬る特攻スタイルだから、こういう相手の反応を確認して動くやり方はそれほど得意じゃない。
しかし、何もせずに負けたいとも楽をして勝ちたいとも思わないから、俺が本調子に戻るまでは本気であがいてやると覚悟を決めた。
◆◆◆◆◆
数分経ち、戦況がどうなったかと言えば実は何も変わっていない。
なぜなら武鳴 雷門本体と雷精全ての輝きと放電が強くなり続けて力が溜まっているにも関わらず何もしてこなかったからだ。
俺の頭の中に生まれた疑問をぶつけるように問いただす。
「おい、どういうつもりだ? 俺を舐めてるのか?」
「そんなつもりは全くない」
「それなら何で攻めてこない?」
「こちらは総力戦をすると言ったはずだ」
「そのための助走の時間とでも?」
「その通り」
「…………それはいつになったら見れるんだ?」
「本当ならば、もう少し時間をほしいところだが、お前を待たせているのも事実。良いだろう。今から見せてやる」
武鳴 雷門が言うと、全ての雷精が帯電している空間の上部に散っていった。
「お前は雷雨を知っているか?」
「雷雨? 文字通り雷と雨がいっしょになっているひどい天気だろ? 前の世界ではそんな中でも戦っていたから知っている。あれは豪雨で身体は冷えるし落雷で感電死する奴らもいて本当に最悪だったぞ……」
「そ、そうか……、だが、俺の雷雨は違う‼︎」
「俺の雷雨だと……?」
「ああ、本物の雷雨を見せてやろう。雷よ‼︎」
次の瞬間、雷精を起点として帯電している空間の上部に稲光が起き始めた。
…………ああ、この後に何が起きるかなんて考えるまでもないな。
すぐに俺の予想通り……違う。
予想以上の事が起き、雷が雨のごとく無数に、同時に、絶え間なく地面へ向けて落ちてくる。
俺は木刀と葛城ノ剣で俺の間合いに入った雷を斬り捨てながら、この状況の厄介さに歯噛みした。
単純に無数の雷が落ちる事で爆音と閃光が起きて視覚と聴覚が潰されるし、さらに落雷時に起きる衝撃波も俺の動きの邪魔となる。
そして一番俺に不利な点は、武鳴 雷門の姿が見えなくなり気配も感じ取れなくなった事。
まず、あいつの攻撃の始動時に起こる放電音も、これだけの雷音が響いていればないのと同じ。
さらに今降り注いでいる雷は武鳴 雷門が生み出したもので、しかも武鳴 雷門自身も雷精化という雷と同質と言って良い状態だ。
おそらくこの雷は武鳴 雷門にとっては空気と同じで移動や動きに何の支障もないはずで、つまり……。
ドカンッ‼︎
嫌な予感がして雷を斬り払いながら横に跳ぶと、いきなり俺の立っていた場所を武鳴 雷門の右拳が通過した。
「これだけの俺に有利な状況を作り出してなお、攻撃を避けられるか……。化け物め……」
武鳴 雷門が何かをつぶやいてから雷の中に消えていった気もするが、どうせ聞こえないし見えないからどうでも良い。
◆◆◆◆◆
落雷が始まって何分経過したかは分からないが、今のところは俺の間合いに入った雷にも武鳴 雷門の雷速の打撃にも対応できているが、問題なのは攻撃密度と攻撃回数の多さだ。
連続した落雷と、そこに武鳴 雷門の雷速の打撃が加わった事でまさに息つく暇のない攻撃になっている。
相手を追い込むという意味では間違いなく正解で、木刀と葛城ノ剣で雷を斬り払うという急激な高速運動をずっと続けていたせいか、そろそろ俺の呼吸が苦しくなっていた。
さすがに細く息をしてごまかしても限界はある。
…………正直に言って自前の剣技だけで戦いたかったがしょうがない。
自分の中の迷いを消して頭を切り替え、その時を狙う。
そして俺は再び嫌な予感がしたのに合わせて、葛城ノ剣を振り上げつつ刀身から異能力を消し飛ばす光を放った。
「ぐおおおおおお‼︎」
「スー……、ハー……、スー……、ハー……、ふう」
落雷が止んだのを感じ取った俺は、ゆっくり呼吸を繰り返して身体に酸素を取り込んでいく。
お、まだ視覚と聴覚は潰れたままだが武鳴 雷門の乱れた気配を認識できたぞ。
とりあえず目を閉じたまま無理に攻めずに感覚が元に戻るのを待つとしよう。
◆◆◆◆◆
…………また何もないまま数分が経過したわけだが、これほど緩急に差のある戦いも珍しいな。
おそらく葛城ノ剣の光の直撃を受けたためだとは思うけれど、身体を異能力で変化させる奴にここまで効果があったのは予想外だ。
ザ……。
うん? これは地面を踏みしめる音?
俺は、どうやら感覚が戻ってきたみたいだなと判断し目を開けたら、そこには雷精化を解いた武鳴 雷門がいた。
それにサッと周りを確認したら雷精達もいないな。
「お前の剣が発した光で雷も雷精達も消し飛んだ。そらに雷精化を解かなければ俺自身も危なかった……」
「そうか……」
「俺の攻撃を破ったというのに、なぜそんな顔をする?」
やっぱり、やりたくない事をやったら顔に出てしまうんだな。
「俺には元々異能力なんてものはないから剣技だけで戦いたいと思っていた。だが、それもお前の怒涛の攻めに抗えなくなって、結局、葛城ノ剣の力に頼る始末。…………自分の弱さに腹が立つ」
「ははは……、雷を斬った事もそうだが、異能力者に、それも精霊級に技量だけで対抗できた事がそもそも異常だと自覚しろ」
「そうか? 秋臣は俺に近い動きをできるようになってるぞ」
「…………その話は後で詳しく聞かせてもらうとして、今はこの戦いに集中させてもらう‼︎ ハアッ‼︎」
武鳴 雷門が気合とともに自分の胸を叩くと、再び雷が発生させ始めた。
しかし前と違い、今回の雷は俺達の周りの空間を帯電させる事はなく全てが武鳴 雷門の周りに集まっていく。
「もう数の暴力はしてこないのか?」
「その数の暴力を覆した奴にする意味はない。ここからは正真正銘全力の一対一だ‼︎」
そう言った瞬間、武鳴 雷門の身体が今までで一番強く輝き放電しだす。
なるほど雷精を生み出していた分の力も自分の強化に回したのか。
それならば俺も全力を尽くすべきだと判断し、目を閉じて深呼吸をする。
「ここからの俺も全力だ」
「ふはははははははははははっ‼︎ 心行くまで楽しんだ後にお前を超えてやる‼︎」
「やってみろ」
俺の言葉を最後に俺達の会話は終わり、辺りには武鳴 雷門の放電音だけが響き渡る。
そして、特に打ち合わせたわけでもないのに、俺は武鳴 雷門が動き出したと同時に音と色のない世界へ入った。
◆◆◆◆◆
…………へえ、俺以外が限りなくゆっくり動くこの世界でも武鳴 雷門の動きは速く見えるな。
俺は目の前で突き出される武鳴 雷門の拳を見ながら感心しつつ身体を半回転させて避け、そのまま木刀をこいつの背中へ振る。
『な、く……』
お、俺に攻撃を避けられた事に気づいた武鳴 雷門が慌てながら俺から離れた。
まあ武鳴 雷門は俺と同じく速さで相手を圧倒封殺していくタイプで、おそらく今までまともに反撃された経験すらないはずだろうから当然か。
俺は葛城ノ剣と戦った時の慌てた自分を思い出して笑ってしまった。
しかし、すぐに気を取り直して身体を倒しながら跳んで体勢を崩している武鳴 雷門に接近し、木刀と葛城ノ剣で連撃を繰り出す。
『このっ……』
俺が無数の雷を斬り捨てた時のように、今度は武鳴 雷門が必死に俺の攻撃を受けたり避けたり捌いたりしている。
しかし、最大強化状態での攻防に慣れていないのか、ぎこちない動きになっているためどんどん対応しきれなくなっていた。
連撃中に観察した結果、武鳴 雷門に今の状況に適応される前に攻め切るべきだと決め、さらに連撃の速度を上げたのだが俺の狙いはうまくいかない。
連撃を数発打ち込め次に葛城ノ剣を当てた瞬間、突然武鳴 雷門の身体から葛城ノ剣を通して大量の雷が流れてきたため、俺は葛城ノ剣を消しながら跳び退く。
俺も葛城ノ剣の光で同じような事をしたわけだが…………クソッ、これで武鳴 雷門に落ち着く時間を与えてしまった。
『見事な思い切りと攻撃だった。しかし、もうお前が一方的に攻める展開はない』
『おもしろい。だったら、どうするのか見せてみろ』
俺は攻めきれなかった後悔を頭の隅に追いやり着地と同時に跳び再び連撃で攻め立てたが、俺の連撃は始めの数発以外の全てを武鳴 雷門の鋭く細かい突きで迎撃されていた。
……チッ、気づかれたか。
そもそも武鳴 雷門ほどの速さがあれば、わざわざ大振りで勝負を決めにこなくてもを銃弾のように指二本をピッと突き出すだけで人は死ぬ。
武鳴 雷門の対応力の高さに舌を巻きつつ、俺はこれでさっきの雷雨の時と同じく高速運動の持久戦になってしまったから更なる覚悟を決めた。
このままとことんやり合ってダメなら、限界を超えてもう一段階上の俺を見せてやるよ‼︎
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
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