13 / 15
番外編
卒業パーティー①
しおりを挟む
厳しい寒さが和らぎ、草木が芽吹き出す。
誰しもが希望に胸が膨らむ今日、王立学院の卒業パーティーが行われた。
生徒達が浮き足立つ中、今回は少し異質な雰囲気だった。
午前の部ではたくさんの来賓がある。
今年度は卒業生に王族の第四王子シルヴァン殿下や宰相の次男がいることもあり、王立学院の講堂には各界の要人が集まっていた。
女王陛下や王太子殿下を初め、宰相とその奥方、有力な辺境伯や王立研究所の所長までいる。
それに伴って護衛の人数もかなり多い。
午前の部では、学長や教師に子が世話になったことの感謝を伝える場として、また少なからず親同士の交流の場としての側面もあった。
午前の部で来賓客は退席し、午後の部は生徒同士で楽しむのが通例だ。
制服の生徒達は、午後の部ではドレスアップして参加する。
今年度はあまりの顔ぶれに誰が主役かわからないほどに卒業生よりも来賓客が注目されていた。
王立学院を退職した身でマーサが卒業パーティに出席できたのはシルヴァンと女王陛下の計らいだった。
百名ほどいる卒業生の中でもシルヴァンは極めて目立っていた。
近しい友人達と談笑している姿を女生徒達が見守っている。
これほど接近することも、もしかすると会話できるかもしれないチャンスも最後だと分かっているからだろう。
マーサは女王陛下と同じテーブルでガス入りの水を、周りの要人はお酒を嗜んでいた。
女王陛下と宰相の奥方は友人らしく親しげに話しこんでいる。
以前勤めていたマーサはよく知られていたため、何人もの来賓客と挨拶をしては世間話を繰り返した。
退職したマーサがなぜここに、という疑問があってもおかしく無いが、不躾に聞いてくる人はいなかった。
(そもそも辞めたことを知られていないのかもしれない)
シルヴァンは友人達との会話を切り上げると女生徒が視界に入っていないとでも言うように、颯爽と来賓席に向かう。
女王陛下と少し話すと、陛下と共にシルヴァンがマーサの前までやってくる。
「シルヴァン殿下、ご卒業おめでとうございます」
「ありがとう、マーサ」
「マーサさん、私は先に戻りますので後はよろしくね」
「はい、女王陛下」
「やだわ、堅苦しいのは止めてちょうだい」
扇子を口元に当て妖艶に微笑む女王陛下は護衛を引き連れて講堂を後にした。
「マーサ、学長に挨拶するから一緒にきて」
「はい」
一連の流れに周りの来賓客やシルヴァンを追っかけている生徒が釘付けになっているのは言うまでもない。
ーーー
「オーフェルベン学長、少し宜しいですか。……三年間お世話になりました」
「これはこれは、シルヴァン殿下。ご卒業おめでとうございます」
「学院で学んだことを必ず国の繁栄に繋げます」
「ほっほっほっ、頼もしいですな」
「あとご報告がありまして」
「いかにも、マーサさんのことかな」
「お察しの通りで、この度婚約をいたしまして。ほどなくして発表する予定です」
「ほっほっほっ、めでたいですな!これまたおめでとうございます」
「学院時代はマーサがお世話になり感謝します」
「マーサさんは優秀でしたから、採用…いや生徒時代から只者でないと思っておりましたよ」
「詳しくお聞かせ願えますか」
マーサはシルヴァンと学長がマーサについての話で盛り上がり居心地の悪さを感じながらも、シルヴァンの前のめりにマーサの過去を知ろうとする姿は愛しくもある。
「貴重な話をありがとうございます。……ところで最後に別棟の特別室をお借りしても?」
「ほっほっほ、ご自由にどうぞ。閉校時間にはお気をつけくださいな」
「感謝します、マーサ行こう」
マーサはシルヴァンに手を引かれて講堂を出た。
ーーー
「シルヴァン殿下、どうしたのですか」
足早に別棟に移動して特別室までやってきた。
「特別室ってさ、実験室や調理室と違って机と椅子が普通の教室と同じなんだよね」
「そうですね?」
「さすがに本館の教室は生徒がいるし……マーサと最後に教室で過ごしたいなと思って」
ガラリとドアを開くと懐かしい光景が広がる。
もうこの空間に来ることはないだろうと思っていた。
「たった一年前なのに随分懐かしく感じます……お心遣いに感謝します」
シルヴァンがマーサに軽く口付ける。
「……マーサ、何か授業してよ」
シルヴァンが椅子を引いて席に着く。
「ふふふ、何がいいですかね、算術にしますか」
「お願いします、マーサ先生」
シルヴァンのおふざけに付き合って先生ごっこが始まった。
シルヴァンは嬉しそうに頬杖をつく。
制服姿のシルヴァンがそこに座っていても何の違和感もない。
マーサはクラシックな落ち着いたデザインではあるがデイドレスを着ているため、教師時代とは異なるが。
マーサが黒板に数式を書き始める。
「この問題が解ける人いますか」
「はい」
「ではシルヴァン殿下、お願いします」
シルヴァンは黒板にスラスラと回答を書くとチョークを置く。
「正解です」
「ありがとうございます」
黒板の前で見つめ合うと、同時に笑い出した。
シルヴァンがマーサの腰に手を回す。
「教師時代に恋人になれていればな」
「さすがにそれはまずいですよ、即刻クビになっていますよ」
「それは困るな、でも教師時代のマーサも素敵だったから」
「またそんなこと仰って」
「本心だよ、それにマーサのこといいなって言ってる生徒なんてたくさんいたよ」
「そうですかねえ」
シルヴァンがマーサに口付ける。
ちゅう、ちゅ、とリップ音が響く。
想いが通じ合ってから毎日のように体を重ねているというのに、いまだにシルヴァンとキスをするのは少し恥ずかしい。
それに。
「殿下が制服なので、なんだか、いけない事をしてる気分です……」
何も悪いことはしていないが、ふつふつと後ろめたさが湧いてくる。
「生徒に手を出しちゃう悪い教師ってこと?」
「ぐ、……はい」
シルヴァンが声を上げて笑う。
じとりとマーサが睨むがシルヴァンからするとただ可愛いだけだ。
「じゃあせっかくだし悪いことしちゃおう」
シルヴァンは言い終わると同時に獰猛な目付きでマーサの耳にかぶりついた。
誰しもが希望に胸が膨らむ今日、王立学院の卒業パーティーが行われた。
生徒達が浮き足立つ中、今回は少し異質な雰囲気だった。
午前の部ではたくさんの来賓がある。
今年度は卒業生に王族の第四王子シルヴァン殿下や宰相の次男がいることもあり、王立学院の講堂には各界の要人が集まっていた。
女王陛下や王太子殿下を初め、宰相とその奥方、有力な辺境伯や王立研究所の所長までいる。
それに伴って護衛の人数もかなり多い。
午前の部では、学長や教師に子が世話になったことの感謝を伝える場として、また少なからず親同士の交流の場としての側面もあった。
午前の部で来賓客は退席し、午後の部は生徒同士で楽しむのが通例だ。
制服の生徒達は、午後の部ではドレスアップして参加する。
今年度はあまりの顔ぶれに誰が主役かわからないほどに卒業生よりも来賓客が注目されていた。
王立学院を退職した身でマーサが卒業パーティに出席できたのはシルヴァンと女王陛下の計らいだった。
百名ほどいる卒業生の中でもシルヴァンは極めて目立っていた。
近しい友人達と談笑している姿を女生徒達が見守っている。
これほど接近することも、もしかすると会話できるかもしれないチャンスも最後だと分かっているからだろう。
マーサは女王陛下と同じテーブルでガス入りの水を、周りの要人はお酒を嗜んでいた。
女王陛下と宰相の奥方は友人らしく親しげに話しこんでいる。
以前勤めていたマーサはよく知られていたため、何人もの来賓客と挨拶をしては世間話を繰り返した。
退職したマーサがなぜここに、という疑問があってもおかしく無いが、不躾に聞いてくる人はいなかった。
(そもそも辞めたことを知られていないのかもしれない)
シルヴァンは友人達との会話を切り上げると女生徒が視界に入っていないとでも言うように、颯爽と来賓席に向かう。
女王陛下と少し話すと、陛下と共にシルヴァンがマーサの前までやってくる。
「シルヴァン殿下、ご卒業おめでとうございます」
「ありがとう、マーサ」
「マーサさん、私は先に戻りますので後はよろしくね」
「はい、女王陛下」
「やだわ、堅苦しいのは止めてちょうだい」
扇子を口元に当て妖艶に微笑む女王陛下は護衛を引き連れて講堂を後にした。
「マーサ、学長に挨拶するから一緒にきて」
「はい」
一連の流れに周りの来賓客やシルヴァンを追っかけている生徒が釘付けになっているのは言うまでもない。
ーーー
「オーフェルベン学長、少し宜しいですか。……三年間お世話になりました」
「これはこれは、シルヴァン殿下。ご卒業おめでとうございます」
「学院で学んだことを必ず国の繁栄に繋げます」
「ほっほっほっ、頼もしいですな」
「あとご報告がありまして」
「いかにも、マーサさんのことかな」
「お察しの通りで、この度婚約をいたしまして。ほどなくして発表する予定です」
「ほっほっほっ、めでたいですな!これまたおめでとうございます」
「学院時代はマーサがお世話になり感謝します」
「マーサさんは優秀でしたから、採用…いや生徒時代から只者でないと思っておりましたよ」
「詳しくお聞かせ願えますか」
マーサはシルヴァンと学長がマーサについての話で盛り上がり居心地の悪さを感じながらも、シルヴァンの前のめりにマーサの過去を知ろうとする姿は愛しくもある。
「貴重な話をありがとうございます。……ところで最後に別棟の特別室をお借りしても?」
「ほっほっほ、ご自由にどうぞ。閉校時間にはお気をつけくださいな」
「感謝します、マーサ行こう」
マーサはシルヴァンに手を引かれて講堂を出た。
ーーー
「シルヴァン殿下、どうしたのですか」
足早に別棟に移動して特別室までやってきた。
「特別室ってさ、実験室や調理室と違って机と椅子が普通の教室と同じなんだよね」
「そうですね?」
「さすがに本館の教室は生徒がいるし……マーサと最後に教室で過ごしたいなと思って」
ガラリとドアを開くと懐かしい光景が広がる。
もうこの空間に来ることはないだろうと思っていた。
「たった一年前なのに随分懐かしく感じます……お心遣いに感謝します」
シルヴァンがマーサに軽く口付ける。
「……マーサ、何か授業してよ」
シルヴァンが椅子を引いて席に着く。
「ふふふ、何がいいですかね、算術にしますか」
「お願いします、マーサ先生」
シルヴァンのおふざけに付き合って先生ごっこが始まった。
シルヴァンは嬉しそうに頬杖をつく。
制服姿のシルヴァンがそこに座っていても何の違和感もない。
マーサはクラシックな落ち着いたデザインではあるがデイドレスを着ているため、教師時代とは異なるが。
マーサが黒板に数式を書き始める。
「この問題が解ける人いますか」
「はい」
「ではシルヴァン殿下、お願いします」
シルヴァンは黒板にスラスラと回答を書くとチョークを置く。
「正解です」
「ありがとうございます」
黒板の前で見つめ合うと、同時に笑い出した。
シルヴァンがマーサの腰に手を回す。
「教師時代に恋人になれていればな」
「さすがにそれはまずいですよ、即刻クビになっていますよ」
「それは困るな、でも教師時代のマーサも素敵だったから」
「またそんなこと仰って」
「本心だよ、それにマーサのこといいなって言ってる生徒なんてたくさんいたよ」
「そうですかねえ」
シルヴァンがマーサに口付ける。
ちゅう、ちゅ、とリップ音が響く。
想いが通じ合ってから毎日のように体を重ねているというのに、いまだにシルヴァンとキスをするのは少し恥ずかしい。
それに。
「殿下が制服なので、なんだか、いけない事をしてる気分です……」
何も悪いことはしていないが、ふつふつと後ろめたさが湧いてくる。
「生徒に手を出しちゃう悪い教師ってこと?」
「ぐ、……はい」
シルヴァンが声を上げて笑う。
じとりとマーサが睨むがシルヴァンからするとただ可愛いだけだ。
「じゃあせっかくだし悪いことしちゃおう」
シルヴァンは言い終わると同時に獰猛な目付きでマーサの耳にかぶりついた。
156
お気に入りに追加
379
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
散財系悪役令嬢に転生したので、パーッとお金を使って断罪されるつもりだったのに、周囲の様子がおかしい
西園寺理央
恋愛
公爵令嬢であるスカーレットは、ある日、前世の記憶を思い出し、散財し過ぎて、ルーカス王子と婚約破棄の上、断罪される悪役令嬢に転生したことに気が付いた。未来を受け入れ、散財を続けるスカーレットだが、『あれ、何だか周囲の様子がおかしい…?』となる話。
◆全三話。全方位から愛情を受ける平和な感じのコメディです!
◆11月半ばに非公開にします。
前世変態学生が転生し美麗令嬢に~4人の王族兄弟に淫乱メス化させられる
KUMA
恋愛
変態学生の立花律は交通事故にあい気付くと幼女になっていた。
城からは逃げ出せず次々と自分の事が好きだと言う王太子と王子達の4人兄弟に襲われ続け次第に男だった律は女の子の快感にはまる。
悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません
青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく
でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう
この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく
そしてなぜかヒロインも姿を消していく
ほとんどエッチシーンばかりになるかも?
【続】18禁の乙女ゲームから現実へ~常に義兄弟にエッチな事されてる私。
KUMA
恋愛
※続けて書こうと思ったのですが、ゲームと分けた方が面白いと思って続編です。※
前回までの話
18禁の乙女エロゲームの悪役令嬢のローズマリアは知らないうち新しいルート義兄弟からの監禁調教ルートへ突入途中王子の監禁調教もあったが義兄弟の頭脳勝ちで…ローズマリアは快楽淫乱ENDにと思った。
だが事故に遭ってずっと眠っていて、それは転生ではなく夢世界だった。
ある意味良かったのか悪かったのか分からないが…
万李唖は本当の自分の体に、戻れたがローズマリアの淫乱な体の感覚が忘れられずにBLゲーム最中1人でエッチな事を…
それが元で同居中の義兄弟からエッチな事をされついに……
新婚旅行中の姉夫婦は後1週間も帰って来ない…
おまけに学校は夏休みで…ほぼ毎日攻められ万李唖は現実でも義兄弟から……
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
婚約破棄されたら第二王子に媚薬を飲まされ体から篭絡されたんですけど
藍沢真啓/庚あき
恋愛
「公爵令嬢、アイリス・ウィステリア! この限りを持ってお前との婚約を破棄する!」と、貴族学園の卒業パーティーで婚約者から糾弾されたアイリスは、この世界がWeb小説であることを思い出しながら、実際はこんなにも滑稽で気味が悪いと内心で悪態をつく。でもさすがに毒盃飲んで死亡エンドなんて嫌なので婚約破棄を受け入れようとしたが、そこに現れたのは物語では婚約者の回想でしか登場しなかった第二王子のハイドランジアだった。
物語と違う展開に困惑したものの、窮地を救ってくれたハイドランジアに感謝しつつ、彼の淹れたお茶を飲んだ途端異変が起こる。
三十代社畜OLの記憶を持つ悪役令嬢が、物語では名前だけしか出てこなかった人物の執着によってドロドロになるお話。
他サイトでも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる