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第六話 伯爵令嬢セーラの愛欲

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 セーラは困惑していた。
 だれもが憧れる王太子に、側室も妾も持たないと言われた。

 歴代の王は何人もの側室を持っていた。現代の王も四人の側室がいる。側室同士でいがみあい、正室である王妃を恨む。歴史的には真相は不明だが何人もの側室が亡くなっている。
 それでもそんなことは全く意に介さないように側室は増えていく。王という存在は美しい妾を何人も侍らかし、自分の好きなタイミングで抱くのだ。なのに、目の前の絶対的な王太子が、自分だけを嫁にすると言う。情熱的な言葉に、いつも守ってくれていたユーゴへの気持ちが揺らぐ。

「可愛い、ずっと触りたかった」

 アレクサンダーの手が後頭部に回り、撫で付けるように髪に触る。

「アレクサンダー様……」
「ほら、興奮している」

 手が導かれて、硬くなっている股間の上に置かれる。

「セーラだけだ、こんなに興奮するのは」

 アレクサンダーに熱い眼差しを向けられ鼓動が速まる。もう一度顎に手を置かれては上を向かされる。

「嫌かい?」
「嫌ではないです、だけど……」

 顔が近づいてきたかと思うと、触れるだけの口付けをされる。

「嫌だったか?」
「っ……そんなことは……ないです」
「なら、もう一度だ」

 今度は少しだけ長く、触れる。目を開くと、目を瞑っていたことに気づく。美しい瞳が自分を見つめている。

「おいで」

 誘導されて膝の上に乗せられた。

「嫌かい?」

 何度も聞かれてはぎゅうと抱きしめられたり、服の上からやわやわと胸を触られる。無理やり奪ったっていい立場のに、それはしたくないという。無理強いはしたくないというアレクサンダーに、強く抗議をする気にならない。

「これは?」

 アレクサンダーの舌が、口内に侵入してきた。

「んっふう」
「可愛い、セーラ……」

 囁くような声に、むずむずとした気持ちになってしまう。

「……嫌だったか?」
「……恥ずかしいです」
「分からなかったか、ではもう一度確かめなければ」

 頭を支えられると、再び口内に入ってくる。次は舌が這い回る。歯列を舐め、舌が触れ合う。

「舌を出してごらん」

 言われた通りにすると、舌を絡められる。くるくると回すように、アレクサンダーの舌が自分のそれを堪能する。卑猥な舌の動きと息遣いに、頭がぼおっとしてくる。

「ん、……嫌だったか?」

 無意識に首をふるふると横に振ってしまった。

「嬉しい」

 アレクサンダーが優しく微笑んで、吸い込まれるように口付けをされた。

 ほんの少しずつ進んでいくのがたまらなかった。気づけばドレスがはだけて、下着の上から胸を愛撫されても嫌だとは言えなかった。下着越しに自分の胸をたっぷりと揉まれると、媚びるような吐息が出てしまう。

「んっ、……ふっ、……ぁん」

 下着の上側から侵入した指がツン、と乳首を刺激した。

「んっ!」
「嫌かい……?」
「はぁっん」

 耳元で囁かれると、抗うことも忘れて、吐息が零れた。乳首を左右に擦るように指が動く。アレクサンダーに耳を舐められて無意識に出てしまう声が恥ずかしくて、手の甲を唇に押し付ける。
 しばらく乳首を愛撫されると、すっかりドレスが肩からずり落ち、下着もずらされて上半身があらわになっていた。

「はあっ……はん」
「どこもかしこも美しい」

 耳に口付けられながら、アレクサンダーの吐息を感じる。同時に胸を揉みしだかれて、もうアレクサンダーのことしか考えられない。胸を見られていると言うのに、恥ずかしさより気持ちよさが勝った。

 膝の上からソファに下ろされると、アレクサンダーが立ち上がった。

「俺は自分以上の身分の者がいない。まあ、対等な者はいるが。直にこの国の王になる。握手をすることはあっても頭を下げることもないだろう。ただし、セーラのためなら頭を下げるどころか、跪くことも厭わない」

 片足を立てて足元で跪いた。

「っ……アレクサンダー様っ、お止めください!」

 膝を立てて股を広げられると、とっくに濡れていた下着の上に顔を寄せた。
 完全にアレクサンダーに堕ちた瞬間だった。とんでもない背徳感と喜びに包まれて、下着をずらされて秘部を弄るアレクサンダーの舌の動きに、あっという間に絶頂した。
 体が痙攣すると、力が抜けた。初めての感覚に頭が働かない。

「イく顔もそそられる」

 そのまま指を挿入されるとぐちゅぐちゅと自分の局部から信じられないほどの水音が聞こえてきた。

「あっ、ふうんっ」
「溢れてくるよ、セーラも興奮してくれてるのか」

 可愛い、愛してる、セーラだけだ、と何度も囁かれては、アレクサンダーの指で再び絶頂させられた。

 熱に浮かされたようにぼんやりしていると、びっちりとした膣壁をかき分けるように太い竿が侵入してきた。苦しさに目を閉じる。
 ユーゴよりも大きいそれに息がしにくい。ズルりと引き抜かれると、再びぐぷぷと、隙間を進んでくる。

「ああんっ」
「気持ちいいよ、セーラ」
「んっ、ふうっ」
「セーラの中が絡みついてくる」

 ソファの上でアレクサンダーが絶頂すると、二回目を求められ寝台に移動した。二人共、全ての衣服を取り払って睦みあった。
 二度目は中を擦られる気持ちよさを感じ始めた。陰核を擦りながら突いてくれたおかげかもしれない。おずおずと首に手を回すと嬉しそうなアレクサンダーに、自分も嬉しくなりぎゅうとしがみついた。

「片時も離れたくない」

 日が落ちる前に帰りたいという自分を、羽交い締めにしては、ギリギリまで抱きしめられ、裸の肌を触れ合わせた。

 そこからは会う度にアレクサンダーの部屋で過ごした。当たり前のようにソファの上で甘い言葉を囁かれては、口付けを交わす。舌を絡めたり、耳を舐められる。胸を揉まれたり、下着の上から秘部を擦られて、官能を引き出される。すぐに興奮してしまい、体が疼いて仕方がなかった。寝台に手を引くアレクサンダーの手を拒めたことは無く、押し倒される。言葉だけの抵抗を、アレクサンダーは全てを見透かしているかのように、優しい口付けで封じた。
 全ての女性が夢見るアレクサンダーに求められているという優越感と喜びに、快感がどんどん引き出され、転がり落ちるようにアレクサンダーのことが好きになった。

 何度も何度もアレクサンダーの自室で抱かれると、腟内で快感を得られるようになった。前戯が上手なのか、入れる前にも何度も絶頂させられる。

 アレクサンダーの執務室でも抱かれるようになった。執務机に上半身を預けながら後ろから穿たれる。

「側近のかたがぁっ、帰ってきちゃいますっ」
「セーラが、帰るなんて言うからだろう?」
「ああん!お仕事の邪魔に、なるからっ」

 ズボンの前だけを寛げたアレクサンダーがパンパンと腰を打ち付ける度に嬌声が出てしまう。

「気持ち、よくなっちゃううっ」
「聞かせたいのか?そんなに大きな声を出して」
「ちが、激しっ、からっ!」
「全然、愛撫してないのに、とろとろだったのはセーラだろう?」
「それはっ、さっきまでアレクサンダー様のが入ってたからっ、んんっ」
「セーラの中が気持ちよすぎるのがいけない」
「あ、だ、駄目え!きちゃうっ」
「もうそろそろ側近が戻ってくるかもな、イクところを見られてしまうな」
「だめっ、あっ、あっ、イくう、イくイくイくうううっ!」

 何度か腰を押し付けられると、殿下も遅れて絶頂した。どくどくと、下腹部に注がれるのが分かった。

「んも……」
「仕事が終わるまで、部屋で待っていなさい」

 アレクサンダーが触れ合うだけの口付けをしながら下着を履かしてくれる。

「んっ、……はい、待っています……」

 期待したような甘えた声に、満足そうに濃厚なキスをくれた。

 たまに同席させてもらった昼食では、中断して椅子の上で貫かれた。王宮の庭で口にも膣にも指を突っ込まれて指だけでイかされるのも、見られてしまうかもしれないテラスで後ろから突かれるのも、全てが気持ちよかった。

 子爵令嬢のカロリーヌが殿下と婚約したと妄言を吐いた際は、とてもじゃないが信じられなかった。こんなに体を重ねているのに、他の女性と会う時間があるのだろうか。それほどに殿下の寵愛を一身に受けている自覚があった。
 それでも少し、不安な気持ちが芽生えてしまい、アレクサンダーに聞いてみた。

「カロリーヌ?」
「はい、婚約した、と仰っていたので……」
「ふむ、誰かわからないな」
「戯言だったかもしれません、お聞きして申し訳ありません」
「それを聞いて、セーラはどう思ったんだ?セーラ以外の女に興味はないが、そちらには興味はあるな」

 ニヤリとした顔でこちらを伺う顔が、極上に格好良いくてずるい。

「もう、ご存知だと思いますけど……」

 恥ずかしくて背中を向ける。既にふた月以上体を重ねている。自分の気持ちなど筒抜けだろう。
 それにしても裸で睦みあった後に聞く話では無かったかもしれない、と考えているとアレクサンダーが背中に口付ける。

「セーラの口から聞きたい」
「……少し、嫉妬しました」
「つまり?」
「アレクサンダー様が……好きです……」
「言葉にしてくれて、この上なく嬉しい。愛している」

 好きだと伝えてしまってからは、毎日王宮に上がるように言われてもただ嬉しいだけだった。既にかなりの頻度で会っていたが、女学院の授業が午前に終わり次第、殿下の元へ通うようになった。昼食も毎日のように王宮でいただくようになり、公務の合間や、日中の公務が終わった後に自室に戻ってくるアレクサンダーに、激しく求められた。

 相性というものがあるのであれば、最高に良かったのだろう。飽きることなく体を重ねては、お強請りの仕方も、自分が上に乗るやり方も覚えた。
 さらには尻の穴を弄られるようになった。

「お尻?」
「ああ、この玉が入っていくよ」
「あ、あっ、……あ、ああ!」
「すごい、六個も入った」

 紐で繋がっているらしい、いくつもの玉を、くい、くい、と優しく揺らされると、感じたことない快感に腰を揺らす。

「こっちの穴がダラダラと垂れてくるな、蓋をしよう」

 ぐぷぷと剛直を膣の中に挿入されると、いつもよりきつく感じて、苦しい。

「きつ、いっ!」
「可愛いお尻だ」

 尻の穴を両手で広げている殿下に、お尻を押し付ける。

「動いて、くれないのですかっ」
「待ちなさい、今は尻の穴を観察している」
「ああんっ、そんなところ見ないでえ……」
「はあ、可愛い、紐を引っ張ると、ひくひくしている」

 埋め込んだ肉棒を誘惑するように、力を入りてキュッと締める。

「そんなに動いて欲しいのか」
「ん……こちらも可愛がって、ほしい……」
「仕方ない。セーラの願いごとは、全部叶えなくてはいけないからなっ」

 セーラが結合部を撫でながらお願いすると、奥まで貫かれているのに、更に奥まで押し込まれた。

「ひゃあん!」

 パンパンパン!と大きな音に最高の快楽に包まれる。

「いいのおっ!気持ちいいっ、アレク、サンダー様ぁっ!好きっ!好きいい」
「俺も、愛してるよ」

 絶頂しそうになると、ズボズボと尻に入れられていた玉をすべて引き抜かれた。ぞわぞわとした感覚がせり上がる。

「んああっ!?だめ、だめ、でちゃうっ、ふぐううううう」

 絶頂と共にびしゃ、びしゃと透明な潮を吹いた。

「あ、や……漏らし、ちゃっ……」
「ああ、愛おしい。潮を吹いたのか」

 頭を撫でられると安心する。口付けをされるとすぐに抽挿が再開された。

 毎日抱かれ、股を開き、時にはアレクサンダーのモノを舐めた。飲み込めば、褒めてくれるし、そのあと中にも注ぎ込んでほしいと強請れば最上級の愉悦が待っている。
 アレクサンダーはたっぷりと注ぎ込んだあとに白濁した精液が穴から溢れ出るのを見るのが好きだった。喜ばせたくて中で出してと何度も強請った。

「中に、たっぷり出してください……っアレクサンダー様の赤ちゃんが、欲しいのお……」
「ああ、俺も欲しい」
「なら、はやくいれてえ……?」
「もっと強請りなさい、俺のことが好きだと、安心させてくれ」
「んもお!好きなのお!アレクサンダー様がっ……いっぱい奥を突いてっ……私のいやらしいお口に……たっぷりと注いでくださいっ」
「いいだろう」

 太すぎる剛直が入ってきたかと思うと、子宮口をぐりぐりと攻められた。
 ユーゴに後ろめたい気持ちもあるが、アレクサンダーと会えばはしたなく嬌声を上げ、抗うことも忘れて数時間は体を重ねた。結婚式の前に孕まないようにと、王宮で処方された避妊薬を飲んでいたため、妊娠する心配はなかった。

 はやくお前を孕ませたいと情熱的に囁かれては、その言葉に何度も絶頂させられた。はやく、アレクサンダーの子を宿したくて仕方がなかった。ユーゴがいない半年でとろとろに、どろどろにアレクサンダーに堕ちてしまった。それでもどちらも好きだった。

 ユーゴが居なくなってから半年が経った。もう帰ってくることはないのだろうか。しかし帰ってきた場合になんと説明をすればよいか。

「余計なことを考えているね」
「ユーゴに合わせる顔がありません」

 裸の体を寄せ合いながら、ぴたりとくっつくアレクサンダーの手が、背後からずっと乳首を弄っている。

「心配しなくていい、全て上手くいくよ。セーラは悪くないのだから」

この数ヶ月、何度も言われた言葉だ。

「でも、裏切ったことに変わりありません……」
「そんなに浮かない顔をしないでおくれ。俺が信用できないか?」
「そんな、アレクサンダー様のことを信用していないのではありません」
「なら大丈夫だ。万事が上手くいく。俺の愛はそれほどに深い」

 胸を可愛がってくれていたアレクサンダーの手で後ろから膝を抱えられる。あらわになった蜜口に、くぷ、と亀頭を埋められた。

「あんっ、……もう三度も出したのに、こんなに硬い……」
「ああ、憂うことなく快感に溺れなさい」
「あああああんんっ」

 与えられる快楽に、脳内がすぐさまアレクサンダーで埋め尽くされた。
 すぐ後にユーゴが帰国し、二人に愛されるようになると、さらなる快楽が待っているが、この時のセーラはまだ知らなかった。

 
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