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第4章 異世界の男は手に入れる
第18話
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ようやくと言えば良いのか、俺達は吾郷学園に帰ってきた。
そんなに時間は経っていないはずなのに懐かしく感じるのは、この学園が俺にとっての家と感じていたためと禅芭高校での出来事があまりに濃かったからだろう。
しかも、この刺激はまだまだ続くかもしれない。
なぜなら今のところ目立っている二つの変化と一つの悩みというか問題があって、まず今流々原先生から吾郷学園の学園長である黒鳥夜 綺寂へ紹介されている千亀院 燈に他四名が、吾郷学園と禅芭高校の関係をより深めるための交流という名目で吾郷学園までやってきている。
次にシスティーゾ達が、あれから一度も俺に戦いを挑んでこなくなった代わりに鍛錬をかなりやり込むようになった。
特に格闘や歩法などの近接戦闘で必要な要素に鍛える主軸を置いているのが印象的だな。
この方針の切り替え理由を全く聞いていないため何とも言えないが、少なくともやる気に満ちているから良い変化と言えるはず。
そして最後の問題というか悩みは…………秋臣が目覚めないのだ。
もちろん魂を分割されたのは痛手だったとは思うが、それでも少しくらいは何か反応を見せても良いと思う……。
「…………ん?」
目の前にいる敵ならいくらでも斬れるのに、秋臣へ何もできない俺自身は無力だ。
「…………君?」
「…………」
「鶴見君?」
「うん?」
秋臣の事を考えていて気づかなかったが、どうやら呼ばれていたらしい。
声のした方に顔を向けると黒鳥夜 綺寂が俺を不思議そうな表情で見ていた。
まだ、千亀院 燈達もいるから口調を気をつけないとな。
「考え事をしてました。すみません。学園長、何でしょう?」
「いえ、禅芭高校での経験はどうでしたか?」
「そうですね……。新しい武器を手にできた点は良かったですけど、その過程で本当に腹の立つ事が起きました」
「それは何とも……」
黒鳥夜 綺寂が流々原先生や千亀院 燈達に視線を送ると、流々原先生は覚悟を決めたような気配なり千亀院 燈達は気まずげな気配になった。
「鶴見君」
「何ですか?」
「この後、時間はありますか?」
「特に予定はないです」
「それなら話を聞かせてちょうだい」
「…………わかりました」
俺がうなずくと黒鳥夜 綺寂のそばに控えていた聖の連中が殺気立つ。
俺を危険視している事は理解できるが、ちょっと乱れやすすぎじゃないのか?
それとそんな聖に対してシスティーゾ達もピリつくんじゃねえ。
「この場にいた方が良いですか?」
「できれば、そうしてもらいたいわね」
「それなら壁際にいるので、その時がきたら声をかけてください」
「わかったわ。あなた達?」
黒鳥夜 綺寂から圧を受けた聖の連中が、俺をにらみつつ腰が引けるという器用な状態になっているのを横目で見つつ、俺は壁際に行き座って目を閉じた。
とりあえず奥底で秋臣の様子を確認しておこう。
◆◆◆◆◆
しばらくの間、奥底で眠っている秋臣の近くに座り異常がないか観察していると葛城ノ剣が現れた。
『我は貴様が外で動いている時でもそばにいたが、今のこのままで変わりはなかったぞ』
『…………そうか。ところでお前には治す異能力はないのか?』
『我は武器だ。あるはずがない。もし、そのような異能力をもっていたならば、貴様との戦いでも使っていたし主人にも使っている』
秋臣がこうなっているのは間違いなくこいつのせいだ。
しかし、その葛城ノ剣もまた、眠ったままの秋臣の目覚めを願っているのがわかり複雑な気分になる。
『お互いに戦うしか能のない存在は、こういう時に何の役にも立てないな』
『…………ふん、人である貴様といっしょにするな、と言いたいところだが何一つ否定できん』
『前の世界では生き残るのに必死で周りの奴らがいなくなる事を考える暇なんてなかった。大事な存在がいなくなるのは嫌だぞ……』
『わかっている。だが、我も貴様も何もできんから貴様は外へ行け。何か動きがあるようだ』
葛城ノ剣に言われて外を探ってみると微かに誰かが近づいてきているのに気づく。
『何かあったら伝えろよ?』
『我に勝った貴様にはそれぐらいの事をしてやる。さっさと行け』
『頼む』
◆◆◆◆◆
奥底から戻り目を開けたら鈴麗華が俺の肩に触れようとしているところで、部屋の中を見渡すと千亀院 燈達はいなくなっているから口調は俺のままで良いな。
「学園長が鶴見君の話を聞きたいそうよ」
「わかった」
「それなら行きましょう」
鈴麗華が歩き出したため、立ち上がりあとを追う。
そして再び黒鳥夜 綺寂と対面した。
「鶴見君、流子から聞いたわ。なかなか大変な出来事に遭遇したのね」
「まあな。原因は斬り捨てたが結局は秋臣を守れなかったよ……」
「深刻な時に申し訳ないのだけれど、確認させてほしいの。葛城ノ剣を見せてくれないかしら?」
「これで良いか? 好きに触ってくれ」
葛城ノ剣を生み出し机の上に置いた。
…………へえ、今度は聖の連中の様子に変化はなかったな。
さすがに黒鳥夜 綺寂からの圧は効いたらしい。
「これは確かに葛城ノ剣ですね」
「学園長もこれを見た事があるのか?」
「私が自分の異能力を暴走させる前の話ですよ。まあ、それはそれとして、これは間違いなく鶴見君の実績になります」
「言っておくが俺は家や流派を開く事に興味はないぞ。もし、どうしてもさせたいなら秋臣が目覚めるまで待て。秋臣の希望があれば協力してやる」
「新たな家や流派の事は、いずれで構わないわ」
「そうか」
その後はポツポツと葛城ノ剣と戦った時や千亀院 燈と戦った時の話に関する質問に答えていった。
「うふふ、鶴見君の話を聞く限り千亀院 燈さんは吾郷学園でもやっていけそうだわ」
「だろうな。近接戦闘なら学園でも上位のはずだ」
「あの子達がこの学園にもたらす刺激が楽しみね。…………うん、鶴見君から聞きたかった話を聞けたから本題に入るわ」
「本題だと?」
「眠ったままの秋臣君をどうにかできるかもしれない人がいるわ」
「何だと……? そいつはどこにいる⁉︎」
俺が立ち上がり黒鳥夜 綺寂に詰め寄ろうとしたら、その前に後ろにいた流々原先生に両肩をグッと押さえ込まれた。
「鶴見君、落ち着いてね。学園長、ここからは私が話しても?」
「ええ、お願いするわ」
「わかりました。鶴見君、もう一度言うわよ? 落ち着いてちょうだい」
「…………わかったよ。ただし何も隠さず話せ」
「もちろんよ」
落ち着いた俺を見た流々原先生はホッとした様子で黒鳥夜 綺寂の隣に行く。
そして俺の方を向いた後、場の雰囲気をかえるためなのか一つ咳をする。
「コホン。いろいろと話すべき事はあるけれど、まずは結論を言うわね。学園長の言ってた秋臣君をどうにかできるかもしれないって言ってたのは私の師匠の事なの」
「流々原先生の師匠? …………仙人って事か?」
「そうよ。師匠は私なんかよりもよっぽど強力な術師であり、現状この世界で全知全能に近い存在の一人ね」
「そんな奴に秋臣の治癒を頼めるのか? 代償は何だ?」
「代償は……無いわ」
「…………何だと?」
「むしろ師匠の方から秋臣の治療を試させてほしいって言われたのよ。はっきり言って、どこで師匠が秋臣君の事を知ったのかはわからないわ」
「それは……」
「怪しいのは確かね。でも、技術と知識は間違いないからどうかしら?」
頭の中で怪しすぎると危険を知らせる感と、間違いなく秋臣をどうにかできるだろうと感が同時に働き迷いに迷っていたら、部屋の中に俺達とは別の気配があるのに気づいて見ると、そこには複数の花びらが舞っていた。
『やれやれ、ずいぶんとひどい言われ方ね』
「し、師匠⁉︎」
『悪いようにはしないから手を出させてもらうわ』
「こちら側の話はまとまっていないので待ってください‼︎」
『早いか遅いかの違いなら今でも問題ないわ』
学園長室に飾られている花とは別の薄桃色の花びらがどこからともなく無数に集まってきて塊となり、そこから聞き覚えのない声がする。
そして、その花びらの塊へさらに花びらが加わって人型になり、さらにさらに花びらが追加されて顔の凹凸や服装などの細部ができあがっていく。
数分も経たない内に床に降り立ったのは、これぞ仙人というゆったりとした着物のような服装の少女だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら、お気に入りの登録を、ぜひお願いします。
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そんなに時間は経っていないはずなのに懐かしく感じるのは、この学園が俺にとっての家と感じていたためと禅芭高校での出来事があまりに濃かったからだろう。
しかも、この刺激はまだまだ続くかもしれない。
なぜなら今のところ目立っている二つの変化と一つの悩みというか問題があって、まず今流々原先生から吾郷学園の学園長である黒鳥夜 綺寂へ紹介されている千亀院 燈に他四名が、吾郷学園と禅芭高校の関係をより深めるための交流という名目で吾郷学園までやってきている。
次にシスティーゾ達が、あれから一度も俺に戦いを挑んでこなくなった代わりに鍛錬をかなりやり込むようになった。
特に格闘や歩法などの近接戦闘で必要な要素に鍛える主軸を置いているのが印象的だな。
この方針の切り替え理由を全く聞いていないため何とも言えないが、少なくともやる気に満ちているから良い変化と言えるはず。
そして最後の問題というか悩みは…………秋臣が目覚めないのだ。
もちろん魂を分割されたのは痛手だったとは思うが、それでも少しくらいは何か反応を見せても良いと思う……。
「…………ん?」
目の前にいる敵ならいくらでも斬れるのに、秋臣へ何もできない俺自身は無力だ。
「…………君?」
「…………」
「鶴見君?」
「うん?」
秋臣の事を考えていて気づかなかったが、どうやら呼ばれていたらしい。
声のした方に顔を向けると黒鳥夜 綺寂が俺を不思議そうな表情で見ていた。
まだ、千亀院 燈達もいるから口調を気をつけないとな。
「考え事をしてました。すみません。学園長、何でしょう?」
「いえ、禅芭高校での経験はどうでしたか?」
「そうですね……。新しい武器を手にできた点は良かったですけど、その過程で本当に腹の立つ事が起きました」
「それは何とも……」
黒鳥夜 綺寂が流々原先生や千亀院 燈達に視線を送ると、流々原先生は覚悟を決めたような気配なり千亀院 燈達は気まずげな気配になった。
「鶴見君」
「何ですか?」
「この後、時間はありますか?」
「特に予定はないです」
「それなら話を聞かせてちょうだい」
「…………わかりました」
俺がうなずくと黒鳥夜 綺寂のそばに控えていた聖の連中が殺気立つ。
俺を危険視している事は理解できるが、ちょっと乱れやすすぎじゃないのか?
それとそんな聖に対してシスティーゾ達もピリつくんじゃねえ。
「この場にいた方が良いですか?」
「できれば、そうしてもらいたいわね」
「それなら壁際にいるので、その時がきたら声をかけてください」
「わかったわ。あなた達?」
黒鳥夜 綺寂から圧を受けた聖の連中が、俺をにらみつつ腰が引けるという器用な状態になっているのを横目で見つつ、俺は壁際に行き座って目を閉じた。
とりあえず奥底で秋臣の様子を確認しておこう。
◆◆◆◆◆
しばらくの間、奥底で眠っている秋臣の近くに座り異常がないか観察していると葛城ノ剣が現れた。
『我は貴様が外で動いている時でもそばにいたが、今のこのままで変わりはなかったぞ』
『…………そうか。ところでお前には治す異能力はないのか?』
『我は武器だ。あるはずがない。もし、そのような異能力をもっていたならば、貴様との戦いでも使っていたし主人にも使っている』
秋臣がこうなっているのは間違いなくこいつのせいだ。
しかし、その葛城ノ剣もまた、眠ったままの秋臣の目覚めを願っているのがわかり複雑な気分になる。
『お互いに戦うしか能のない存在は、こういう時に何の役にも立てないな』
『…………ふん、人である貴様といっしょにするな、と言いたいところだが何一つ否定できん』
『前の世界では生き残るのに必死で周りの奴らがいなくなる事を考える暇なんてなかった。大事な存在がいなくなるのは嫌だぞ……』
『わかっている。だが、我も貴様も何もできんから貴様は外へ行け。何か動きがあるようだ』
葛城ノ剣に言われて外を探ってみると微かに誰かが近づいてきているのに気づく。
『何かあったら伝えろよ?』
『我に勝った貴様にはそれぐらいの事をしてやる。さっさと行け』
『頼む』
◆◆◆◆◆
奥底から戻り目を開けたら鈴麗華が俺の肩に触れようとしているところで、部屋の中を見渡すと千亀院 燈達はいなくなっているから口調は俺のままで良いな。
「学園長が鶴見君の話を聞きたいそうよ」
「わかった」
「それなら行きましょう」
鈴麗華が歩き出したため、立ち上がりあとを追う。
そして再び黒鳥夜 綺寂と対面した。
「鶴見君、流子から聞いたわ。なかなか大変な出来事に遭遇したのね」
「まあな。原因は斬り捨てたが結局は秋臣を守れなかったよ……」
「深刻な時に申し訳ないのだけれど、確認させてほしいの。葛城ノ剣を見せてくれないかしら?」
「これで良いか? 好きに触ってくれ」
葛城ノ剣を生み出し机の上に置いた。
…………へえ、今度は聖の連中の様子に変化はなかったな。
さすがに黒鳥夜 綺寂からの圧は効いたらしい。
「これは確かに葛城ノ剣ですね」
「学園長もこれを見た事があるのか?」
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「言っておくが俺は家や流派を開く事に興味はないぞ。もし、どうしてもさせたいなら秋臣が目覚めるまで待て。秋臣の希望があれば協力してやる」
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「だろうな。近接戦闘なら学園でも上位のはずだ」
「あの子達がこの学園にもたらす刺激が楽しみね。…………うん、鶴見君から聞きたかった話を聞けたから本題に入るわ」
「本題だと?」
「眠ったままの秋臣君をどうにかできるかもしれない人がいるわ」
「何だと……? そいつはどこにいる⁉︎」
俺が立ち上がり黒鳥夜 綺寂に詰め寄ろうとしたら、その前に後ろにいた流々原先生に両肩をグッと押さえ込まれた。
「鶴見君、落ち着いてね。学園長、ここからは私が話しても?」
「ええ、お願いするわ」
「わかりました。鶴見君、もう一度言うわよ? 落ち着いてちょうだい」
「…………わかったよ。ただし何も隠さず話せ」
「もちろんよ」
落ち着いた俺を見た流々原先生はホッとした様子で黒鳥夜 綺寂の隣に行く。
そして俺の方を向いた後、場の雰囲気をかえるためなのか一つ咳をする。
「コホン。いろいろと話すべき事はあるけれど、まずは結論を言うわね。学園長の言ってた秋臣君をどうにかできるかもしれないって言ってたのは私の師匠の事なの」
「流々原先生の師匠? …………仙人って事か?」
「そうよ。師匠は私なんかよりもよっぽど強力な術師であり、現状この世界で全知全能に近い存在の一人ね」
「そんな奴に秋臣の治癒を頼めるのか? 代償は何だ?」
「代償は……無いわ」
「…………何だと?」
「むしろ師匠の方から秋臣の治療を試させてほしいって言われたのよ。はっきり言って、どこで師匠が秋臣君の事を知ったのかはわからないわ」
「それは……」
「怪しいのは確かね。でも、技術と知識は間違いないからどうかしら?」
頭の中で怪しすぎると危険を知らせる感と、間違いなく秋臣をどうにかできるだろうと感が同時に働き迷いに迷っていたら、部屋の中に俺達とは別の気配があるのに気づいて見ると、そこには複数の花びらが舞っていた。
『やれやれ、ずいぶんとひどい言われ方ね』
「し、師匠⁉︎」
『悪いようにはしないから手を出させてもらうわ』
「こちら側の話はまとまっていないので待ってください‼︎」
『早いか遅いかの違いなら今でも問題ないわ』
学園長室に飾られている花とは別の薄桃色の花びらがどこからともなく無数に集まってきて塊となり、そこから聞き覚えのない声がする。
そして、その花びらの塊へさらに花びらが加わって人型になり、さらにさらに花びらが追加されて顔の凹凸や服装などの細部ができあがっていく。
数分も経たない内に床に降り立ったのは、これぞ仙人というゆったりとした着物のような服装の少女だった。
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