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第2章 異世界の男は鎮圧する
第5話
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陣形をとっている黒い木刀を持つ人影達が徐々に俺へと近づいてくる。
それぞれの構えも、先ほどまでの雑な構えではなくきちんとしたものになっているから今の人影達は歯応えがありそうだと判断し、俺はそんな人影達へ散歩をするかのように近づいていく。
秋臣が俺の行動に驚いたせいなのか人影達の動きが一瞬止まったため、一気に俺の正面にいる人影の懐へ飛び込み人影の腹を殴ろうとした。
しかし、人影はすぐさま俺の顎を狙って木刀の柄を跳ね上げてきたため、一歩後ろへ下がる。
そして俺が下がったと同時に左右から斬撃が繰り出された。
俺は二つの斬撃を避けた後、片方の後ろ側へ回り込み再び殴ろうとしたが、また別の人影達が突きを放ってきたので大きく跳んで距離を取る。
「ふう、良い反応だな。俺が攻撃する時や避けた後なんかの隙を常に狙ってるわけか」
俺と正面で戦う一、二体は囮と言っても良くて、本命はその他のいつでも攻めれるように構えてる奴らだな。
そうかと言って囮を無視して本命に襲いかかれば、本命の内の一、二体が囮となり、囮だった奴らが本命となり俺の隙をついてくるはず。
…………この状況で俺の取れる手段は三つある。
一つ目は単純に人影達を一撃必殺で倒していく超速攻の短期戦で、二つ目は秋臣の狙い通り長期戦に付き合う事で、最後の三つ目は人影達を無視して秋臣のところへ全速力で向かうというものだ。
この中でまず排除するのは三つ目で俺は秋臣を受け止めると決めているため、これは論外。
ならば一つ目と二つ目のどちらを選ぶかだが、当然二つ目を選ぶ。
秋臣の狙いである長期戦を最後までやる事こそ、秋臣を受け止めるという事だ。
「秋臣、いくぞ」
俺は一番近い人影の間合いに入った。
◆◆◆◆◆
あれから一時間くらいはたったわけだが、戦況でいうと俺の倒した人影が二体で、木刀をくらった数は十もないから俺の方が有利だな。
ただ、人影達の動きも鈍ってはいないため秋臣も、まだまだやれるようだ。
「は……?」
人影達の雰囲気が変わり構えを解き俺の周りをグルグル歩き始めたため、俺は思わずつぶやいてしまった。
どういうつもりだ……?
この特に俺を撹乱しようとしているわけでもない、ただ俺の周りを歩くこの動きにどんな意味が?
……いや、待て。
「人影の数が減っている?」
人影は歩いてるだけで動きを見逃すような速さじゃないのに、いつの間にか二体減っていた。
気配を探った限り、どこかに隠れているような違和感は感じられないので本当に数が減っているという事だ。
◆◆◆◆◆
その後も、人影達は数分の間に、どんどん数を減らしていったが、ようやく人影達が減っている理由がわかる。
「まさか、個別に動いていた人影同士が重なった時に融合しているとはな……」
実は人影達それぞれの速さが違い、俺の周りを速く回る人影が遅く回る人影に追いついて重なった時に融合していたというわけだ。
そして人影達の融合が進むという事は、全ての人影達の力が一つに集中するという事で、最終的に全ての人影達が融合して一つになったそいつの見た目は完全の人になっていた。
「ずいぶんと体格の良い爺さんだが、そいつが秋臣にとっての強さの象徴なんだな」
厚い道着を着ていてもわかる発達した筋肉、鍛え込んでゴツくなった拳、見た相手を刺し殺しそうな鋭い目、その他全ての要素でも、ああ、戦う事に人生を捧げているんだなとわかるこいつは秋臣の祖父で鶴見家の当主の鶴見 玄坐だ。
そして、この鶴見 玄坐が今の秋臣の状況を生み出した原因でもある。
…………ここで、こいつを倒せば秋臣のトラウマを軽くできるかもしれないな。
さらにやる気の出た俺が秋臣の能力で作った黒い木刀を持ち構えて笑うと、玄坐は舐められたと思ったのか怒りで顔を歪ませ、背負っていた太く長い巨大な木刀を手に持ち構えた。
秋臣、ここからの俺をよく見ていろよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
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それぞれの構えも、先ほどまでの雑な構えではなくきちんとしたものになっているから今の人影達は歯応えがありそうだと判断し、俺はそんな人影達へ散歩をするかのように近づいていく。
秋臣が俺の行動に驚いたせいなのか人影達の動きが一瞬止まったため、一気に俺の正面にいる人影の懐へ飛び込み人影の腹を殴ろうとした。
しかし、人影はすぐさま俺の顎を狙って木刀の柄を跳ね上げてきたため、一歩後ろへ下がる。
そして俺が下がったと同時に左右から斬撃が繰り出された。
俺は二つの斬撃を避けた後、片方の後ろ側へ回り込み再び殴ろうとしたが、また別の人影達が突きを放ってきたので大きく跳んで距離を取る。
「ふう、良い反応だな。俺が攻撃する時や避けた後なんかの隙を常に狙ってるわけか」
俺と正面で戦う一、二体は囮と言っても良くて、本命はその他のいつでも攻めれるように構えてる奴らだな。
そうかと言って囮を無視して本命に襲いかかれば、本命の内の一、二体が囮となり、囮だった奴らが本命となり俺の隙をついてくるはず。
…………この状況で俺の取れる手段は三つある。
一つ目は単純に人影達を一撃必殺で倒していく超速攻の短期戦で、二つ目は秋臣の狙い通り長期戦に付き合う事で、最後の三つ目は人影達を無視して秋臣のところへ全速力で向かうというものだ。
この中でまず排除するのは三つ目で俺は秋臣を受け止めると決めているため、これは論外。
ならば一つ目と二つ目のどちらを選ぶかだが、当然二つ目を選ぶ。
秋臣の狙いである長期戦を最後までやる事こそ、秋臣を受け止めるという事だ。
「秋臣、いくぞ」
俺は一番近い人影の間合いに入った。
◆◆◆◆◆
あれから一時間くらいはたったわけだが、戦況でいうと俺の倒した人影が二体で、木刀をくらった数は十もないから俺の方が有利だな。
ただ、人影達の動きも鈍ってはいないため秋臣も、まだまだやれるようだ。
「は……?」
人影達の雰囲気が変わり構えを解き俺の周りをグルグル歩き始めたため、俺は思わずつぶやいてしまった。
どういうつもりだ……?
この特に俺を撹乱しようとしているわけでもない、ただ俺の周りを歩くこの動きにどんな意味が?
……いや、待て。
「人影の数が減っている?」
人影は歩いてるだけで動きを見逃すような速さじゃないのに、いつの間にか二体減っていた。
気配を探った限り、どこかに隠れているような違和感は感じられないので本当に数が減っているという事だ。
◆◆◆◆◆
その後も、人影達は数分の間に、どんどん数を減らしていったが、ようやく人影達が減っている理由がわかる。
「まさか、個別に動いていた人影同士が重なった時に融合しているとはな……」
実は人影達それぞれの速さが違い、俺の周りを速く回る人影が遅く回る人影に追いついて重なった時に融合していたというわけだ。
そして人影達の融合が進むという事は、全ての人影達の力が一つに集中するという事で、最終的に全ての人影達が融合して一つになったそいつの見た目は完全の人になっていた。
「ずいぶんと体格の良い爺さんだが、そいつが秋臣にとっての強さの象徴なんだな」
厚い道着を着ていてもわかる発達した筋肉、鍛え込んでゴツくなった拳、見た相手を刺し殺しそうな鋭い目、その他全ての要素でも、ああ、戦う事に人生を捧げているんだなとわかるこいつは秋臣の祖父で鶴見家の当主の鶴見 玄坐だ。
そして、この鶴見 玄坐が今の秋臣の状況を生み出した原因でもある。
…………ここで、こいつを倒せば秋臣のトラウマを軽くできるかもしれないな。
さらにやる気の出た俺が秋臣の能力で作った黒い木刀を持ち構えて笑うと、玄坐は舐められたと思ったのか怒りで顔を歪ませ、背負っていた太く長い巨大な木刀を手に持ち構えた。
秋臣、ここからの俺をよく見ていろよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
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